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不倫がバレて訴えられたらどうする?慰謝料問題の解決方法と弁護士の選び方

不倫がバレて訴えられたらどうする?慰謝料問題の解決方法と弁護士の選び方
  • 「不倫相手の奥さんに不倫がバレて、訴えられてしまった」
  • 「裁判なんて怖い…どうしたらいいの?」

不倫をしてしまったとはいえ、いざ訴えられると恐怖を感じ、混乱してしまうでしょう。

裁判という響きも重く、どうすればよいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。

不倫で訴えられてしまった際、今何をするべきなのかを冷静に整理することが大切です。まずは訴えられた内容が事実かを確認し、冷静に弁護士に相談することが大切です。決して無視してはいけません。

本記事では、不倫で訴えられたらどうすればよいのか、解決方法や具体的な流れ、弁護士の選び方を紹介します。

目次

不倫がバレて訴えられた際にやるべきこと3選

不倫がバレて訴えられた際にやるべきこと3選

裁判所から訴状が届くと誰しもが驚き、動揺してしまうはずです。

しかし、訴訟を起こされてしまった事実は変えることができないため、きちんと向き合う必要があります。

ここからは、不倫がバレて訴えられた際にやるべきことを3つ解説します。

どうするべきか事前に把握し、冷静に対処できるよう努めましょう。

訴えられた内容は事実か確認する

まずは、訴えられた内容が事実か確認しましょう。

訴状の記載内容や証拠を確認し、事実と異なるのであれば反論する必要があります。

訴状には「請求の趣旨」「請求の原因」が記載されています。内容は具体的に以下のとおりです。

  • 請求の趣旨
    原告が被告に対して何を求めているのか(例:原告は被告に対して金〇万円の支払え、訴訟費用は被告の負担とする など)
  • 請求の原因
    当事者が誰なのか、どのような不貞行為をしたのか、不貞行為によってどのくらいの損害が出たのか、慰謝料の算定根拠 など

