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離婚後の養育費を払わなくていい場合とは?いつまで支払うのか・相場についても解説

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離婚後の生活で「養育費が家計を圧迫していて払えない」「離婚後、養育費を払っていける気がしない」と一人で不安を抱えている方も少なくありません。

子どもへの責任はあっても、病気や再婚、収入減により養育費が支払えなくなることは誰にでも起こり得ます

本記事では、養育費を払わなくていい場合や減額の条件、相場を決める算定表の見方を詳しく解説します。

いつまで養育費を支払うべきか、不払いによる差し押さえリスクまで網羅しました。

現状を正しく把握し、解決への一歩を踏み出しましょう。

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目次

離婚後は養育費の支払い義務がある

親である以上、離婚後も子どもを扶養する義務は継続します。

養育費は、子どもの生活費・教育費・医療費などをまかなうためのお金であり、離婚した非監護親にも、支払い義務が課されます。

そのため、「養育費を払いたくない」という気持ちだけで支払いを拒否することはできません。

正当な理由なく支払いを怠ると、給与差し押さえなどの強制執行を受けるリスクがあります。

養育費は「子どもが経済的に自立するまで」支払う

養育費の支払い期間は、原則として「子どもが経済的に自立するまで」です。

ただし、法律で明確な終期は定められていません

多くの場合、当事者間の合意によって「20歳まで」や「大学卒業まで」と取り決めます。

近年は大学進学率が上昇していることもあり、家庭裁判所の調停・審判では「4年制大学卒業時(22歳に達した後の3月)まで」と定めるケースが多いです。

一方で、子どもが高校卒業後に就職した場合は、18歳で経済的に自立したとみなされ、支払い義務が終了することもあります。

離婚協議書や公正証書を作成する際は「長男○○が22歳になったあと最初に到来する3月まで毎月〇万円を支払う」など、終期を具体的に明記しておくのがおすすめです。

曖昧な表現は後々のトラブルにつながります。

養育費の平均は2万円~4万円

養育費の平均金額は2万円~4万円です。

養育費の金額は、裁判所が公表している「養育費算定表」を目安に決定します。

算定表では、支払う側・受け取る側それぞれの年収と、子どもの人数・年齢をもとに月額の目安が示されています。

全国の家庭裁判所で広く活用されており、調停や審判でも算定表をベースに養育費額を決めるのが一般的です。

たとえば、支払う側(給与所得者)の年収が500万円、受け取る側の年収が200万円、子どもが10歳で1人の場合、算定表上の相場は月額4〜6万円程度となります。

養育費算定表

ただし、算定表はあくまで目安です。

子どもの教育費や医療費など特別な事情がある場合は、増減が認められるケースもあります。

離婚後に養育費を払わなくていい場合9選

養育費には支払い義務がありますが、一定の条件を満たせば免除・または減額が認められるケースもあります。

ここからは、養育費を払わなくていい(または減額できる)具体的な9つのケースを解説します。

1.どうしようもない理由で収入がない

病気やケガ、リストラなど、自分ではどうしようもない理由で収入がなくなった場合、養育費の支払いが免除・減額される可能性があります。

具体的には、以下のようなケースが該当します。

  1. 重病や障害により働けなくなった
  2. 勤務先の倒産・リストラで失業した
  3. 事故による長期入院で収入が途絶えた

ただし、「収入がないから養育費を払えない」と主張するだけでは認められません。

支払い能力の有無は、最終的に家庭裁判所が判断します。

診断書や離職票など、客観的な証拠を提出し、支払いたくても支払えない状況であることの証明が必要です。

自己都合による退職や、意図的に収入を減らした場合は、免除や減額が認められにくい点に注意しましょう。

2.生活保護を受けている

生活保護を受けていても、養育費の支払い義務自体はなくなりません

生活保護は「最低限度の生活を保障する」制度であり、養育費の支払い義務を免除するものではないためです。

ただし、生活保護受給中は「支払い能力がない」と判断され、実質的に支払いを免除されるケースもあります。

家庭裁判所も、現実的に養育費の支払いは困難と判断するのが一般的です。

生活保護から脱却し、収入を得られるようになった場合は、改めて養育費の支払い義務が発生する可能性があります。

3.相手のほうが収入が多い

養育費を受け取る側(監護親)のほうが収入が多い場合、養育費が減額される、またはゼロになる可能性があります。

養育費は、双方の収入バランスをもとに算出されます。

受け取る側の収入が支払う側を大きく上回る場合、「養育費を受け取らなくても子どもを十分に養育できる」と判断されることも少なくありません。

たとえば、支払う側の年収が300万円、受け取る側の年収が800万円といった場合、算定表上の養育費がゼロ、または極めて低額になります。

ただし、収入差があるだけで自動的に免除されるわけではない点に注意が必要です。

減額・免除を求めるには、養育費減額調停を申し立て、家庭裁判所に判断してもらう必要があります。

4.支払わないことで相手と同意した

養育費の取り決めは、当事者間の合意が基本です。

養育費を支払わないことで双方が納得していれば「養育費なし」という条件で離婚することも可能です。

ただし、口約束だけではあとからトラブルになるリスクが考えられます。

「養育費は請求しない」と合意したにもかかわらず、数年後に「やっぱり払ってほしい」と請求されるケースも少なくありません。

トラブルを防ぐためには、離婚協議書や公正証書に「養育費の支払いは行わない」旨を明記しておくのがおすすめです。

書面に残しておけば、後から請求された場合でも、合意内容を証明できます。

5.子どもが元配偶者の再婚相手と養子縁組をした

元配偶者が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組をした場合、養育費の減額・免除が認められる可能性があります。

