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協議離婚のメリット・デメリットは?|状況別で選ぶべき別れ方も紹介

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
協議離婚のメリット・デメリットは?|状況別で選ぶべき別れ方も紹介
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協議離婚は、夫婦間の話し合いで離婚の可否や離婚条件について決めます。手続きが簡単で費用がかからないなどのメリットがありますが、嫌いになってしまった相手と話し合わなくてはいけないなどのデメリットもあります。

離婚にできるだけ費用も時間もかけたくないですよね。1番早く離婚できる方法として協議離婚をおすすめしますが、状況によっては最善な離婚方法とはいえない場合もあります。

この記事では、協議離婚のメリット・デメリットを中心に、どのような状況の人が協議離婚をするとよいのか、協議離婚の流れと一緒に紹介します。

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目次

協議離婚の4つのメリット

夫婦の話し合いだけで完結する協議離婚には4つのメリットがあります。

1:場所や時間を選ばず簡単な手続きで離婚できる

協議離婚は行う場所や時間を選びません。極端な例ですが、車の中や深夜の2時でもすることは可能です。

また、離婚協議書の作成はおすすめしますが、離婚を進める上で必須というわけでもありません。お互いに書かなくてもいいと判断した場合、親権や養育費・財産分与について話し合い、離婚届にサインをするだけで協議離婚は終わり、離婚が成立します。

2:短期間で離婚が成立する

調停や裁判と違って協議離婚は当事者間での話し合いであり、法的な手続きではありません。そのため、裁判所に対して書面を提出して申立てを行ったり、相手に書類が送達されたりするのを待つ必要がありませんし、手続きにかかる費用も発生しません。

話がスムーズにまとまれば、数時間~1日・2日といった短期間で離婚が成立することもあり得ます。

3:裁判と違い法定事由以外でも離婚可能であり離婚事由を証明する必要もない

裁判の場合、法律で決められた理由以外での離婚は認められていないため、『性格が合わない』『生理的に受け入れられない』などの理由で離婚することは基本的にはできません。

また、離婚裁判は事実の有無を証拠で確定した上で当該事実に基づいて離婚事由があるかどうか、離婚が相当かどうかが判断されます。そのため、離婚裁判では事実を証明するための証拠(不倫の証拠写真やDVされたことが分かる医師の診断書など)が必要になります。

これらの証拠は自分で集められるものもありますが、不倫の証拠写真などは探偵に依頼しないと手に入れることが難しいのが通常です。裁判を起こす場合はそれなりに証拠が揃っている場合でないと難しいケースが多いでしょう。

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協議離婚の場合は、『性格が合わない』『愛情を感じられなくなってしまった』などという理由でも当事者が合意すれば離婚可能です。裁判離婚のように離婚理由に限定はありません。お互いが離婚を了承すれば『なんとなく』でも離婚が可能なのです。

また、当事者間の合意で離婚が成立するためあえて事実の証明が必要ないことがほとんど。ただし、離婚とは別に慰謝料などの金銭的要求を行う場合には、これを根拠付ける事実について証拠を揃えるべきでしょう。

しかし、そのような要求を考えておらず、単に離婚だけ進めたいという場合には、証拠は必須ではないのです。そのため、協議離婚を進める場合には、証拠を集めるための時間も費用も必要ありません。

4:お互いの生活に合わせて柔軟に決められる

裁判では裁判所が当事者双方の権利義務関係を一方的に裁定します。特に離婚に関して言えば、離婚を認めるのか認めないのかを必ず判断します。そのため、離婚判断については必ず夫婦のどちらか一方が『負け』になってしまいます。

協議離婚では勝ち負けではなく、今後の生活や今の収入などに合わせて慰謝料・養育費・財産分与の金額や親権・面会交流に対しても柔軟な決め方が可能です。

協議離婚の4つのデメリット

手続きが簡単でお互いに合わせた決め方のできる協議離婚ですが、メリットだけではありません。ここでは、協議離婚の4つのデメリットについて紹介します。

話しをはぐらかされる・応じてもらえない場合は離婚が成立するまでに時間がかかる

協議離婚は短期間で離婚が成立すると記載しましたが、相手が離婚の話を本気にせず話し合いに応じようとしない場合や、話しても毎回はぐらされてしまう場合は、離婚できるまでに時間がかかってしまうこともあります。