請求の原因には、訴えを起こした原告が知っている不倫の事実が記載されているはずです。

自分の認識と相違がないか、きちんと確認しましょう。

相手の要望を確認する

次に、相手の要望を確認することが重要です。

一般的に不倫の慰謝料の相場は、50万円〜300万円程とされています。

相手がいくらの慰謝料を望んでいるのか、相場からかけ離れていないかなども確認しましょう。

また、相手が単に慰謝料の支払いだけを請求しているとは限りません。

請求の一例として、以下のような要望が考えられます。

  • 謝罪文を書いてほしい
  • 直接謝ってほしい
  • 交際をやめてほしい
  • 今後、一切関わらないでほしい など

相手が何を求めているかによって、取るべき対応も異なります。

中には応じられない要望もあるかもしれませんが、どのような要望であれば応じられるのかを検討する必要があるでしょう。

弁護士に相談する

訴えられて裁判になったら、法律の専門家である弁護士へ相談しましょう。

訴訟を起こす側は、弁護士に依頼をするのが一般的。相手の弁護士と対等に話がしたい場合は、こちらも弁護士を味方につけたほうがよいでしょう。

また、裁判には法律の知識が不可欠です。

法律の知識がないまま裁判に臨んでしまうと、不利な判決が出されてしまうかもしれません。

相手から不倫で訴えられた際は、なるべく早めに弁護士へ相談しましょう。

不倫がバレて訴えられた場合の流れ

不倫がバレてしまうと、訴えを起こした相手方に慰謝料を支払うのが一般的です。

そもそも不倫がバレてしまったらどのような流れで訴えられ、慰謝料を支払うことになるのでしょうか。

訴えを起こされてから、裁判が始まるまでの基本的な流れを解説します。

不倫がバレて訴えられた場合の流れ

1.相手方から内容証明郵便が届く

裁判になる前に、訴えを起こした本人もしくは代理人の弁護士から内容証明郵便が届きます。

内容証明郵便の中には、以下の項目を記載した書類が同封されています。

  • 不倫をした事実や、不倫行為の内容
  • 不倫がバレたことで相手方が現在、どのような気持ちを抱いているのか
  • 支払ってほしい慰謝料の金額

慰謝料請求の内容証明が届いたら、まずはきちんと中身を確認しましょう。

自分がしてしまったことと相手方の認識に相違がないか、書かれていることが事実なのかをしっかり確認する必要があります。

また、内容証明郵便には「いつまでに返事がほしいのか」「いつまでに金銭を振り込んでほしいのか」といった期限が設けられていることがあります。

期限内に自分で回答するか、難しい場合は弁護士に相談したほうがよいでしょう。

2.示談交渉をおこなう

内容証明郵便を受け取ることにより、相手方との交渉がスタートします。

相手方の言っていることが事実であれば、きちんと非を認めて謝罪しましょう。

中には相手が勘違いをしていたり、事実と異なる主張をしていたりする可能性もあります。

感情的になる気持ちも理解できますが、あくまで冷静に交渉を進めることが大切です。

当事者同士での話し合いは、話がまとまらなかったり新たなトラブルに発展したりするリスクがあるため、避けるのがおすすめです。

3.交渉でまとまらなければ裁判をおこなう

交渉しても話がまとまらなければ、裁判の手続きへと進みます。

相手方から訴訟を起こされると、裁判所から郵便で期日通知書や訴状などが送られてくるので、中身をしっかり確認しましょう。

しかし、裁判手続きを自分で進めるのは、手間も時間も掛かります。

まだ弁護士をつけていないのであれば、このタイミングで依頼するのがおすすめです。

不倫で訴えられたら無視はNG

不倫で訴えられたとき、裁判所からの訴状を無視してはいけません。答弁書の提出や口頭弁論を欠席した場合、欠席判決となる可能性が高いです。

民事訴訟における欠席裁判は、原告の主張を一方的に認める傾向が強いため、相手に何も反論できないまま敗訴することとなります。

判決で慰謝料の支払いが認められたにもかかわらず無視し続けると、最終的に「債権差押命令」が勤務先へ送付され、給与や預金などの財産を差し押さえられる恐れがあります。

債権差押命令は、毎月の給与から一定額が強制的に天引きされ、慰謝料として相手方に支払われる仕組みです。

また、債権差押命令が会社に届くと、経理などの担当部署を通じて不倫の事実が会社に知られるリスクにも注意が必要です。

会社に居づらくなったり、退職勧告を受けてしまったりする可能性も考えられます。

不倫をした覚えがなかったり、内容に誤りがあったりする場合は特に、訴状は無視しないように気をつけましょう。

不倫裁判が始まったあとの主な流れ

裁判にはなかなか出廷する機会がないため、どのような流れで進行するのかわからない方も多いでしょう。

裁判が実際に始まったあとの主な流れについて解説します。

不倫裁判が始まったあとの主な流れ

1.訴状送達

訴訟が提起されると、自宅に裁判所から「特別送達」という扱いで訴状が届きます。

特別送達とは、原則として郵便職員が名宛人に直接手渡しされ、いつ・誰に届けたのかを記録する郵便方法です。

特別送達の郵便物は、ポストに投函されない上、受け取る際には、受領印またはサインが求められます。

特別送達では、訴状を受け取った記録を裁判所に報告するため「訴訟が正式に開始されたことを確実に本人に通知した」と証明する役割を果たします。

万が一留守で受け取れなかった場合は、不在票が投函され、指定の期間内に郵便局で受け取るか、再配達の依頼をしなければなりません。

特別送達の受け取りを拒否した場合でも、最終的には別の方法で送達が完了したとみなされ、裁判は進行してしまうため注意しましょう。

2.答弁書の提出

訴状の請求内容を承諾・拒否する旨の内容や、反論を記載した「答弁書」を作成し、指定された期限内に裁判所へ提出します。

答弁書は、初めて被告の主張を裁判所に伝えられる重要な書面です。

答弁書を通して争う姿勢を示すことで、相手の主張が一方的に認められることを防ぎます。

答弁書で意見を述べる方法
  • 【請求(及び申立て)の趣旨に対する答弁】で「1 原告の請求を(いずれも)棄却する。2 訴訟費用は、原告の負担とする。との判決を求めます。」にレ点を記入
  • 【請求の原因等に対する答弁】で、訴状に書かれた一つひとつの事実に対し「認める」「否認する」「知らない(不知)」のいずれかを明らかにする
  • 上記以外に自分の言い分がある場合は、「私の言い分は次のとおりです。」に記入する