養子縁組により、再婚相手が子どもの「法律上の親」となります。

養親が優先的に扶養義務を負う結果、実親の義務は二次的な扱いです。

たとえば、元妻が再婚し、子どもが再婚相手の養子になった場合、養育費の減額または免除を求める調停を申し立てられます。

ただし、養子縁組をしただけでは、自動的に免除されません

正式に免除・減額を認めてもらうには、家庭裁判所での手続きが不可欠です。

6.子どもが配偶者の連れ子で、養子縁組を解消した

配偶者の連れ子と養子縁組をしていた場合、離縁(養子縁組の解消)によって養育費の支払い義務がなくなります。

養育費の支払い義務は、法律上の親子関係に基づいて発生するのが原則です。

養子縁組を解消すれば親子関係がなくなるため、扶養義務も消滅します。

離縁届を市区町村役場に提出し、受理されれば養子縁組は解消されます。

養育費の支払い義務も、離縁が成立した時点でなくなります。

7.支払いが終わりとなる期限を迎えた

離婚時に取り決めた支払い期限を迎えれば、養育費の支払い義務は終了します。

養育費の支払い期限は「子どもが20歳になるまで」「大学を卒業するまで」など、夫婦間の合意で決めることが可能です。

たとえば「長男が22歳に達した年の3月まで」と取り決めていた場合、大学卒業のタイミングで養育費の支払い義務がなくなります。

ただし、期限を明確に定めていなかった場合は、トラブルになりやすい点に注意が必要です。

また「成人まで」と決めていた場合、2022年4月の民法改正で成人年齢が18歳に引き下げられたことにより、解釈が分かれるケースもあります。

民法改正前に取り決めていた場合は20歳まで、民法改正後に取り決めをおこなった場合は18歳まで養育費を支払うのが原則です。

8.子どもが就職し、経済的に自立した

子どもが就職して経済的に自立すると、養育費の支払い義務がなくなる場合があります。

養育費は、子どもが「経済的に自立するまで」支払うものです。

高校卒業後に就職し、自分の収入で生活できるようになれば、扶養の必要性がなくなったと判断され、養育費の支払いを終了できる可能性があります。

ただし、「就職した」というだけで自動的に終了するわけではありません。

アルバイトやパートなど収入が不安定な場合は、自立したとはみなされないケースもあり、状況によって減額の可否が異なります。

支払いを終了したい場合は、相手方と協議するか、家庭裁判所に養育費減額(免除)調停を申し立てましょう。

9.養育費を請求する権利の時効が完成した

養育費の請求権には時効があります。

一定期間請求がなければ、支払いを拒否できる可能性が高いです。

時効期間は、取り決めの方法によって異なります。

取り決め方法 時効期間
口約束・離婚協議書のみ 各支払期日から5年
調停・審判・判決で確定 確定日から10年

たとえば、離婚時に口約束で養育費を決めたものの、相手方から7年間一度も請求がなかった場合は、「時効なので支払いません」と主張(時効の援用)できます。

ただし、時効は自動的に成立するわけではありません。

支払う側が「時効を援用する」と明確に意思表示する必要があります。

時効の援用が認められるかどうかは、個別の事情によって判断が分かれるため、弁護士に相談して、適切な対応を確認しましょう。

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離婚後の養育費を減額できる可能性が高い4つの場合

養育費の免除が難しい場合でも、「減額」であれば認められる可能性があります。

ここからは、養育費の減額が認められやすい6つのケースを解説します。

自分の状況に当てはまるものがないか、確認してみてください。

1.受け取る側が再婚した

養育費を受け取る側(監護親)が再婚した場合、養育費の減額が認められる可能性があります。

再婚相手の収入が加わることで、受け取る側の世帯全体の経済力が向上するケースが多いためです。

一方で、再婚相手の収入が低い場合や、養子縁組をしていない場合は、減額が認められにくい傾向にあります。

元配偶者の再婚を知ったら、減額調停を申し立てる前に、弁護士へ減額について相談しておくのがおすすめです。

2.支払う側が再婚し、子どもができた

養育費を支払う側が再婚し、新たに子どもが生まれた場合も、養育費の減額が認められやすいです。

再婚相手との間に子どもが生まれると、その子どもに対しても扶養義務が発生します。

扶養すべき人数が増えれば、一人あたりに割り当てられる扶養能力は低下することがほとんどです。

支払い能力に対する負担割合が変わるため、減額が認められやすくなります。

減額を求めるには、養育費減額調停を申し立て、家庭裁判所に「扶養家族が増えた」という事情変更を認めてもらわなければなりません。

戸籍謄本や住民票など、再婚・出生を証明する書類を準備しておきましょう。

3.支払う側が再婚し、相手の子どもと養子縁組をした

養育費を支払う側が再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組をした場合も、減額が認められる可能性が高いです。

