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母子家庭が生活保護を受けるための5つの条件とは?金額の目安と申請方法も解説

母子家庭が生活保護を受けるための5つの条件とは?金額の目安と申請方法も解説

ひとりで子どもを育てながら生活を支える母子家庭では、収入や時間に余裕がなく、生活が苦しいと不安を感じる方も少なくありません。

母子家庭でも、一定の条件を満たせば生活保護を受けることは可能です。

ただし、母子家庭だから必ず認められるわけではなく、収入・資産・働く能力などを世帯全体で総合的に判断されます。

本記事では、母子家庭が生活保護を受けるための5つの条件を軸に、受給金額の目安や申請方法、注意点までをわかりやすく解説

制度を正しく理解し、今の状況に合った判断ができるようにしていきましょう。

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生活保護制度とは?

生活保護制度は、生活に困窮する全ての国民に対し、国が健康で文化的な最低限度の生活を保障し自立を助けるための制度です。

憲法第25条「生存権」と生活保護法第1条に基づく、国民の権利として位置づけられています。

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

② 国は、すべての生活面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

引用元:日本国憲法 第25条

生活保護は特別なものではなく、誰でも困窮した際に利用できるセーフティーネットです。

制度は個人単位ではなく、原則として世帯単位で適用されます。

厚生労働省の「生活保護の被保護者調査(令和5年度確定値)」によると、母子世帯の生活保護受給数は1ヵ月平均で6万4,723世帯にのぼります。

生活保護で受けられる8種類の扶助

生活保護には、生活費、家賃、医療費など支援の内容に応じて8種類の扶助があります。

扶助の種類 対象となる費用
生活扶助 食費・被服費・光熱水費など日常生活に必要な費用
住宅扶助 アパートの家賃など
教育扶助 義務教育に必要な学用品費など
医療扶助 病院での医療費
介護扶助 介護サービスの費用
出産扶助 出産に伴う費用
生業扶助 就職をするための費用
葬祭扶助 葬祭のための費用(火葬費・埋葬費など)

