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【2025年版】シングルマザー(母子家庭)が受けられる手当一覧!条件や金額を解説

【2025年版】シングルマザー(母子家庭)が受けられる手当一覧!条件や金額を解説

シングルマザー(母子家庭)には、国が援助するさまざまな手当があることをご存知でしょうか。

「日本では夫婦の3組に1組は離婚している」と言われています。

2021年に厚生労働省が発表した統計によると、全国にシングルマザーは119万5,000世帯おり、平均年収は272万円、就業率は86.3%となっています。

令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

最近では子連れ離婚も珍しくありませんが、子連れ離婚の不安要素のひとつに金銭的な問題があります。

母子家庭の収入は決して高いものではなく、生活のやり繰りに苦労することもあります。

そこで助けになるのが、シングルマザー向けの手当や割引制度です。

本記事では、少しでもシングルマザーの生活が楽になるように10種類の手当や7種類の割引制度などを紹介するので、収入を増やして支出を減らすための参考にしてください。

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目次

シングルマザー(母子家庭)が受けられる10の手当と助成金

シングルマザーになった方は、少しでも生活の負担を軽くするためにも手当や助成金などを積極的に活用しましょう。

まずは、シングルマザーが受けられる主な手当や助成金について解説します。

シングルマザーが受けられる主な手当や助成金

1.児童手当

児童手当とは、シングルマザーを含めた子どもを育てている全ての家庭を対象に支給される手当のことです。

児童手当は、子どもがいる家庭の生活の安定や、次の社会を担う子ども達の健全な成長を支えることを目的に設けられています。

なお、2024年10月分から制度が拡充され、所得制限の撤廃・支給期間の延長・支給額の引き上げなどがおこなわれました(児童手当が大幅拡充!対象となるかたは必ず申請を|政府広報オンライン)。

児童手当の支給対象者

児童手当の支給対象者は「児童を養育している方」です(児童手当制度のご案内)。

児童とは「18歳到達後の最初の年度末までの子ども」のことを指します。

児童手当の支給額

児童手当の支給額は以下のとおりです。

子どもの年齢 1人あたりの支給月額
3歳未満 1万5,000円(第3子以降は3万円)
3歳以上から高校生年代まで 1万円(第3子以降は3万円)

児童手当の支給時期

児童手当の支給時期は、2月・4月・6月・8月・10月・12月の年6回です(児童手当制度のご案内)。

10月の支給日には8月~9月までの分、12月の支給日には10月~11月までの分というように、前月までの2ヵ月分がまとめて支給されます。

2.児童扶養手当

児童扶養手当

児童扶養手当とは、離婚や死別などでシングルマザー・シングルファーザーとなったひとり親家庭に支給される手当のことです。

なお、2024年11月分から制度が拡充され、所得限度額や支給額の引き上げなどがおこなわれました(ひとり親のご家庭へ、大切なお知らせ|こども家庭庁)。

児童扶養手当の支給対象者

児童扶養手当の支給対象者は「児童を養育しているひとり親家庭の方」です(児童扶養手当について|こども家庭庁)。

児童扶養手当の支給額

児童扶養手当の支給額は以下のとおりです。

全部支給と一部支給のどちらかになるのかは、前年の所得状況から判断されます。

子どもの人数 支給月額(全部支給の場合) 支給月額(一部支給の場合)
1人目 4万6,690円 1万1,010円~4万6,680円
2人目移行 1人につき1万1,030円加算 1人につき5,520円~1万1,020円加算

児童扶養手当の所得制限

児童扶養手当の所得制限限度額は以下のとおりです。

扶養親族などの人数 受給者本人 孤児などの養育者・
配偶者・扶養義務者
全部支給 一部支給
0人 69万円 208万円 236万円
1人 107万円 246万円 274万円
2人 145万円 284万円 312万円
3人 183万円 322万円 350万円
4人 221万円 360万円 388万円
5人 259万円 398万円 426万円

