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夫婦別姓のメリット・デメリットは?日本はいつから?制度の仕組みを簡単に解説

夫婦別姓のメリット・デメリットは?日本はいつから?制度の仕組みを簡単に解説

結婚後の姓をどうするか。

この問題は、現代日本において多くのカップルが直面する重要な選択です。

夫婦別姓には、旧姓のままでいられたり名義変更による負担がなくなったりといったメリットがあります。

しかし2025年10月現在、日本では夫婦別姓は認められていないのが実情です。

当記事では、夫婦別姓のメリット・デメリットをわかりやすく解説

制度の仕組みや日本の現状も簡単に説明します。

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夫婦別姓とは

夫婦別姓とは、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の姓を名乗ることを可能にする制度です。

現在の日本では法的に認められていませんが、世界的に見れば決して特殊な制度ではありません

夫婦別姓は大きく2つある

今後、法改正により夫婦別姓が決定した場合、大きく分けて「選択的夫婦別姓」と「例外的夫婦別姓」の2つのタイプが考えられます。

選択的夫婦別姓 同姓か別姓かを自由に選択できる
例外的夫婦別姓 特定の条件下でのみ別姓を認める

選択的夫婦別姓

選択的夫婦別姓とは、夫婦が結婚後も結婚前の姓を名乗ることを認める制度です。

同性か別姓かを自由に選択できます。

あくまで選択のため、別の性を名乗るのを強要するわけではありません。

例外的夫婦別姓

例外的夫婦別姓とは、夫婦が結婚後も結婚する前の姓を名乗ることを例外として認める制度です。

夫婦が同じ姓を名乗ることを原則としながら、職業上の理由や家名の継承など特定の条件を満たし、必要な手続きを踏んだ上で例外的に別姓が許可されます。

選択的夫婦別姓が夫婦の意思を尊重する制度であるのに対し、例外的夫婦別姓は原則は同姓としつつ、やむを得ない事情がある場合に限って別姓を認めるという点が異なります。

夫婦別姓と事実婚との違い

夫婦別姓 法律上の夫婦である
事実婚 法律上の夫婦ではない

夫婦別姓と事実婚の違いは、法律上の夫婦かそうでないかという点です。

夫婦別姓は、夫婦の姓は違っても婚姻届を提出して受理された法律上の夫婦となります。

一方で事実婚は、婚姻届を提出せずに夫婦としての関係を続けるため、法律上の夫婦ではありません。

事実婚には相続権がない、医療同意ができないといった制約があります。

しかし姓を変更する必要がないため、「苗字を変えたくない」という理由で事実婚を選択する人たちも珍しくありません。

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夫婦別姓にする4つのメリット

夫婦別姓にする4つのメリット

夫婦別姓制度にはどんなメリットがあるのだろうと思う方は多いでしょう。

ここでは、夫婦別姓がもたらす4つの主要なメリットについて、具体的に解説していきます。

メリットは結婚の決断を後押しする重要な要素となるでしょう。

旧姓のままでいられる

夫婦別姓の最大のメリットは、結婚後も生まれ持った姓を維持できること。

長年その名前で築いてきた人間関係、社会的信用、そして自分自身の存在感を失うことなく、新しい家族を作ることができます。

名前は、その人のアイデンティティーの重要な一部です。

内閣府の調査によれば、名字・姓を「単なる名称にとどまらない、自分が自分であることや人格の基礎」と考える人が18.5%存在します。

姓の継続は、個人の尊厳とアイデンティティーを守る重要な選択肢となるでしょう。

氏の変更手続をしなくて済む

夫婦別姓は、改姓に伴う膨大な手続きをする必要がありません。

名義の変更手続が必要な具体例
  • 運転免許証
  • パスポート
  • マイナンバーカード
  • 銀行口座
  • クレジットカード
  • 保険証
  • 国家資格 など