慰謝料を請求されていて拒否したい場合は、金銭の支払いを拒否する姿勢を明確に示しましょう。

提出期限は第1回口頭弁論期日の1週間前を目処に設定されることが一般的です。

3.第1回口頭弁論期日以降の進行

第1回口頭弁論期日が開かれたあとは、主張と反論を準備書面を使用してやり取りするのが基本です。

答弁書を期限内に提出していれば、第1回口頭弁論は欠席しても答弁書の内容を陳述したとみなされるため、裁判所へ出向かなくても問題ありません。

第2回以降の口頭弁論は1ヶ月に1回程度のペースで行われ、お互いの主張を裏付ける証拠(メールのやり取り、写真、録音データなど)を書面と共に提出し合います。

例えば「相手夫婦の関係は不倫前から破綻していた」と主張したい場合、以下のような情報を証拠として提出可能です。

  • 夫婦間の暴言が記録された音声データ
  • 長期間別居していたことが分かる資料 など

4.当事者尋問・証人尋問

書面での主張を十分に行った上で、まだ争点が残っている場合、裁判官の前で原告や被告、関係者が質問に答える「尋問」が行われます。

尋問では、これまでの主張が「嘘偽りない事実か」を確かめます。

本人が話す内容が、どれだけ信頼できるかを裁判官が直接判断する重要な機会です。

尋問での発言は録音され、判決に大きな影響を与える可能性があります。

尋問では、原告の代理人弁護士、被告の代理人弁護士、そして裁判官から、交互に質問を受けるのが基本です。

例えば、原告の弁護士から「あなたは、相手が既婚者であることをいつ・どのようにして知りましたか?」といった核心に迫る直接的な質問を受け、口頭で答えます。

ここで嘘をつくと偽証罪に問われる可能性もあるため、誠実に回答しなければなりません。

5.和解もしくは判決

裁判の最終段階では、裁判官から和解が提案されることが多いです。提案された内容に双方が合意すれば裁判は終了します。

和解は、判決よりも柔軟な解決が可能になる手段であり、慰謝料の金額だけでなく支払方法(分割払いなど)についても話し合いで決められます。

よく見られる和解案として「慰謝料〇万円を来月から1年間、毎月〇円ずつの分割払いで支払う」といった内容が挙げられます。

しかしここで合意に至らなければ、裁判官がこれまでの主張や証拠に基づいて判決を下すのが一般的な流れです。

和解が成立すると、判決と同じ効力を持つ「和解調書」が作成され、もし支払いが滞れば強制執行(財産差し押さえなど)が可能です。

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不倫で訴えられた場合の慰謝料相場

不倫で訴えられた場合の慰謝料相場

不倫で訴えられた場合に支払う慰謝料の相場は、不倫が原因で相手夫婦が離婚した場合は100万円~300万円程度、離婚していない場合は50万円~100万円程度です。

慰謝料は、不倫によって受けた精神的苦痛の大きさを金銭に換算したものです。

裁判所は、過去の裁判例やさまざまな要素を総合的に考慮して、最終的な慰謝料の金額を決定します。

慰謝料の金額を左右する主な要素は以下の通りです。

  • 不倫が原因で離婚・別居に至ったか
  • 婚姻期間の長さ
  • 不貞行為の期間・頻度
  • 未成年の子どもの有無
  • 不倫前の夫婦関係
  • 不貞行為の悪質性(不倫相手の配偶者へ嫌がらせをした、不貞行為におよんで妊娠したなど)
  • 不倫発覚後の態度(反省の有無など)

