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離婚したい時にやるべきこととは?離婚を伝えるタイミングも解説

離婚したい時にやるべきこととは?離婚を伝えるタイミングも解説
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「パートナーと離婚したい」と思っても、お金や子どもなどのことなどが気になってしまい、なかなか離婚に踏みきれない人も多いです。

また、離婚したい人のなかには「何をやるべきなのか」「他の人は、どんな理由で離婚したいと考えるのかが気になる」という人もいるでしょう。

早く離婚したいという衝動のまま行動してしまうと、後から問題が発覚してしまうケースも少なくありません。

そこで本記事では、離婚を告げる前に準備すべきことを解説したうえで、多くの人が離婚を考える理由をランキング形式で紹介します。

離婚時に請求できる費用や、親権を決定する判断材料、活用できる制度まで詳しく解説するので、参考にしてください。

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離婚したいと思っても、「なにから始めればいいの?」「慰謝料は請求できる?」「養育費や財産分与は?」などとわからないことが多く、悩んでしまいますよね。

 

結論からいうと、離婚問題の相談は弁護士にするのがおすすめです。

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目次

準備してから離婚宣告するとスムーズに新しい生活を始められる

準備不足のまま感情的に離婚を切り出すと、以下のような多くの不利益を被る可能性があります。

  • 話し合いの論点が整理できず、言い争いにしかならない
  • 協議が長期化し、精神的負担が大きくなる
  • 本来得られたはずの財産分与や慰謝料がもらえない
  • 離婚後の生活費がたりず、結局相手方に頼らざるをえない状況になってしまう
  • 子どもの親権を得られない