養子縁組をすると、連れ子に対しても法律上の扶養義務が発生します。

扶養すべき子どもの人数が増えることは、既存の養育費負担を見直す機会となります。

ただし、養子縁組の事実があるだけで、自動的に減額されるわけではありません。

減額を認めてもらうには、家庭裁判所で調停を行い、扶養家族の増加による負担の変化を主張する必要があります。

4.支払う側の支出がやむを得ない理由で増えた

やむを得ない理由で支払う側の支出が大幅に増えることも、養育費の減額が認められる理由の一つです。

収入は変わらなくても、支出が増えれば実質的な支払い能力は低下します。

生活を維持するために必要な支出であれば、減額の理由として認められる可能性が高いです。

減額が認められやすい支出の例は、以下のとおりです。

  • 自身の病気やケガによる高額な医療費
  • 親の介護にかかる費用
  • 災害による住居の修繕費用

ただし、趣味や娯楽、ギャンブルなど自己都合による支出増加は認められません。

減額を求めるには、支出増加を証明する書類(医療費の領収書、介護サービスの契約書など)を準備し、家庭裁判所に養育費減額調停を申し立てる必要があります。

離婚後の養育費を免除・減額するための流れ

離婚後の養育費を免除・減額するための流れ

養育費の免除・減額を認めてもらうには、正しい手続きを踏む必要があります。

ここからは、養育費の免除・減額を実現するための具体的な流れを解説します。

相手と話し合い、交渉する

養育費の減額・免除を求める場合、まずは相手方との話し合いから始めます。

双方が合意すれば、家庭裁判所の手続きを経ずに養育費の変更が可能です。

調停や審判に比べて、時間も費用もかかりません。

話し合いでは、減額・免除を求める理由を具体的に説明します。

収入の減少や扶養家族の増加など、客観的な事情を伝えることが大切です。

合意が成立したら、必ず書面に残しておきましょう

口約束だけでは、あとから認識の相違が生じ、言った・言わないのトラブルになりかねません。

できれば公正証書にしておくと安心です。

当事者だけでの交渉が難しい場合は、弁護士に間に入ってもらうのもおすすめです。

弁護士に相談する

離婚後は感情的なしこりが残っていることも多く、冷静な話し合いができないケースも少なくありません。

弁護士に依頼すれば、相手方との交渉を代行してもらえます。

「自分のケースで減額が認められるか」「どのくらい減額できそうか」といった見通しも、弁護士に相談すれば具体的なアドバイスを受けることも可能です。

初回相談を無料で受け付けている事務所も多いので、まずは相談してみてください。

養育費減額調停を申し立てる

相手が話し合いに応じてくれなかったり、免除・減額を拒否されたりして話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に養育費減額調停を申し立てます

