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扶養的財産分与とは?離婚後の生活費を支払ってもらう条件と手続き

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「扶養的財産分与とは?」
「扶養的財産分与を請求するにはどうしたらいい?」

離婚を考えているものの、離婚をしたあとの生活が心配で踏み切れない方は多いかもしれません。

離婚後に生活に困る可能性がある場合、扶養的財産分与という方法で配偶者から金銭的な援助を受けられることがあります。

本記事では、扶養的財産分与とは何か、扶養的財産分与が認められやすいケース、扶養的財産分与を請求する方法などについて解説します。

離婚を考えている方や、扶養的財産分与について気になっている方はぜひ参考にしてください。

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扶養的財産分与|相手が経済的に自立するまでの生活費などを負担すること

扶養的財産分与とは、離婚によって夫婦のどちらかが経済的に困窮する可能性がある場合に、もう一方がしばらくの間生活費を負担することです。

扶養的財産分与を受けることにより、専業主婦(夫)やパートの方でも経済的に苦しむことなく、離婚後の生活を安定させることができます。

離婚時の3つの財産分与

離婚時におこなわれる財産分与には、3つの種類があります。

清算的財産分与 結婚から離婚までに増えた財産を夫婦で平等に分ける
扶養的財産分与 夫婦のどちらかが経済的に自立するまでの生活費を負担する
慰謝料的財産分与 浮気・DVなどで配偶者に損害を与えたことによる慰謝料の意味合いで支払う

扶養的財産分与の相場

扶養的財産分与の金額は、一般的には月に数万円が相場です。

しかし、扶養的財産分与でどのくらいの金額をもらうかは、基本的に夫婦間での話し合いによって決めます。

ひとつの目安として、「必要最低限の生活を送れるほどのお金」を負担してもらえるように交渉すれば、話し合いをスムーズに進められるでしょう。

扶養的財産分与の期間

扶養的財産分与は、半年から3年ほど支払われることが多いといえますが、個々のケースによって異なります。

基本的には有期払いとなりますが、財産分与を受ける側が高齢であるなど、支払い期間が短いと生活を維持できなくなる事情がある場合は、終身払いとなることもあります。

扶養的財産分与が認められるのはごく例外的なケースに限られる

扶養的財産分与が認められるのは極めてまれです。

離婚した夫婦は家族ではなく赤の他人なので、元配偶者がどんなに困窮していても扶養する義務はありません

そのため、よほど例外的なケースでない限り、扶養的財産分与が認められることはないといえるでしょう。

扶養的財産分与が認められやすいケースとは

扶養的財産分与が認められるケースはまれですが、例外的に認められることがあります。

夫婦間の収入の差が如実である

妻が専業主婦である場合など、夫婦間で収入が大きく異なるケースでは、扶養的財産分与が認められやすいでしょう。

専業主婦が離婚後に経済的に自立するためには、新しい仕事を探したりお金を貯めたりしなければなりません。

自力で生活していけるほどの貯金と収入を得るまでには、相応の時間がかかるでしょう。

このように夫婦間で収入が大きく異なるケースでは、扶養的財産分与を認められる可能性が高いといえます。

他2種類の財産分与をおこなっても一方が経済的な自立ができない

清算的財産分与や慰謝料的財産分与をおこなってもなお、生活に困ってしまう場合も扶養的財産分与が認められる可能性があります。

夫婦のどちらかが病気・障害・高齢などで働ける見込みがない場合、生活に困窮してしまうのはほぼ確実です。

このような場合、ほか2つの財産分与に加えて扶養的財産分与も認められることがあります。

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扶養的財産分与を請求する方法

扶養的財産分与を認めてもらうにはどうすればよいのでしょうか?