離婚は、ゴールではなく新しい生活のスタートです。

せっかく離婚できても、望んだ形での離婚ができなかったり離婚後の生活が不安定だったりするリスクがあると、気持ちよくスタートを切れません。

少しでも有利に、穏やかに新しい生活を迎えるには、まずは後述する「離婚したいと思ったら準備すべき6つのこと」を参考に準備を進めていきましょう。

私も弁護士として活動する中で、計画性なく離婚をして後々トラブルになった人を多く見てきました。

感情的に、一方的に伝えるのではなく、一度離婚することのメリット・デメリットをよく検討するのが重要です。

離婚したいと思ったら準備すべき6つのこと

離婚をすぐに実行してしまうと、金銭面や親権などにリスクがありますが、最小限に抑えるには事前準備が重要です。

ここでは、離婚前に準備すべきことを6つ解説します。

①経済的自立

離婚後の生活で直面する問題は、経済的に自立できるかどうかです。

何をするにもお金は必要なため、まずは自分の働き口を探したり、倹約して貯金を貯めるなどをしておきましょう。

当面の生活を考えると、100万円ほどの貯蓄があれば安心できます。

専業主婦(夫)や配偶者に生活費を頼っている人の場合は、職業訓練や資格取得なども視野に入れて、長期的な経済基盤を築く準備を始めることが大切です。

②精神的自立

離婚を成立させるためには心労が伴います。

自身の衣食住の確保や子供の問題、配偶者への交渉など、さまざまなことを一人で決断して処理しなければいけません。

悩みを相談できる友人や親がいる場合であっても、離婚などのナーバスな問題についてはなかなか相談できないこともあるでしょう。

そのため、離婚にあたっては精神的な自立なども求められるのです。

必要に応じてカウンセラーや専門家に相談することで、一人で抱え込まずに心の負担を軽減することもできるでしょう。

離婚後の新しい生活に向けて、前向きな気持ちを保つための心の準備も欠かせません。

③離婚理由の明確化

相手との話し合いや、調停・裁判で離婚を進めるには、離婚したい理由を明確にしておくことが重要です。

相手が離婚に同意せず、最終的に裁判で離婚を認めてもらう場合は特に、法律で定められた離婚原因(法定離婚事由)が必要になります。

民法第770条1項では、以下の5つが法定離婚事由として定められています。

第七百七十条

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用元:e-Gov法令検索|裁判上の離婚

性格の不一致や浪費などは、それ自体が直接の法定離婚事由ではありません。

しかし、それによって「婚姻を継続し難い重大な事由」があると認められれば、離婚が可能です。

ご自身の離婚理由が法定離婚事由に該当するかどうか、また、それを証明するための証拠が十分かどうかの判断は、専門的な知識が必要です。

少しでも不安があれば「ベンナビ離婚」を活用して離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

「ベンナビ離婚」は離婚問題に強い弁護士を地域や相談内容で検索できる、ポータルサイトです。

無料相談を行っている事務所も多くあるので、一度専門家の意見を聞いてみてはいかがでしょうか。

④請求可能な項目のリストアップ

もし離婚原因が相手の不倫やDVなどの法的責任が生じ得る場合、あなたが精神的苦痛を受けていれば慰謝料請求が可能となります。

実際に慰謝料請求を検討している場合は、精神的苦痛を受けたことを証明する証拠が必要となることを把握しておきましょう。

もし不倫が原因で離婚しようとしている場合は、不倫の証拠を早めに用意した方がスムーズです。

ほかに、婚姻費用や養育費なども請求できるため、詳しくは弁護士に確認してください。

⑤親権獲得のための準備

夫婦の間に子供がいる場合は、どちらかが親権者になるか決めなければ離婚できません。

話し合いでは決着がつかず裁判で親権を決定する場合には、「どちらを親権者としたほうが子どもの利益になるか」を第一に考えられます。

具体的には、以下の点が判断材料となって総合的に判断されます。

  • 子どもへのこれまでの監護状況
  • 子どもの年齢と意思
  • 親権者の経済的安定性・心身の健康状態
  • 子育てに確保できる時間
  • 子どもへの愛情の大きさ

それぞれの項目については、後ほど「離婚して子供の親権を決定する際の5つの判断材料」で詳しく解説します。

⑥離婚後の住居確保

離婚後に自分が家を出て行く場合は、住居の確保が不可欠です。

離婚を成立させる前に次に住む場所の目星を付けておくことも大事ですが、実家が近いのであれば、一定期間は実家に暮らすというのもよいでしょう。

もしも離婚前に離れて過ごすことで、冷静になりたいと考えているなら、別居をするのも一つの手段です。

別居期間が長くなるほど離婚しやすくなる場合もあるため、一つの選択肢として覚えおきましょう。

一般的に別居期間が3年から5年に達すると、「婚姻関係はすでに破綻している」と認定されやすくなります。

離婚したいと感じる理由TOP7

「離婚したい」と考える理由は人それぞれですが、多くの方に共通する理由も存在します。

令和6年の司法統計年報によると、離婚調停の申立人58,429人が離婚理由として掲げた7つの動機のうち、夫・妻ともに1位となった離婚理由は「性格が合わない」でした。

2位以降の理由は夫妻で異なるものの「精神的な虐待」や「暴力」など、経済的・身体的な問題が上位に入りました。

以下は、夫と妻、それぞれが申し立てた離婚理由のTOP7です。

順位 夫からの申立て理由 人数 妻からの申立て理由 人数
1位 性格が合わない 9,233人 性格が合わない 16,503人
2位 異性関係 1,820人 暴力を振るう 7,690人
3位 浪費する 1,764人 異性関係 5,743人
4位 性的不調和 1,622人 浪費する 3,662人
5位 暴力を振るう 1,441人 性的不調和 2,862人
6位 病気 629人 酒を飲みすぎる 2,479人
7位 酒を飲みすぎる 377人 病気 948人

※夫総数:15,396人 妻総数:43,044人
※申立ての動機は、申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で調査重複集計しているため、総数と同じでない場合もあります。

