離婚調停にかかる費用は?弁護士に依頼した場合と自分でおこなった場合の違いを解説
離婚調停をおこなうためにはある程度の費用がかかりますが、自分でおこなう場合は印紙代等の合計約2,000円で申立てることができます。
離婚調停を申し立てるにあたり、必ずしも弁護士に依頼する必要はありませんが、弁護士に依頼することによるメリットもあります。
もし弁護士に依頼する場合、成功報酬まで含めると、弁護士費用として70万〜100万円程はかかると思って良いかと思います。
調停での取り決め内容によっては、離婚に際して相手の配偶者に対して財産分与、慰謝料、養育費などの名目で金銭を支払う必要も出てきます。
本記事では、離婚調停を開く際にかかる費用をお伝えします。
弁護士に依頼する場合と自分で申し立てる場合と、自分でおこなう場合のそれぞれを紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
離婚調停にかかる費用
離婚調停を弁護士に依頼した場合の費用の相場と、自分でおこなった場合の費用は、それぞれ以下のとおりです。
離婚調停を弁護士に依頼した場合の費用
相談料 |
30分無料~5,000円(30分あたり) |
着手金 |
30万円〜40万円 |
成功報酬金 |
30万円〜40万円+経済的利益の10% |
離婚調停を自分でおこなう場合の費用
相談費用 |
30分無料~5,000円(30分あたり) |
収入印紙代 (夫婦関係調整調停) |
1,200円 |
戸籍謄本取得費用 (全部事項証明書) |
450円 |
切手代 |
800円 |
住民票取得費用 |
250円 |
その他 |
1,200円 |
以下でくわしく解説していきます。
離婚調停を弁護士に依頼した場合の費用|約70万円〜100万円
離婚調停を弁護士に依頼した場合の費用の内訳を解説します。
離婚調停を弁護士に依頼した場合の弁護士費用は、法律事務所の料金形態にもよりますが、以下のケースが多いようです。
相談料|30分無料~5,000円(30分あたり)が相場
相談料は、1時間10,000円が相場です。
ただ、弁護士報酬制度の改正で、現在の弁護士相談料は無料の法律事務所が増えています。
無料の場合は、時間に制約があり30分までのところが多いです。
また、有料となる場合だと、30分5,000円から相談を受け付けている法律事務所も多い傾向です。
着手金|30万円〜40万円が相場
実際に弁護士に依頼した場合にかかる費用で、相場としてはだいたい30万円〜40万円となっています。
成功報酬金|30万円〜40万円+経済的利益の10%が相場
基本的には30万円〜40万円+経済的利益の10%が相場になります。
ただし、離婚調停で何を争っているかによって、弁護士の成功報酬金には若干の変動があります。
1.離婚そのものの成立に対する成功報酬|10万円〜20万円が相場
単純に離婚したいという結果が実現した場合にかかる費用です。
相場としては20万円~30万円が多いですが、費用のやすい法律事務所だと10万円ほどの場合もあります。
2.子どもの親権獲得に対する成功報酬|獲得した金額の10~20%が相場
子どもの親権を獲得した場合にかかる費用です。
相場としては10万円〜20万円程度でしょう。
3.慰謝料請求に対する成功報酬|獲得した金額の10~20%が相場
もし慰謝料を請求する立場にいた場合は、獲得した金額の10~20%が相場になります。
逆に慰謝料の請求をされていた場合の相場は、請求金額から減額された金額の10~20%ほどです。
4.財産分与に対する成功報酬|得られた金額の10〜20%が相場
財産分与の請求をしていた場合は「得られた金額の10〜20%」ほどです。
逆に請求されていた場合は「減額された金額の10~20%」ほどになります。
5.養育費の請求に対する成功報酬|養育費2~3年分の合計の10~18%が相場
養育費の請求していた場合は「養育費2~3年分の合計の10~18%」になります。
請求されていた場合は「養育費2~3年分の合計に対して、減額された金額の10~18%」程度です。
6.婚姻費用や年金分割に対する成功報酬|得られた金額10~18%程度が相場
相場としては、得られた金額10~18%程度の弁護士費用がかかります。
もし弁護士費用が不安なら法テラスの利用を検討
もし弁護士に依頼したいと考えていても、弁護士の費用が心配な場合があると思います。
そんな場合は「法テラス」の利用を検討してみるとよいでしょう。
法テラスには「民事法律扶助」という制度があり、経済的に見て、弁護士費用を支払うことが難しい方を対象に、以下の支援業務をおこなっています。
