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離婚問題は司法書士に相談できる?弁護士との業務範囲の違いや費用を解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
離婚問題は司法書士に相談できる?弁護士との業務範囲の違いや費用を解説

弁護士の他に離婚にかかる手続きを一部依頼できるのが司法書士です。記事の中でも解説しますが、司法書士は、法的書類の作成や、不動産の登記などを行うことができ、離婚問題で言えば、離婚協議書を公正証書で作成することも行います。

さらに、認定司法書士の資格を持っている司法書士であれば、140万円までの民事訴訟を取り扱うことも可能です。中には「弁護士じゃなくて、司法書士に離婚相談をしよう」と考えている方もいるかもしれません。

しかし、離婚する・しないの相談は基本的には弁護士以外の者が報酬を目的として取り扱うことは弁護士法(弁護士法 第72条)により禁止されます。

そのため、司法書士に離婚する・しないの相談をすることは基本的に難しいので、注意が必要です。

そうなると、司法書士・弁護士どちらに依頼すべきなのかわからなくなってしまう方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、司法書士と弁護士の違いや離婚問題についてそれぞれができることを解説します。

司法書士・弁護士どちらに依頼すべかも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

司法書士に離婚の相談をしようかと考えいる方へ

司法書士は弁護士法により、扱えない業務があります。

  • 離婚条件で揉めているから交渉してほしい
  • 離婚協議をしたいが相手が聞く耳を持ってくれない・うまく交渉できない
  • 離婚後の生活が不安にならないよう慰謝料・財産分与・養育費をしっかり獲得したい
  • 離婚調停に代理人として出廷してほしい・調停を有利に進めたい

上記のような悩みを抱えている方は、まずは弁護士への相談・依頼をおすすめします。

弁護士であれば、相手方との交渉を有利に進め、慰謝料などの金銭に関する問題を法的に解決に導く事ができます。

初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。

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司法書士と弁護士の違い

司法書士と弁護士の違いは、扱える業務の範囲にあります。弁護士の場合は、法律相談から、相手との交渉、法的書類の作成、調停や訴訟の代理人など、法律にかかること全てを依頼することができます

一方で司法書士の場合は、不動産や会社の登記、後見人、遺言書の作成など相続にかかる業務等を任せることができます。

また、例外とも言えますが、司法書士の中で法務省の「簡裁訴訟代理能力認定考査」に合格して、認定を受けた認定司法書士であれば、140万円以下の調停や民事訴訟で、代理人と務めることが可能です。

過払い金請求などの債務整理の分野では、認定司法書士に依頼をして訴訟を行ったりすることもあるようです。

離婚に関するところで言えば、例えば、離婚することや離婚条件について全く争いがなくそれを書面化したいだけであるという依頼や、離婚に伴って140万円以下の慰謝料請求を行いたいというような依頼であれば、司法書士や認定司法書士に依頼するということも考えられます。

しかし、そのような範囲を超える依頼(例えば、離婚時の親権帰属について争いたいとか、離婚そのものをしたいなどの依頼)は、司法書士にこれを依頼することはできません。

離婚問題において司法書士ができること・できないこと

ここでは、離婚問題において司法書士にできないこと・できないことをご紹介します。

離婚問題において司法書士にできること

離婚問題において、司法書にできることは次の通りです。

  • 合意済みの離婚協議書を公正証書で作成してもらえる
  • 財産分与登記を依頼できる
  • 140万円以下の慰謝料請求を依頼できる(認定司法書士のみ)

離婚協議書を公正証書で作成してもらえる

司法書士に依頼できることの一つが、合意済みの離婚条件について、離婚協議書を公正証書で作成してもらうことです。

例えば財産分与はいくら、離婚慰謝料はいくら、養育費はいくら、面会交流はどのように実施するのかなど、離婚時に双方合意した条件について整理した離婚協議書を作成し、これを公正証書にすることで、後々のトラブルを回避できます。

また、離婚時に約束した慰謝料の支払いや養育費の支払い等の金銭債権について、公正証書化に伴って執行認諾文言付きにすれば、仮に相手がこれらの支払いを怠った場合、訴訟手続を減ることなく強制執行の手続きが可能です。