あなたが抱えている悩みが、決して特別なものではないことを知るだけでも、少し心が軽くなるかもしれません。

次項から、ランクインした7つの理由について、一つずつ掘り下げていきます。

①性格が合わない

夫・妻ともに離婚理由の第1位である「性格が合わない」は、具体的に、価値観の違いや子育てに対する考え方の相違などが挙げられます。

結婚当初は気にならなかった些細な違いも、共に生活する時間が長くなるにつれて、埋めがたい溝となることがあります。

たとえば「休日の過ごし方」や「清潔感の基準」といったものも、相手への尊敬や愛情を失わせる原因になるのです。

お互いに歩み寄る努力をしても改善が見られず、一緒にいることが苦痛になったとき、離婚を決意することになります。

性格の不一致そのものは証拠にしにくいので、別居など明確な事実を積み重ねて「婚姻関係の破綻」を示すことが重要です。

性格の不一致と離婚については、以下の記事を参考にしてください。

②異性関係

パートナーの不貞行為、つまり浮気や不倫は、夫婦間の信頼関係をマイナスにしてしまう行為です。

一度失われた信頼を取り戻すことは極めて難しく、大きな精神的苦痛を伴います。

たとえ相手が謝罪し、関係を修復したいと望んでも、裏切られた側の心の傷は簡単には癒えません。

ふとした瞬間に不貞の事実が思い出され、疑心暗鬼になったり、相手に嫌悪感を抱いたりすることもあるでしょう。

このような状態では、穏やかな夫婦関係を続けることは困難です。

民法770条でも、不貞行為は離婚の訴えを提起できると明記されており、裏切られた側は離婚とともに、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。