※端末によって右にスライド可能

児童扶養手当の支給時期

児童扶養手当の支給時期は、1月・3月・5月・7月・9月・11月の年6回です(児童扶養手当について|こども家庭庁)。

1月の支給日には11月~12月までの分、3月の支給日には1月~2月までの分というように、前月までの2ヵ月分がまとめて支給されます。

3.母子家庭の住宅手当

母子家庭の住宅手当

自治体の中には、シングルマザーやシングルファーザーなどのひとり親家庭を対象に「住宅手当・住宅支援」をおこなっているところもあります。

手当・支援制度の具体的な内容は地域によっても異なり、詳しくはお住まいの地域の役場にご確認ください。

住宅手当等の具体例

住宅手当等の支援内容について、一例をまとめると以下のとおりです。

自治体 制度名 支援内容
東京都世田谷区 ひとり親世帯家賃低廉化補助事業対象住宅 月額最大4万円まで減額
東京都国立市 ひとり親家庭住宅費助成 家賃の3分の1の金額を助成(上限1万円)
東京都東村山市 ひとり親家庭等家賃補助 月額5,000円を支給
千葉県浦安市 ひとり親家庭住宅手当 家賃1万円を超えた額に対し、月額1万5,000円を限度に支給
神奈川県厚木市 母子家庭等家賃助成 月額1,300円~1万円を助成
神奈川県海老名市 ひとり親家庭等家賃助成 月額7,000円を助成
埼玉県蕨市 ひとり親世帯民間賃貸住宅家賃助成 月額6,000円~1万円を助成
兵庫県神戸市 ひとり親世帯の家賃補助制度 月額最大1万5,000円を支給

4.ひとり親家庭等医療費助成制度

ひとり親家庭等医療費助成制度

ひとり親家庭等医療費助成制度とは、シングルマザーやシングルファーザーなどのひとり親家庭を対象にした医療費の助成制度のことです。

助成制度の具体的な内容は地域によっても異なり、詳しくはお住まいの地域の役場にご確認ください。

以下では、一例として東京都新宿区のケースを解説します。

ひとり親家庭等医療費助成制度の対象者

東京都新宿区の場合、ひとり親家庭等医療費助成制度の対象者は以下のとおりです。

次のいずれかの状態にある18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(児童が中度以上の障害を有するときは20歳未満)を監護・養育している父母または養育者の方

・父母が離婚した児童

・父または母が死亡した児童

・父または母が重度の障害(身体障害者手帳1~2級程度)を有する児童

・父または母が生死不明である児童

・父または母に引き続き1年以上遺棄されている児童

・父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた児童

・父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童

・婚姻によらないで出生し、子の父(父子家庭の場合は母)に扶養されていない児童

引用元:ひとり親家庭等医療費助成制度|新宿区

ひとり親家庭等医療費助成制度の所得制限

東京都新宿区の場合、ひとり親家庭等医療費助成制度の所得制限は以下のとおりです。

 申請者及び扶養義務者(同居している直系血族及び兄弟姉妹)の令和5年中の所得が下表の限度額以上であるときは、この制度を受けることはできません。

 この限度額の表の内容は、令和7年1月から令和7年12月までの申請に適用されます。

扶養親族数 本人(申請者) 配偶者・扶養義務者及び孤児等の養育者
0人 2,080,000円 2,360,000円
1人 2,460,000円 2,740,000円
2人 2,840,000円 3,120,000円
3人 3,220,000円 3,500,000円
4人以上 1人増すごとに380,000円加算 1人増すごとに380,000円加算

・扶養親族数・・・令和5年中の所得の申告時に申告した扶養親族の人数

・所得額・・・令和5年中の年間収入-(給与所得控除または必要経費)- 控除額(下記ファイル参照)