ここでは、扶養的財産分与を請求するための方法を2つ紹介します。

まずは夫婦間の話し合いで合意を目指す

まずは扶養的財産分与について夫婦で話し合い、お互いに合意することを目指しましょう。

合意できたら、合意書を書面で作成しておいてください。

口約束で済ませてしまうと、あとで「そんな合意はしていない」と言い逃れされる可能性があります。

また、合意書は公正証書として残しておくのがおすすめです。

公正証書にしておくことで、配偶者が財産分与をおこなってくれない場合に強制的に金銭を支払わせることができます

話し合いで合意できなければ財産分与請求調停を起こす

夫婦間の話し合いで合意できなかった場合は、財産分与請求調停を申し立てます。

調停では、調停員が夫婦の間に入って双方の話を聞いたうえで解決案を示してくれます。

第三者を通すことで、話し合いを冷静に進めやすくなるでしょう。

調停でも合意できなかった場合は、審判手続きを実施して最終的には裁判官の判断で審判が下されることになります。

扶養的財産分与が認められやすくなる6つの事情

ここからは、扶養的財産分与が認められやすくなるケースを6つ紹介します。

請求する側が高齢である

請求する側が高齢である場合は、扶養的財産分与が認められる可能性があります。

高齢だと、体の調子が悪かったり、年齢的に再就職が難しかったりするため、離婚後に収入を得られる見込みがほとんどありません

また、身近に頼れる人がいないことや再婚できる可能性が低いことも多いので、扶養的財産分与が認められやすいでしょう。

離婚時の健康状態が良くない

離婚時に病気を患っていた場合も、扶養的財産分与が認められる可能性が高いでしょう。

とくに、症状が重い場合は高額な医療費がかかって生活が苦しくなるおそれがあるので、認められやすいといえます。

また、元配偶者のDV・浮気・モラハラなどが原因で病気が深刻化していた場合、扶養的財産分与が認められる可能性がさらに高くなるでしょう。

ほかに頼れる人がいない

金銭的なサポートを受けられる人が元配偶者以外にいない場合も、扶養的財産分与を認められやすいでしょう。

お金を援助してくれる親族が身近にいないと、生活に困窮する可能性が高いためです。

なお、離婚した際に、清算的財産分与や慰謝料的財産分与により多額の支払いを受けた場合は、扶養的財産分与が認められないことがあります

職に就ける可能性が低い

再就職できる可能性が低い場合、離婚後すぐに収入を得られる見込みがないため、扶養的財産分与を受けられることがあります。

高齢であったり病気を患っていたりする場合は、再就職の見込みがあまりないため、扶養が必要であると判断されるでしょう。

むしろ、高学歴であったり就職しやすい資格を保有していたりする場合は、再就職の見込みが高いとみなされ、扶養的財産分与が認められない可能性が高いと考えられます。

再婚の可能性が低い

離婚後すぐに再婚できれば、新しい配偶者の扶養を受けられるため扶養的財産分与を受ける必要がありません。

しかし、高齢などの理由で再婚が難しいと考えられる場合には、扶養的財産分与による金銭的な援助が必要と判断される可能性が高いでしょう。

支払う側に経済的な余裕がある

支払う側に十分な収入や資産がある場合も、扶養的財産分与が認められやすいでしょう。

たとえ年金生活で収入が少なかったとしても、十分な資産があると判断されれば、扶養を受けられる可能性があります

扶養的財産分与でよくある質問

ここからは、扶養的財産分与に関するよくある質問をまとめています。

気になる方はぜひチェックしてください。

扶養的財産分与に税金はかかる?

扶養的財産分与は、基本的に税金はかかりません。

財産分与とは、主に「婚姻中に2人で築いた財産を分けること」であり、夫婦の財産関係を清算する意味合いでおこなうものです。

そのため、財産をタダで受け取る「贈与」とは異なり、原則非課税となります。

ただし、不動産や株式などを財産分与する場合や、分与財産が多すぎる場合は、妥当だと判断された以上の金額に対して税金がかかることがあるので注意しましょう。

去年離婚したのだけれど、今から扶養的財産分与を請求できる?

離婚してから2年以内であれば、扶養的財産分与を請求できます。

夫婦間での話し合いがまとまらなかった場合、家庭裁判所へ財産分与請求調停の申し立てをおこないます。

調停の申立てができる期間(除斥期間)は離婚から2年以内です。

この除斥期間は延長することができないため、期限までに申し立てられるよう準備をしておきましょう。

扶養的財産分与は、請求したら必ず受け取れる?

扶養的財産分与を請求したからといって、必ず受け取れるわけではないので注意してください。

民法では、離婚した配偶者を扶養する義務を定めていません。

よほど特別な事情がない限り、扶養的財産分与が認められるケースはほとんどないと考えておきましょう。

さいごに

扶養的財産分与は、離婚後に元配偶者の生活を一時的に支援するためにおこなうものです。

扶養的財産分与を認められるケースはほとんどありませんが、病気・高齢・障害などの事情がある場合は例外的に認められることがあります。

離婚後に困窮しそうだという方は、弁護士に一度相談してみるとよいでしょう

扶養的財産分与を勝ち取るためのアドバイスやサポートを受けられるので、離婚後の生活に対する不安を軽減できるでしょう。

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この記事の監修者
福田総合法律事務所
福田 匡剛 (埼玉弁護士会)
2014年より大手法律事務所へ勤務。幅広い分野での実務経験を培い、2021年に福田総合法律事務所を開設。『前向きな気持ちでの再出発』のサポートを心掛け、日々業務に向き合っている。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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