異性関係(不貞行為)と離婚については、以下の記事で詳しく解説しています。

③暴力を振るう

家庭内における暴力(DV)は、身体的なものに限りません。

言葉による侮辱や威圧、無視といった精神的虐待(モラルハラスメント)も含まれます。

身体的暴力は命の危険に直結する深刻な問題であり、一刻も早い避難が必要です。

一方で、精神的虐待は目に見える傷がないため他人に相談しにくく、被害者が「自分が悪いのかもしれない」と思い込んでしまうケースもあります。

しかし、どのような理由があっても暴力は決して許されるものではありません。

どもにDVやモラハラが向けられてしまう恐れもあるため、早急に離婚を進めるのがおすすめです。

暴力と離婚については、以下の記事をご参考ください。

④酒を飲み過ぎる

パートナーの過度な飲酒は、家庭生活にさまざまな悪影響を及ぼします。

アルコール依存症になると、本人の意思だけでは飲酒をコントロールできなくなるため、さまざまな問題が深刻化してしまうのです。

例えば、飲酒が原因で暴言や暴力を振るう、酒代で家計を圧迫する、仕事に支障をきたして収入が不安定になるといった問題が起こり得ます。

また、家族が飲酒の後始末や介抱に追われ、心身ともに疲弊してしまうことも少なくありません。

本人が問題を認めず、治療にも応じない場合、家族の努力だけでは状況の改善は困難です。

このような状況が続けば、「婚姻を継続し難い重大な事由」として、離婚が認められる可能性は高くなります。

酒と離婚については、以下の記事を参考に、必要な知識を知っておきましょう。

⑤性的不調和

性的不調和の代表的なものが、セックスレスです。

性生活は夫婦にとって、愛情を確認して絆を深めるための重要なコミュニケーションの一つと考える人もいるでしょう。

どちらか一方が性交渉を求めても、相手が正当な理由なく相手が拒み続ける場合、求めた側は深い孤独感や精神的苦痛を抱えることになります。

このようなすれ違いが長く続くと夫婦間の情緒的なつながりが失われ、関係が冷え切ってしまい、離婚という選択に至ることがあります。

性的不調和と離婚については、以下の記事で詳しく解説しています。

⑥浪費する

生活を共にする上で、金銭感覚の一致は非常に重要です。

パートナーに浪費癖があると、夫婦で築いてきたはずの財産が一方的に失われ、家庭の経済基盤が揺らいでしまいます。

生活費を過度にギャンブルや買い物に使い込んだり、家族に内緒で借金を繰り返したりするケースが典型例です。

このような状況では、将来のための貯蓄もできず、子どもの教育費や老後の資金計画も立てられません。

浪費について注意しても改善が見られず、むしろ嘘や隠し事が増えるようであれば、信頼関係は崩壊します。

経済的な不安と相手への不信感から、これ以上生活を共にすることはできないと判断し、離婚を決意するのです。

浪費と離婚については、以下の記事をご覧ください。

⑦病気

パートナーの病気が離婚の原因となるケースもあります。

非常にデリケートな問題ですが、看病する側の心身の負担が限界に達してしまうことがあるため、起こりえる問題なのです。

パートナーが病気の場合、介護を続けても症状が改善しない、病気のストレスからでる暴言や暴力に耐えられない、治療費で経済的に困窮するといった状況が続きます。

このような状況では、介護する側も精神的に追い詰められ、共倒れになりかねません。

ただし、民法では夫婦間の協力扶助義務が定められており、単に「相手が病気だから」という理由だけで、離婚がすぐに認められるわけではありません。

「回復の見込みのない強度の病気」であると診断された場合や、病気が原因で婚姻関係が完全に破綻してしまったと客観的に判断される場合に、離婚が認められる可能性があります。

病気と離婚に関する基礎知識については、以下の記事で詳しく解説しています。

離婚したいと伝えるのに適したタイミングを状況別に解説

離婚の準備が整ったら、次はいよいよ相手にその意思を伝える段階です。

離婚を切り出すタイミングは、離婚したい理由や夫婦の状況によって大きく異なります。

最適なタイミングを見計らうことで、話し合いをスムーズに進められる可能性が高まるため、状況別に適したタイミングと注意点を解説します。

配偶者の不貞行為により離婚したい場合

配偶者の不貞行為により離婚したい場合は、浮気や不倫の証拠を確保してから切り出しましょう。

証拠がないまま相手を問い詰めると、言い逃れされたり、証拠を隠滅されたりする恐れがあります。

不貞行為は、離婚や慰謝料請求を有利に進めるための強力なカードになるため、以下のような客観的な証拠が不可欠です。

  • 配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りする写真や動画
  • 肉体関係があったことがわかるメールやLINE、SNSのやりとり
  • 不貞行為を認める会話の録音データ
  • 探偵事務所の調査報告書
  • クレジットカードの利用明細やホテルの領収書