調停では、調停委員が間に入り、双方の主張を聞きながら合意点を探ります。

裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話し合いによる解決を目指す手続きです。

調停で合意に至れば、裁判所によって調停調書が作成されます。

調停調書は裁判の判決と同じ効力を持つため、新たな養育費の金額が正式に確定します。

相手の合意を得られず調停が不成立の場合は、審判に移行するのが一般的な流れです。

審判では、双方の主張や提出された資料などをもとに、裁判官が養育費の免除・減額の妥当性を判断します。

裁判官の審判に納得できない場合には、審判の告知から2週間以内であれば不服申し立てが可能です。

【注意】その理由では免除・減額されません

養育費の減額・免除には、正当な理由が必要です。

「払いたくない」という気持ちだけでは認められません。

ここからは、減額・免除が認められにくい理由を解説します。

1.子どもと会わせてもらえない

「子どもに会わせてもらえないから養育費を払わない」という主張は、減額・免除の理由として認められません。

養育費と面会交流は、法律上、別々の問題として扱われます

面会交流ができないことを理由に、養育費の支払いを拒否することはできません。

「会わせてくれないなら払わない」という対応を取ると、養育費の未払いとして強制執行の対象になる可能性があります。

面会交流に問題がある場合は、養育費とは別に対処しましょう。

家庭裁判所に面会交流調停を申し立てれば、面会の条件を改めて交渉することが可能です。

養育費の減額と面会交流の問題を同時に抱えている場合は、弁護士に相談して、それぞれの対応策を整理するのがおすすめです。

2.支払う側の減収が予測できた

離婚時に支払う側の収入の減少が予測できた場合は、減額の理由として認められにくいです。

離婚時点で「数年後に収入が下がる」と予測できていた場合、すでにその事情は織り込み済みと判断されます。

たとえば、以下のようなケースは減額が認められにくいでしょう。

  1. 定年退職による収入減少
  2. 契約社員・派遣社員としての雇用期間満了
  3. 退職予定を伝えたうえで離婚した場合

減額が認められるのは、離婚時に予測できなかった「やむを得ない事情の変更」があった場合です。

予測可能だったかどうかの判断は難しいケースもあるため、迷った場合は弁護士に相談してみてください。

3.借金がある

「借金があるから養育費を払えない」という理由は、原則として減額・免除の根拠になりません。

養育費は、子どもの生活を維持するために優先度の高い支出として位置づけられています。

借金の返済よりも、養育費の支払いが優先されるのが一般的な考え方です。

特に、ギャンブルや浪費による借金は、減額の理由として認められる可能性は極めて低いでしょう。

たとえ、借金を返済できずに自己破産したとしても、養育費の支払い義務は存続します。

借金と養育費の支払いで生活が成り立たない場合は、債務整理と養育費の問題をあわせて弁護士に相談するのがおすすめです。

4.自己都合で退職した

自己都合による退職は、養育費減額の理由として認められにくい傾向にあります。

