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【自分でできる?】不倫慰謝料の減額交渉を成功させる方法|相場や期間などを徹底解説

【自分でできる?】不倫慰謝料の減額交渉を成功させる方法|相場や期間などを徹底解説
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  • 「弁護士に頼らず、自分で何とか減額交渉できないだろうか?」

突然の慰謝料請求に、多くの方がこのように戸惑いや不安を感じるものです。

しかし、正しい知識と手順を理解すれば、自分で減額交渉をすることも可能です。

この記事では、不倫慰謝料の適正な相場、交渉にかかる一般的な期間、そして実際に交渉の場で役立つ具体的な例文まで、減額交渉を有利に進めるためのポイントをわかりやすく解説します。

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目次

はじめに:高額な慰謝料請求でも減額できる可能性は十分にあります

不倫(不貞行為)が原因で高額な慰謝料を請求されたとしても、請求額通りに支払う必要はなく、減額交渉によって大幅に減額できる可能性は十分にあります。

不法行為による損害賠償を定めた民法第709条(不法行為による損害賠償)および第710条(財産以外の損害の賠償)は、損害額を一律に定めていません。

慰謝料額は、これらの規定や裁判所の判断基準、過去の裁判例などを総合的に考慮して個別に判断されます。

そのため、一般的な相場を大きく超える請求や、減額につながる要素がある場合は交渉の余地があります。

減額につながる主な要素には以下のようなものがあります。

  • 不倫が始まる前から夫婦関係が破綻していた
  • 不倫の期間が短い、または回数が少ない
  • 支払う側に経済的な困難がある

例えば、不倫が原因で相手夫婦が離婚に至っていないケースで500万円といった高額請求を受けた場合、一般的な相場(数十万円~100万円程度)を大きく超えているため、相場内の金額への減額交渉が考えられます。

慰謝料の減額交渉をする前に確認したほうがいいこと

慰謝料の減額交渉を始める前に、確認すべき重要ポイントがいくつかあります。

慰謝料額は不貞行為のさまざまな状況を考慮して判断されるため、特定のケースに当てはまる場合、減額が認められやすくなります。

どのようなケースだと減額が認められやすくなるのか、具体例を挙げて解説します。

不倫の証拠があるか

まず、不貞行為の事実認定が容易なほど損害賠償責任が発生しやすくなるため、「明確な証拠」がある場合、事実を争うことによる減額はほぼ期待できません。

具体的に「決定的な証拠」とされるものには、以下のようなものが挙げられます。

  • 二人でラブホテルに出入りする写真や動画
  • 性的な関係があったことを具体的に示唆するLINEやメールのやり取り
  • 性交渉があったことを認めるご自身の発言を録音したもの
  • 探偵事務所の調査報告書(客観性が高いもの)

これらの証拠がある場合、事実を認めた上でほかの減額要素を探り、交渉を進める必要があります。

請求された慰謝料は適切か

提示された慰謝料額が法的に妥当か確認することも重要なため、請求額が過去の裁判例や一般的な不倫慰謝料の相場から著しく高額な場合は、相場内の金額への減額交渉が可能です。

民法第709条・第710条に基づく慰謝料額は、個別の事情を裁判所が総合的に考慮し算定します。

請求額がこれらや判例、相場から著しくかけ離れている場合、法的根拠が乏しいと判断され、適正相場に基づいた減額を主張できます。

減額交渉の余地がある具体例は以下のとおりです。

  • 不倫で離婚に至っていないのに500万円以上の請求をされたケース
  • 相手夫婦の婚姻期間が非常に短いのに数百万円単位の請求をされたケース
  • 不貞行為の期間がごく短く、回数も少ないのに高額な請求をされたケース