上記のような証拠を十分に集め、相手が言い逃れできない状況を作ってから離婚話を切り出すのが賢明なタイミングです。

感情的に問い詰めたい気持ちを抑え、まずは冷静に証拠集めを進めましょう。

もし証拠集めが難しい場合は、弁護士にアドバイスを求めるのも有効です。

DVやモラハラ行為により離婚したい場合

DVやモラハラを理由に離婚したい場合、まず優先すべきは自身の安全確保です。

二人きりの密室で直接離婚を切り出すと、相手が逆上して暴力がエスカレートする危険性が非常に高いです。

実家や友人宅、シェルターなどの安全な場所に避難し、配偶者と物理的に距離を置きましょう。

そして弁護士に、代理人として離婚を告げてもらってください。

弁護士が代理人となることで、相手と直接顔を合わせることなく、安全に離婚手続きを進められます。

必要に応じて、裁判所に「保護命令」を申し立て、相手が近づくことを禁止させることも可能です。

タイミングを計るよりも、まずは安全な環境を確保することを第一に行動してください。

性格の不一致により離婚したい場合

性格の不一致を理由に離婚する場合、法定離婚事由と違って明確な証拠がないため、相手にいかに納得してもらうかが重要になります。

お互いが感情的にならず、冷静に話し合えるタイミングを選びましょう。

感情的な言い争いでは、建設的な話し合いは望めません。

相手を非難するのではなく「お互いの今後のために、別々の道を歩むのが良いのではないか」というように、未来志向で切り出すのがポイントです。

タイミングとしては、お互いに時間に余裕がある時や精神的に落ち着いている時がよいでしょう。

仕事で疲れている平日の夜や、喧嘩の最中などに切り出すのは避け、あくまで円満な協議離婚を目指す姿勢で、相手への配慮を忘れずに話し合いの場を設けましょう。

他に恋人ができて離婚したい場合

自分に恋人ができた、いわゆる「有責配偶者」の立場で離婚を切り出す場合、非常に慎重な対応が求められます。

なぜなら、原則として有責配偶者からの離婚請求は、裁判では認められにくいからです。

正直に「好きな人ができたから別れてほしい」と伝えてしまうと、離婚に応じてもらえなかったり、高額な慰謝料を請求されたりする可能性が高まります。

円満な離婚を目指すなら、本当の理由は伏せ、相手が納得しやすい別の理由を伝えるのが現実的な選択肢となるでしょう。

例えば、「価値観の違いが大きくなった」「一人の時間を持って、自分の人生を見つめ直したい」といった「性格の不一致」を理由にするのが一般的です。

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離婚する際の手続きは3種類

離婚の手続きとしては、協議離婚・離婚調停・離婚裁判の3種類があります。以下で、それぞれの方法を確認していきましょう。

①協議離婚

夫婦間の話し合いによって解決を図る方法で、ほとんどの夫婦が選択する手続きです。

離婚届を書いて近くの戸籍課に提出するだけで手続きが完了し、最もシンプルかつ最短の離婚方法と言えます。

双方の合意があれば離婚可能であるため、極端に言えば、浮気や不倫をしてしまった方から離婚を申し出ることもできるというわけです。

協議離婚自体には決まった方式はありませんので何から始めても問題ありませんが、基本的には以下のような流れで進めるのが通常です。

  • 離婚後の生活について検討する
  • 離婚後の生活環境について考える(住居・学校等)
  • 養育費・財産分与・慰謝料などの金額を決める
  • 離婚の話を切り出す
  • 夫婦間で②や③などの話し合いを行う
  • 決まった内容を離婚協議書または公正証書にまとめる
  • 離婚届を市町村役場に提出する

詳しい手順や注意点などは、以下の記事を参考にしてください。

②離婚調停

協議離婚では離婚について同意が得られなかった場合、選択される手続きです。

離婚調停では家庭裁判所の調停員が間に入り、調停委員を介した話し合いをおこなって各々の条件の調整を行っていきます。

ただ離婚したいというケースでは調停を申し立てることは少なく、調停では慰謝料・財産分与・親権・養育費などについて争われるケースが多いようです。

離婚調停は、以下の流れで進みます。

  1. 家庭裁判所に申立てる
  2. 調停期日に調停委員を介して話し合う
  3. 離婚調停の終了

詳細については以下の記事を参考にして、有利な結果に持ち込むには何が必要なのか知っておきましょう。

③離婚裁判

調停離婚でも話し合いがまとまらない場合、最終的に選択するのが離婚裁判です。

協議離婚や離婚調停などは基本的に話し合いによる手続きですが、離婚裁判の場合、裁判官が法律に照らし合わせて判断することになります。

離婚裁判の流れは以下のとおりです。

  1. 家庭裁判所に訴状を提出する
  2. 期日が指定されたら相手方が答弁書を提出する
  3. 口頭弁論がおこなわれ、離婚にいたる理由の証拠を提出する
  4. 裁判官や双方の弁護士から尋問され、判決がでる

