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円満調停とは?離婚調停との違いや費用・流れ・デメリットをわかりやすく解説

円満調停とは?離婚調停との違いや費用・流れ・デメリットをわかりやすく解説

拗れた夫婦関係をやり直したいと思っているのに、相手と話すたびにケンカになってしまう状況を打開する手段のひとつが、円満調停です。

円満調停とは、夫婦関係調整調停の一種で、夫婦関係の修復を目的とした手続き。家庭裁判所の調停委員が間に入るため、感情的になりがちな夫婦の話し合いを、冷静に整理できる環境が整います。

調停を終え、その後の夫婦関係をどう立て直すか、具体的な方向性を話し合える点も円満調停の特徴です。離婚がゴールとなる離婚調停とは異なります。

この記事では、円満調停の基本的な仕組みから費用・流れ・メリットデメリットまで、申立てを検討するうえで必要な情報をまとめています。「自分のケースでやる意味があるのか」を判断する材料として参考にしてください。

円満調停で夫婦関係を修復したい方へ

昔のように仲の良い夫婦に戻りたい…と円満調停を検討していても、自分の力だけでうまく調停をおこなえるか不安に感じていませんか。

 

結論からいうと、円満調停に不安があるなら事前に弁護士に相談しておくことをおすすめします。円満調停に弁護士なんて必要なの?と思うかもしれませんが、法律のプロに相談しておくことで、円満調停がうまくいく可能性が上がるかもしれません。

 

弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 円満調停での注意点や必要な手続きを教えてもらえる
  • 自分の主張が適切かどうか判断してもらえる
  • 依頼すれば、円満調停に同行してもらえる
  • 円満調停が不成立になっても離婚しなくて済むようにアドバイスをもらえる

当サイトでは、離婚問題を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。 無料相談はもちろん、電話で相談が可能な弁護士も多数掲載していますので、まずはお気軽にご相談ください。

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目次

円満調停(夫婦関係調整調停)とは

円満調停とは、夫婦関係の修復を望む人が、家庭裁判所の力を借りて話し合いをおこなう公的な手続き。夫婦関係調整調停という大きな制度のひとつです。

夫婦間の問題は、自分たちだけで話し合おうとすると感情的になりやすく、問題が解決しないまま平行線をたどるケースも少なくありません。法的な枠組みの中に入ると、それぞれの言い分を冷静に整理できる場が生まれます。

「パートナーとやり直したい」という本音も、公平な第三者が介在する場であれば、きちんと伝えられます。

円満調停の定義

円満調停は、裁判官1名と調停委員2名で構成される調停委員会が間に入り、夫婦の話し合いをサポートする制度です。調停委員は双方の価値観や状況をそれぞれ個別に聞き取り、中立的な立場から進行を助けてくれます。

円満調停の手続き中、夫婦が同じ部屋で直接話し合う必要はありません。別々の待合室から交互に呼ばれ、それぞれのペースで話せる形式が基本です。顔を合わせると感情的になってしまう方でも、落ち着いて調停に臨めます。

強制的な判決を下す場ではなく、双方が納得できる解決策を調停委員と一緒に探すことが、円満調停の本質といえます。

円満調停の目的

円満調停は、円満な夫婦関係を回復するための話合いをする場 とされています。

申立書で円満を選択して申し立てると、修復を目指す話し合いとして家庭裁判所に受理されます。円満調停で合意に至った内容は調停調書に記載され、確定判決と同様の強い効力を持った実効性のある取り決めになります。

もし修復が叶わなかったとしても、調停を通じて夫婦それぞれが現状を客観的に整理できるのが円満調停です。

円満調停と離婚調停の違い

円満調停と離婚調停は、どちらも夫婦関係調整調停に含まれる手続きですが、目的はまったく異なります。円満調停は関係の修復、離婚調停は離婚条件の合意が目的です。

円満調停と離婚調停の主な違いは、以下のとおりです。

項目 円満調停 離婚調停
目的 夫婦関係の修復 離婚や離婚条件の合意・成立
申立人 夫婦関係の修復を望む側 離婚を望む側
成立後の結果 話し合いの結果が調書化されるなどケースバイケース 離婚成立(調停離婚)
不成立後の流れ 離婚調停への移行、または婚姻関係の継続 訴訟(裁判離婚)へ移行