・児童の父または母から養育費の支払いを受けている場合は、その80%を所得に含めます。

引用元:ひとり親家庭等医療費助成制度|新宿区

5.こども医療費助成制度

こども医療費助成制度

子ども医療費助成制度とは、子どもが医療機関を受診した際の医療費の自己負担分を助成する制度のことです。

助成制度の具体的な内容は地域によっても異なり、詳しくはお住まいの地域の役場にご確認ください。

以下では、一例として東京都新宿区のケースを解説します。

こども医療費助成制度の対象者

東京都新宿区の場合、こども医療費助成制度の対象者は「新宿区に住民登録があり、18歳到達後の最初の年度末までの子ども」です(子ども医療費助成|新宿区)。

こども医療費助成制度の所得制限

東京都新宿区の場合、こども医療費助成制度の所得制限はありません。

ひとり親家庭等医療費助成制度は所得制限で利用対象外となってしまった方でも、こども医療費助成制度を活用して負担を抑えられる可能性があります。

6. 特別児童扶養手当

特別児童扶養手当とは、障害を持っている20歳未満の児童を養育している家庭を対象に支給される手当のことです。

なお、2025年4月分から制度が改定され、手当額の引き上げがおこなわれました(手当額の改定について|東京都心身障害者福祉センター)。

特別児童扶養手当の支給対象者

特別児童扶養手当の支給対象者は、以下のいずれかに該当する20歳未満の児童を養育している方です。

  • 愛の手帳の1度~3度程度の障害のある児童
  • 身体障害者手帳の1級~3級程度(下肢障害4級の一部を含む)の障害のある児童
  • 長期間の安静が必要な症状または精神障害により、日常生活に著しい制限を受ける児童

(障害程度の認定基準は「特別児童扶養手当(国制度)|東京都心身障害者福祉センター」をご確認ください)

特別児童扶養手当の支給額

特別児童扶養手当の支給額は以下のとおりです。

障害等級 支給月額
1級 5万6,800円
2級 3万7,830円

特別児童扶養手当の支給時期

特別児童扶養手当の支給時期は、4月・8月・12月の年3回です(特別児童扶養手当(国制度)|東京都心身障害者福祉センター)。

4月の支給日には12月~3月までの分、8月の支給日には4月~7月までの分というように、前月までの4ヵ月分がまとめて支給されます。

特別児童扶養手当の所得制限

特別児童扶養手当の所得制限は以下のとおりです。

扶養親族などの数 受給者本人 配偶者および扶養義務者
0人 459万6,000円 628万7,000円
1人 497万6,000円 653万6,000円
2人 535万6,000円 674万9,000円
3人 573万6,000円 696万2,000円
4人 611万6,000円 717万5,000円
5人 649万6,000円 738万8,000円

7. 障害児福祉手当

障害児福祉手当

障害児福祉手当とは、重い障害のある20歳未満の児童を養育している家庭を対象に支給される手当のことです。

なお、2025年4月分から制度が改定され、手当額の引き上げがおこなわれました(手当額の改定について|東京都心身障害者福祉センター)。

障害児福祉手当の支給対象者

障害児福祉手当の支給対象者は「精神や身体に重度の障害があり、日常生活では常に介護が必要な状態にある在宅の20歳未満の児童」を養育している家庭の方です(障害児福祉手当(国制度)|東京都心身障害者福祉センター)。

障害児福祉手当の支給額

障害児福祉手当の支給額は以下のとおりです。

項目 支給月額
障害児福祉手当 1万6,100円

障害児福祉手当の支給時期

障害児福祉手当の支給時期は、2月・5月・8月・11月の年4回です(障害児福祉手当(国制度)|東京都心身障害者福祉センター)。

2月の支給日には11月~1月までの分、5月の支給日には2月~4月までの分というように、前月までの3ヵ月分がまとめて支給されます。

障害児福祉手当の所得制限

障害児福祉手当の所得制限は以下のとおりです。

扶養親族などの数 受給者本人 配偶者および扶養義務者
0人 366万1,000円 628万7,000円
1人 404万1,000円 653万6,000円
2人 442万1,000円 674万9,000円
3人 480万1,000円 696万2,000円
4人 518万1,000円 717万5,000円
5人 556万1,000円 738万8,000円

8. 生活保護

生活保護とは、病気・事故・高齢・死別などの何らかの事情によって生活に困っている方を対象に援助する制度のことです。

生活保護の支給対象者

生活保護の支給対象者は、以下①~④の要件を全て満たしている方です。

  1. 資産を一切持っていない
  2. 援助してくれる身内・親族がいない
  3. やむを得ない理由で働くことができない(けが・病気・障害など)
  4. 毎月の収入が最低生活費を下回っている