不倫で慰謝料を請求された際に裁判をするメリット

不倫をしてしまった場合でも、できるだけ裁判沙汰になるのだけは避けたいと考える方がほとんどでしょう。

しかし裁判に発展することで、意外にもメリットを得られるケースもあります。

不倫慰謝料を請求される裁判で生じるメリットを紹介します。

裁判で慰謝料を減額できる場合がある

慰謝料請求の裁判によって得られるメリットは、慰謝料を減額できる可能性があることです。

裁判では、過去の判例や不倫の内容によって裁判所の基準で慰謝料の金額が決められます。

不倫の程度に対して相場よりもはるかに高額な慰謝料を求められている場合は、裁判所の判断と相場から計算しなおすことになるでしょう。

相場からかけ離れすぎた慰謝料を請求されている場合や、不倫の程度が軽い場合は、裁判によって慰謝料を減額できるかもしれません。

応じられない要求を取り下げられる場合がある

応じられない要求を取り下げられる場合があるのも、裁判のメリットです。

相手方は、金銭の要求以外にも以下のような要求をしてくる可能性があります。

  • 会社を辞めてほしい
  • 直接会って謝罪してほしい
  • 不倫の期間に受け取ったプレゼントを全て返却してほしい など

慰謝料の請求を行う裁判において、あくまで裁判所は金銭の支払いに関する判決を下します。

いわゆる社会的制裁を加えたいという趣旨の要求は、金銭の請求ではないため取り下げられるでしょう。

不倫で慰謝料を請求された際に裁判をする3つのデメリット

不倫による裁判で、慰謝料を請求された際に生じるのはメリットだけではありません。

以下のようなデメリットを被る可能性もあるため、注意が必要です。

同居の家族に裁判の事実がバレてしまう可能性がある

裁判所からの書類は、基本的に訴状に記載された住所に送られます。

同居している家族がいる場合、家族が書類を受け取る可能性もあるため、裁判の事実がバレてしまうかもしれません。

家族にバレたくない場合は、弁護士に依頼することで裁判に関する書類をすべて弁護士に送るよう、裁判所に伝えることが可能です。

慰謝料を請求されていると誰にも知られたくない場合は、早めに弁護士へ依頼しましょう。

裁判期日に出廷する必要がある

裁判を申し立てられたら、期日に出廷する必要があります。

裁判期日は平日の日中におこなわれるため、働いている時間と被ってしまう場合は仕事を休まなければならないでしょう。

期日の度に仕事を休む必要があり、時間的にも金銭的にも負担が生じてしまいます。

平日の日中に時間が取れない方は弁護士へ依頼して、裁判期日へ代理で出席してもらうのがおすすめです。

裁判が長期化する可能性がある

裁判になると解決まで時間を要してしまうことがあり、精神的にも大きな負担となるでしょう。

基本的に裁判が開廷されるのは、月に1回程度です。原告と被告が主張と反論を繰り返し行うため、解決までに4ヵ月~1年ほどの期間がかかるとされています。

裁判で決着をつける場合は、ある程度時間がかかることは心づもりをしておいたほうがよいでしょう。

不倫慰謝料を減額できるケース8選

不倫によって請求された慰謝料が高額な場合、なるべく減額したいと考えるのではないでしょうか。

不倫の内容や、その後の態度によっては相手が要求する慰謝料額や相場金額から減額できる可能性があります。

具体的なケースを8つ解説します。

1.不倫期間が短い

不倫関係にあった期間が短いほど、慰謝料は減額される傾向にあります。

慰謝料の額は、不倫によって夫婦の婚姻共同生活の平和が侵害された程度によって判断されるためです。

不倫期間が短ければ、婚姻関係に与えた影響は比較的小さいとみなされ、精神的苦痛の程度も低いと判断されやすいです。

数年にわたる継続的な不倫関係に比べ、1か月程度の短期間で関係が終わった場合は、慰謝料が低額になる可能性が高いといえます。