私はずっと離婚して欲しいと頼んでいるのに、私が嘘を言っているとでも思っているのか、全く応じてくれません。(引用:別れてくれない旦那。|Yahoo!知恵袋)

理由も話し離婚を申し入れましたが、離婚の話ならしない、と話し合いに応じず埒があかない状態です。(引用:夫のモラハラで離婚を決意、でも夫は応じない|発言小町)

このように、相手が離婚を拒否している、話し合いに応じない場合は協議離婚を諦め他の方法で離婚をするしかありません。こちらの「協議離婚がなかなか成立しない場合の4つの対処法」を参考にしてください。

相手が暴力的・感情的な人でも会わなくてはいけない

協議離婚は相手に会って話し合う必要があります。ですが、なかには相手から過去に暴力を受けたことがあり、2人きりで会うことに恐怖を感じるという人もいるかもしれません。

また、相手配偶者が感情的であったり、モラハラ気質であったりという場合、離婚について冷静に話し合いを続けるということ自体が難しいこともあります。

そんな相手と根気強く離婚するかどうか、離婚の条件をどうするかを話し合うのは並大抵のことではありません。

最悪の場合、相手配偶者が暴力的、感情的になってしまい、2人きりで話し合っていると暴力や脅迫と言った危害を加えられる可能性もあります。

2人だけで離婚条件や財産分与について決めなくてはいけない

離婚自体は簡単ですが、財産分与、親権、養育費、慰謝料など離婚時に取り決めておくべき事柄は多数あります。離婚後のトラブルを少しでも減らすためには、それらについて細かく決めておく必要があります。

そして、このような離婚条件は法的に複雑な問題も含んでいますので、当事者双方だけで的確に話を進めるということは、容易なことではありません。

また、こちらが一生懸命決めようとしているのに、相手が協力してくれず「どうでもいいよ。」などと言われてしまい、まったく話が進まないということもありえます。

相手に有利な条件で離婚が成立してしまう可能性もある

協議離婚は話し合いですべてを決めていくことになります。

しかし、相手配偶者に対する恐怖等で精神的に逆らえない・相手に言い負かされてしまい自分の主張がうまくできないといった場合、相手に言われるがままに離婚条件が決まってしまい、不本意な条件で離婚が成立してしまうかもしれません。

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協議離婚のデメリットをできるだけなくす4つの対策

協議離婚にはデメリットがありますが、できるだけなくすことは可能です。ここでは、デメリットに対する対策を紹介します。

話しをはぐらかされる場合|別居をしてから協議離婚をする

何度離婚したいことを伝えても、相手が話しをはぐらかす場合は、離婚意思を明確にするために別居することも検討するべきでしょう。

離婚するという言葉を話半分に聞いているような相手でも、夫婦の一方が家を出ていったということであれば「きちんと話をしなければならない。」と思い直す可能性はあるように思われます。

もしそれでも、離婚に応じてくれない場合や「バカなことをしていないで、早く帰ってこい。」と離婚について話をしてもらえない場合、別居期間を長めに取ってみるか、協議離婚以外の方法で離婚することを考えた方が良いかもしれません。

なお、相手が話し合おうとしているのに一方的に家を出て話し合いを拒否してしまうと有責配偶者と評価されてしまい、離婚したくても離婚できないということにもなりかねませんので注意しましょう。