生活保護の支給額

生活保護の支給額は以下のような式で算出されます。

毎月の保護費=最低生活費-収入

具体的な金額は各地域の等級や世帯構成などによって異なり、一例として東京23区の場合は以下のとおりです。

世帯構成 生活保護費
単身者 13万10円
単身者(障害者) 15万6,820円
2人世帯 18万7,490円
2人世帯(母子家庭) 21万6,770円

9. 遺族年金

遺族年金とは、国民年金や厚生年金の加入者が亡くなった際に配偶者や子どもが受け取れる年金のことです。

遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つに分類され、国民年金の加入者が亡くなった場合は遺族基礎年金、厚生年金の加入者が亡くなった場合は遺族厚生年金が支給されます。

遺族年金の受給対象者・年金額

以下では、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給対象者や年金額について解説します。

1.遺族基礎年金

遺族基礎年金の場合、受給対象者は以下のとおりです。

  • 子どものいる配偶者
  • 子ども(子どもは「18歳到達後の最初の年度末までの子ども」または「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子ども」が対象)

年金額は以下のとおりで、配偶者が受給している間は子どもには支給されません。

受給者 年金額
子どものいる配偶者 1956年4月2日以後生まれの場合 83万1,700円+子どもの加算額
1956年4月1日以前生まれの場合 82万9,300円+子どもの加算額
子ども 83万1,700円+2人目以降の子どもの加算額

・1人目および2人目の子どもの加算額:各23万9,300円

・3人目以降の子どもの加算額:各7万9,800円

2.遺族厚生年金

遺族厚生年金の場合、受給対象者は以下のとおりです。

  • 子どものいる配偶者
  • 子ども
  • 子どものいない配偶者
  • 父母・祖父母

年金額は以下のとおりで、配偶者が受給している間は子どもには支給されません。

項目 年金額
遺族厚生年金 死亡者の老齢厚生年金の報酬比例部分×4分の3の金額

10. 児童育成手当(障害手当)

児童育成手当とは、シングルマザーやシングルファーザーといったひとり親家庭などを対象に支給される、東京都独自の手当のことです。

児童育成手当は「育成手当」と「障害手当」の2つに分類され、ひとり親家庭で児童を養育している場合は育成手当、障害のある児童を養育している場合は障害手当が支給されます。

児童育成手当(障害手当)の支給対象者

児童育成手当の支給対象者は以下のとおりです。

項目 支給条件
育成手当 東京都在住で、以下①~⑦のいずれかに該当し、18歳到達後の最初の年度末までの児童を養育していること
①父または母が死亡した児童
②父または母が重度の障害を持っている児童
③父母が離婚した児童
④父または母が生死不明の児童
⑤父または母に1年以上遺棄されている児童
⑥父または母がDV保護命令を受けている児童
⑦父または母が法令により1年以上拘禁されている児童
障害手当 東京都在住で、以下①~③のいずれかに該当し、20歳未満で心身に障害のある児童を養育していること
①知的障害で「愛の手帳」1度~3度程度
②身体障害で「身体障害者手帳」1級~2級程度
③脳性麻痺または進行性筋萎縮症

児童育成手当(障害手当)の支給額

児童育成手当の支給額は以下のとおりです。

項目 1人あたりの支給月額
育成手当 1万3,500円
障害手当 1万5,500円

児童育成手当(障害手当)の支給時期

児童育成手当の支給時期は、6月・10月・2月の年3回です。

6月の支給日には2月~5月までの分、10月の支給日には6月~9月までの分というように、前月までの4ヵ月分がまとめて支給されます。

児童育成手当の所得制限

児童育成手当の所得制限は以下のとおりです。

扶養親族などの人数 所得制限
0人 360万4,000円
1人 398万4,000円
2人 436万4,000円
3人 474万4,000円
4人 512万4,000円
5人 512万4,000円+1人増えるごとに38万円加算

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シングルマザー(母子家庭)が利用できる7つの減免と割引制度