一方で、手続きの流れや申立先、費用の目安、出席の方法などは基本的に共通しています。

円満調停から離婚調停へ切り替えできる

調停の途中で方針が変わった場合は、円満調停を取り下げて離婚調停へ切り替えられます。一般的に切り替えが発生しやすいのは、次のようなケースです。

  • 調停中に相手方の態度がまったく変わらず、その後も修復の見込みがないと判断した
  • 調停を通じてDV・モラハラの実態が明らかになった
  • 相手方が離婚調停を別途申し立ててきた

手続きは、まず申立人が円満調停の取り下げ書を家庭裁判所に提出したあとで、改めて離婚調停の申立書を提出します。切り替えるかどうかは、感情だけで判断せず、弁護士に相談してから決めましょう。

円満調停のメリット4つ

円満調停には、自分たちだけで話し合いを試みるよりも有利な点がいくつかあります。以下では、円満調停を選択する上で知っておきたい4つのメリットを整理します。

1. 調停委員が間に入るため冷静に話し合える

円満調停の大きな利点は、感情的な対立を避けながら話し合いを進められることです。調停委員は中立の立場から、双方の話を個別に聴取します。相手の前では言いたいことが言えない方でも、自分のペースで気持ちや状況を伝えられます。

夫婦が同席するわけではなく、別々の待合室から交互に呼ばれる形式が基本です。顔を合わせなくても話し合いを進められるのは、感情的になりやすいケースではメリットになります。

調停委員は男女1名ずつ2名体制で構成されるのが原則です。双方の立場や価値観に配慮しながら、話し合いの場を整えてくれます。

2. 相手方に話し合いの場に出てきてもらえる

相手が話し合いに応じてくれない状況でも、家庭裁判所からの呼び出しにより、相手方に出席を促せるのが円満調停のメリットです。正当な理由なく欠席した場合、家事事件手続法の規定により5万円以下の過料が科される可能性があります。

(事件の関係人の呼出し)

第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。

2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。

3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。

(家事審判の手続の規定の準用等)

第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。

引用元:家事事件手続法 | e-Gov 法令検索

しかし、過料が科されるケースは多くありません。強制的に出席させる力には限界がある点も理解した上で、活用するのが現実的です。

欠席が繰り返される場合は調停不成立となる可能性もあります。相手が来ない状況が続くようであれば、弁護士に相談しながら次の手を検討するのがおすすめです。

3. 調停成立の合意内容には法的効力がある

調停で合意に至った内容は、調停調書に記載されます。調書は確定判決と同等の法的効力を持つため、合意内容は単なる口約束ではなく、法的に担保された取り決めになります。

合意内容に相手方が違反した場合は、その内容如何によっては、履行勧告や強制執行の申立てができるケースもあります。「約束したのに守られない」という事態を防ぐ意味でも、調停調書の存在は大きいです。

ただし、「夫婦仲を修復する」「もう浮気をしない」といった抽象的な内容は、強制執行になじまない場合があります。具体的な行動や条件に落とし込んだ合意内容にすることが重要です。

4. 弁護士なしでも申し立てでき費用が安い

円満調停の申立てにかかる費用は、収入印紙1,200円+連絡用の郵便切手代のみです。切手代は裁判所によって異なりますが、数百〜1,000円程度が目安となります。弁護士なしでも手続きできるため、費用面のハードルは低いです。

離婚裁判となると、弁護士費用だけで数十〜百万円単位になるケースも珍しくありません。調停は裁判前の手段として、コストを抑えながら試せます。

なお、弁護士に依頼する場合の費用目安は、着手金10〜30万円程度が一般的です。費用をかけてでも「調停を有利に進めたい」「主張書面の作成を任せたい」という方は、弁護士サポートを検討する価値があります。

円満調停のデメリット4つ

円満調停にはメリットがある一方で、事前に知っておきたいデメリットもあります。思わぬ落とし穴にはまる場合もあるため、事前に知っておきたい4つのポイントを解説します。