2.不貞行為の回数が少ない

肉体関係を持った回数が少なければ、慰謝料が減額される可能性があります。

不貞行為の回数は、不倫関係の悪質性や継続性を判断する要素の一つです。

回数が1回〜数回程度と少ない場合、原告側の精神的な苦痛の度合いも比較的低いと評価され、減額されるケースもあります。

一度だけの過ちであった場合と、月に何度も継続的に不貞行為を繰り返していた場合とでは、後者の方が婚姻関係に与えたダメージが大きいと判断されるでしょう。

3.相手夫婦の婚姻期間が短い

不倫相手の夫婦の婚姻期間が3年未満で短い場合、慰謝料は減額される傾向にあります。

婚姻期間が短ければ不倫によって受けた損害も比較的小さいと評価され、慰謝料が低くなりやすいです。

逆に、婚姻期間が長い場合は、不倫によって夫婦が長年にわたって築き上げてきた信頼関係や生活基盤が破壊される精神的苦痛が大きいと判断されます。

4.不倫発覚後に反省している

不倫が発覚したあとに反省しているかどうかも、慰謝料の減額に関係します。被害者の感情も慰謝料額の算定に影響するためです。

不倫の事実を認め、深く反省し誠実な謝罪を行うことで、慰謝料が減額される可能性があるでしょう。

真摯な反省の態度は、被害者の怒りや悲しみを和らげる効果が期待でき、示談交渉や裁判において有利な事情として考慮されやすいです。

慰謝料減額には不倫発覚後に、すぐに直接または弁護士を通じて謝罪の意を伝え、二度と会わない旨を記載した誓約書を差し入れるなど、誠実な対応が欠かせません。

5.相手夫婦に幼い子どもがいない

相手夫婦に幼い子どもがいない場合も、慰謝料の金額が低くできる要素となります。

幼い子どもがいる場合の不倫は、子どもの精神的な発達への悪影響や、育児で忙しい時期に不倫をされる精神的な苦痛が大きいと判断される傾向にあります。

子どもがいない場合は、子どもへの影響や、育児期の精神的な負担が考慮されないため、慰謝料算定において増額する理由とはなりにくいです。

夫婦二人だけの世帯と、幼い子どもがおり不倫が原因で家庭環境が悪化した夫婦とでは、後者のほうが慰謝料が高額になる可能性が高いでしょう。

6.相手の年齢が若く、資産がない

慰謝料を支払う側の経済力がない場合、支払い能力を考慮して要求額よりも減額されることがあります。

裁判所が高額な慰謝料を命じても、支払い能力がなければ事実上回収することはできません。

判決や和解交渉においては、支払い義務者の経済力が一定程度考慮されるのが実情です。

学生や無職で収入がなく、貯金がないなどの場合に、相場よりも低い金額での和解が成立したり、裁判で支払い能力が考慮された判決が下されたりすることがあります。

7.自分は不倫に消極的だった

自分は不倫に消極的だったにもかかわらず、相手が積極的で関係を継続してしまった場合、不倫に対する責任の度合いが低いと判断され、慰謝料の減額が期待できる可能性があります。

自分から告白しておらず、断りにくい状況で始まった不倫や、相手が既婚者だと知ったときから関係を終わらせようとしていたケースです。

自分から積極的に不倫をはじめたり、関係を維持したわけではないと評価されると、減額の要素として考慮されることがあります。

8.相手夫婦が離婚も別居もしていない

不倫が原因で相手夫婦が離婚も別居もしていない場合、慰謝料は減額される傾向が強いです。

慰謝料の金額を算定する上で「不倫によって婚姻関係が破綻したか否か」が最も大きな要素となります。

不倫をしても離婚や別居に至らない場合は、婚姻関係の破壊の程度が比較的小さいと判断され、慰謝料減額につながるのが一般的です。

不倫が発覚した後、相手夫婦が関係を再構築することを選択し、同居を継続している場合、離婚した場合の慰謝料相場(100万〜300万円程度)に比べ、数十万円〜100万円程度に減額されることが多くなります。