通常、離婚しない場合の慰謝料の相場は数10万~100万円程度であり、これと比較して高額な請求額を求められた場合は減額交渉の余地があります。

時効になっていないか

不貞行為の慰謝料請求権には時効があるため、時効が成立している場合は慰謝料を支払う必要がなくなる可能性があります。

第七百二十四条
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

引用元:e-Gov法令検索「民法第724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)」

つまり、「被害者が損害及び加害者を知った時から3年間」「不法行為の時から20年間」が経過していれば、「時効の援用」を主張することで支払い義務が消滅します。

ただし、時効の起算点の判断は複雑な場合があり、支払い義務を認める言動をすると時効援用ができなくなる場合もあるため注意が必要です。

慰謝料の減額が認められやすい要素

慰謝料請求で不貞行為の悪質性や相手に与えた精神的苦痛などが認められると、減額交渉は非常に難しくなります。

ただし、以下のような要素を含む場合は、慰謝料の減額が認められる場合もあります。

不貞行為前から婚姻関係が破綻していた場合

「不貞行為開始時点での夫婦関係の状態」は減額の重要要素です。

不貞行為の開始前から夫婦関係が客観的に見て回復の見込みがない状態(婚姻関係の破綻)であった場合、慰謝料額は減額される可能性が高いです。

民法第709条・第710条に基づく慰謝料は、不貞行為による「平穏な婚姻共同生活を送る権利」侵害への賠償です。

すでに婚姻関係が破綻していれば、侵害された法益は小さいか存在しないと評価され、慰謝料が減額される方向で考慮されます。

具体的に「婚姻関係の破綻」が認められやすいのは以下のようなケースです。

  • 長期間の別居状態が続いていた
  • 夫婦間で一切の会話がなく、家庭内別居状態だった
  • 離婚の話し合いが具体的に進められていた(離婚調停・訴訟中だった)
  • 一方または双方が明確に離婚の意思を表明し、それが継続していた

ただし、単に「夫婦仲が悪かった」程度では破綻と認められにくいため注意が必要です。

不貞行為の期間が短い・回数が少ない場合

不貞行為の期間が短い、または肉体関係の回数が少ない場合も、慰謝料額は減額される傾向にあります。

これは不貞行為の期間が短く回数が少ないほうが、悪質性が低いと判断されやすいためです。

具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 一度だけ肉体関係を持ってしまい、その後は関係が継続しなかったケース
  • 数週間程度の短い期間だけ関係があり、すぐに終わったケース
  • 数回程度の肉体関係に留まったケース

支払う側に経済的な困難がある場合

慰謝料を支払う側が経済的困窮状態にあり、請求額の一括支払いが極めて困難である場合、慰謝料額自体が減額されるか、分割払いが認められることがあります。

これは公平の見地から支払い能力も減額を考慮すべき要素のひとつとされているからです。

ただし「お金がない」だけでは大幅減額は難しく、客観的に支払い能力が著しく低い、支払いが生活破綻に直結するなどの事情が必要です。

具体的に経済的に支払いが困難と主張できるのは以下のようなケースになります。

  • 現在失業中であり、収入がまったくない、または著しく低い状態である。
  • 多額の借金を抱えており、返済に追われている。
  • ご自身や扶養家族が重い病気や障害を抱えて高額な医療費がかかる、または就労が困難である。
  • 収入に対して、扶養すべき家族(子どもなど)が多い。

この場合、客観的な資料を提示し、具体的に支払い可能な金額や方法を提案して交渉するのが有効です。

不倫慰謝料の代表的な減額交渉の方法

不倫慰謝料の減額交渉は、必ずしも弁護士に依頼をしないといけないものではなく、自分で交渉することも可能です。

ここでは不倫慰謝料の代表的な減額交渉の方法ついて詳しく解説します。

「直接交渉」で合意を目指す方法

不倫慰謝料の減額交渉を直接おこなう場合、相手方と電話や対面で話し合います。

当事者間の直接交渉なら互いの意向を直接確認できるため、迅速な解決に繋がりやすいです。

また、弁護士費用も抑えられるため、経済的な負担も少なく済みます。

直接交渉を進める際の具体的なステップとポイントは以下のとおりです。

  1. 冷静に請求内容を確認する。
  2. 自身の主張と証拠を準備する。
  3. 書面(回答書)で返答することを検討する。
  4. 電話や面談で交渉する際は、謝罪の意思を示し、感情的にならず、具体的な減額理由と希望額を伝える。
  5. 交渉内容を記録して合意した場合、必ず民法第522条(契約の成立及び効力)に基づく示談書を作成する。