1. 決着まで数ヵ月〜半年程度かかる場合がある

円満調停は、一度の話し合いで完結するものではありません。月1回程度のペースで期日が設定され、解決まで平均3〜6ヵ月程度かかるのが一般的です。1回の調停期日は2〜3時間程度なので、今すぐ状況を変えたい方はやや長く感じるかもしれません。

争点が多いケースや、相手方の態度がなかなか変わらないケースでは、さらに長期化する可能性もあります。仕事や子育てと並行して期日に対応する必要があるため、スケジュール管理の負担も見込んでおきましょう。

「早期解決を優先したい」という場合、弁護士に依頼すれば、期日ごとの準備や主張書面の作成をサポートしてもらえます。

2. 相手方に出席を強制できない

調停には、相手方を強制的に出席させる力がありません。裁判所から呼び出し状が届いても、相手方が拒否すれば手続きが進まないのが現実です。

法律上は、正当な理由なく欠席した場合に5万円以下の過料が科される定めがありますが、実務上はほぼ適用されません。

相手方の欠席が繰り返された場合、最終的には調停不成立で終了します。呼び出したのに来なかったというケースも、残念ながら珍しくありません。

相手方が出席しない状況が続く場合は、弁護士を通じた事前交渉や、別の手段への切り替えを検討するのが現実的です。

3. 調停を申し立てたことで関係が悪化するリスク

円満調停を申し立てると、相手方が「裁判所に呼び出された」と受け取り、反発するケースがあります。修復を目指して動いたはずが、関係がさらにこじれてしまう可能性も否定できません。

調停=裁判のようなイメージを持っている人は少なくないため、心理的なハードルを感じてしまう相手方もいます。

申し立てる前に、相手方への伝え方を含めて戦略を練ることが重要です。裁判ではなく、一緒に話し合うための場所であると事前に説明しておけば、反発は和らぐでしょう。

どう伝えれば相手方に受け入れてもらいやすいか判断に迷う場合は、弁護士に相談してから動くのがおすすめです。

4. 合意内容に法的強制力がない場合がある

「夫婦関係を改善する努力をする」「もう暴言を言わない」といった抽象的な約束は、調停調書に記載されても強制執行の対象にはなりません。相手方が約束を守らなくても、法的に強制できない点はデメリットといえます。

強制執行が可能なのは、金銭の支払いや具体的な行動といった給付内容が明確に特定できるもので、執行適格性があるものとされます。たとえば「毎月〇万円を生活費として支払う」「月〇回、子どもとの面会を認める」のように、数字や条件が明確なものが対象になります。

調停で合意する際は、できるだけ具体的な約束事項を調停調書に盛り込みます。曖昧な表現を避け、実行可能な内容に落とし込みましょう。

実効性のある合意内容を作るには、弁護士のサポートが役立ちます。「何を・どう約束させるか」という視点から、調停の場での発言や主張書面の準備を任せられるのが大きなメリットです。

円満調停した方がよいケース・しない方がよいケース

円満調停が有効に機能するケースもあれば、逆効果になりかねないケースもあります。「申し立てるかどうか」を判断するうえで、自分の状況がどちらに当てはまるかを事前に整理しておくことが大切です。

円満調停したほうがよいケース

円満調停したほうがよいケースは以下のとおりです。

  • 仮面夫婦状態が続いているケース
  • 別居からの同居再開を目指したいケース
  • 感情的になって話し合いにならない状況を第三者の力で打開したい場合
  • 生活費の支払い拒否や相手が過度に実家を優先するなど、具体的な対立がある場合
  • 浮気や借金など大きなトラブル発覚後の関係再構築を目指している場合

離婚はしたくないが、今の状態のまま続けることにも限界を感じている方に向いています。感情をひとまず脇に置いて冷静に話し合いたいという段階であれば、調停委員の存在が大きな助けになります。

円満調停しないほうがよいケース

反対に、円満調停を選択しないほうがよいケースは以下のとおりです。

  • DV・モラハラがある場合
  • 相手方の離婚意思が固い場合
  • 自分自身が離婚を望んでいる場合

DV・モラハラは身の安全が最優先です。被害悪化の恐れがあるため、保護命令や離婚手続きを優先しましょう。また、相手に修復の意思がない場合、調停は不成立に終わり、時間と労力を浪費します。