不倫慰謝料を支払わなくてもよいケース7選

慰謝料請求を受けている人の中には、そもそも支払いたくないという方がほとんどでしょう。

不倫の状況によっては、慰謝料を支払う必要がないケースもあります。

1.肉体関係がなかった

肉体関係がなければ不貞行為にはあたらないため、原則として慰謝料の支払い義務は発生しません。

不倫の慰謝料は、主に不貞行為である性交渉によって、平穏な婚姻生活を送る権利が侵害されたことに対する損害賠償です。

二人で頻繁に食事をする、デートやキスをするといった行為ではなく、明確な性交渉の事実が争点となります。

たとえ交際関係にあっても性交渉の経験がなければ不貞行為には該当せず、慰謝料の支払い義務は原則として生じません。

ただし、社会通念上、婚姻関係を破綻させるほど親密な交際であった場合は、例外的に慰謝料が認められるケースも存在します。

2.相手が既婚者だと知らなかった

相手が既婚者であることを知らず、かつ、知らなかったことに注意不足(過失)がない場合は、慰謝料の支払い義務はありません。

不法行為が成立するためには「故意・過失」が必要です。既婚者であると知らなかった(故意がない)、かつ、注意しても知ることができなかった(過失がない)と証明できれば、支払い義務を免れる可能性が高いです。

故意ではない例

・「独身」だと嘘をつかれていた

・マッチングアプリで「未婚」と偽られていた

・独身者のみが参加するお見合いパーティーで出会った

・共通の知人から「独身」として紹介された

・「離婚した」「バツイチ」と聞かされていた

過失がない例

・相手が一人暮らしで、家に配偶者の存在を感じるものがなかった

・土日祝日や夜間でも、問題なく会ったり連絡を取ったりすることができた

・結婚指輪をしていなかった

・相手の両親や友人に紹介されたが、誰も既婚者だと教えてくれなかった

・交際期間が短く、相手のプライベートに深く踏み込む機会がなかった

3.時効が成立している

慰謝料請求権には時効があり、時効が成立すれば支払い義務は消滅します。

不倫の慰謝料請求の時効は、以下2つのうち早い方が適用されます。

  1. 不倫の事実と不倫相手を知った時から3年
  2. 不貞行為があった時から20年

時効を過ぎると、慰謝料を請求する権利(損害賠償請求権)が原則消滅します。

例えば、不倫相手の配偶者が、3年以上前に不倫の事実とあなたの身元を知っていたにもかかわらず、これまで内容証明郵便の送付や裁判の提起といった請求を何もしてこなかった場合、時効が成立している可能性があります。

4.不倫するよりも前に婚姻関係が破綻していた

不倫関係が始まる前から、すでに相手夫婦の婚姻関係が破綻していた場合、慰謝料の支払い義務は発生しない可能性があります。

不倫慰謝料は「平穏な婚姻共同生活を送る権利」という法的に保護される利益が侵害されたことに対する賠償です。

不倫以前から長期間にわたって別居している、離婚調停中であるなど、すでに夫婦関係が破綻していれば、保護されるべき利益が存在しないため、基本的に慰謝料請求は認められません。

例えば、不倫を始める何年も前から相手夫婦は家庭内別居状態で会話もなく、離婚に向けた協議を進めていた事情がある場合、婚姻関係はすでに破綻していたと主張できる可能性があります。

5.相手が既に十分な慰謝料を受け取っている

不倫をされた側が、すでにその配偶者から十分な金額の慰謝料を受け取っている場合、重ねて請求されても支払う義務はありません。

不倫は、不倫した配偶者と不倫相手の二人が共同で行う「共同不法行為」にあたり、二人は連帯して損害賠償責任を負います。

不倫された妻が、不倫した夫との離婚時に慰謝料として適正な金額(例:300万円)を受け取っている場合、その後、夫の不倫相手に対して慰謝料を請求することは、原則として認められません。