直接交渉は通常1~2ヵ月でまとまることが多いです。

「書面交渉」で冷静に話し合う方法

相手方との感情的な衝突を避けたい場合、やり取りの内容を記録に残したい場合は、内容証明郵便等を活用した書面交渉が有効です。

書面交渉を進める際の具体的なステップとポイントは以下のとおりです。

  1. 請求内容を正確に把握する。
  2. 減額を希望する理由と希望額を明記した回答書を作成する。
  3. 回答書を内容証明郵便で送付し、その後のやり取りも書面でおこなう。
  4. 必要に応じて追加の証拠を提示する。
  5. 交渉がまとまったら民法第522条に基づく示談書を作成する。

書面交渉も通常1~3ヵ月で合意に至ることが多いです。

【交渉がまとまらない場合】「調停・訴訟」を利用する方法

自分で交渉しても合意に至らない場合、法的な手段で解決を目指します。

具体的な手続きとしては、主に以下の二つがあります。

  • 家庭裁判所の調停:調停委員を介して話し合い、円満解決を目指す。
  • 訴訟(裁判):裁判官が法に基づき判断を下す最終手段。

中立的な第三者が介入するため、感情的対立を避け、客観的証拠に基づき話し合いを進め、適正な解決が期待できます。

これらの手続きを検討する時は弁護士へ相談することを推奨します。

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自分で慰謝料の減額交渉を進める場合の具体的なステップ

弁護士に依頼せず自分で減額交渉をおこなう場合、請求内容や回答書でまず確認すべきは「不倫の証拠の有無とその内容」です。

不貞行為の存在を示す決定的な証拠が揃っている場合、不貞行為の事実を否定することは困難であり、減額交渉が難しくなるからです。

自分で慰謝料の減額交渉を進める際の具体的なステップは以下のとおりです。

Step 1 請求内容を正確に把握し冷静になる

まず相手からの請求書の内容を落ち着いて確認し、請求額、不倫期間、慰謝料の根拠などを正確に理解することが交渉の最初のステップです。

請求内容の正確な把握が、その後の対応や減額交渉で非常に重要になるからです。

感情的にならず、客観的に状況を分析し、請求額の妥当性や減額可能性を検討する必要があります。

具体的に確認すべき主な項目は以下のとおりです。

  • 請求金額
  • 請求の相手方
  • 不倫(不貞行為)の期間・時期
  • 相手が主張する不倫の証拠の有無や内容(もし記載があれば)
  • 支払い期限、支払い方法の指定
  • 連絡先、その他要求事項

すぐに返答せず、一度冷静になり、客観的な意見を聞くことも有効です。

Step 2 減額を求める理由と希望額を記載した回答書を作成・送付する

請求内容の確認後、あなたの意見、特に減額を希望する理由や具体的な希望額、支払い条件を明確に記載した回答書を作成し、相手に送付します。

回答書は請求への正式な反論であり、交渉の糸口となります。

また、減額を求める具体的根拠を示すことで、建設的な交渉姿勢を示せます。

このとき、回答書を内容証明郵便で送ることで、送付事実と内容を公的に証明でき、後々のトラブルを防ぎます。

回答書を作成する際には、以下の点を盛り込むとよいでしょう。

  • 請求を受けたことに対する謝罪の言葉(任意)
  • 請求内容の確認
  • 請求額に対するあなたの認識と減額を希望する具体的な理由
  • 具体的な希望金額と支払い方法の提案
  • 返信期限の設定(任意)

回答書の書き方は一般的なテンプレートを参考にしつつ、個別状況に合わせて内容を調整しましょう。

Step 3 相手と直接話し合い妥協点を探る

回答書送付後、相手または相手の弁護士と直接連絡を取り、回答書に基づき、慰謝料額や支払い条件について具体的な話し合いを行います。

このとき、互いの主張を聞き、歩み寄りながら現実的な合意点を見つけることが重要です。

相手と意見が食い違う場合でも、感情的にならず、冷静に、論理的に自分の状況や希望を伝える必要があります。

話し合いを進める上でのポイントは以下のとおりです。

  • 誠実な態度で臨む。
  • 減額を求める理由を丁寧に説明する。
  • 相手の言い分や感情をしっかりと聞く。
  • 可能な範囲での妥協点を探る。
  • 話し合いの経過や内容は記録しておく。