離婚を視野に入れているなら、諸条件を同時に協議できる離婚調停の方が効率的です。円満調停は、双方がやり直す意思を持つことが前提の制度となります。無理な実施は逆効果になるため、弁護士に相談して適切な方針を決めましょう。

円満調停の流れ4ステップ

円満調停は、申立てから終了まで大きく4つのステップで進みます。流れを把握しておくと動きやすくなるため、各ステップで何をするのか順を追って確認していきましょう。

ステップ1|家庭裁判所への申立て

まず、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出します。申立書は、各地の裁判所窓口で入手できるほか、裁判所公式サイトからダウンロード可能です。書式は決まった形式があるため、記載漏れがないよう確認しながら作成しましょう。

裁判所への提出は窓口持参のほか、郵送に対応している裁判所もあります。事前に申立先の裁判所に確認してください。

ステップ2|調停期日の決定と通知

申立てが受理されると、裁判所が第1回調停期日を指定し、双方に通知します。期日の指定は、申立てから通常1〜2ヵ月後が目安です。申立て後すぐに調停が始まるわけではないため、スケジュールには余裕をもっておきましょう。

相手方には、裁判所から呼出状が直接届きます。申立人が相手に連絡する必要はなく、裁判所が窓口になってくれます。

仕事や家庭の都合でどうしても都合がつかない場合は、期日変更の申請が可能です。やむを得ない事情があれば、裁判所に申し出ると対応してもらえる場合があります。

ステップ3|調停期日での話し合い

調停期日では、調停委員2名が夫婦それぞれから交互に話を聞き、問題解決に向けた話し合いを進めます。裁判官はその内容を踏まえて手続きを監督する立場です。

1回の期日はおよそ2時間程度で、夫婦の待合室は別々に用意されるため、相手方と顔を合わせずに自分のペースで話せます。

調停委員からは、問題の原因や修復の意思、具体的な改善案などを聞かれると想定しておくとよいでしょう。話す内容を整理してから臨むと、話し合いがスムーズに進みます。

必要に応じて、自分の主張をまとめた書面を事前に提出可能です。問題の経緯・自分の気持ち・希望する解決方法を時系列で整理しておくと、調停委員に状況が伝わりやすくなります。弁護士に依頼すれば、より説得力のある書面を作成してもらえます。

ステップ4|調停の終了(成立・不成立・取り下げ)

調停は、成立・不成立・取り下げのいずれかで終了します。

成立の場合、合意内容は調停調書に記載され、確定判決と同等の法的効力が生じます。口約束で終わらず、実効性のある取り決めとして残る点が大きなメリットです。

不成立は、話し合いを重ねても合意に至らなかった場合に、調停委員会が正式に宣言して手続きを終了させるものです。不成立の場合でも次の手段がなくなるわけではなく、改めて離婚調停を申し立てるなど、別の手段を検討できます。

取り下げは、申立人がいつでも選択できます。手続きは取下書を家庭裁判所に提出するだけで、途中でやめられます。

円満調停が不成立になったらその後どうなる?3つの選択肢

円満調停が不成立になった場合でも、取れる選択肢は複数あります。自分の状況や今後の希望に合わせて、その後のステップを選びましょう。選べる選択肢は主に以下の3つです。

現状維持で婚姻関係を継続する

円満調停が不成立になっても、離婚が成立するわけではありません。婚姻関係はそのまま継続します。

調停での話し合いが終わったあとも、夫婦間で直接対話を続けることは可能です。調停では合意できなくても時間をかければ話し合える場合は、関係修復の余地は残っているといえます。

別居を継続しながら関係修復を模索するケースも珍しくありません。物理的な距離を置くだけで、お互いの気持ちが落ち着く場合もあります。

離婚調停を申し立てる

円満調停を経て修復が困難と判断した場合は、離婚調停に切り替えて離婚条件の交渉に移行可能です。申立ては相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出し、戸籍謄本などの書類を用意します。