養育費の減額が認められるのは、やむを得ない事情による収入減少の場合です。

自分の意思で退職した場合は、働こうと思えば働ける状態とみなされます。

家庭裁判所は、退職前の収入をもとに「潜在的稼働能力」を算定し、その金額をベースに養育費を判断します。

「退職したから収入がない」と主張しても、以前と同等の収入を得る能力があると判断されれば、減額は認められません。

正当な理由なく離婚後養育費を支払わない場合の3つのリスク

「払いたくない」という理由で養育費の支払いを止めると、大きなリスクを負うことになります。

ここからは、養育費を支払わなかった場合に起こりうる3つのリスクを解説します。

1.差し押さえ(強制執行)される

養育費を支払わないと、給与や預貯金を差し押さえられるおそれがあります。

公正証書や調停調書、判決などで養育費の取り決めがある場合、相手方は裁判所を通じて強制執行を申し立てることが可能です。

差し押さえの対象になるのは、主に以下の財産です。

  • 債権(給与・預貯金・生命保険 など)
  • 不動産(建物・土地 など)
  • 動産(現金・自動車・宝石類 など)

特に給与の差し押さえは影響が大きいでしょう。

勤務先に裁判所から通知が届くため、養育費を滞納している事実が会社に知られてしまいます。

差し押さえを避けるためにも、支払いが難しい場合は放置せず、減額調停を申し立てるなど正式な手続きを取りましょう。

公正証書がある場合

「強制執行認諾文言」付きの公正証書があれば、裁判なしで直ちに差し押さえが可能です。

公正証書は、債務名義として裁判の確定判決と同じ効力を持ちます

養育費の支払いが滞れば、受け取る側はすぐに裁判所へ強制執行を申し立てられます。

具体的な差し押さえ(強制執行)の流れは、以下のとおりです。

  • 受け取る側が公正証書を地方裁判所に提出
  • 裁判所が差押命令を発令
  • 給与や預金口座が差し押さえられる

公正証書で養育費を取り決めている場合は、養育費を支払わないという選択肢は事実上ありません。

公正証書がない場合

公正証書がない場合、相手方はまず家庭裁判所で「債務名義」を取得する必要があります。

口約束や当事者間で作成した合意書だけでは、法的な強制力がありません。

差し押さえをおこなうには、裁判所が作成した公的文書が必要です。

公正証書がない場合に、相手方が取る手続きの流れは、主に以下のとおりです。

  • 養育費請求調停を申し立てる
  • 調停で合意すれば「調停調書」が作成される
  • 合意できなければ審判に移行し「審判書」が作成される

調停調書や審判書が作成されると、公正証書と同様に強制執行が可能になります。

養育費の支払いが難しい状況において「公正証書がないから差し押さえのリスクはない」と考えるのは危険です。

相手方が調停を申し立てれば、いずれ差し押さえされる恐れがあります。

法定養育費制度と先取特権の導入

2026年4月の民法改正により「法定養育費制度」と「先取特権」が導入されます。

法定養育費制度とは、離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、法務省が定めた最低限の金額を離婚日から支払う義務が発生する制度です。

