ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ) > 離婚コラム > その他 > 離婚届を勝手に出されたとしても離婚は成立する | 無効にする方法は?
キーワードからコラムを探す
更新日:

離婚届を勝手に出されたとしても離婚は成立する | 無効にする方法は?

離婚届を勝手に出されたとしても離婚は成立する | 無効にする方法は?

配偶者から離婚届を勝手に出されてしまったら離婚が成立してしまうのか、疑問に思っている方もいるでしょう。

結論から言えば、離婚届を勝手に出されてしまった場合でも、形式上は離婚は成立してしまいます。

しかし勝手に出されてしまったら無効にすることが可能です。

離婚を要求する配偶者が「勝手に離婚届を出したのではないか?」と不安を感じている方は、離婚届が出されているかをまず確認し、同意していない場合には無効の手続きをとりましょう。

本記事では離婚届が勝手に出されたかどうかの確認方法と、離婚届を無効にする方法、さらには離婚届を勝手に出されない対策を解説します。

配偶者が離婚を希望している場合や、離婚の話し合いをしている方はぜひご覧ください。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ離婚で
離婚問題に強い弁護士を探す

離婚届が勝手に出されたらどうなる?

まずは離婚届が勝手に出されてしまった場合にどうなるのかを解説していきます。

勝手に出された場合でも離婚は成立する

離婚届を夫婦のどちらか一方が勝手に提出した場合でも、離婚届に不備がなければ役所は離婚届を受け付けますので、形式上、離婚は成立してしまいます。

役所には夫婦の離婚の意思などを確認する権限はないため、書類に不備がなければ離婚届を受け付け、戸籍を変更するなどの手続きが進んでしまうためです。

離婚に合意していない場合は無効にするための手続きをおこなう

離婚に合意をしていないのであれば、勝手に出された離婚届を無効にするため、家庭裁判所に「協議離婚無効確認の調停」を申し立てます。

調停で夫婦双方が合意すれば、戸籍が修正され婚姻している状態に戻るのです。

夫婦が合意に至らず調停が不成立となった場合は、訴訟で解決することになります。

勝手に離婚届を出されているか確認する2つの方法

離婚届が勝手に出されているかどうかは以下の2つの方法で簡単に確認できます。

  • 離婚が受理されると受理通知が届く
  • 戸籍を調べればすぐにわかる

「配偶者が離婚届を出したのではないか」と不安に感じている方は、まずは2つの簡単な方法で離婚届が提出されていないかどうか確認しましょう。

離婚が受理されると受理通知が届く

相手が勝手に離婚届を提出し離婚が成立した場合、勝手に離婚届を提出された配偶者には役所から「受理通知」が届きます。

戸籍法27条の2第2項には、離婚届などの届出の際には当事者の本人確認が必要とされており、本人確認ができない当事者には受理通知を送付しなければならないと規定されています。

第二十七条の二 市町村長は、届出によつて効力を生ずべき認知、縁組、離縁、婚姻又は離婚の届出(以下この条において「縁組等の届出」という。)が市役所又は町村役場に出頭した者によつてされる場合には、当該出頭した者に対し、法務省令で定めるところにより、当該出頭した者が届出事件の本人であるかどうかの確認をするため、当該出頭した者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す運転免許証その他の資料の提供又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。

 

② 市町村長は、縁組等の届出があつた場合において、届出事件の本人のうちに、前項の規定による措置によつては市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを確認することができない者があるときは、当該縁組等の届出を受理した後遅滞なく、その者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出を受理したことを通知しなければならない。

 

引用元:戸籍法|e-Gov法令検索

離婚は夫婦それぞれが当事者です。

夫婦のどちらか一方が勝手に離婚届を提出した場合、もう1人の配偶者からの本人確認ができないため、役所は戸籍法に基づいて必ず受理通知を送付します。

配偶者が受理通知を廃棄するなどしなければ、受理通知によって離婚届を勝手に出されたことを確認できます。

なお受理通知は住民票上の住所に届きますが、転送不要の郵便物とされている点は注意してください。

引っ越しをしたものの住所異動をしていない状態であると、転送されず市町村役場へ返送されている可能性が高いです。

この場合、離婚届が提出された市町村役場に問い合わせるか、次に紹介する方法で確認する必要があります。

戸籍を調べればすぐにわかる

相手が勝手に離婚届を提出し、形式的な離婚が成立すれば、戸籍に離婚が反映されています。

「相手の行動がおかしい」「相手が別の人と結婚しようとしている」などの兆候があったら、自分の戸籍を取得することで、勝手に離婚届を提出されたかどうかを確認できます

なお、離婚届を提出してから戸籍に反映されるまでの期間は、自治体により異なりますが一般的には数日~1週間前後です。

勝手に出された離婚届を無効にするには?