離婚調停では、離婚の可否や、離婚に伴う全ての条件を一括して取り決められます。不成立になった場合は離婚裁判へ進むことも可能で、判決が確定すれば相手方の同意なく離婚が成立します。

再度円満調停を申し立てる

調停が不成立で終わったあとで状況が変化した場合、改めて円満調停を申し立てられます。ただし、前回の調停と状況が変わっていなければ、同じ結果になる可能性が高い点は理解しておきましょう。

前回調停をおこなったときから、ある程度の期間を空けて申し立てることが望ましいとされています。期間に明確な規定はないため、具体的な申立て時期については弁護士に相談したうえで判断してください。

再度申立てをするときも、弁護士と前回の反省点や改善点を整理したうえで臨むと合意の可能性が高まります。

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円満調停で調停委員に聞かれる内容

調停委員が把握したいのは、夫婦関係が悪化した理由と、修復に向けた意思・具体案です。

調停委員から聞かれる内容は、主に以下のとおりです。

質問カテゴリ 聞かれる内容の例
婚姻の経緯 いつ結婚したか、出会いのきっかけ
関係悪化の原因 いつ頃から・何がきっかけで関係が悪化したか
現在の生活状況 同居・別居の状況、生活費の状況
子どもの状況 子どもの年齢、現在の養育状況
修復への意思 自分がどう変わるつもりか、相手方への要望

答えにくい質問は無理に答える必要はありません。弁護士に依頼している場合は期日の合間に相談できますが、調停室への同席可否は裁判所によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

円満調停を成功させるポイント5つ

円満調停は、申し立てさえすれば自動的に関係が修復される場ではありません。臨み方次第で、結果は大きく変わります。調停を有意義な場にするために、事前に押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

1. 問題点と改善案を具体的に整理しておく

調停委員に状況を正しく伝えるには、感情ではなく事実ベースで問題点を整理しておくことが大切です。

問題の経緯を時系列でまとめましょう。「いつ・何が起きたか」を客観的事実として書き出し、自分がどう感じたかという主観的な気持ちは分けて整理します。事実と感情が混在すると、調停委員が状況を把握しにくくなるため、切り分けてまとめます。

改善案を考える際は、相手方への要望だけでなく、自分自身の対策もセットで用意しましょう。一方的な要求に見えると、調停委員や相手方の印象が悪くなる場合があります。

整理した内容は、書面に落とし込んで持参するのがおすすめです。口頭だけで伝えるより、調停委員にも正確に伝わりやすくなります。

2. 短期間での関係修復を期待しすぎない

夫婦関係の回復には時間がかかります。調停成立=解決とは考えず、長期的な視点で臨む姿勢が重要です。

調停はあくまできっかけにすぎません。調停で合意したあと、日常の中でどう関係を築き直すかが本質的な部分です。

1回の調停で急いで解決しようとすると、かえって相手方を圧迫して逆効果になりやすい点も理解しておきましょう。少しずつ進む感覚で臨むほうが、調停全体の雰囲気も落ち着きます。

調停期日の間の期間も大切です。調停外での夫婦間のコミュニケーション改善に取り組みながら、次の期日に臨むことで、着実に前進できるケースがあります。

3. 調停委員の助言を素直に受け入れる

調停委員は中立の立場から、双方の話を聞いたうえで助言をしてくれます。防衛的にならず、素直に耳を傾ける姿勢が大切です。

調停委員は敵ではありません。双方にとって公平な視点から問題を整理してくれる存在です。調停委員からの助言を正面から受け取ることが、調停をうまく活用する姿勢につながります。

自分に非がある部分を認める発言は、相手方の態度を和らげるきっかけになる場合があります。自分は一切悪くないというスタンスを貫くと、調停委員の目には、修復意思が薄いと映る恐れがあるため避けましょう。

調停委員からの提案や宿題は、その場で即決しなくても構いません。「持ち帰って考えます」と伝えることで、誠実な対応として受け取ってもらえる可能性もあります。

4. 相手方を責めず修復意思を示す

調停の場で相手方を一方的に責める言い方をすると、調停委員の印象も悪くなり、修復への道が遠のく可能性があります。

伝え方のポイントは、未来志向の言葉を選ぶことです。「もっと会話の時間を持ちたい」「生活費について一緒に決めたい」など、具体的な希望を前向きに伝えるよう心がけましょう。