着手金や裁判で勝訴した場合の報酬金など、弁護士に依頼した場合にかかる金額を「法テラス」が一時的に立替えます。
法テラスに立て替えてもらった費用は、依頼者が分割して支払います。
離婚調停を自分でおこなう場合の費用
離婚調停は弁護士に頼らず、自分でおこなうこともできます。
弁護士を雇う費用が減る分、金銭面でも負担がない方法になります。
自分で調停をおこなう場合にかかる費用には、以下の6つがあります。
- 相談費用|無料~5,000円(30分あたり)
- 収入印紙代(夫婦関係調整調停)|1,200円
- 戸籍謄本取得費用(全部事項証明書)|450円
- 切手代|800円
- 住民票取得費用|250円
- その他|1,200円〜
1.相談費用
離婚調停を申し立てるといっても、一体何から始めればいいのかわからない方もいることでしょう。
まずは、調停の申立てについて相談したい場合の相談先と相談費用について把握しておきましょう。
家庭裁判所|無料
裁判所の相談費用は無料です。
調停に必要な書類や記載の方法、今悩んでいること、調停申立て後の流れなどの相談に乗ってくれます。
ただし、あくまで裁判所は、具体的な事件に対して第三者的視点から判断をする機関であるため、事件そのものの具体的な内容や方針に関しては、対応できないケースもあるので、注意が必要です。
行政・地方自治体|ほとんどは無料だが一部有料のところも
ほとんどの場合で無料ですが、一部有料相談の場合もあるようです。
また、常に相談の機会が開かれているわけでもありません。
市区町村の公式サイトなどを確認して、開催日程に合わせて足を運ぶ必要があります。
弁護士への相談費用|無料~5,000円(30分あたり)
最近は無料で離婚問題の法律相談対応をおこなっている法律事務所も多くあります。
当サイト「ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)」でも、相談料無料の事務所は多数掲載しています。
離婚調停が得意な弁護士を探して相談することができます。
2.収入印紙代(夫婦関係調整調停)|1,200円
離婚調停を申し立てるにあたっては、「収入印紙」を購入し、申立書と一緒に家庭裁判所に提出する必要があります。
この収入印紙は、郵便局やコンビニで購入できます。
3.戸籍謄本取得費用(全部事項証明書)|450円
本籍のある市町村の役所で申請し取得することができます。
また、郵送で取得することも可能です。
離婚調停で戸籍謄本を取得する費用は1通450円です。
4.切手代|800円
金額は申請する家庭裁判所によって多少変わりますが、大体800円前後になります。
また、家庭裁判所によって提出を求められる切手の種類が異なる場合があるので、裁判所に確認を取っておくとよいでしょう。
5.住民票取得費用|250円
最近の地方自治体によってはコンビニで取得することができる場合もあるようです。
離婚調停をおこなう場合にはこの住民票が必要となり、住民票1通分の250円前後がかかります。
6.その他|1,200円〜
離婚調停で離婚の有無だけを争うのであれば2,700円程度で済みます。
ただし、婚姻費用分担請求や財産分与、慰謝料、養育費の請求なども同時に申し立てると、その分の印紙代がかかってきます。
- 婚姻費用分担請求:1200円
- 財産分与請求:1,200円
- 慰謝料請求:1,200円
- 養育費請求:1,200円(子ども一人につき)
離婚調停と婚姻費用分担請求を同時に申し立てる際にかかる費用
婚姻費用とは、別居中の夫婦の間で、夫婦や未成熟子の生活費などの婚姻生活を維持するために必要な一切の費用とされています。
こちらは別居中の夫婦間においては請求可能な費用です。
婚姻費用に含まれる主な費用としては、以下が挙げられます。
- 衣食住の費用(家賃,食費,光熱費など)
- 出産費
- 医療費
- 衣料費
- 未成熟子の養育費
- 教育費(保育料,学校の費用など)
- 交際費
およそ夫婦が生活していくために必要な一切の費用が該当します。
離婚における協議や調停などの過程において慰謝料や養育費、財産分与の請求のみをすると、もらえたはずの婚姻費用がもらえなくなり、後で損をする可能性もあります。
特に離婚調停で婚姻費用を請求しておくことで、調停が長引いた場合でも、その期間中の生活費の確保ができる便利な方法ですので、離婚調停と同時に申し立てておくことをおすすめします。
また、離婚調停と婚姻費用の分担請求を同時におこなう場合の費用は、おおむね2,700円から4,000円程度です。
以下のケースに当てはまる方は、離婚調停と婚姻費用の分担請求を同時におこなうことを検討されてもよいでしょう。
離婚調停は自分ですべき?弁護士に依頼すべき?