なお離婚裁判は、民法第770条で定められた離婚事由がなければ離婚できません。

手続きは煩雑である場合が多いため、弁護士に依頼して代わりに対応してもらうのも一つの方法です。

離婚する際に請求可能な5つの項目

離婚する際は、以下のような金銭を獲得できる可能性があります。

①婚姻費用

夫婦には互いに生活を支える扶養義務があるため、たとえ別居していても収入の多い側は相手に生活費を支払う義務があります。

請求すれば必ず獲得できる金銭ですので、別居した際はなるべく早い段階で請求すると良いでしょう。

以下のような費用が、婚姻費用に含まれます。

  • 住居費
  • 食費
  • 光熱費
  • 医療費
  • 必要な交際費

具体的な金額は、家庭裁判所が定める基準(算定表)に基づいて決定されます。

しかし、自分が有責配偶者となってしまった場合は、婚姻費用は請求できないので注意してください。

婚姻費用について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

②財産分与

財産分与とは、夫婦が共同で築いた財産を分ける作業のことです。

財産の名義は問われず、結婚後の預貯金や購入した不動産なども財産分与の対象となります。

財産分与の割合は原則として2分の1ですが、夫婦で合意している場合は割合を変更することも可能です。

しかし、マイナス財産のほうが多い場合(自宅はあるがオーバーローンの場合など)は、分けるべき財産がないため、財産分与をしても金銭は得られないとされています。

詳しい内容は、以下の記事をご覧ください。

離婚後の生活設計にお悩みの方へ

離婚検討時には様々な不安があり、その中でも最も多いのが「離婚後の収入やお金の不安」です。

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③慰謝料

不倫・DV・モラハラなどで離婚した場合、原因が相手方にあれば慰謝料を請求できます。

ただし慰謝料とは損害賠償のことなので、法律的な損害を加えたと言えるような事由(離婚原因)がなければ請求できません。

したがって、単なる性格の不一致(価値観が合わないなど)で慰謝料をもらうのは難しいといえます。

相手方の親族との不仲や、宗教上の意見の相違で離婚する場合も、慰謝料の請求は難しいので注意してください。

慰謝料請求の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。

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④年金分割

年金分割制度とは、夫婦の共同財産として積み立てられた厚生年金保険料を決められた割合で分割することです。

年金の種類には、国民年金と厚生年金のほか、会社独自の年金制度である企業年金や公務員独自の制度である職域加算の3種類があります。

そのなかで厚生年金のみが年金分割の対象となるので、注意してください。

さらに、離婚をした日の翌日から2年以内でなければ請求ができません。

他にも制約が複数あるため、弁護士に相談して自分が請求できるかどうかを確認してください。

⑤子どもの養育費

夫婦にまだ幼い子供がいる場合、離婚後にその子供が18歳(経済的に自立していなければ満20歳)になるまで養育費をもらうことができます。

養育費は、子どもにかかる以下のような費用が含まれます。

  • 衣服代
  • 食費
  • 医療費
  • 授業料
  • 教科書代

家庭裁判所の基準(算定表)に基づいて金額を決めるのが一般的ですが、支払ってくれない場合の対策まで考えておくと良いでしょう。

離婚して子供の親権を決定する際の5つの判断材料

親権を獲得できるかどうかは、父と母のどちらに預けた方が、子供がより幸せになれるかを重視して判断する傾向にあります。

協議離婚ではそのような争いにはなりませんが、調停や裁判で親権を争う場合には重視されますので覚えておきましょう。

①子どもへのこれまでの監護状況

既に夫婦が別居していて、現在は子どもと同居している親の場合は「現在の子どもの監護状況が安定的で適切である」という事情であれば、親権の決定に有利に働くことがあります。