相手方の立場や気持ちへの配慮も、発言の中に織り込みましょう。相手も大変だったかもしれないという視点を示すだけで、場の空気が変わるケースがあります。

修復に向けた自分の具体的な行動計画の提示も有効です。「今後は週に一度、二人で話す時間を作る」など、実行可能な約束を自分から提案できると、調停委員からの信頼も高まります。

5. 弁護士に依頼して戦略的に進める

弁護士に依頼すれば、法的知識に基づいた主張ができ、調停をより戦略的に進められます。

弁護士のサポートが重要になるのは、主に以下のようなケースです。

  • 相手方がすでに弁護士をつけている
  • DV・モラハラの問題が背景にある
  • 財産分与や生活費の支払いなど、お金に関する問題が絡んでいる

まずは初回の無料相談を活用して、弁護士が必要かどうかを判断してみてください。「依頼するかどうか迷っている」という段階でも、相談だけなら費用をかけずに専門家の意見を聞けます。

円満調停にかかる費用

円満調停の申立て自体にかかる費用は、数千円程度と非常に少額です。

ただし、弁護士に依頼する場合は別途費用がかかります。自分でできる部分と、専門家に任せた方がよい部分を整理しながら、全体のコスト感をつかんでおきましょう。

申立てにかかる実費

円満調停の申立てにかかる実費は、収入印紙1,200円+連絡用郵便切手代が基本です。合計しても数千円以内に収まるのが一般的とされています。

費用の種類 金額の目安 備考
収入印紙 1,200円 郵便局・コンビニで購入可
連絡用郵便切手代 1,000円前後 金額は裁判所により異なる
戸籍謄本(全部事項証明書) 450円/通 本籍地の市区町村役場で取得

収入印紙は郵便局やコンビニで購入できます。申立書に貼付して裁判所に提出する形式なので、事前に準備しておきましょう。

連絡用郵便切手代は、管轄する裁判所によって金額が異なります。目安は1,000円前後ですが、申立先の裁判所に直接確認するのが確実です。

さらに戸籍謄本(全部事項証明書)の取得費用も別途必要になります。本籍地の市区町村役場で1通450円で取得できます。

弁護士に依頼した場合の費用相場

弁護士に依頼する場合の費用は、事務所や案件の内容によって異なりますが、相談料・着手金・報酬金を合わせると20〜60万円程度を目安にしておくとよいでしょう。費用の内訳は以下のとおりです。

費用の種類 概要 相場の目安
相談料 弁護士に相談する際にかかる費用 30分5,000〜1万円
※初回無料の事務所あり
着手金 依頼時に支払う費用。結果に関わらず返金されない 10〜30万円程度
報酬金 調停成立など一定の成果が得られた際に支払う費用 10〜30万円程度

弁護士費用を抑えるポイントは、初回無料相談の積極的な活用と、複数の事務所から取った見積もりの比較です。費用体系は事務所によって異なるため、1社だけで判断せず比較してから決断するのがおすすめです。

費用の負担が気になる場合は、法テラスの民事法律扶助制度を活用することも検討してみてください。

円満調停の申立てに必要な書類

円満調停の申立てに必要な書類は、申立書と戸籍謄本の2点が基本です。状況によっては追加書類を求められるケースがあります。

必要な書類
  • 申立書およびその写し1通
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 事情説明書(夫婦関係調整)
  • 子についての事情説明書(子どもがいる場合)
  • 進行に関する照会回答書
  • 送達場所等届出書

書類は申立先の裁判所窓口または公式サイトで入手できます。戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得し、マイナンバーカードがあればコンビニのマルチコピー機でも取得可能です。

追加書類が必要かどうかは、事案の内容によって異なります。不安な場合は、申立て前に管轄裁判所の窓口に確認するか、弁護士に相談するのがおすすめです。

円満調停の主張書面の書き方

主張書面を事前に提出しておくと、調停委員に自分の主張を正確に伝えられ、調停がスムーズに進みます。口頭だけでは説明が不十分になったり、感情的になって要点がずれたりするため、書面で整理しておくことが大切です。