減額交渉は必ず対面でなければいけないわけではなく、電話やメールでも可能です。

Step 4 合意に至れば示談書(合意書)を作成して完了

話し合いの結果、慰謝料額、支払い期日、支払い方法、その他の条件について合意に至ったら、その内容を明確に記載した示談書(または合意書)を作成し、双方が署名・捺印して取り交わします。

示談書は合意内容を証拠として残す最も重要な書面であり、民法第522条(契約の成立及び効力)に基づく和解契約として法的効力を持ちます。

口約束だけでは後々のトラブルを防げないため、必ず書面で残す必要があります。

合意内容を公正証書にすれば、より強い証拠力と強制執行が可能となります。

示談書(または合意書)に記載すべき主な項目は以下のとおりです。

  • 当事者の特定(氏名、住所)
  • 不貞行為の事実の特定(簡潔に)
  • 慰謝料の金額
  • 支払い期日および支払い方法
  • 接触禁止条項(任意ですが重要)
  • 口外禁止条項(任意)
  • 清算条項(非常に重要)
  • 作成年月日および署名・捺印

作成には法的知識が必要なため、弁護士に作成を依頼するか、リーガルチェックを依頼することをおすすめします。

自分で慰謝料の減額交渉をする場合に知っておくべき注意点・リスク

弁護士に依頼せず自分で慰謝料の減額交渉をおこなう際には、いくつかの重要な注意点とリスクが存在します。

減額交渉をする際に、どのような点に気をつければいいのか、事前に把握しておきましょう。

感情的になり冷静な話し合いが困難になるリスク

当事者同士の交渉は、互いに感情的になりやすく、冷静かつ論理的な話し合いが難しくなるリスクが高いです。

不倫というセンシティブな問題のため、請求する側もされる側も強い感情を抱いています。

相手の挑発的な態度や、過去の出来事に対する感情的な非難に晒されると、あなた自身も冷静さを失い、適切な対応ができなくなる可能性があります。

結果として、交渉がこじれたり、不利な条件で合意してしまったりする危険性があります。

法的な知識不足で不利な条件で合意してしまうリスク

慰謝料の相場や減額要素、法的な手続き、示談書の効力などに関する正確な知識がない場合、相手の不当な要求に応じたり、本来認められるべき減額を得られなかったりするリスクがあります。

相手が法的な知識を盾に強気な姿勢を見せたり、相場とかけ離れた金額や不利な条件を提示してきたりした際に、それが民法第709条や過去の判例に照らして正当な要求なのか判断できず、誤った判断をしてしまう可能性があるためです。

具体的には、以下のような状況が考えられます。

  • 慰謝料の適正な相場を知らない。
  • 減額事由を理解していない、または効果的に主張できない。
  • 相手の主張の法的な妥当性を判断できない。
  • 示談書の重要性や記載すべき内容を理解していない。
  • 時効の制度を知らない。

交渉決裂により裁判に発展するリスク

自分で交渉がうまくいかず、相手がこれ以上話し合いを続けても無駄だと判断した場合、相手が慰謝料請求訴訟や不貞行為に関する調停を申し立ててくるリスクがあります。

万が一、裁判や調停に発展した場合、以下のような状況が考えられます。

  • 時間と労力のさらなる投入(出廷、書面作成など)
  • 弁護士費用の発生
  • 精神的負担の増大
  • 公開の法廷での審理(訴訟の場合、原則
  • 判決による強制的な解決(訴訟の場合)

【会話例付き】慰謝料の減額交渉をスムーズに進めるための話し方のポイント

自分で相手と直接交渉する際には、感情的にならず、誠実かつ冷静に、伝えたいことを整理して話すことが重要です。

具体的な言葉遣いや受け答えのポイントを事前に知っておくことで、より建設的な話し合いを進めることができます。

慰謝料交渉はデリケートな問題であり、感情的な発言や不用意な一言が相手を刺激し、交渉が難航したり、決裂したりする原因となり得るため、円滑なコミュニケーションが重要です。