これまでの子どもの育成や教育への関わり方、子どもとの接し方といった客観的な事実から「子どもに対して適切な監護が期待できる親かどうか」が判断されます。

親権者にふさわしいかどうかは総合的に判断されるため、もしあなたが親権を獲得したい場合には、以下の記事をご覧ください。

②子どもの年齢と意思

子どもの年齢や意思も、親権者を決める上で重要な判断材料です。

子どもが自分の気持ちを表明できる年齢に達している場合、その意思は大きく尊重されます。

特に、15歳以上の子どもの場合は、どちらかと一緒に住みたいという意思があれば、尊重されます。

ただし、乳児や幼児であれば、母親と暮らすほうが適当と判断されるため、母親が親権を持つケースが多いです。

③親権者の経済的安定性・心身の健康状態

子どもが安定した生活を送るためには、親権者自身の経済的な安定性と心身の健康が基盤となります。

「収入が低いと親権者になれないのでは」と心配する人もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

重要なのは、親自身の収入だけで判断されるのではなく「子どもを養育していけるだけの経済的基盤があるか」という点です。

具体的には、自身の収入見込みに加えて、相手方から支払われる養育費や児童手当や児童扶養手当などの公的扶助を合算し、安定した生活の見通しを立てられるかが考慮されます。

高収入である必要はなく、離婚後の生活設計を具体的に示せることが重要です。

また、心身の健康状態とは、育児に支障をきたすほどの精神疾患やアルコール依存などがないかということです。

なお、持病や障害があること自体が、直ちに不利になるわけではありません。

日常生活や育児に問題がないことを客観的に説明できれば、大きなマイナス要因にはならないでしょう。

④子育てに確保できる時間

子どもとの日常的な関わりは、愛着を形成し、精神的な安定を育む上で欠かせません。

仕事をしているから不利になる、ということではなく、仕事などで不在の時間帯に、誰がどのように子どもを監護するかがみられます。

例えば、フルタイムで働いていて帰宅が遅くなる場合でも、祖父母などの親族が近所に住んでサポートを得られる、公的・私的なサービスを利用できると、親権獲得の見込みがあります。

監護に空白時間が生じないよう、安定したサポート体制を築けることを具体的に示すことができれば、親権の判断で不利になることはないでしょう。

⑤子どもへの愛情の大きさ

親権者を決める上で、親から子への愛情の大きさは、非常に重要な判断材料となります。

愛情は、子どもの精神的な安定と健やかな成長に不可欠な土台だからです。

ただし、単に「子どもを愛している」と主張するだけでは、客観的な評価にはつながりません。

実際には、子どもの気持ちや発達段階を理解して寄り添おうとしているか、離婚による精神的な負担を理解してそれを和らげようと配慮しているかなどが評価されます。

また、もう一方の親とお子さんとの面会交流に協力的であるかどうかも大切です。

面会交流への姿勢は「自分の感情よりも子供の利益を優先できるか」という点で、愛情の深さを示す重要な指標とみなされる傾向にあります。

離婚後に活用できる制度

離婚後にひとり親となった場合には、公的補助制度や控除制度などを利用できます。

以下で実際にある制度を解説するので参考にしてください。

制度 概要
生活保護 何らかの理由で生活に困っている人に対して、国が必要な保護をして最低限度の生活を保障しながら、本人が自立することを目的とした制度。
児童手当 次の社会を担う子供の健やかな成長を支えることを目的に国から支給される手当で、全ての家庭を対象とした支援策。
児童扶養手当 国が支給を行っている制度で、母子家庭及び父子家庭を対象としています。
住宅手当 母子(父子)家庭で20歳未満の子供を養育している場合に、家族で居住するための住宅を借りて月額10,000円を越える家賃を払っている人が対象となる。
ひとり親家庭医療費助成制度 世帯の保護者や子供が、病院や診療所で診察を受けた際の健康保険自己負担分について、居住する市区町村が助成する制度。
こども医療費助成 世帯の子どもが、病院や診療所で診察を受けた際の健康保険自己負担分の一部について、助成される制度。
特別児童扶養手当 国が支給を行っている制度です。20歳未満の子供で一定の条件を満たしている家庭に支給される。
障害福祉手当 20歳未満の子供で、一定の条件を満たしている全ての家庭に支給される。
遺族年金 夫もしくは妻が死亡した場合に受け取れる年金が遺族年金。ただし、加入している年金の種類によって受け取れる金額は異る。

さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

離婚したいと考える方によくある質問

ここまで離婚の準備やタイミングについて解説してきましたが、ほかにも個別の疑問や不安をお持ちの方も多いでしょう。

ここでは、離婚したいと考える方から特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

自身の状況と照らし合わせながら、ぜひ参考にしてください。

別居中の相手に「離婚したい」と伝えるにはどうすれば良いですか?