記載する内容は、以下の4点が基本となります。

  • 婚姻の経緯
  • 問題の原因
  • 修復を望む理由
  • 具体的な改善案

問題の原因は「〇年〇月ごろから会話がなくなった」など、時系列で具体的に記載すると伝わりやすくなります。

書く際は感情的な言葉を避け、事実を中心にまとめることが重要です。相手方を非難する表現は避け、「〇月に〇〇という出来事があった」という客観的な書き方を意識しましょう。主張書面の作成が難しい場合は、弁護士への依頼が確実です。

円満調停を弁護士に依頼するメリット3つ

円満調停は弁護士なしでも申し立てられますが、依頼すれば調停の質が大きく変わります。「一人で臨むのが不安」「相手方に弁護士がついている」という方には、特に弁護士のサポートが有効です。円満調停を弁護士に依頼するメリットを解説します

主張書面の作成や法的アドバイスを受けられる

弁護士に依頼する大きなメリットのひとつが、法的に効果的な主張書面を作成してもらえることです。弁護士が間に入れば、客観的な事実と法的根拠に基づいた書面に整理してもらえます。調停委員にとっても読みやすく、内容が伝わりやすいです。

調停の各段階で法的アドバイスを受けられるのも心強いポイントです。「この条件を受け入れてよいか」「この発言は今後の手続きに影響するか」という判断を、相談しながら進められます。

さらに、調停で何を話すべきか・何を話さないほうがよいかという戦略の立案もサポートしてくれます。準備の段階から弁護士と一緒に動けるため、調停全体を有利に進めやすいです。

調停期日に同席して代弁してもらえる

弁護士は調停期日に同席し、依頼者の主張をサポートします。感情的になりやすい場面でも、弁護士が冷静に・法的根拠をもって主張を代弁してくれるため、調停委員への説得力も増します。

「うまく伝えられない」「動揺してしまう」という方にとって、大きな安心材料となるでしょう。

DVやモラハラが背景にある場合、弁護士のサポートは重要です。相手方と同じ建物にいるだけで精神的負担になりますが、弁護士が同行することで安心して臨めます。

ただし調停室への同席可否は裁判所によって異なるため、事前の確認が欠かせません。同席できない場合も、期日の合間に相談しながら対応できます。

不成立時のその後の対応もサポートしてもらえる

円満調停が不成立になった場合も、弁護士に依頼していれば、その後のステップへの対応をサポートしてもらえます。円満調停が不成立となり離婚調停を新たに申し立てる場合、申立書の作成から手続き全般を代行してもらうことが可能です。

離婚調停も不成立となり裁判に発展した場合は、訴訟代理人として対応してもらえます。調停段階から一貫して担当してもらうため事情の引き継ぎも不要で、迅速な対応が期待できるのが利点です。

婚姻費用の分担請求や面会交流の取り決めなど、関連する手続きもまとめて依頼が可能です。円満調停の結果にかかわらず、依頼者の状況に合わせたトータルな対応が期待できます。

円満調停は「ベンナビ離婚」で弁護士に相談

「円満調停を申し立てるべきか迷っている」「相手方にどう伝えればいいかわからない」という段階でも、弁護士への相談が可能です。夫婦関係の改善を目指し、円満調停を検討している方は、弁護士への相談を検討してみてください。

ベンナビ離婚では、夫婦関係の修復や円満調停に関わる相談に対応している弁護士を、地域・相談方法・費用などから絞り込んで探せます。24時間相談や、初回無料での相談に応じている事務所も多いです。費用を気にせず複数の弁護士の意見を比較できます。

「とりあえず話を聞いてもらいたい」という方でも、気軽に利用できるため、ベンナビ離婚で自分に合った弁護士を探してみましょう。

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円満調停に関するよくある質問

ここでは、円満調停について、特に多く寄せられる質問をまとめています。自分のケースに当てはまるかを確認するための参考にしてください。

Q1. 円満調停を欠席・拒否するとどうなる?