相手が暴力的な人でも会わなくてはいけない|カフェの個室など他の人もいるところで行う

家で2人きりになってしまうと危険がおよぶ可能性があります。そういった場合、すぐに助けを呼べる場所で話し合うことをおすすめします。

2人だけで離婚条件や財産分与について決めなくてはいけない|何を決めたらよいのか弁護士に相談してみる

何を決めるべきかわからない場合は、こちら『公正証書に絶対に記すべき内容」を参考にしてみてください。

弁護士に相談してみるのも1つの方法です。何をどのように決めればいいのか・離婚後にできるだけトラブルにならないための方法なども教えてもらうことができます。

無料相談を行っている事務所もありますし、法テラスでも無料相談を受け付けています。

相手に有利な条件で離婚が成立する|公平に話しを進められるように金額の相場の資料などをそろえておく

相手に有利に進めさせないために、養育費・財産分与・慰謝料について相場を調べてまとめておきましょう。

また、親権を獲得するための条件や面会交流の回数などについても事前に調べておく必要があります。

協議離婚で別れる方がメリットの多い状況・デメリットの方が多い状況

協議離婚はメリットがある一方、デメリットもあります。メリットよりもデメリットが大きいような場合は、協議離婚で別れることが最善の方法とは言えません。

ここでは、協議離婚で別れるほうがメリットの多い人、逆にデメリットの多い人を紹介します。

協議離婚で別れる方がメリットの多い状況

メリットの多い人は、以下のような状況の人です。

  • 子供がおらず親権や面会交流について争わない場合
  • 離婚条件について詳細を詰める必要がない場合
  • 離婚理由が性格の不一致など法定の離婚事由ではない場合
  • 少しでも早く離婚したい場合
  • 相手も離婚することに合意している場合
  • 相手にもしっかり話し合い円満に離婚したい意思がある場合

離婚の可否や親権の有無について争いがなく、離婚する理由が『愛情が冷めてしまった』『性格が合わない』など法定外のものである場合は協議離婚をおすすめします。

争う内容がないのに調停を無理に利用する必要はありません。

協議離婚で別れるとデメリットの方が多い状況

逆に、デメリットが多い人は、以下のような状況の人です。

  • 一方に離婚意思がない場合
  • お互い子供とは離れたくないと思っている場合
  • 相手が暴力的・感情的で冷静な話し合いが難しい場合
  • お互いに自分の意見を譲らない性格の場合
  • 離婚条件について詰めるべきものが多数ある場合

特に一方が頑なに「離婚したくない。」と主張している場合は、協議離婚で別れようとすると長い時間が必要になってしまうでしょう。

このように相手に離婚意思がないけれども、法定の離婚事由についてしっかり証拠があるといった場合は、早急に調停を申し立てて裁判所の手続きで離婚を進める方が賢明といえます。

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協議離婚の流れ|離婚を成立させる5つの流れ

実際に協議離婚をする場合の始め方や進め方を紹介します。

1:離婚の準備を始める

まず離婚をする前に、離婚が成立した場合に住むところや、自立するための就職先の確保などの準備をしましょう。また、親権を獲得するつもりであれば、子供と生活することを考え、預け先や学校についても考える必要があります。

また、今後の生活以外にも、財産分与をするために夫婦の共同財産がどのくらいあるのかを確認しましょう。

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2:相手に離婚の話を切り出す

準備が整ったら相手に離婚したい旨を伝えましょう。相手に離婚意思を伝えるときにこちらが感情的になってしまうと、相手も感情的になってしまってけんかの原因になってしまいます。

そうなってしまっては離婚の話し合いどころではありません。できるだけ冷静に、何故離婚したいのかを説明することが大切です。

離婚したい理由が不倫の場合は証拠を見せるのもいいでしょう。また、離婚後の生活を具体的にどうするか説明することで、相手に反論させにくくします。

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3:離婚の条件を話し合う

相手が離婚することに同意したら、慰謝料・養育費・財産分与・親権などの離婚条件について話し合いましょう。金銭に関しては、金額・支払い日時以外にも、支払いが遅れた場合の延滞料や利息を決めておくとよいでしょう。

延滞料や利息を決めておくことで、緊張感が生まれ未払いを抑制できます。

子供が親権を持っていない親を慕っている場合、面会交流についてしっかり決めておくことが大切です。会う回数以外にも、会う場合の費用はどちらが持つかなども決めておくとトラブルを回避することができます。