改姓の手続きには時間と費用がかかり、仕事を休んで役所や銀行を回る必要があります。

改姓する側(主に女性)だけに大きな負担がかかるため、不満が夫婦の関係性を悪くすることも考えられます。

夫婦別姓制度が導入されれば煩雑な手続きが不要となり、本人および事務手続き側の負担が大幅に軽減されるでしょう。

プライバシーを保護することができる

夫婦別姓では、結婚・離婚といったプライベートな情報を意図せず周囲に知られることを防げます。

姓を変更すると、仕事や友人関係において、必然的に私生活の変化を公表することになります。

また、離婚経験がある場合、再び姓が変わることで過去の経歴が推測されやすくなります。

夫婦別姓であれば、いずれも名字を変更しないまま婚姻することが可能となるため、名字の変更からプライベートを推測されることはありません。

特に仕事とプライベートを分けたい人にとっては大きなメリットです。

氏がそのままなので著者の一貫性を保てる

学者などの研究者は、結婚により氏を変更することで今まで作成・発表した論文などの氏名を変える必要が出てくるでしょう。

もし、結婚後のものだけ氏を変えた場合、著者の一貫性を保てなくなってしまう可能性があります。

例えば、論文では「姓(旧姓)名前」と記載して、同一性がわかるようにしておくことがあります。

しかし、そのような表記がされなかった場合、同じ著者だと思われず、実績を継続できなくなってしまうかもしれません。

会社で働いている人であっても、氏名の変更をするとサインや書類の作成者が同じ人だと思われず混乱し、トラブルに発展する可能性があります。

夫婦別姓にする3つのデメリット

夫婦別姓にする3つのデメリット

夫婦別姓制度にはメリットがある一方で、現在の日本の法制度においてはさまざまな課題も存在します。

ここでは、現状で夫婦別姓(事実婚)を選択した場合に直面する3つの主要なデメリットについて解説します。

デメリットを理解した上で、自分たちにとって最適な選択をすることが重要です。

法律上で結婚を認められない

現在の日本では、選択的夫婦別姓制度が法制化されていないため、夫婦別姓を希望する場合は事実婚を選択せざるを得ません。

事実婚では法律上の夫婦として認められず、次のような制約があります

  • 相続権がない
  • 配偶者控除などの税制優遇を受けられない
  • 医療同意ができない など

特に相続の問題は深刻です。

事実婚(内縁関係)の相手は法定相続人として認められないため、長年連れ添ったパートナーでも遺産を相続できません。

結果的に、パートナーが生活に困ったり、ほかの親族との間でトラブルが起きたりすることも考えられます。

子どもの姓が一方の親と違ってしまう

夫婦別姓の場合、子どもの姓が一方の親と異なります。

子どもが幼いときはよくても、家族内で姓が違うことに気づいてから寂しい思いをしてしまうかもしれません。

また制度の仕組みによっては、兄弟姉妹で姓が異なる可能性もあり、混乱を引き起こすことも考えられます。

そのほか、子どもへの影響は次のものがあるとされているため、夫婦別姓を選択したい方は参考にしてください。

  • 友人や周囲の人に心ない言葉をかけられて嫌な思いをする
  • 苗字が異なる親との関係性に違和感や不安を覚える
  • 家族の一体感が失われ、子の健全な育成が阻害される

周囲の目が気になる可能性がある

日本では約94%の夫婦が同姓を選択している現状において、夫婦別姓は少数派です。

なぜ姓が違うのか質問されたり、説明を求められたりするかもしれません。

また、学校や病院、各種手続きの場面で親子関係の証明を求められることもあります。

社会の多様性への理解が進むにつれ、こうした懸念は徐々に解消されていく可能性があるものの、現状ではデメリットと感じる人は多いでしょう。

夫婦別姓に関する日本の現状について

日本における夫婦別姓の議論は、実は35年以上前から続いています。

1996年には法制審議会が選択的夫婦別姓制度の導入を答申しましたが、いまだ実現していません

国連の女性差別撤廃委員会からは2003年以降、4度にわたり制度導入の勧告を受けており、国際的にも注目される問題となっています。

現行法では夫婦同姓が義務化されている

現在の日本の法律では夫婦別姓は認められておらず、民法750条により夫婦のどちらかが相手の姓を名乗ることが義務付けられています

第七百五十条

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

引用元:民法750条

昭和22年の改正民法により「男女平等の理念に基づき、夫婦は合意により夫又は妻のいずれかの姓を称することができる」ようになりました。

しかし実際には、令和6年のデータでは、約94.1%の夫婦が男性の姓を選択しており、女性が姓を変更するケースが圧倒的多数を占めています。

令和6年のデータ

家族の一体感・絆が弱まる懸念が挙がっている

夫婦別姓に対する懸念として、家族の一体感や絆が弱まるという意見があります。

令和3年の内閣府調査では、姓を別にしても家族の一体感・絆には「影響がない」と答えた人が61.6%と半数以上を占める一方、「弱まる」と答えた人も37.8%と決して少ない数字ではありません。

令和3年の内閣府調査

特徴的なのは、この懸念を持つ人の割合が女性より男性の方が多く、年齢が高くなるにつれて数値が上がっている点です。

姓と家族に対する考え方や、生きてきた時代の背景・慣習などにより生じていると推測されます。

若年層では影響はないと考える人が多数を占めており、時代が進めば夫婦別姓の議論が進んでいく可能性がありますが、現時点では世代間の認識の差が大きな課題です。

夫婦別姓に関するよくある質問Q&A

夫婦別姓制度について、多くの方が疑問や不安を抱えています。

ここでは、特によく寄せられる質問について、現状の制度と今後の展望を踏まえながら、わかりやすくお答えします。

旧姓のまま仕事ができる?

結婚後は法的に姓を変更する必要がありますが、職場によっては旧姓を使用できる場合もあります

特に営業職や公務員など、業務上での一貫性が重要な職種では、取引先や顧客に混乱を与えないために旧姓を使用するケースも珍しくありません。

ただし、旧姓の通称使用には限界がある点には注意が必要です。

公的書類や契約書などでは戸籍上の姓を使用する必要があり、二重管理による混乱も生じます。

所属する組織の規定次第では、旧姓を使用するにあたって事前の許可が求められることがあります。

希望者は、まず組織のルールを把握した上で、正式な手順を踏んで申請しましょう。

日本で選択的夫婦別姓制度が始まるのはいつ?

日本で選択的夫婦別姓制度が導入される時期は、まだ決まっていません

夫婦別姓制度を導入するためには民法750条と戸籍法の改正が必要です。

2025年の通常国会では、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会から法案が提出され、28年ぶりに国会で審議が開始されました。

しかし、採決は見送られ、2025年秋の臨時国会で継続審議となっています。

国民の理解を得ることに加えて議会承認や法整備が必要で、制度の導入に至るまでにはまだ時間を要するでしょう。

まとめ|選択的夫婦別氏制度の導入はまだ検討段階にある

選択的夫婦別姓制度は、個人のアイデンティティーとキャリアを守りながら、法的な夫婦関係を築ける重要な選択肢です。

次のような多くのメリットがあります。

  • 改姓による手続きの負担軽減
  • 職業上の一貫性の維持
  • プライバシーの保護

しかし一方で、子どもの姓の問題や社会的理解の課題も存在しているのも事実です。

現在、国会での議論が進んでおり、今後の動向が注目されています。

最終的には、夫婦がそれぞれの価値観に基づいて選択できる社会の実現が望まれます

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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