不倫した側の一方から十分な賠償を受ければ、精神的苦痛は満たされたとみなされます。

6.強要された関係だった

暴力や脅迫によって肉体関係を強要された場合、自由な意思に基づかないため不貞行為とはならず、慰謝料の支払い義務はありません。

法律上の不貞行為は「自由な意思」に基づくことが前提です。

強姦やそれに近い状況下での性行為は、違法性がなくなり、不法行為は成立しません。

むしろ強要したという事実が、問題となる可能性が高いです。

上司から「関係を持たないと解雇する」と脅されて肉体関係を強要された場合や、暴力を振るわれて抵抗できない状態だった場合などがあたります。

7.ダブル不倫だった場合

いわゆるダブル不倫のケースで、お互いの配偶者がそれぞれ慰謝料を請求し合った場合、法的には支払い義務が生じますが、実質的に金銭のやり取りがなくなることがあります。

それぞれの慰謝料額が同程度と判断されれば、互いの債務を相殺するような形で解決し、結果的に金銭の支払いが不要になることが多いです。

お互いに請求できる慰謝料の金額が、裁判などで共に150万円と算定された場合、お互いに同額の支払い義務を負うため、実質的に支払いが相殺される可能性があります。

裁判をする前に解決したい場合の対処法3選

裁判にはメリットもデメリットもありますが、なるべく裁判にならず、早めに解決したいと考える方もいるのではないでしょうか。

ここでは、裁判をする前に解決したい場合の対処法を紹介します。

誠実に対応する

対処法の1つ目は、誠実に対応することです。

不倫が事実であれば、相手は傷つき、怒りや悲しい感情を抱いているでしょう。

慰謝料を請求する書面を受け取ったのに無視したり、相手の気持ちを考えないような態度を取ったりすることは、相手の怒りを増幅させてしまう可能性があるため、避けることが大切です。