シングルマザー(母子家庭)が利用できる7つの減免と割引制度

シングルマザーには、手当・助成金だけでなく支出を減らすための減免・割引制度もあります。

安定した生活を送るためにも両制度をうまく活用していきましょう。

1.ひとり親控除

ひとり親控除とは、シングルマザーやシングルファーザーなどのひとり親家庭を対象に適用される所得控除のことです。

ひとり親控除の適用要件

ひとり親控除の適用対象となるのは、以下①~④の全てに当てはまる場合に限られます。

  1. その年の12月31日時点で婚姻をしていない、または配偶者の生死が明らかではない
  2. 事実上、婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいない
  3. 生計を同じくする子どもがいる(子どもは「その年の総所得金額などが48万円以下で、ほかの人の扶養親族になっていない子ども」が対象)
  4. 合計所得金額が500万円以下である

ひとり親控除の控除額

ひとり親控除の適用要件を満たしている場合、控除される金額は以下のとおりです。

項目 控除額
ひとり親控除 35万円

2.国民健康保険料の減免

シングルマザーを含む前年分の総所得金額などが一定額を下回る家庭については、国民健康保険料の軽減措置が設けられています。

なお、適用要件や軽減割合は地域によっても異なり、詳しくはお住まいの地域の役場にご確認ください。

以下では、一例として東京都新宿区のケースを解説します。

国民健康保険料の減免額・適用要件

東京都新宿区の場合、国民健康保険料の減免額・適用要件は以下のとおりです。

項目 減額の内容 2025年度の条件
1号減額 均等割額を7割軽減
※未就学児の場合は8.5割
前年中の総所得金額等が「43万円+(給与または年金所得者の合計数-1)×10万円」を下回る世帯であること
2号減額 均等割額を5割軽減
※未就学児は7.5割
前年中の総所得金額等が「43万円+(給与または年金所得者の合計数-1)×10万円+30万5,000円×世帯の加入者数(※)」を下回る世帯であること
3号減額 均等割額を2割軽減
※未就学児は6割
前年中の総所得金額等が「43万円+(給与または年金所得者の合計数-1)×10万円+56万円×世帯の加入者数(※)」を下回る世帯であること

※世帯の被保険者と特定同一世帯所属者(後期高齢者医療制度移行により国保脱退した方)の人数

3.国民年金保険料の減免や納付猶予

シングルマザーを含む経済的事情などで国民年金保険料の納付が困難な家庭については、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度が設けられています。

国民年金保険料の免除額や適用要件は以下のとおりです。

国民年金保険料の免除額・適用要件

国民年金保険料の免除などの内容は、前年分の所得額によって以下のように異なります。

免除などの内容 所得基準
全額免除 (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
4分の3免除 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
納付猶予制度 (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

4.交通機関の割引制度

自治体の中には、シングルマザーなどのひとり親家庭を対象に「交通機関の割引制度」を設けているところもあります。

一例として、JRの通勤定期乗車券が最大30%ほど割引されたり、都営交通を全区間利用できる無料乗車券が発行されたりすることもあります。

割引制度の具体的な内容は地域によっても異なり、詳しくはお住まいの地域の役場にご確認ください。

5.粗大ごみ処理手数料の減免

自治体の中には、児童扶養手当を受給しているシングルマザーなどのひとり親家庭を対象に「粗大ごみの処理手数料の減免制度」を実施しているところもあります。

減免制度の具体的な内容は地域によっても異なり、詳しくはお住まいの地域の役場にご確認ください。

 6.上下水道料金の減免

自治体の中には、児童扶養手当を受給しているシングルマザーなどのひとり親家庭を対象に「上下水道料金の減免制度」を実施しているところもあります。

減免制度の具体的な内容は地域によっても異なり、詳しくはお住まいの地域の役場にご確認ください。

7.子どもの保育料の減免

2019年10月1日からは幼児教育・保育の無償化が開始しており、施設や子どもの年齢などに応じて以下のような減免が受けられます。

なお「保育の必要性の認定」を受けるためには市区町村での申請が必要で、詳しくはお住まいの地域の役場にご確認ください。

施設 子どもの年齢 減免の内容
保育所・認定こども園 0歳~2歳 住民税非課税世帯は利用料無料
3歳~5歳 全世帯は利用料無料
認可外保育施設 0歳~2歳 市区町村にて「保育の必要性の認定」を受けた住民税非課税世帯は、月額4万2,000円までの利用料が無償化
3歳~5歳 市区町村にて「保育の必要性の認定」を受けた世帯は、月額3万7,000円までの利用料が無償化