別居中の相手に離婚の意思を伝える際は、感情的な対立を避け、冷静に話を進めることが重要です。

方法としては、まず電話やメールがあります。電話は直接声で伝えられる一方、感情的になりやすい点に注意が必要です。メールは落ち着いて文章をまとめられますが、感情が伝わりにくいという面があります。

より確実に意思を示したい場合は、内容証明郵便を利用することで「言った・言わない」のトラブルを防げます。

さらに、相手が感情的になりやすい場合や直接のやり取りに不安がある場合には、弁護士に依頼して代理人を通じて伝えるのが最も安全で確実な方法です。

離婚の準備が整った後の対応は何がありますか?

離婚の準備と相手との話し合いが終わり、条件面で合意ができたら、その内容を法的な効力のある書面に残しましょう。

口約束だけでは、養育費の支払いが滞るなどのトラブルに発展する可能性があるからです。

したがって、合意内容をまとめた離婚協議書を作成し、公正証書にしておくことをおすすめします。

公正証書とは、公証人が作成する公文書のことで、高い証明力と執行力を持ちます。

養育費や慰謝料などの金銭の支払いに関する取り決めを公正証書にしておくと、支払いが滞った際に、裁判を起こさずに相手の給与や財産を差し押さえる「強制執行」が可能になります。

離婚したいのに相手の同意が得られない場合はどうすれば良いですか?

夫婦間の話し合いで離婚の合意ができない場合、離婚調停か、最終的には離婚裁判に移行することになります。

離婚調停は、家庭裁判所に申し立て、調停委員という中立な第三者を交えて話し合いを行います。

あくまで話し合いの場なので、相手が合意しなければ離婚は成立しません。

離婚裁判は、調停でも合意に至らない場合に裁判所に訴訟を起こし、法律に基づいて裁判官が離婚を認めるかどうかの判決を下します。

調停や裁判では、法的な主張や証拠の提出が必須で、専門知識がないと有利に進めることは困難です。

そのため、弁護士に依頼して、書類作成などの負担を軽減しましょう。

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離婚したいけどお金がない場合の対処法はありますか?

経済的な不安から離婚に踏み切れないという人も少なくありません。

しかし、以下のような対処法を知っておくことで、離婚できる可能性もあります。

  • 経済的な自立を目指す(就労支援制度や資格取得サポートの活用)
  • 児童扶養手当などの公的支援を調べる
  • 話し合いによる離婚を目指す(調停や裁判に比べて費用がかからない)

また、相手からの慰謝料や財産分与が見込める場合は、弁護士に相談しましょう。

正当な権利を主張することで、離婚後の生活資金を確保できる可能性があります。

弁護士費用がすぐに支払えなくても、着手金無料で成功報酬制の事務所や、法テラスの民事法律扶助制度(費用の立替え)を利用できる場合もあります

まずは諦めずに弁護士に相談してみることが大切です。

さいごに|離婚したいと考えているなら弁護士に相談しよう

いくら「離婚したい」という想いが強くても、十分な準備もなく勢いだけで進めてしまっては、のちのち大きく後悔することになる恐れもあります。

離婚後の生活についてしっかり計画を立てた上で、金銭に関する取り決めも行い、子どもがいる場合には助成金や補助金の利用なども考えなければいけません。

「適切に進められるか分からない」「のちのちトラブルにならないか不安」などの方は、まずは一度弁護士にご相談ください。

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この記事の監修者
東日本総合法律会計事務所
加藤 惇 (第一東京弁護士会)
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