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妻の浪費で離婚したい夫へ!親権・慰謝料獲得マニュアル

福井俊介 弁護士
監修記事
妻の浪費で離婚したい夫へ!親権・慰謝料獲得マニュアル

妻に浪費癖があると、ご自身がどれだけがんばって働いても貯蓄は増えません。収入が悪くない方でも、借金ができてしまうケースもあるようです。実際に、妻の浪費を理由に離婚する人はいます。

 

男性側の離婚原因

件数

1位

性格が合わない

11,030

2位

精神的に虐待する

3,626

3位

その他

3,545

4位

異性関係

2,547

5位

家族親族と折り合いが悪い

2,463

6位

性的不調和

2,316

7位

浪費する

2,218

8位

同居に応じない

1,569

9位

暴力を振るう

1,500

10

家庭を捨てて省みない

1,011

【参考】裁判所|平成29年 司法統計19  婚姻関係事件数  申立ての動機別申立人別  全家庭裁判所  

2017年(平成29年)の司法統計では、全体の8%の夫が『妻の浪費』を理由に離婚を切り出しています。男性側の離婚動機の第7位にもランクインし、件数は2,218件。決して少ないとは言えません。

妻の浪費により、数百万あった貯金がゼロになってしまったり借金ができてしまったりなど、婚姻生活の継続が難しいと判断された場合、離婚が認められることもあります。

この記事では、『妻の浪費』を理由に離婚する場合の慰謝料や離婚の進め方、ポイントなどをご紹介します。

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慰謝料についてもっと知りたい方はこちら▶『相場から証拠まで、慰謝料を徹底解説!

親権を獲得したい人はこちら▶『親権獲得ガイド

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妻の浪費で離婚を切り出す前にすべき2つのこと

妻に離婚を切り出す前に、まず以下の2点について確認することをおすすめします。これ以上金銭的に損することを回避できるかもしれません。

妻の借金を支払う必要があるのか確認する

『妻の浪費』により発生した債務(借金)について、夫に支払いの義務はありません。ただ、借金の際に保証人になった場合、離婚することになっても支払いの義務が生じます。

また、妻の出費が『浪費』ではなく、日常生活維持のためにやむを得ない債務であった場合には、日常家事債務(民法761条)により、夫が連帯して支払義務を負うことはあり得ます。

妻との財産分与の割合を確認する

結婚後の収入は、相続した財産などを除いて、夫婦の共同財産として財産分与の対象になります。基本的に、財産分与は折半です。

しかし、『妻の浪費』により共同財産が減少したことが明らかといえる場合は、浪費額を分与割合や分与額決定の際に考慮するということはあり得ると考えます。

そのため、妻から財産分与を請求されても、半分渡さずに済むかもしれません。また、妻と財産分与をする際は、妻に隠し財産(へそくり)がないか確認することをおすすめします。

離婚の際に親権を獲得できる?

親権争いは、どうしても夫が不利になりがちです。2017年の司法統計でも、90%以上の親権は妻側に認められています。

 

【参考】裁判所|司法統計 第23表 「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち未成年の子の処置をすべき件数  親権者別  全家庭裁判所

妻の浪費が原因で離婚に至った場合でも、夫側に親権が認められないことは考えられます

ただ、浪費癖から子供の養育者に適さないという評価を受けた場合は、親権決定に影響することはあり得るでしょう。

ここでは、親権を獲得するために押さえるべきポイントや、実際に父親に親権が認められた判例を紹介します。

親権を獲得するためのポイント

親権を獲得するのに重要になってくるのが、子供の監護実績です。監護とは、そばで養育することを指します。どのくらい子供のために時間を割いて、養育してきたかを証明することが必要です。

監護実績は、家庭内だけではなく学校行事(授業参観やPTAなど)への参加なども考慮されるでしょう。なので、家事や育児以外にも、子供の監護実績を作ることも必要です。

また、妻の浪費癖によって養育が難しいと予測できることや、子供への悪影響が考えられることから、親権者にふさわしくないことを主張するのも大切になるかと思われます。

父親に親権が認められた判例

平成21年離婚請求等事件

被告(妻)はパチンコへの浪費が激しく、原告(夫)から渡された生活費だけでなく、無断で原告の財布からお金を引き出したり、原告名義のキャッシュカードを使用したりして、浪費を行った。

 

原告に発覚した後に謝罪はしたものの、パチンコに行くのをやめなかった。また、娘の出産後も育児を放棄してまでパチンコに行ったことなどから離婚を請求した事件。

 

裁判所は、原告の親権請求を認めた。(参考:文献番号 2010WLJPCA05198006)

昭和41年夫婦関係調整調停事件

原告(夫)は、被告(妻)に十分な生活費を渡していたが、被告は生活費を自身のために使いこんだ上に、家電を質に入れ現金に変えるなどの浪費をたびたび行った。

何度話し合っても反省をせず、浪費を繰り返すため、婚姻を継続し難いとして離婚を請求した事件。

裁判所は、原告の親権請求を認めた。 (参考:文献番号 1966WLJPCA04260012)

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妻の浪費に慰謝料請求できる?相場や必要な証拠

状況によっては、妻の浪費に対し、慰謝料を請求できるかもしれません。ここでは、慰謝料が請求できるケースや相場、必要な証拠などをご紹介します。

慰謝料請求できるケースとは?