【関連記事】
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4:離婚協議書を作成する

離婚協議書とは、当事者間の合意で定めた離婚条件をまとめて記載した文書です。離婚協議書に当事者の権利義務を明記した上で当事者双方がこれに署名すれば、その内容に法的な拘束力をもたせることが可能です。

そのため、相手が協議書で定めた義務を履行しない場合、これに基づいて裁判所に訴訟を提起した上で強制執行を行うことが可能です。

こちら『離婚協議書の書き方とサンプル|離婚後に約束を守らせる方法』を参考に作成してみてください。もし、自分たちで作成するのが難しい場合は弁護士に依頼することも可能です。

離婚協議書は公正証書にしましょう!

離婚協議書を公証役場に持参して『公正証書』にすることで、金銭債権(養育費や慰謝料などの支払い)に対し訴訟手続きを経ることなく強制執行手続きができます

例えば、養育費について支払いを決めて公正証書にしたのにもかかわらず離婚後に相手が養育費の支払いを滞らせた場合、訴訟を行わなくても強制執行手続きで預金口座や給料の差押えをすることが可能です

ただし、強制執行をするには執行認諾文言という、『記載内容を守らなかった場合に強制執行をする』という予告分と『強制執行されることに合意します』という合意文を記載する必要があります。

これの文言を記載するのは任意ですので、公証役場に行く前に記載することについて話し合いましょう。また、離婚協議書は夫婦で持って行く必要があり、作成には2~3週間必要になります。

【関連記事】
離婚時に公正証書を作成すべき理由と作成方法の手順
協議離婚で公正証書を作るベストタイミングとは|費用や作り方を解説

5:離婚届を提出する

協議離婚で話しがまとまり、公正証書の作成を申請したら離婚届(ダウンロード)を作成しましょう。

離婚届を書く際は、こちら『離婚届の失敗しない書き方と記入時に注意するポイントまとめ』を参考にしてください。

離婚届を作成する際に、証人が必要になります。証人は、20歳以上でこちらが離婚することを知っていれば、誰でも問題ありません。誰にも頼めない場合は、弁護士にも依頼することが可能です。

【関連記事】
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離婚届の証人について知っておくべきこと
離婚届の必要書類と提出する際の注意点まとめ

協議離婚で離婚が成立しなかった場合

協議離婚をしたがもめてしまった・DVやモラハラの被害を受けていて相手と会いたくない・協議離婚したいのに相手がまったく離婚に応じてくれないなど、協議離婚で別れられない場合もあります。

そのような場合は『離婚調停(夫婦関係調整調停)』を申し立てましょう。調停では、調停委員に対しもめてしまった理由や事情・離婚に至った原因などを話します。調停委員は双方の事情を聞いた上で、解決案の提示や助言をしてくれます。

調停は1人ずつ別室で行いますので、相手に会う必要がありません。話し合いに一切応じない相手でも、裁判所から『出頭するように』と手紙が来たら、しぶしぶ話し合いに応じてくれるかもしれません。

調停は話し合いと合意によって進みますので、お互いに納得できる・負担になりすぎない内容で話をまとめることが可能です。

また、「話し合いはもういいから裁判がしたい!」という人もいると思いますが、日本では裁判の前に必ず調停をする(調停前置主義)決まりになっています。調停手続きをすっとばしていきなり裁判をすることは基本的にはできないのです。

調停で話がまとまりそうにない場合は、調停を行いながら裁判に向けての準備を行いましょう。また、弁護士に依頼して一緒に出頭するのも1つの方法です。

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まとめ|協議離婚で円満に別れるためには

もめにもめて離婚するより、できれば円満に離婚したいですよね。そのためには、自分の要望だけではなく相手の収入や、今後の生活を考えた上で金銭を請求したり面会交流を求めたりする必要があります。

相手に愛情がなくなってしまったからといっても、ずっと一緒にいた人です。多少でも感謝の気持ちを持って話し合いに望むことが、円満に別れる秘訣かもしれません。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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