なお、離婚協議書は、全く争いのない事項を書面化するというだけであれば、司法書士だけでなく行政書士に依頼することもできます。

【関連記事】

協議離婚で公正証書を作るベストタイミングとは|費用や作り方を解説

離婚時に公正証書を作成すべき理由と作成方法の手順

財産分与による不動産名義変更登記を依頼できる

司法書士に依頼すべきと言えるのが、財産分与による不動産名義変更登記です。

例えば、婚姻期間中に購入した不動産の名義を、離婚に伴う財産分与で変更するという場合、司法書士に名義変更(変更登記を依頼することができます。

認定司法書士なら140万円以下の慰謝料請求を依頼できる

離婚事件そのものではないですが、離婚に伴って相手配偶者に何らかの慰謝料を請求したいという場合は多いです。この場合、慰謝料額が140万円以下であれば、認定司法書士にその請求処理の代理を依頼することも可能です。

もっとも、慰謝料額が140万円を超えるような場合には、司法書士がこれを扱うことは弁護士法に基づいて禁止されますので、これを超えて慰謝料を請求したいというのであれば最初から弁護士に依頼するべきでしょう。

離婚問題において司法書士にできないこと

一方で、離婚問題において司法書士にできないことは次の通りです。

  1. 司法書士には離婚事件全般について相談することができない
  2. 司法書士には140万円以下の金銭請求以外は、相手との交渉を依頼できない
  3. 離婚調停・離婚訴訟などの代理人にはなれない
  4. 140万円を超える請求については司法書士は一切対応はできない

司法書士には離婚相談することができない

冒頭でもお伝えした通り、司法書士は離婚全般について相談することはできません。

離婚事件は、他人の法律事務に該当し、このような法律事務を報酬を目的として行うことは弁護士以外はできないことが、弁護士法に明記されているからです。

この弁護士法の規律に違反した場合、刑事罰が科されることもあります(あくまで処罰されるのは禁止行為を行った者ですが。)。

したがって、離婚相談についても全般的に受け付けるなどと謳っている司法書士は弁護士法違反の可能性が高いので、注意しましょう。

司法書士には相手との交渉を依頼できない

上記と同様の規律に基づき、司法書士は他人の法律事務について代理人として交渉することはできません

既に合意されておりまったく交渉の余地がない離婚条件を書面化するということは可能ですが、相手と争いのある離婚条件について協議・交渉して離婚協議書を作成することはできないということです。

離婚調停・離婚訴訟などの代理人にはなれない

上記と同様の規律に基づき、司法書士に対して離婚調停や離婚訴訟で代理として出廷を依頼することはできません。

140万円を超える訴訟の対応はできない

一般的な司法書士はもちろん、認定司法書士の資格を持っていても、140万円を超える請求処理を代理することはできません

したがって、離婚に伴い相手に慰謝料を請求したいという場合でも、140万円を超える金額を請求したいと考えている場合は、司法書士に依頼することはできません。

余談ですが、この140万円というのは、簡易裁判所の訴訟で扱える金額と一致します(そのため、認定司法書士であれば簡易裁判所での訴訟代理を行う余地があります。)。

他方、相手に140万円以上の請求をする訴訟を提起する場合は、管轄が簡易裁判所ではなく、地方裁判所となります。司法書士に地方裁判所での訴訟代理を委任することはできません。

離婚問題の解決に向けて司法書士に依頼すべき人

ここでは、離婚問題の解決に向けて司法書士に依頼すべき人と、司法書士に依頼した場合の費用の相場について解説します。

離婚協議書や公正証書の手続きのみ依頼したい人

離婚問題の解決に向けて司法書士に依頼すべき人は、基本的には離婚条件について争いがなく、単に合意された離婚条件を整理するための書類作成を依頼したいという人です。

また、既に決まった財産分与に基づいて、不動産の名義変更を行うという場合も、司法書士に登記処理を依頼すれば手間が省けます。

離婚協議書・公正証書などの書類作成を司法書士に依頼した場合の相場

離婚協議書・公正証書などの書類作成を司法書士に依頼した場合の費用の相場はおおよそ5~10万円といわれています。ただし、これは各司法書士の事務所の料金体系によっても異なりますので、依頼する際に確認しましょう。

なお、公正証書の作成にも、手数料がかかります。公正証書の手数料は、離婚条件で決定した金額に左右されます。一例を挙げると、請求金額や支払う金額が200万円以上、500万円以下であれば、手数料は1万1,000円です。