勝手に提出された離婚届によって形式的な離婚が成立していても、夫婦双方の同意がない離婚は無効です

真実ではない離婚届によって戸籍が変更になっていた場合、裁判所で手続きをおこなうことで離婚を無効とし、戸籍を婚姻状態に戻すことができます。

また、相手が勝手に離婚届を提出し、別の人と結婚していた場合、本申し立てが認められれば、新たな婚姻も無効です。

勝手に提出された離婚届によって形式的に成立した離婚を取り消すには以下の2つの方法があります。

  • 離婚無効確認調停を申し立てる
  • 離婚無効確認訴訟を提起する

まずは調停をおこない、調停でも解決できない場合には訴訟へ移行することとなります。

離婚届を無効にする2つの方法について解説していきます。

離婚無効確認調停を申し立てる

まずは、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意で定めた家庭裁判所へ離婚無効確認調停の申し立てをおこないます。

調停とは、2人の調停委員が夫婦の間に入り、離婚届を勝手に提出したかどうかの確認や話し合いをおこなうものです。

調停で夫婦の合意なく、夫婦のどちらか一方が勝手に提出したということに合意ができれば、家庭裁判所が調査をおこなった上で、審判を下します。

「離婚が無効である」との審判が確定すると、市区町村役場で戸籍訂正の申請が可能になるため、これによって離婚を無効とし、戸籍を婚姻状態へと戻せます。

なお、戸籍訂正の申請は審判確定から1ヵ月以内と決められているため注意しましょう。

申請の際には、戸籍訂正の申請書のほかにも審判書謄本・確定証明書(家庭裁判所より取得できる)が必要です。

解決しない場合は離婚無効確認訴訟を提起する

調停によって合意ができない場合や、審判に対して不服申し立てをおこなうと、訴訟へと移行します。

離婚届の提出が無効であることを争う裁判ですので、審理の際には、離婚に同意していないことを示すメールやLINEなどの証拠の提出が必要です。

また、離婚届への署名が本人のものではないことを示すために筆跡鑑定などもおこなわれます。

裁判所が無効の判決を出したら、市区町村役場へ戸籍訂正の申請書・判決書謄本・確定証明書を持参して、戸籍訂正の申請をおこなうことで戸籍を婚姻状態へと戻せます。

なお、離婚無効確認訴訟によって無効の判決が出てから1ヵ月以内に戸籍を訂正しなければならないため注意しましょう。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ離婚で
離婚問題に強い弁護士を探す

離婚届についてよくある質問

離婚届についてよくある質問を紹介していきます。

離婚届を勝手に出されないようにすることは可能?

夫婦のどちらか一方が勝手に離婚届を提出しそうな雰囲気があるときには、お住まいの市区町村役場へ「離婚届不受理申出」を提出しておきましょう。

この届出をしておけば、提出者本人が窓口へ出頭して離婚届を提出しない限り離婚届は受理されないため、相手が勝手に離婚届を提出しても受け付けてもらうことは不可能です。

不受理届は本人が取り下げない限り、効力が失われることはありません。

「離婚届不受理申出」は、窓口へ持参して提出しましょう。

病気などやむを得ない事情がない限り郵送での提出は受け付けていません

「離婚届不受理申出」の提出には運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等の写真付きの本人確認書類の提出も必要です。

相手が離婚届のサインを偽造して出した場合は罪になる?

他人名義の書類を勝手に作成することは犯罪です。

相手が勝手に離婚届へ署名をして、偽造した離婚届を提出した場合には、有印私文書偽造・偽造私文書行使罪・公正証書原本不実記載罪という3つの罪に問われる可能性があります。

  • 相手の名義が入った離婚届を、相手に無断で作成する:有印私文書偽造の罪に問われ3ヵ月以上5年以下の懲役が課される(刑法159条)
  • 偽造した文書を役所へ勝手に提出する:偽造私文書行使罪(刑法161条)
  • 勝手に提出した書類によって戸籍には真実と異なる内容が記載される:公正証書原本不実記載罪(刑法157条)

離婚届を勝手に出されたら相手を警察に告訴できる?

離婚に同意をしていないのに、偽造した離婚届を勝手に提出された場合には、有印私文書偽造・偽造私文書行使罪・公正証書原本不実記載罪などの罪に該当する可能性があるため、警察に刑事告訴できる可能性があります。

ただし、離婚届自体は本人が記載していたなど、一定程度離婚に対して同意している状況においては、警察が受理してくれない可能性もあるでしょう。

受理された場合には、配偶者に対して任意の取り調べや逮捕などの身体的な拘束がなされることがあります。

離婚届を勝手に出されたら相手に慰謝料を請求できる?