NG例
  • 「あんたの夫婦関係なんて前から冷え切っていたじゃないか!」
  • 「そんな高額な慰謝料、払えるわけないだろ!」
  • 「別に慰謝料なんて払いたくないけど...」
OK例
  • まずは誠意をもって謝罪する:「この度は、多大なご迷惑とご心労をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。」
  • 相手の気持ちに寄り添いつつ、こちらの状況を丁寧に説明する:「お気持ちはお察しいたします。ただ、現在の私の経済状況ですと…」
  • 減額をお願いする理由と具体的な希望額を伝える:「つきましては、〇〇円での和解をお願いできないでしょうか。」
  • 相手が高圧的な態度でも冷静に対応する:「お怒りはごもっともですが、どうかお話合いの機会を…」

不倫慰謝料の減額交渉にかかる期間の目安

慰謝料の減額交渉にかかる期間はケースによって大きく異なります。

話し合いで解決する場合は数週間から数ヵ月、調停や裁判に進む場合は半年以上かかることもあります。

交渉期間は、当事者同士の話し合いの頻度、互いの主張の隔たり、減額交渉の難易度、そして弁護士に依頼するかどうかによって大きく変動するためです。

調停や裁判手続きにはそれぞれ標準的な期間が定められていますが、事案の複雑さによって長期化する場合もあります。

交渉期間が変動する主な要因は以下のとおりです。

  • 当事者同士の話し合いの頻度や進捗状況
  • 双方の主張の隔たり
  • 減額交渉の難易度(事案の複雑さ)
  • 弁護士に依頼するかどうか
  • 調停や訴訟に移行した場合の手続き期間

不倫慰謝料の相場はいくら?請求額が妥当か判断する基準

不倫慰謝料の相場は、不倫が原因で夫婦が離婚したか、離婚せずに婚姻関係を継続するかによって大きく異なり、数万円から数百万円の幅があります。

不法行為による損害賠償(慰謝料)は民法第709条(不法行為による損害賠償)および第710条(財産以外の損害の賠償)に基づいて認められますが、これらの条文自体に具体的な金額は定められていません。

相場は、過去の無数の裁判例(判例)や裁判実務の積み重ねによって形成されたものです。

【不倫慰謝料の相場目安】

状況

慰謝料の相場目安

備考

不倫が原因で離婚した場合

100万~300万円

婚姻期間、子の有無、悪質性などで変動

離婚せず婚姻関係を継続する場合

数10万~100万円

夫婦関係への影響、精神的苦痛などで変動

請求された金額がこの相場から著しくかけ離れている場合は、減額交渉の重要な根拠となります。

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【FAQ】慰謝料の減額交渉でよくある質問

慰謝料の減額交渉に関して、多くの方が抱える疑問点とその回答をまとめました。

事前にどのような事態になる可能性があるのか知っておけば、より安心して交渉に臨むことができますので参考にしてみてください。

請求された慰謝料は必ず全額支払う必要がありますか?

慰謝料を請求されたからといって、請求額を必ず全額支払う義務があるわけではありません。

しかし、請求を無視したり一方的に拒否したりすると、裁判を起こされ、より不利な状況になるリスクがあります。

不倫(不貞行為)は民法第709条に基づく不法行為となり損害賠償責任が生じる可能性がありますが、請求額が法的に妥当かは個別事情で異なります。

正当な理由なく請求に応じないと、相手は民事訴訟法に基づき裁判を提起でき、判決後の未払いには民事執行法に基づく強制執行(財産差押え等)のリスクが生じます。

慰謝料の分割払いは認めてもらえますか?

経済的に慰謝料の一括払いが困難である場合は、誠実に説明し、具体的な分割払いの計画を提示することで、相手が分割払いに応じてくれる可能性はあります。

法律上、慰謝料は原則一括払いですが、交渉によって当事者間の合意があれば民法第522条(契約の成立及び効力)に基づく契約(和解契約)として分割払いも可能です。

分割払いを交渉する際のポイントは以下のとおりです。

  • 正直に経済状況を伝える
  • 実現可能な分割計画を提示する
  • 誠意を示す
  • 示談書に分割払いの条件を明記する

特に、相手が早期解決を望んでいる場合や、一括では回収が難しいと判断される場合は、分割払いに応じることも少なくありません。

会社や家族に不倫や慰謝料請求をバレないようにできますか?