「取り決めがないから払わなくていい」という主張は、今後通用しなくなります。

さらに、養育費には「先取特権」が付与されます。

先取特権とは、ほかの債権者よりも優先的に支払いを受けられる権利のことです。

養育費の未払いがあれば、ほかの債務よりも優先して回収されます。

法改正により、養育費の回収手続きがより強化されます。

2.遅延損害金を請求される

養育費を滞納すると、未払い分に加えて遅延損害金を請求される可能性があります。

遅延損害金とは、支払いが遅れたことに対するペナルティです。

夫婦間の話し合いにより遅延損害金の利率を定めている場合は、その利率が適用されます。

滞納期間が長引くほど、支払総額は膨らんでいきます。

「今は払えないからあとでまとめて払う」という考えは、結果的に負担を増やすことにつながりかねません。

3.裁判所の呼び出しに応じなければ刑事罰対象になる

養育費に関する裁判所の呼び出しを無視すると、刑事罰の対象になる可能性があります。

財産開示手続きへの出頭を拒否したり、虚偽の陳述をしたりすると、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されます。

(陳述等拒絶の罪)

第二百十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

五 執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓を拒んだ開示義務者

引用:民事執行法 | e-Gov 法令検索

財産開示手続きとは、養育費を回収するために、支払う側の財産状況を裁判所で明らかにする手続きです。

「無視すれば逃げられる」という対応は通用しないため、裁判所から通知が届いた場合は、必ず対応しましょう。

どう対処すべきかわからない場合は、弁護士に相談してください。

共同親権制度の影響

2026年4月に施行される改正民法により、離婚後も共同親権を選択できるようになりました。

ただし、共同親権になった場合でも、養育費の支払い義務はなくなりません

あくまで共同親権は、子どもの教育方針や医療などの重要事項を共同で決定する制度です。

養育費は子どもの生活費を分担するものであり、親権の形態とは別の問題として整理されています。

離婚後に共同親権者となった場合でも、子どもと主に生活していない親は、主たる監護者に対して養育費を支払う必要があります。

「共同親権だから払わなくていい」という認識は誤りです。

養育費の減額・免除を求める場合は、従来どおり調停などの手続きが欠かせません。

離婚後に一度免除・減額された養育費を再請求される場合もあります

養育費は、当事者双方の経済状況に応じて決められるものです。

状況が変われば、再び増額を求められる可能性があります。

ここからは、一度免除・減額された養育費が再請求されるケースを解説します。

1.元配偶者が離婚し、子どもも相手と離縁した

養育費を受け取る側の元配偶者が再婚相手と離婚し、子どもが養子縁組を解消した場合、養育費の再請求を受ける可能性があります。

養子縁組により養育費が免除・減額されていた場合の根拠は「養親が第一の扶養義務者になった」という点にあります。

離縁によって養親との親子関係がなくなれば、実親の扶養義務が再び第一順位に戻ります

元配偶者の再婚生活が続いている間は問題ありませんが、状況が変われば再請求されるリスクがあることを覚えておきましょう。

2.支払う側が再婚後に離婚して、扶養家族が減った

支払う側が再婚によって養育費を減額されていた場合、再婚相手と離婚すると、養育費の増額を求められるおそれがあります。

養育費減額の根拠は「扶養する家族が増えたこと」です。

離婚によって扶養家族が減ることで、減額の前提がなくなります。

養育費を受け取る側の元配偶者が、再婚相手と離婚したことを知れば、養育費増額調停を申し立てる可能性が高いといえるでしょう。

再婚後の生活に変化があった場合は、養育費の問題も改めて発生することが否定できません。

3.支払う側の収入が増えた

支払う側の収入が増えた場合、養育費の増額を請求されるおそれがあります。

養育費は、双方の収入バランスに基づいて算定されるのが一般的です。

離婚時より収入が大幅に増えたのであれば、「子どもの扶養に充てられる金額も増えるはず」と判断されかねません。

元配偶者があなたの収入増加を知れば、養育費増額調停を申し立てることも考えられるでしょう。

収入が増えたからといって、必ず増額が認められるわけではありませんが、リスクがあることは認識しておくと安心です。

4.支払う側の支出が減った

支払う側の支出が減った場合も、養育費の増額を請求されることにつながります。

減額の根拠が扶養家族の増加や、医療費などの支出増加だった場合、支出がなくなれば前提が変わります。

「余裕ができたなら養育費を増やしてほしい」と、養育費を受け取る側から請求される可能性も高いです。

生活状況の変化があった場合は、養育費の問題が再燃する可能性を念頭に置いておきましょう。

離婚後の養育費について弁護士へ相談するメリット

養育費の減額・免除を検討している場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に依頼するメリットは、主に以下の3つです。