慰謝料が請求できるケースもあります。

相手が勝手に離婚届を提出したことによって、強い精神的苦痛を受けた場合は慰謝料を請求できる可能性があります。

慰謝料が請求できるかどうかはケースバイケースですので、詳しくは弁護士へ相談してください。

離婚届は必ず夫婦で出さなければならない?

離婚届は夫婦で提出しなければならないわけではありません。

離婚の形によって提出者は異なります。

離婚の形態 離婚届の提出者
協議離婚 夫婦のどちらか、もしくは夫婦以外の方でも提出が可能(窓口で本人確認は必要、委任状などは不要)
離婚調停 調停が成立した日を含めて10日以内に、調停申立人が夫婦の本籍地または申立人の所在地の市区町村役場へ提出
離婚裁判 判決から10日以内に、訴えの提起者が夫婦の本籍地または夫婦の所在地の市区町村役場へ提出

離婚は夫婦の関係が悪化しておこなうものですので、基本的に夫婦で揃って提出しなければならないことは想定されていません。

どの方法で離婚しても、どちらか一方が提出すればよいことになっています。

協議離婚の場合には当事者でない方が提出することも可能です。

さいごに|離婚届を勝手に出された場合は弁護士に相談しよう

離婚届を勝手に出された場合、提出された離婚届に不備がなければ離婚は成立してしまいます。

勝手に提出された離婚届は無効ですので、裁判所へ申し出ることによって取り消すことが可能です。

しかし離婚を無効とするためには、調停や訴訟などの法的な手続きになるため、一般の方がおこなうことは困難です。

さらに勝手に離婚届を提出された場合には、慰謝料請求や刑事告訴をおこなえる可能性もあります。

どのような手続きを取るべきなのかはケースバイケースなので、離婚問題に詳しい弁護士へ相談するのがベストです。

また、相手が勝手に離婚届を提出するということは、新たなパートナーとの結婚を急いでいる可能性があるため、早期に対応することが重要です。

勝手に離婚届を提出されたことがわかったら、早めに弁護士へ相談しましょう。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ離婚で
離婚問題に強い弁護士を探す
10秒で検索!離婚・男女問題が得意な弁護士を検索
お住まいの都道府県を選ぶ
お悩みの問題を選ぶ
弁護士を検索する
東京
神奈川
千葉
埼玉
大阪
兵庫
Office info 202409041559 68321 w180 能登豊和弁護士【不動産売却を伴う離婚案件は完全成功報酬制で対応可能】

不動産の売却が伴う離婚のご依頼は、着手金0円で依頼可◎マイホームマンション土地などを売り大きな財産を獲得したい方へ】不動産売却に注力してきた弁護士が、密な連携でサポートします初回面談0円

事務所詳細を見る
Office info 202303271116 38411 w180 弁護士法人ガーディアン法律事務所八王子オフィス

【秘密厳守/キッズスペースあり】モラハラ/DV/不倫…離婚を決意された方へ◆お子さんや離婚後の生活、お金のことなど踏まえた解決をサポート【累計相談1,400件超/離婚チーム対応】

事務所詳細を見る
Office info 202405101510 100921 w180 【代表弁護士が直接対応◎】桑山総合法律事務所

【初回面談料2000円(60分)】確かな知見と経験で質の高いリーガルサポートNY州弁護士資格アリ!英語圏の方の国際離婚にも対応可能◎◆財産分与親権もお任せを◆事前予約で休日相談も可◆電話・オンライン面談可能

事務所詳細を見る
東京都の弁護士一覧はこちら
弁護士費用保険のススメ
Cta_merci

離婚をするときに子供の親権や慰謝料、財産分与などで相手と揉めて、弁護士が必要となったときにかかる費用相場は、内容にもよりますが50~100万円ほどになります。
弁護士費用が払えなくて泣き寝入りすることも…。


  • 相手に親権を渡したくない
  • 養育費を払ってもらえなくなった
  • 不倫相手に慰謝料を請求したい

弁護士保険は、法律トラブルで弁護士に依頼したときの費用が補償されます。
離婚トラブルだけでなく、子供のいじめ、労働問題等でも利用することができます。

無料で資料ダウンロード
弁護士費用を負担してくれる
弁護士保険で法律トラブルに備える
弁護士保険に関する資料のお届け先
氏名
必須
フリガナ
必須
電話番号
必須
メールアドレス
必須
この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

その他に関する新着コラム

その他に関する人気コラム

その他の関連コラム

編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

その他コラム一覧へ戻る
弁護士の方はこちら