離婚調停を自分でおこなうか、弁護士に依頼するかはケースバイケースです。
自分でおこなう場合は費用を抑えられますが、法律の知識や交渉力が必要です。
一方、弁護士に依頼すると専門知識と経験に基づく適切なアドバイスが受けられ、複雑な手続きをスムーズに進められます。
特に財産分与や親権争いが絡む場合、感情的になりがちな状況で冷静な判断が求められるため、弁護士のサポートは大いに役立つでしょう。
そこで、離婚調停を弁護士に依頼したほうがよいケースと自分でおこなっても問題がないケースを解説します。
離婚調停を弁護士に依頼したほうがよい5つのケース
以下のケースに当てはまる方は、離婚調停を弁護士に依頼したほうがいいでしょう。
- どうしても譲れない条件がある(親権は自分が持っておきたいなど)
- 事実関係の認識が相手と大きく異なっている(不貞行為などは自分にはないといっているなど)
- 相手が弁護士を立てている
- モラハラやDVを受けており一人で相手と話し合いを進めるのが難しい
- 離婚後の生活について不安がある
これらのケースに当てはまる人は弁護士に離婚調停を依頼することで、手間が省けるだけでなく、精神的な負担が軽減されます。
また、自分に有利な結果になる可能性が高くなるでしょう。
離婚調停を自分でおこなってもよい5つのケース
続いては、離婚調停を自分でおこなってもよいケースを紹介します。
以下のケースに当てはまる方は自分で離婚調停をおこなっても問題ないしょう。
- 双方が合意に至る可能性が高い
- 法律的な知識がある程度ある
- 時間と労力をかけることができる
- 経済的に余裕がある
- 財産分与や養育費などで争う可能性が少ない
こういった、争点となるポイントが少ない場合等、離婚調停を自分で進めても問題ないケースも存在します。
しかし、法律的な知識や経験がない場合は、不利な条件で合意してしまうことが少なくありません。
少しでも不安がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
離婚調停は、夫婦間で話し合いをする場です。
冷静かつ誠実に相手と向き合い、合意に至るよう努めましょう。
どうしても合意に至らない、自分一人で離婚調停をおこなうのは難しい、時間的な余裕がないといった場合には、弁護士への依頼を検討してみてもよいでしょう。
離婚は人生における大きな決断です。
不安なことがあれば、一人で抱え込まずに弁護士に相談することをおすすめします。


【離婚を決意したらご相談を】◆財産分与/婚姻費用/不倫慰謝料請求/離婚調停/養育費/親権/面会交流など幅広く注力◎詳細は写真をクリック!
事務所詳細を見る
【離婚相談実績10万件以上】初回相談60分無料♦離婚専門チームが豊富な実績を活かし、納得の解決方法をご提案します♦離婚調停/慰謝料/財産分与/養育費など離婚後まで一括サポート【休日対応可】
事務所詳細を見る
【休日・夜間の相談可】離婚協議/DV/親権獲得/不倫慰謝料など幅広い離婚問題に対応!依頼者様の立場を一番に考え、スムーズな問題解決を目指しサポートいたします!DV/不倫をした方のご相談も◎◆初回相談1.1万円|時間制限なし◆
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡

離婚調停に関する新着コラム
-
離婚調停は、夫婦の話し合いだけでは離婚できそうにない場合に利用できる手続きです。本記事では、離婚調停を実際におこなった方の体験談をまとめています。手続き方法や進...
-
離婚調停の答弁書には、自分の意思や期日に出席できるかどうかを記入します。本記事では、離婚調停における答弁書を書くときのポイントや注意点を解説します。急に裁判所か...
-
パートナーが離婚に合意してくれなくて悩んでいませんか。本記事では、裁判離婚のメリット・デメリットや具体的な流れ、注意点について解説します。裁判離婚に発展した場合...
-
離婚届を勝手に提出されたら、離婚協議が円滑に進まなくなるでしょう。このような状況を避けるための制度が離婚届不受理申出です。本記事では、離婚届不受理申出の手続き方...
-
離婚調停は、どれくらいの期間がかかるのかが気になりませんか。本記事では、離婚調停の平均期間や長引きやすいケース、離婚調停が長期間になるメリット・デメリットを解説...
-
本記事では、離婚にかかる弁護士費用の相場や費用を安く抑える方法について解説します。離婚問題を解決したいけど費用面への負担が心配でなかなか弁護士に依頼できない方も...
-
離婚調停では弁護士をつけるケースが多いものの、「弁護士に依頼すると費用がかかるので、自分でやりたい」と考えている方もいるかもしれません。本記事では、弁護士なしで...
-
面会交流は非監護親と子どもの権利ではありますが、状況によっては実施しない方がいいケースもあります。この記事では、面会交流をしない方がいいケースや拒否したい場合の...
-
離婚調停における服装の決まりはありませんが、調停委員の印象を悪くしないためにも十分注意を払う必要があります。本記事では、離婚調停に適した服装を解説しているので参...
