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親権とは?決め方や共同親権に関する法改正を解説

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親権とは、子どもの利益のために身の回りの世話をおこない、財産を管理する権利と義務のことです。

離婚時には、父母のどちらが親権を持つかを決める必要があります。

しかし、親権を巡るトラブルが起きるケースも多いので、基本的な知識を身につけたうえで話し合いに臨むことが大切です。

本記事では、親権制度の概要や親権者の決め方、家庭裁判所が親権者を決める際の判断基準などを解説します。

民法改正による共同親権制度についても詳しくまとめているので、参考にしてください。

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目次

親権とは?

子どもがいる夫婦が離婚する際には、親権についての話し合いが必ず必要になります。

まずは、親権がそもそもどういう制度なのかを詳しくみていきましょう。

親権とは子どもの利益のために認められた権利・義務のこと

親権とは、子どもの利益のために法律で親に認められた権利・義務のことです。

具体的には、子どもの身の回りの世話や教育をする「身上監護権」と、子どもの財産を管理したり法律行為を代理したりする「財産管理権」の2つが含まれます。

親権者は、これらの権限を適切に行使することで、子どもが安心して成長できる環境を整え、自立して生きていけるよう導く役割を担っています。

親権は親が自由に行使できる一方的な権利ではなく、常に子の利益を最優先に考えて行使しなければなりません。

親権が及ぶのは子どもが成年に達する18歳まで

親権は、子どもが成年に達するまでの期間に限って認められている権利・義務です。

民法の改正により、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたため、子どもが18歳の誕生日を迎えた時点で親権は自動的に終了します。

ただし、親の扶養義務は子どもが18歳になったからといって必ずしも終わるわけではありません。

子どもが大学に進学して経済的に自立できていない場合などは、親が引き続き扶養する義務を負います。

なお、子どもが18歳未満で婚姻した場合には、成年擬制の制度により、その時点で成年として扱われるため親権は終了します。

親権と監護権の違いは権利の範囲にある

親権と監護権は密接に関連していますが、権利の範囲に明確な違いがあります。

親権は、身上監護権と財産管理権の両方を含む包括的な権利です。

一方、監護権は親権の一部である身上監護権を指し、子どもの日常的な世話や教育に関する権限に限定されます。

例えば、監護権を持つ親は子どもと一緒に暮らし、世話することができますが、子どもの財産を管理したり、子に代わって法律行為をおこなったりする権限は持ちません。

これらの財産管理権は、親権者のみが持つ権限です。

通常、親権者と監護権者は一人の親が持ちますが、特別な事情がある場合には分離することも法律上可能です。

親権者となった親ができる6つのこと

親権者には、子どもの健全な成長を支えるために、法律上さまざまな権限が認められています。

それぞれの権限について、具体的な事例を挙げながら解説していきます。

子どもの財産を管理し、法律行為を代理する

親権者は子どもが所有する財産を管理し、子に代わって契約などの法律行為をおこなう権限を持ちます。

例えば、親が子ども名義の銀行口座を管理したり、塾の入会を申し込んだりできるのは、親権を有しているからです。

ただし、親権者といえども無制限に子の財産を使えるわけではありません。

親子間での金銭の貸し借りや物の売買など、親権者と子の利益が相反するときは、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しなければなりません。