交渉を慎重に進めたり、弁護士に依頼したりすることで、会社や家族に不倫や慰謝料請求の事実がバレるリスクを最小限に抑えることが可能です。

慰謝料請求は民事上の問題で、通常は会社や家族に自動的に知らされません。

ただし、相手が感情的になって職場に押しかけたり、家族に連絡したりする可能性は否定できません。

リスクを最小限に抑えるポイントは以下のとおりです。

  • 弁護士に交渉を依頼する(弁護士法に基づき代理人として活動)
  • 慎重な対応を心がける(郵便物管理、連絡方法など)
  • 早期かつ穏便な解決を目指す
  • 相手方との間で秘密保持条項を含む示談書を作成する

交渉決裂後の裁判や強制執行(民事執行法による給与差押えなど)は周囲にバレるリスクが高まるので注意が必要です。

交渉がまとまらず裁判になったらどうなりますか?

交渉がまとまらず相手が裁判を提起した場合、裁判所での手続きに則り、双方の主張や提出された証拠に基づいて裁判官が慰謝料額を判断し、判決を下すことになります。

裁判は、当事者間の争いを民法等の法(主に民法第709条・第710条)に基づいて解決するための公的な手続きです。

裁判になった場合の一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 訴状の送達
  2. 答弁書の提出
  3. 口頭弁論期日への出廷と主張・証拠提出
  4. 証拠調べ
  5. 和解の試み
  6. 判決(従わない場合は民事執行法に基づく強制執行の可能性)

裁判が長期化すると、弁護士費用が大きくなり、経済的な負担が増える可能性もあります。

減額交渉が難しい場合や自分で交渉したくない場合は弁護士へ

減額交渉で「相手と直接やり取りしたくない」「自分で交渉する自信がない」という場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士は法的な専門知識を駆使して、依頼者の代理人として交渉や法的手続きを代行してくれます。

弁護士に依頼することで、主に以下のようなメリットが期待できます。

  • 法的な根拠に基づいた冷静な交渉
  • 適正な慰謝料額での解決
  • 精神的な負担の軽減
  • 交渉から法的手続きまで一貫したサポート
  • 家族や職場に知られるリスクの低減

自分で減額交渉をするより、弁護士に依頼をしたほうが、相手との感情的な対立を避け、適正な慰謝料額での解決や精神的負担の軽減を実現できる可能性が高まります。

慰謝料の減額交渉をする場合の弁護士費用について

慰謝料の減額交渉を弁護士に依頼するには費用がかかりますが、費用の内訳や目安を知り、減額できた金額との「費用対効果」を検討することで、弁護士に依頼すべきか判断できます。

弁護士費用は主に、依頼時に支払う「着手金」、解決結果(減額できた金額)に応じて支払う「報酬金(成功報酬)」、時間ごとに定められた「法律相談料」などがあります。

【弁護士費用の目安】

費用項目

目安

備考

着手金

10万円~30万円程度

・事件の複雑さ等で変動
・原則返金なし

報酬金

減額できた金額の10%〜20%程度、または固定額

事務所により異なる

法律相談料

・30分:5千円~1万円程度
・初回無料の場合もあり

依頼前の相談費用

実費

発生分

通信費、交通費、印紙代など

日当

発生分(事務所外の活動時)

・半日/1日単位で発生
・事務所により異なる

弁護士に依頼をすれば、自分で交渉するよりも大幅な減額を実現できる場合があるため、結果として弁護士費用を差し引いても経済的なメリットが得られる可能性があります。

まとめ

不倫慰謝料で高額な費用を請求されても、知識と対策で減額交渉は可能です。

そのためには、まずは請求内容を確認し、相場や減額要素を民法第709条(不法行為による損害賠償)・第710条(財産以外の損害の賠償)等に基づき理解することが第一歩です。

自分で交渉する場合、冷静さが重要ですが、知識不足による不利な合意や裁判発展のリスクも伴います。

自分で交渉するか弁護士に依頼するかは、状況や費用対効果を比較して判断することが重要です。

交渉が難航したり不安が大きい場合は、弁護士への相談が有効です。

専門家のサポートを得て、適正額での早期解決を目指しましょう。

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この記事の監修者
かがりび綜合法律事務所
野条 健人 (大阪弁護士会)
「負担や公開の少ない解決」を目指し、不倫慰謝料・親権・養育費・モラハラなどを始めとしたあらゆる離婚トラブルの相談に対応中。

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本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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