正当な理由のない欠席は、5万円以下の過料の対象になります。ただし、実務上この過料が実際に科されるケースは多くありません。

欠席が繰り返された場合、最終的には調停不成立で終了します。調停不成立後は、手続きが終わるだけで婚姻関係はそのまま継続します。不成立だからといって、離婚が自動的に成立するわけではない点は理解しておきましょう。

一方、出席して自分の意見を伝えることには大きなメリットがあります。調停委員に直接状況を説明する機会を持てるため、「修復したくない」という意思も含め、自分の立場を公的な場で明確にできます。

欠席を考えている場合でも、まず弁護士に相談してから判断するのがおすすめです。

Q2. モラハラ・DV被害がある場合も円満調停は使える?

モラハラ・DV被害がある場合も、円満調停は利用可能です。DV被害を裁判所に申告すれば、加害者と廊下で鉢合わせしないよう、待合室の分離や時間差退出といった配慮を受けられます。

ただ、DVやモラハラの問題がある場合は、円満調停より離婚調停や保護命令の申立てが適切なケースが多いです。「修復を目指す」という前提が、被害を継続・悪化させる恐れがあります。

まずは配偶者暴力相談支援センターや弁護士に相談し、自分の状況に合った手段を選びましょう。

Q3. 円満調停の成功率はどれくらい?

円満調停で夫婦関係を修復できる割合は、決して高くありません。

令和6年の司法統計によると、円満調停の申立て総数1,841件のうち、婚姻継続で調停が成立したのは280件です。このうち同居継続で関係を修復できた件数は129件にとどまりました。

申立て件数全体に占める割合で見ると、同居継続での修復は約7%、別居状態での婚姻継続は151件(約8.2%)となっています。半数以上が調停不成立または取下げという結果になっているのが実情です。

【参考元】令和6年 司法統計年報 3家事編|裁判所

Q4. 円満調停は意味ない?

円満調停は成立率が高くないため、「意味がない」と感じる方もいます。しかし、調停の意義は成立・不成立だけでは測れません。

調停の場では、相手方の離婚意思がどれほど固いかを裁判所で客観的に確認できます。感情的なすれ違いではなく、生活費の支払いや家事分担など条件面の問題であれば、第三者の介入によって改善できるケースも多いです。

仮に関係修復が叶わなかった場合でも、婚姻費用(生活費)の確保や状況の整理に役立ちます。成立・不成立にかかわらず、その後のステップへ進むための重要なプロセスと捉えてみてください。

Q5. 別居中でも円満調停を申立てできる?

別居中であっても、円満調停の申立ては可能です。別居が長期化する前の早い段階での申立てが、修復の可能性を高めます。

別居中の円満調停では、同居再開の条件、婚姻費用(生活費)の分担、子どもの養育方針などを話し合います。お互いにとって関係を続けるメリットが明確なほど、調停が機能しやすいです。

ただし、長期の別居期間は婚姻関係の破綻の有無を判断する際の考慮事情でもあります。婚姻関係の破綻と認定されると円満調停が成立しないリスクとなります。別居してから時間が経っている場合は、早めに弁護士に相談して状況を整理しましょう。

まとめ|円満調停は夫婦関係修復の有効な手段

円満調停とは、自分たちだけでは解決が難しい夫婦の問題を、家庭裁判所という公的な場で整理するための制度です。離婚はしたくないが、今のままでは続けられないという方にとって、第三者が介在する話し合いの場は、感情的な対立を超えるきっかけになります。

一方で、DVやモラハラがある場合や、相手方がすでに離婚を決意している場合には、円満調停が逆効果になるリスクもあります。自分のケースに合った手段かどうかを見極めることが重要です。判断に迷う場合は、まず弁護士への無料相談を活用してみてください。

ベンナビ離婚では、夫婦関係修復や円満調停に対応した弁護士を全国から検索できます。オンライン相談にも対応しているため、来所が難しい方でも気軽に利用できます。まずは専門家の意見を聞くところから始めてみてください。

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この記事の監修者
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石濱 嵩之 (東京弁護士会)
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