  • 状況にあわせた減額・免除が可能か、法的な見通しが立つ
  • 精神的負担の大きい元配偶者との交渉をすべて任せられる
  • 調停・審判などの法的手続きを有利に進められる

弁護士は法律と交渉の専門家です。

養育費に関する豊富な知識と過去の事例をもとに、あなたの状況に応じた解決策を提案してくれます。

感情的になりがちな元配偶者との交渉も、弁護士が代理することで冷静に進められるでしょう。

初回相談を無料で受け付けている事務所も多いので、まずは「自分のケースで減額が認められそうか」を相談してみてください。

弁護士への相談は「ベンナビ離婚」がおすすめ

養育費の減額・免除について弁護士に相談するなら、「ベンナビ離婚」がおすすめです。

ベンナビ離婚は、離婚問題に強い弁護士を簡単に探せるポータルサイトです。

全国の弁護士事務所が登録しており、お住まいの地域や相談内容から最適な弁護士を見つけられます。

24時間相談可能な弁護士も多数掲載されているので、離婚後に養育費の支払いが難しい場合は、ベンナビ離婚で弁護士に相談してみてください。

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離婚後の養育費に関するよくある質問

養育費の減額・免除に関するよくある質問に回答します。

Q1. 自己破産をすれば養育費の支払い義務はなくなりますか?

いいえ、養育費の支払い義務は自己破産をしてもなくなりません

自己破産の手続きが完了し、他の借金がゼロになったとしても、過去に未払いだった養育費や、将来発生する養育費の支払い義務はそのまま残ります。

「自己破産すれば養育費も払わなくて済む」という認識は誤りです。

養育費が支払えない場合は、自己破産とは別に養育費減額調停を申し立てる必要があります。

Q2. 口約束で決めた養育費の減額は法的に有効ですか?

口頭での契約も法律上は成立するため、当事者間の合意としては有効です。

しかし、書面に残さないとあとから、トラブルに発展するリスクが高くなります。

たとえば、あとから言った・言わないの争いになった場合、書面がなければ合意内容を証明する手段がありません。

口約束だけでは、法的な手続きでその合意を主張することは難しいでしょう。

養育費の減額で合意したら、必ず合意書を作成し、可能であれば公正証書にしておくと、より確実です。

Q3. 海外に移住した場合、養育費の支払いはどうなりますか?

海外に移住しても、養育費の支払い義務はなくなりません

日本は「ハーグ条約」や「扶養義務の準拠法に関する法律」に加盟しており、国際的な扶養義務の履行確保に協力する体制が整っています。

海外に移住したからといって、支払いから逃れられるわけではないことを理解しておきましょう。

たとえば、日本で取り決めた養育費を支払わないままアメリカに移住した場合、日本の裁判所の決定に基づき、アメリカ国内の給与や資産が差し押さえられる可能性があります。

「海外に行けば払わなくていい」という考えは通用しないため、海外移住を検討している場合でも、減額調停などの正式な手続きを取りましょう。

まとめ

養育費には支払い義務がありますが、正当な理由があれば減額・免除が認められる場合があります。

ただし、「払いたくない」という理由だけでは原則として認められません。

正当な理由なく支払いを怠ると、給与の差し押さえや刑事罰のリスクがあります。

養育費の減額・免除を検討している場合は、まず弁護士に相談して、自分のケースで認められる可能性があるかを確認しましょう。

ベンナビ離婚には、養育費の問題に強い全国各地の弁護士が多数掲載されています。

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この記事の監修者
東日本総合法律会計事務所
加藤 惇 (第一東京弁護士会)
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