母子家庭に特に関係が深いのは「生活扶助」「住宅扶助」「教育扶助」「医療扶助」の4つです。

生活扶助は食費や光熱費といった日常の生活費をカバーし、住宅扶助は家賃を補填します。

教育扶助は子どもの学用品費を支給し、医療扶助は医療費の自己負担をなくしてくれるものです。

母子家庭(シングルマザー)で生活保護を受けるための5つの条件

母子家庭が生活保護を受給するには、主に収入や資産状況、稼働能力という5つの条件を世帯全体で満たす必要があります。

母子家庭だからといって特別な条件があるわけではなく、通常の受給条件と変わりません。

5つの条件はいずれかひとつではなく、総合的に判断されます。

それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。

1.世帯収入が最低生活費を下回っている

収入や養育費、児童扶養手当など世帯全体の収入を合計した額が、国が定める最低生活費に満たない点が第一の条件です。

最低生活費は、居住地(級地)や世帯の年齢構成・人数によって変動します。

東京都区部と地方では金額が異なり、家族が多いほど高くなる仕組みです。

例えば、東京都区部で母30歳・子5歳の母子二人世帯の場合、最低生活費は月額20万円前後です。

養育費や児童扶養手当を合わせても収入が月15万円に満たない場合、生活保護を受けられる可能性があります。

収入が最低生活費を下回っているかどうか調べたい場合は、最寄りの福祉事務所か弁護士に相談してください。

2.活用できる資産を保有していない

預貯金、生命保険、不動産、自動車など生活のために活用できる資産がない点がふたつ目の条件です。

すぐに売却可能で現在住んでいない家を所有していたり、多額な定期預金があったりする場合は、受給資格があるとは認められない可能性が高いでしょう。

資産として確認される主なものは以下のとおりです。

  • 預貯金
  • 生命保険(解約返戻金があるもの)
  • 土地・家屋
  • 自動車
  • 貴金属

自動車の保有は原則認められませんが、通勤に不可欠な場合や、子どもの通院に必要な場合など事情があれば例外的に認められる可能性があります。

不動産も、資産価値が低い場合や売却しても生活再建に役立たない場合などは、保有したまま受給できるケースがあります。

福祉事務所に相談してみてください。

3.働けない、もしくは働いても収入が不足している

病気やけが、育児・介護などですぐに働けない、または働ける能力があっても収入だけでは最低生活費に満たないことも条件のひとつです。

働く能力があるのに働かない場合は受給できません。

ただし母子家庭の場合、子どもの年齢が低く外で働くことが困難な状況は、働けない事情として考慮されます。

現在パートなどで働いている場合でも、収入が最低生活費に満たなければ、差額を受給可能です。

働いているから受給できないということではありません。

4.ほかの制度を受けても生活が難しい

年金や各種手当、公的な融資制度などの公的制度で活用できるものがあれば、そちらを優先して利用する必要があります。

利用できる制度例
  • 各種年金(老齢年金、障害年金、遺族年金など)
  • 児童扶養手当
  • 雇用保険(失業給付)
  • 傷病手当金
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金

各種制度を利用してもなお生活が困窮する場合は、生活保護の対象です。

どの制度が利用できるかわからなくても、福祉事務所で相談に乗ってもらえます

まずは窓口で相談してみましょう。

5.親族の援助を受けられない

親族(扶養義務者)から援助を受けられるかどうかも確認される事項です。

生活保護の申請が受理されると、福祉事務所から扶養義務者に対し、援助が可能かを確認する扶養照会がおこなわれます。

扶養義務者(通常3親等以内)
  • 親・祖父母
  • 兄弟姉妹
  • おじ・おば
  • 甥・姪
  • 成人した子ども・孫

扶養照会はあくまで援助の可否を問い合わせるものであり、扶養を強制するものではありません。

親族が援助を断れば、受給の妨げにはなりません。

なお、元配偶者は親族ではないため、扶養照会はおこなわれません。

生活保護の受給金額の相場

生活保護の支給額は「最低生活費 − 世帯の収入」です。

生活保護の支給額

最低生活費はお住まいの地域や家族構成によって大きく異なりますが、おおまかに次の計算式で算出します。

  1. 級地一覧|厚生労働省」から居住している地域の等級を調べる
  2. 最低生活費認定額の算出方法」をもとに基準額を計算する
  3. 母子家庭や児童養育など加算額を上乗せする

例えば、東京都区部(1級地-1)在住、母30歳・子5歳の母子二人世帯の場合、最低生活費の目安は月額20万円前後です。

この金額に、次項で説明する「加算」が上乗せされる場合があります

詳しい計算方法は以下の別記事を読んでみてください。

母子家庭が受け取れる可能性のある生活保護費の加算

母子家庭(ひとり親世帯)の場合、基本的な生活費に加えて、子育ての実情に合わせた加算制度があります

加算の種類 対象者 金額の目安(1級地-1の場合)
母子加算 ひとり親世帯 子ども一人につき18,800円/月
児童養育加算 18歳までの子どもがいる世帯 子ども一人につき10,190円/月
妊産婦加算 世帯員に妊産婦がいる場合 妊娠6ヵ月未満の場合:9,130円
妊娠6ヵ月以上の場合:13,790円
産後の場合:8,480円
障害者加算 世帯員に障害がある場合 身体障害者障害等級
1・2級の場合:26,810円
3級の場合:23,060円

加算によって、ひとり親世帯の実情に即した支援がおこなわれます。

どの加算が受けられるか、総額いくらの支給がされるかは最寄りの福祉事務所へ問い合わせて確認してください。

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母子家庭で生活保護を受けるメリットとデメリット

生活保護の利用を検討する際は、生活が安定するメリットと、生活に一定の制限がかかるデメリットの両方を理解しておく必要があります。

メリット
  • 毎月の生活費が保障される
  • 医療費・介護費の自己負担が原則ゼロになる
  • 義務教育にかかる費用が支給される
  • 国民年金保険料・住民税などが免除される
  • ケースワーカーという相談相手ができる
デメリット
  • 自動車・持ち家は原則保有禁止
  • 貯金が制限される
  • ローン・クレジットカードの利用不可
  • ケースワーカーへの報告義務・家庭訪問がある
  • 親族への扶養照会がある

デメリットは、制度の公平性を保つために設けられているものです。

自身の状況に照らして、メリット・デメリットを客観的に比較して判断してください。

メリット

最大のメリットは、最低限の生活費が保障され、経済的な不安から解放されることです。

医療費や子どもの教育費の負担もなくなります。

具体的なメリットは以下のとおりです。

  • 毎月の生活費が保障される
  • 医療費・介護費の自己負担が原則ゼロになる
  • 義務教育にかかる費用(学用品費など)が支給される
  • 国民年金保険料・住民税など免除される