『妻の浪費』が婚姻関係の継続を困難にさせる程度に達していると判断された場合、慰謝料請求もあり得るでしょう。

例えば、生活費を使い果たした上に、夫のクレジットカードを無断で使いこんだり、子供の貯金などに手を出したりする行為をたびたび行った場合などが考えられます。

慰謝料の相場はケースバイケースですが、一般的な考慮要素(婚姻期間、子供の有無、経済‎状況、双方有責性の有無・程度など)を考慮して決定されるでしょう。

そのほかにも、離婚の際は暴力や不貞行為があれば、慰謝料は大きく変わってくるでしょう。

ただし、財産がない相手から現実的に金銭的な給付を受けることは難しいため、慰謝料や過去の浪費額を全額取り戻すことはできないかもしれません。

慰謝料全額を受け取ることは難しい?

残念ながら、慰謝料全額を受け取ることは難しい場合が多いです。相手の浪費が原因での離婚ですから、借金はあっても預金などはないという場合が通常です。

そうすると、慰謝料として取ることができる相手の財産もないことになります。

現実的には、財産分与額を決める際に、浪費額・慰謝料額を考慮される程度だと思います。

そのため、分与する財産がない場合などでは、離婚したとしても、慰謝料や浪費された分の経済的利益を受けるのは難しいかもしれません。

しかし、慰謝料の請求がまったく認められないというわけではありません。以下で慰謝料請求が認められた判例をご紹介します。

慰謝料請求が認められた判例

慰謝料200万円が認められた判例

原告が被告からの暴力や、再三の浪費などを理由に離婚・親権者を原告への指定・慰謝料の支払い・養育費などを求めた事件。(参考:文献番号 2004WLJPCA05286003)

被告の暴力や浪費が認められ、慰謝料は200万円という判決が下った。

慰謝料300万円が認められた判例

原告が被告からの暴力や、日常的な浪費、不貞行為を理由に離婚を求めた事件。(参考:文献番号 1986WLJPCA03266005)

被告の暴力・浪費・不貞行為が認められ、慰謝料300万円がみとめられた。

慰謝料請求に必要な証拠とは

浪費を証明する証拠として以下のものが考えられます。

  • 浪費がわかるレシート
  • 貯金を下ろした際の明細や通帳
  • 勝手に使用されたクレジットカードの引き落とし明細
  • 借り入れの契約書 
  • 浪費により購入した物(ブランド品など)の写真 など

レシートを確保できない可能性もあります。妻に『生活費が足りなかった』と主張されないように、毎月いくら生活費として渡しているのかメモに残しておくことをおすすめします。

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これ以上妻に浪費させないための対策

ストレスから衝動的な買い物をしてしまうこともあります。妻が望むのであれば、適切なカウンセリング・治療を受けることにより、浪費癖を緩和させることもできるかもしれません

しかし、本人に浪費しているといった感覚がなかったり、まったく反省していなかったりする人の浪費癖を直すのは難しいものです。

したがって、妻に対して浪費の疑いを持った場合は、その時点で夫婦の財産の管理を自分で行うことが、現実的に可能な最初の対応でしょう。

そうすれば、少なくとも夫婦の共有財産を勝手に浪費されることはなくなり、妻が個人で借金を増やすにとどまります。

財産の管理を浪費の疑われる相手に任せておくことは、リスクのある行為なのです

【参考】

医療法人社団 大石クリニック|買い物依存症 専門外来

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まとめ

浪費から離婚問題に発展する場合には、何が浪費かが問題になってくるでしょう。収入額や家族構成など、各家庭によって事情はことなります。

そのため、借金によるブランド品の大量購入などのわかりやすい事案以外は、そもそも浪費といえるかが問題になります

離婚裁判にまで発展した場合、浪費に該当すると判断されれば、相手が拒否しても離婚は可能です。

早めに弁護士に相談して、どのように離婚を進めていくのか話し合うことをおすすめします。

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この記事の監修者
横浜ターミナル法律事務所
福井俊介 弁護士 (神奈川弁護士会)
離婚問題に注力し、特に離婚条件の交渉、離婚調停、不倫の慰謝料請求などを得意としている。「黙って弁護士に任せておけばよい」というスタンスではなく、相談者の納得いく形での問題解決を目指す。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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