-
別居中に離婚話を進めることは可能ですが、注意点もあります。別居中に離婚話を進めるための対処法を説明し、別居中の離婚話を進めるうえで準備すべきこと、注意すべきこと...
離婚調停に関する人気コラム
-
あなたの離婚希望に対して、配偶者が離婚したくないと言っている場合、どのような対策をとれば相手が離婚に納得してくれるのかを解説してきます。
-
離婚調停はどういった流れで進んでいくのか、申し立て方法やかかる期間などを時系列ごとにご紹介!調停期日当日に何を話すのかなど、できるだけ1回の話し合いで有利に調停...
-
離婚調停を開く際にかかる費用を解説します。弁護士に依頼する場合と自分で開く場合とでは費用が大きく違います。それぞれの費用の内訳をくわしく解説します。また、離婚調...
-
離婚調停では、話し合いを円滑に進めるために陳述書を書く場合があります。離婚調停の時間は有限ですので、事前に陳述書を提出しておくことで時間の短縮をはかれるというメ...
-
離婚した時の親権は母親有利だと思っていませんか?たしかに母親有利ですが、父親が絶対に親権を取れない訳ではありません。当記事では、離婚調停をした時の親権争いのポイ...
-
離婚調停は弁護士に依頼することで有利に進めることができます。しかし本当に依頼は必要か、高額な費用がかかるのではとお悩みの方のために、離婚調停を弁護士に依頼するメ...
-
配偶者と別居することになり「生活費をやりくりできるか不安」という方も多いかもしれませんが、別居中であっても「婚姻費用」として生活費を請求することが可能です。この...
-
調停調書と公正証書の違いを知っておくことで、離婚後に金銭の支払いが滞った・子供に会わせてもらえないなどのトラブルの抑制効果を期待できます、トラブル発生時にスムー...
-
離婚調停は、夫婦間の話し合いで離婚の合意ができない場合や、話し合いすら成立しない場合に利用されます。この記事では離婚調停の流れや進め方、費用、有利に進めるための...
-
調停離婚の成立後にも、離婚の手続きがあります。やっと調停が成立して離婚できたとしても、まだ気は抜けません。この記事では、調停離婚成立後にすべき手続き4つと、その...
離婚調停の関連コラム
-
本記事では、離婚にかかる弁護士費用の相場や費用を安く抑える方法について解説します。離婚問題を解決したいけど費用面への負担が心配でなかなか弁護士に依頼できない方も...
-
離婚調停は弁護士に依頼することで有利に進めることができます。しかし本当に依頼は必要か、高額な費用がかかるのではとお悩みの方のために、離婚調停を弁護士に依頼するメ...
-
離婚調停を開く際にかかる費用を解説します。弁護士に依頼する場合と自分で開く場合とでは費用が大きく違います。それぞれの費用の内訳をくわしく解説します。また、離婚調...
-
離婚までの経済的不安がある際は、婚姻費用を請求できます。しかし、婚姻費用の請求には、調停と審判があり、どちらを選ぶべきかわからない方もいるでしょう。本記事では、...
-
離婚調停はどういった流れで進んでいくのか、申し立て方法やかかる期間などを時系列ごとにご紹介!調停期日当日に何を話すのかなど、できるだけ1回の話し合いで有利に調停...
-
本記事では、家庭裁判所に離婚の相談をすることができるかや、家庭裁判所を利用して離婚をする場合の手続きの流れなどを説明し、家庭裁判所を利用して離婚をする場合に弁護...
-
離婚調停を申し立てられたら受け入れなければならないと考えていませんか?離婚調停においても裁判においても、必ずしも離婚を受け入れなければならないわけではありません...
-
夫と離婚したくない!そう妻は思っていても突然離婚を切り出された場合、まずは夫とどうして離婚をしたいのか話し合う必要がありますが、話し合いが進まない場合に妻はどの...
-
配偶者と別居することになり「生活費をやりくりできるか不安」という方も多いかもしれませんが、別居中であっても「婚姻費用」として生活費を請求することが可能です。この...
-
離婚調停では、話し合いを円滑に進めるために陳述書を書く場合があります。離婚調停の時間は有限ですので、事前に陳述書を提出しておくことで時間の短縮をはかれるというメ...
-
離婚調停を申し立てようと考えている方にとって、申立書の書式や書き方は頭を悩ませるポイントのひとつではないでしょうか。 今回の記事では、離婚調停申立書の書式の入...
-
離婚調停前や離婚調停中の別居は不利になるのでしょうか?本記事では、離婚調停前~離婚調停中の別居について解説します。注意点も解説しますので、離婚をスムーズに進める...

離婚調停コラム一覧へ戻る