手数料の詳細は関連記事をご覧ください。

【関連記事】公正証書作成にかかる費用

また、関連記事では離婚協議書の作成方法についても解説していますので、気になる方は併せてご覧ください。

【関連記事】

離婚協議書の書き方とサンプル|離婚後に約束を守らせる方法

協議離婚で公正証書を作るベストタイミングとは|費用や作り方を解説

養育費の支払いは公正証書に残すべき理由と書き方・作成の流れ

離婚問題の解決に向けて弁護士に依頼すべき人

ここでは、離婚問題の解決に向けて弁護士に依頼すべき人と、離婚問題の解決を弁護士に依頼した場合の弁護士費用の相場を解説します。

【関連記事】弁護士に無料法律相談できるおすすめ相談窓口|24時間・電話相談OK

書類の作成以外に交渉なども一任したい人

書類作成だけでなく、その前提となる離婚条件についての協議・交渉も一任したいとお考えなら、弁護士に依頼すべきだと言えます。例えば、

ナビ子

離婚条件で揉めているから交渉してほしい

離婚協議をしたいが相手が聞く耳を持ってくれない・うまく交渉できない

離婚後の生活が不安にならないよう慰謝料・財産分与・養育費をしっかり獲得したい

離婚調停に代理人として出廷してほしい調停を有利に進めたい

というようなケースです。

弁護士はあなたの希望を聞いた上で、相手との交渉で離婚を成立できるよう尽力してくれたり、調停を行う際も、あなたの主張が通るように助言をしてくれたり、代理人として対応してくれたりします。

結果、調停が有利に進んだりスムーズな解決が期待できたりするでしょう。精神的な負担もいくぶんか軽減されるのではないでしょうか。

弁護士なら、活動に制限がありません。交渉から書類の作成・手続き全て任せることができますので、安心して依頼できます

離婚問題の解決を弁護士に依頼した場合の弁護士費用の相場

離婚問題の解決を弁護士に依頼した場合の弁護士費用の相場はケース・バイ・ケースですが、着手金は30万~50万、報酬金は獲得金額に対して10~20%程度です。

これは各弁護士事務所の料金体系によって左右されますし、協議離婚なのか、調停離婚なのかにもよって異なります

協議離婚の場合、慰謝料請求・財産分与・親権の獲得・養育費の獲得と、それぞれに報酬金が設けられていますので、一概にいくらと言えません。

例えば、離婚とは別に、慰謝料を請求したいということであれば、着手金は請求額の10%程度、報酬金は獲得額の20%程度が別途請求されると思われます。

例えば200万円を請求して100万円を獲得した場合は、着手金が20万、報酬金も20万程度が上乗せされる可能性があるということです。

離婚するかどうかで揉めており、離婚の可否それ自体が争点となっている場合だけで言えば、弁護士費用の相場は40~70万円といわれています。

これ以外に相手と交渉する必要がある項目があれば、弁護士費用も高額となることが考えられます。弁護士費用は着手金・報酬金などがあり、やや複雑です。詳細は関連記事をご覧ください。

【関連記事】

離婚に必要な弁護士費用はいくら?支払う際の3つの注意

協議離婚で弁護士に代理交渉を依頼する3つのメリットと弁護士費用

離婚調停にかかる費用と弁護士に依頼した際のメリットまとめ

まとめ|離婚について相談したいのであれば弁護士

この記事では次の点について解説しました。

  1. 司法書士と弁護士の違い
  2. 離婚問題において司法書士ができること・できないこと
  3. 離婚問題の解決に向けて司法書士に依頼すべき人
  4. 離婚問題の解決に向けて弁護士に依頼すべき人

離婚問題そのものを解決できるのは弁護士しかいません。司法書士には書類作成や、不動産登記などを依頼できますが、離婚で依頼できるシーンは限定的です。

もちろん、協議離婚だけで、お互いが揉めずに離婚できるのであれば、依頼してもよいかもしれません。しかし、まずは弁護士に相談をしてみたほうがよいでしょう。

お互いが、離婚で揉めずにスムーズに解決できそうでも、離婚協議書の条件や明記した内容によっては、離婚後に養育費を獲得できなかった、実は慰謝料を請求できたかもなんてケースもないとは言い切れないからです。

離婚後に後悔することがないよう、離婚届を提出する前に、離婚条件が適切かどうか、弁護士に相談をしてみてもよいでしょう。相談したからと言って、契約することにはなりませんので、安心して相談してみてくださいね。

司法書士に離婚の相談をしようかと考えいる方へ

司法書士は弁護士法により、扱えない業務があります。

  • 離婚条件で揉めているから交渉してほしい
  • 離婚協議をしたいが相手が聞く耳を持ってくれない・うまく交渉できない
  • 離婚後の生活が不安にならないよう慰謝料・財産分与・養育費をしっかり獲得したい
  • 離婚調停に代理人として出廷してほしい・調停を有利に進めたい

上記のような悩みを抱えている方は、まずは弁護士への相談・依頼をおすすめします。

弁護士であれば、相手方との交渉を有利に進め、慰謝料などの金銭に関する問題を法的に解決に導く事ができます。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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