金銭的な安定は、精神的な余裕を生みます。

生活費の心配をせずに子育てに専念できる環境が整います。

またケースワーカーという公的な相談相手ができるのも、メリットのひとつです。

困ったことがあれば相談できる体制があります。

デメリット

一方、生活保護を受けると資産の保有や居住地などに一定の制限がかかります

ケースワーカーへの報告義務や、親族への扶養照会がおこなわれる点も考慮が必要です。

具体的なデメリットは以下のとおりです。

  • 自動車・持ち家は原則保有禁止
  • 貯金が制限される
  • ローンやクレジットカードの利用が制限される
  • ケースワーカーへの報告義務・家庭訪問がある
  • 親族への扶養照会がある

自動車は、通勤や通院にあたって公共交通機関の利用が不可能又は著しく困難な場合などを除き、原則手放さなくてはいけません。

定期的な家庭訪問や収入報告が必要となるため、ストレスに感じる人もいるでしょう。

デメリットを許容できるかどうか、事前によく検討してください。

生活保護の申請方法4ステップ

生活保護の申請は、居住地域を管轄する市区町村の福祉事務所でおこないます

相談から受給開始まで、通常は1ヵ月程度です。

申請は国民の権利なので、ためらわずに相談に行ってください。

ステップ1. 福祉事務所への事前相談

まず管轄の福祉事務所の窓口で、現在の生活状況や困っている内容を相談しましょう

制度の概要や申請に必要な書類の説明を受けられます。

以下を相談時に持参すると、話がスムーズに進みます。

  • 身分証明書
  • 給与明細や源泉徴収票
  • 預金通帳
  • 賃貸契約書

もし窓口で申請を断られそうになった場合は、「申請書をください」と明確に伝えてください。

申請の意思を示すことが大切です。

ステップ2. 生活保護の申請

相談後、受給を希望する場合は生活保護申請書を提出します。

申請書と合わせて提出する書類は以下のとおりです。

  • 資産申告書
  • 収入申告書
  • 関係機関への調査に関する同意書

申請した日が申請日となり、保護が決定した場合はこの日に遡って保護が開始されます。 

ステップ3. ケースワーカーによる調査

申請が受理されると、受給要件を満たしているかを確認するため、ケースワーカーによる家庭訪問や資産・収入の調査がおこなわれます

具体的な調査の内容は以下のとおりです。

  • 家庭訪問での生活状況の聞き取り
  • 預金通帳の確認
  • 扶養義務者への扶養照会

調査には誠実に応じる必要があります。

自分に不利と感じることでも、正直に答えましょう。

ただし、プライバシーに関わる不必要な質問に答える義務はありません

ステップ4. 受給の決定と保護費の支給

調査の結果に基づき、原則として申請から14日以内(最長30日)に、生活保護の受給可否が書面で通知されます

保護が決定した場合は保護決定通知書、却下された場合は保護申請却下通知書が届きます。

支給は毎月定められた支給日に、口座振り込みなどおこなわれるのが原則です。

初回支給のみ、福祉事務所で手渡しとなります。

受給開始後も、ケースワーカーによる定期的な訪問や、自立に向けた指導・助言があります。

困ったことがあれば、担当ケースワーカーに相談しましょう。

母子家庭に限らず生活保護が認められるのは難しい

生活保護は国民の権利ですが、厳格な要件があるため、申請すれば誰でも認められるわけではありません。

却下されたり、途中で打ち切りになったりするケースもあります。

制度の公平性を保ち、税金を財源としているため、審査は慎重におこなわれる点を理解しておきましょう。

生活保護を断られるケース

収入や資産が基準を超えている場合や、親族からの援助が見込めると判断された場合、生活保護を断られる可能性があります。

却下理由の具体例は以下のとおりです。

  • 収入・資産が基準を超過している
  • 稼働能力があるのに働こうとしない
  • 扶養義務者からの援助が見込める
  • 申請内容に虚偽がある

申請者が福祉事務所に協力的でない場合や不審な点が多い場合には、申請を断られるケースもあるでしょう。

福祉事務所に相談する際には誠実に全てを正直に話すのが重要です。

生活保護が打ち切りになるケース

受給中に収入が増えて最低生活費を上回った場合や、ケースワーカーの指導に従わない場合などに、保護が停止または廃止(打ち切り)されることがあります。

具体的には次のケースです。

  • 就労などで収入が基準を超えた
  • 収入申告を怠る・虚偽申告するなどの不正受給が発覚した
  • ケースワーカーの就労指導などに従わない
  • 連絡が取れなくなる