シングルマザー(母子家庭)が利用できる就労支援

シングルマザーについては就労支援制度なども設けられています。

制度の対象となる教育訓練を受講・修了すれば、自立支援教育訓練給付金を受け取ることができます。

ここでは、自立支援教育訓練給付金の支給対象者や支給額などを解説します。

自立支援教育訓練給付金の支給対象者

自立支援教育訓練給付金を受給するためには、以下のような条件を満たしている必要があります。

  • 20歳未満の子どもを養育しているひとり親家庭である
  • 自立に向けた計画の策定などを受けている
  • 就職経験・スキル・資格の取得状況などから、適職に就くために教育訓練の受講が必要であると認められる など

自立支援教育訓練給付金の支給額

自立支援教育訓練給付金の支給条件を満たしている場合、支給される金額は以下のとおりです。

支給されるケース 支給額
①規定の教育訓練を受講・修了した場合 受講料の60% (下限:1万2,001円、上限:最大20万円または最大160万円)
②規定の教育訓練を修了後、1年以内に資格取得して就職した場合 受講料の85% (下限:1万2,001円、上限:最大240万円)

シングルマザー(母子家庭)がもらえる手当の総額はいくら?計算例を解説

ここでは「所得額:350万円、子ども:2歳と5歳」というような東京都在住のシングルマザーのケースで、おおよそ毎月いくらもらえるのか解説します。

ただし、子どもの養育状況などによっても受け取れる手当の内容は異なるため、あくまでも参考程度にご覧ください。

項目 支給月額
児童手当 2万5,000円
児童扶養手当(一部支給) 1万6,530円~5万7,700円
児童育成手当 2万7,000円
合計額 6万8,530円~10万9,700円

日本におけるシングルマザー(母子家庭)の現状

ここでは、日本におけるシングルマザーの現状について、データを踏まえて解説します。

全国の母子世帯数は約120万世帯

厚生労働省が公表した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、全国の母子世帯数は約120万世帯となっています。

2011年以降は減少傾向にあるものの、1993年の79万9,000世帯に比べると約40万世帯も増加していることがわかります。

全国の母子世帯数は約120万世帯

シングルマザー(母子家庭)になった理由の約80%は離婚

シングルマザーになった理由の内訳は以下のとおりで、最も多いのが「離婚」で全体の約80%を占めています。

次いで「未婚」が約10%、「死別」が約5%と続いています。

シングルマザー(母子家庭)になった理由の約80%は離婚

シングルマザー(母子家庭)の母親の年齢は40代が最多

シングルマザーの母親の平均年齢は41.9歳となっており、年齢階級別でみると最も多いのが「40歳~49歳」で50.1%、次に「30歳~39歳」が27.0%と続いています。