相手の感情を逆撫ですることで、元々主張していた慰謝料額よりも、金額が増額される可能性があります。

慰謝料請求する旨の通知を受け取り、通知された内容が事実の場合は、できる限り誠実に対応しましょう。

反省していることが伝われば、慰謝料の減額や早期解決につながるかもしれません。

証拠を確認する

対処法の2つ目は、証拠を確認することです。

不倫が発覚したということは、相手が何かしらの証拠を持っているはずです。

相手が持っている証拠がどのようなものなのかを確認しましょう。

ほかの人にあまり見られたくないような証拠もあるかもしれません。

裁判になったら、それらの証拠が裁判所に提出される可能性もあります。

また、中には慰謝料の増額につながるような決定的な証拠もあるかもしれません。

裁判になった際、どのような不利益を被るか脳性があるのかを把握しておくためにも、証拠の内容を確認するようにしましょう。

弁護士に交渉を依頼する

対処法の3つ目は、弁護士に依頼することです。

慰謝料請求の交渉では、状況に応じた適切な慰謝料相場を把握したり、相手方の持っている証拠を精査したりする必要があります。

法律の知識と経験が豊富な弁護士に依頼すると、交渉を有利に進めてくれるでしょう。

また、当事者同士の話し合いはどうしても感情的になりがちです。

代理人を通すことで、冷静な話し合いを期待できます。

不倫で訴えられた場合に弁護士に依頼する4つのメリット

不倫で訴えられた場合に弁護士に依頼する4つのメリット

不倫問題で弁護士に依頼するのは、気が引けてしまう方もいるかもしれません。

しかし、弁護士に依頼することでさまざまなメリットもあります。

ここからは、不倫で訴えられた場合に弁護士に依頼するメリットを紹介します。

交渉のストレスから解放される

弁護士に依頼するメリットは、交渉のストレスから解放されることです。

相手方本人や、相手方が依頼した弁護士と直接交渉をするのは多大なるストレスがかかるでしょう。

自身がしてしまったこととはいえ、相手の言い分に納得できず、感情的になる可能性もあります。

弁護士に依頼すれば、交渉や書面のやり取りなど全て代わりに対応してもらえます。

直接交渉するストレスをなくすことができるのはメリットといえるでしょう。

法的なアドバイスを受けられる

弁護士に依頼すると、法的なアドバイスが受けられます。

不倫の慰謝料請求では、請求されている慰謝料が法的に妥当なのか、証拠が有力なのかなど、法的な知識も必要です。

法律に詳しくない場合、誤った知識で交渉にのぞみ、結果的に損をすることもあります。

正確な法律知識とともに対応できるのは、弁護士に依頼する大きなメリットです。

慰謝料を減額できる場合がある

慰謝料を減額できる場合があるのも、メリットのひとつです。

不倫の内容や、不倫によってどのような被害が被っているのかなどによって、慰謝料の金額は変わります。

請求されている金額が妥当なのかどうかは自分だけでは判断しにくいですが、

弁護士に依頼すれば、状況に応じて法的にも適正な慰謝料額を算定してくれるでしょう。

相手は、感情に任せて法外な慰謝料を請求してくる可能性もあります。

損をしないためにも弁護士に依頼しましょう。

裁判の負担が軽減できる

弁護士に依頼するメリットの最後のひとつは、裁判の負担が軽減できることです。

基本的に、裁判期日は平日の日中に行われます。平日の日中に仕事をしていると、毎回必ず出席するのは難しいかもしれません。

弁護士に依頼すれば、裁判の出廷や書面の提出など、わずらわしい手続きを一任でき、負担も大幅に軽減できるでしょう。

不倫で訴えられた場合に依頼する弁護士の選び方

いざ弁護士に依頼しようと思っても、どのような弁護士に依頼すればよいのか悩んでしまいますよね。

ここでは、不倫で訴えられた場合に依頼する弁護士の選び方を解説します。

不倫の慰謝料問題に精通している

まず1つ目は、不倫の慰謝料問題に精通している弁護士を選ぶことです。

弁護士にはそれぞれ得意分野があります。不倫の慰謝料問題を任せたいのであれば、不倫慰謝料をはじめ男女問題に特化した弁護士に依頼しましょう。

法律事務所のホームページを確認すれば、得意分野がわかるはずです。

相談の前に必ずチェックしておきましょう。

不倫して訴えられたら「ベンナビ」で弁護士に相談!

不倫がバレて訴えられてしまった方は、ベンナビの利用がおすすめです。

ベンナビは、自分に合った弁護士を検索できるサイト。

不倫や慰謝料、離婚問題に強い全国各地の弁護士が多数掲載されています。

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接しやすく信頼できる

2つ目は、接しやすく、信頼できる弁護士を選ぶことです。

どんなに優秀な弁護士でも、話しにくいと気軽に相談できません。

弁護士を選ぶうえで相性はとても大切なため、気兼ねなく何でも話せるような弁護士を選ぶとよいでしょう。

料金体系が明確である

3つ目は、料金体系が明確な弁護士を選ぶことです。

弁護士費用は高額なイメージがあり、いくらかかるのか不安に思う方もいるでしょう。

料金体系が明確であれば、トータルでどのくらいの費用がかかるのか想像しやすく、心づもりもできるはずです。

慰謝料の減額交渉のみを弁護士に依頼する場合の、費用の項目と相場は一般的に以下のとおりです。

  • 着手金(契約時に支払う):10万円~30万円程度
  • 報酬金(慰謝料を減額できた場合):減額できた金額の10%~20%程度
  • 相談料:30分で5千円~1万円程度 ※初回無料の場合もあり
  • 実費(印紙や弁護士の交通費など):弁護士や依頼内容によって相場が異なる
  • 日当(出張や出廷など、事務所外の活動):弁護士や依頼内容によって相場が異なる

弁護士に相談した際に料金体系をしっかりと説明してくれる弁護士なら、安心できるでしょう。

まとめ|不倫で訴えられたら弁護士に相談しよう!

不倫がバレて慰謝料請求されたら、まずは相手方との交渉が始まります。

交渉がまとまらなければ、訴訟手続きに移るかもしれません。

訴えられた内容が事実なのであれば、誠実な対応と弁護士への依頼を検討しましょう。

弁護士に依頼することで、交渉や裁判のわずらわしい手続きから解放されます。

法的なアドバイスを受けられるため、場合によっては慰謝料を減額できる可能性もあります。

弁護士を選ぶときは、不倫問題に精通している、話しやすい弁護士を選ぶようにしましょう。

自分に落ち度があるとはいえ、突然慰謝料を請求されたら誰もが驚くはずです。

一人で対応するのが難しい場合は、早めに弁護士に相談してみてください。

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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