収入が増えてもすぐに打ち切りになるわけではありません。

段階的に保護費が減額され、自立できると判断された時点で廃止となります。

また、不正受給と判断された場合は支給された保護費の返還を求められます。

生活保護の申請が認められない場合は弁護士に相談しよう

申請が却下された場合や、福祉事務所の対応に納得できない場合は、不服を申し立てる権利があります。 一人で悩まず、弁護士などの専門家に相談しましょう。

却下通知に不服がある場合、都道府県知事に対して審査請求ができます。

弁護士に依頼すれば、審査請求の手続きを代理してもらえるだけでなく、福祉事務所との交渉を任せることが可能です。

自分ひとりで対応するよりも、時間や手間を抑え、精神的負担も減らせるでしょう。

弁護士費用が支払えない場合、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、費用の立て替えや、生活保護受給中の返済猶予・免除が受けられます。

費用の心配がある方も、まずは弁護士に相談してみてください。

母子家庭の生活保護に関するよくある質問

母子家庭の方が生活保護を検討する際によく抱く疑問について、Q&A形式で回答します。

児童扶養手当や養育費をもらっていても受給できますか?

はい、受給できます

ただし、児童扶養手当や元夫から受け取る養育費は、世帯の収入として認定され、その分が生活保護費から差し引かれます。

児童扶養手当と生活保護費を満額で二重にもらうことはできません。

また、養育費を受け取っていない場合、福祉事務所から元夫に支払いを求めるよう指導されることがあります。

生活保護を申請する前に、養育費の請求をきちんとおこなっておくことが大切です。

パートで働きながら生活保護を受けることは可能ですか?

可能です。

パート収入が最低生活費に満たない場合、差額分の生活保護費を受給できます。

就労収入がある場合、収入額に応じて一定額が控除される「勤労控除」の仕組みがあります。

そのため、働いて得た収入の全額が保護費から引かれるわけではありません

働いた方が世帯の手取りは必ず増えます。

安定した就労は生活保護からの自立(脱却)につながるため、福祉事務所も就労を支援してくれるでしょう。

借金(ローン)があっても申請できますか?

借金があっても生活保護を申請できます。

生活保護は、最低限度の生活を維持できないかどうかで判断され、借金の有無のみで却下されることはありません。

ただし、生活保護を受給しても借金がなくなるわけではなく、生活保護費を借金返済に充てるのも認められていません

そのため、借金が残っている場合は自己破産や任意整理などの債務整理を勧めるのが一般的です。

また、住宅ローンや自動車ローンなど高額な資産があると、処分を求められることもあります。

生活保護と借金問題を同時に整理するには、早めに弁護士へ相談して対応を検討しましょう。

未成年のシングルマザーでも生活保護を受けられますか?

年齢にかかわらず生活に困窮しており、ほかの条件を満たしていれば受給できます

子どもを養育している場合は独立した世帯として認定され、生活保護の申請が可能です。

ただし未成年の場合は、原則として親や祖父母などの扶養義務者からの援助が優先されます。

申請した場合、親族に対して扶養照会がおこなわれる点を理解しておきましょう。

親からのDVや虐待などの事情で援助を期待できない場合は、福祉事務所に相談してください。

扶養照会を省略できる場合があります。

まとめ

母子家庭が生活保護を受給するには、5つの条件を総合的に満たす必要があります。

  • 世帯収入が最低生活費を下回っている
  • 活用できる資産を保有していない
  • 働けない、もしくは働いても収入が不足している
  • ほかの制度を受けても生活が難しい
  • 親族からの援助を受けられない

生活保護は最後のセーフティーネットであり、利用できる制度や能力を最大限活用することが前提です。

生活保護を受給すると、資産保有や生活に一定の制限がかかります。

しかし医療費や教育費の負担が軽減されるため、生活に困窮しているなら、ためらわずに福祉事務所へ相談してください。

申請が認められない場合や対応に納得できない場合は、弁護士への相談も検討しましょう。

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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