また、末子の平均年齢は11.2歳で、年齢階級別でみると最も多いのが「15歳~17歳」で21.6%、次に「12歳~14歳」が20.2%と続いています。

シングルマザー(母子家庭)の母親の年齢は40代が最多

シングルマザー(母子家庭)の平均年間収入は373万円

シングルマザーの母親自身の平均年収は272万円で、2016年の243万円に比べると約30万円増加しています。

ただし、児童のいる世帯の平均所得を100%として比較した場合、シングルマザーは45.9%と半分以下の状態となっています。

シングルマザー(母子家庭)の平均年間収入は373万円

働いているシングルマザーの約39%はパート・アルバイト

シングルマザーの労働収入が低い理由のひとつとして「パート・アルバイト率が高い」というのがあります。

以下のとおり、就労しているシングルマザーのうち約39%は非正規雇用で働いており、正規雇用の割合は約49%にとどまっています。

働いているシングルマザーの約39%はパート・アルバイト

シングルマザー(母子家庭)の児童扶養手当の受給者数は約72万世帯

シングルマザーの増加にともない児童扶養手当の受給者数も年々増加していましたが、2008年頃をピークに減少に転じています。

一時期は100万人を超えていたものの、2022年度末には81万7,967人となり、ピーク時よりも20万人ほど減少しています。

シングルマザー(母子家庭)の児童扶養手当の受給者数は約72万世帯

シングルマザー(母子家庭)の児童扶養手当の受給者数は約72万世帯

シングルマザー(母子家庭)で養育費を受け取っている割合は約42%

養育費は子どもを育てるために欠かせないお金です。

しかし、シングルマザーの養育費受給率は決して高くなく、以下の統計では「養育費を受けたことがない」が56.9%、「現在も受けている」が28.1%、「過去に受けたことがある」が14.2%となっており、半数以上は受け取っていません。

シングルマザーの養育費受給率

シングルファーザーの養育費受給率はさらに低く、「養育費を受けたことがない」が85.9%、「現在も受けている」が8.7%、「過去に受けたことがある」が4.8%となっています。

シングルファーザーの養育費受給率

シングルマザー(母子家庭)の養育費の取り決め状況

養育費については「そもそも取り決め自体していない」というケースも多くあります。

以下のとおり、シングルマザー・シングルファーザーともに「養育費の取り決めをしていない」というケースが50%を超えています。

同統計によると、養育費の取り決めをしていない主な理由として「相手に支払う能力がないと思ったから」「相手と関わりたくないから」などが多く挙げられています。

母子家庭の養育費の取り決め状況

父子家庭の養育費の取り決め状況

離婚してシングルマザーになった場合は養育費も請求しよう

離婚して親権を持っていなくても、未成年の子どもに対する養育義務はあります。

民法に定められているように、養育費の支払い義務がなくなることはありません(民法766条1項)。

養育費の支払いは子どもに対する義務であり、子どもには親と同程度の生活を保証する必要があります。

たとえ失業やローンなどで経済的な余裕が無い状態でも、養育費は支払い続けなければいけません。

経済的困窮の具合によっては減額されるケースもありますが、単なる無収入や負債を理由に養育費の支払いを拒否することは原則認められていません。

養育費の内訳

養育費は、あくまでも子どもを育てるうえで必要となる費用であるため、原則として親権者の生活費は含まれません。

養育費の主な内訳は以下のとおりです。

  • 衣食住に関わる費用
  • 幼稚園や保育園から高校や大学までの教育費・授業料
  • けがや病気の治療にかかる医療費
  • 標準的な娯楽費・お小遣い
  • その他自立するために必要な費用

上記の中でも特に高額になるのが教育費です。

どの程度の教育を受けさせるのかによっても金額は変わりますが、「支払う者の学歴水準と同程度」となるのが一般的です。

養育費の支払い期間

養育費を支払う期間は「子どもが社会人として自立するまで」がひとつの目安とされていますが、法律では明確に定められていません。

家庭によってもバラつきはありますが、基本的には「大学卒業まで」としているところが多いようです。

養育費の相場

養育費の金額は、家庭裁判所が定めている「養育費・婚姻費用算定表」という表を用いて算出するのが一般的です。

以下の5つの要素によって金額が異なり、表内の金額枠が標準額となります。

  • 子どもの人数
  • 子どもの年齢(0歳〜14歳、15歳〜19歳の2区分)
  • 養育費を支払う側の年収
  • 養育費を受け取る側の年収
  • 養育費を支払う側が給与所得者か自営業者か

まとめ

シングルマザー向けの支援制度としては、児童手当や児童扶養手当といった手当のほか、国民年金保険料などの減免制度や自立支援教育訓練給付金の支給などもあります。

状況に応じて複数の制度を積極的に活用することで、生活の負担は確実に軽くなります。

本記事で解説した中で条件を満たしているものがあれば、まずは各担当窓口に一度問い合わせてみることをおすすめします。

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
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