親が子どもの財産を私的に流用したり不当に処分したりすれば、親権の濫用として法的責任を問われる可能性があります。

子どもが未成年者としておこなう法律行為に同意する

親権者は、未成年の子どもが単独でおこなう法律行為に対して、同意を与える権限を持ちます。

法律行為には、アルバイト代で高額なパソコンを購入する、インターネットで有料サービスに登録するといった行為が該当します。

これらの行為を子どもが親権者の同意なくおこなった場合、親権者はその契約を取り消すこともできます。

ただし、お年玉を受け取るなど、未成年者にとって利益にしかならない行為であれば、親の同意は不要です。

また、親から処分を許された財産の範囲内での法律行為であれば、子どもの意思だけでおこなうことができます。

子どもの世話や教育をおこなう

親権者は、子どもが心身ともに健やかに成長できるよう、身の回りの世話をして、教育する権利と義務を持ちます。

子どもの世話には、食事や衣服の準備、健康管理、清潔な生活環境の維持などが該当します。

教育には、しつけや社会性を育む家庭教育だけでなく、学校教育を受けさせる義務も含まれます。

なお、かつてはしつけとして子どもを懲戒する権利も認められていましたが、民法改正により体罰は明確に禁止されています。

子どもの住む場所を決める

親権者は居住指定権を有し、子どもがどこに住むかを決定することができます。

具体的には、親権者が引っ越しをする際に子どもを一緒に転居させる、実家で子どもを育てる、子どもを寄宿学校に入学させるといった選択が可能です。

ただし、居住地は通学する学校や交友関係、生活環境に直接影響するため、親権者は子の利益を十分に考慮して決定しなければなりません。

なお、親権者以外の者が子どもを連れ去ることは居所指定権を侵害する行為であり、親権者は子の引渡しを求めることができます。

子どもの職業を許可する

親権者は、子どもの職業を許可する権限を持ちます。

未成年者がアルバイトや就職など継続的に労働をする場合には、原則として親権者の許可が必要です。

ただし、一度許可を与えた職業については、親権者が一方的にその許可を取り消したり、制限を加えたりすることはできません。

もっとも、深夜労働や危険な作業など、子どもの健康・福祉に害があると認められる場合には、親権者は家庭裁判所に申し立てて職業を変更させることができます。

子どもの身分に関する手続きを代理する

親権者は、子どもの身分に重大な影響を与える法的手続き(身分行為)を代理でおこなうことができます。

身分行為には、以下のようなものが該当します。

嫡出否認の訴え 現夫と子どもとの父子関係を否定するための手続き
認知の訴え 父親に対して子どもを認知することを求めるための手続き
養子縁組の取消し 20歳未満の養親との養子縁組の取消しを求めるための手続き

身分行為は、子どもの将来に長期的な影響を及ぼすものなので、親権者は子の利益を第一に考え、適切に手続きをおこなうことが重要です。

親権者になるのは誰?4つのケース別に解説

親権者は一定のルールの下で決定されます。

以下では、代表的な4つのケースについて、それぞれ誰が親権者となるのかを具体的に解説します。

ケース1:婚姻中は父母が共同で親権者となる

父母が婚姻している間は、共同で親権者となるのが原則です。

これを共同親権といいます。

共同親権のもとでは、父母が協力して子どもの養育や財産管理をおこない、重要な事項については双方の同意のもとで決定する必要があります。

ただし、父母の一方が病気・行方不明・服役などの状態にある場合は、もう一方の親が単独で親権を行使できます。

ケース2:離婚後は父母のいずれか一方が単独親権者となる

父母が離婚する際には、どちらか一方が単独親権者となります。

現行法では離婚届に親権者を記載する必要があり、父または母の氏名を記入しなければ、離婚届は受理されません。

親権者は、まず父母の話し合いによって決めるのが原則です。

父母の意見が対立して協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判によって親権者を決めます。

なお、詳しくは後述しますが、2026年4月から離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになります。

ケース3:未婚の場合は原則として母親が単独親権者となる

婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもについては、原則として母親が単独で親権を持ちます。

母親は、子どもを出産した事実によって当然に親権者となるため、特別な手続きは必要ありません。

一方、父親は子どもを認知することで法律上の親子関係が成立しますが、認知をしただけでは親権者にはなりません。

父親が親権者となるには認知をしたうえで、母親との協議または家庭裁判所の手続きを経る必要があります。

また、未婚の父母があとで婚姻した場合には、婚姻の届出と同時に父親も親権者となります。

ケース4:養子縁組をした場合は養親が親権者となる

未成年者と養子縁組をおこなうと、実親は親権を失い、養親が新たな親権者となります。

ただし、普通養子縁組の場合、実親と子どもとの親子関係そのものは継続する点に注意してください。

養子縁組の種類 親権者 実親との親子関係
普通養子縁組 養親 継続する(親権は停止)
特別養子縁組 養親 完全に終了する

なお、実親(親権者)の再婚相手と子どもが養子縁組をした場合は、実親と養親が共同で親権を持つことになります。

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民法改正|2026年4月から共同親権が選択できるようになる

民法改正により、2026年4月からは、離婚後も共同親権を選択できるようになります。

先述のとおり、現行法では、離婚した父母のどちらか一方のみが親権を持つ単独親権が原則です。

しかし、離婚後も両親が協力して子育てに関わることが子の利益になるケースも多いため、共同親権を認める法改正がおこなわれました。

ただし、以下のような事情がある場合には、共同親権が認められないこともあります。

  • 父母の一方がDVや虐待をおこなっていた場合
  • 父母間の葛藤が激しく、子の養育について協議ができない場合
  • 父母の一方が子の養育に関与する意思や能力がない場合

なお、単独親権と共同親権の選択で夫婦がもめた場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

離婚して親権を得られなかった場合はどうなる?

親権を得られなかった場合でも、子どもの健全な成長のために必要な義務と権利は継続します。

以下では、親権問題で争点になりやすい養育費と面会交流について、詳しくみていきましょう。

原則として養育費を支払う必要がある

離婚後に親権を失ったとしても、子どもが経済的に自立するまでは養育費を支払わなければなりません

親権の有無にかかわらず、親には子どもを扶養する義務があるからです。

養育費の金額は、家庭裁判所が公表している養育費算定表を基準にするケースが多いといえます。

父母の収入状況や子どもの数によっても異なりますが、母子家庭で月額5万円、父子家庭で月額3万円程度が相場です。

面会交流で子どもと関わることは可能

親権を持たない親にも、子どもと定期的・継続的に会って交流する権利が認められています。

面会交流の具体的な内容は、父母の協議によって決めるのが原則です。

面会交流に関する主な取り決め
  • 頻度・時間
  • 場所
  • 引き渡し方法
  • 連絡方法
  • 宿泊の可否
  • 学校行事への参加可否
  • プレゼントの可否

面会交流の内容が協議で決まらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。

なお、子どもへの虐待やDVがあった場合など、面会交流が子の福祉を害すると認められるときは、面会交流が制限されたり、認められなかったりすることもあります。

離婚後の親権者を決めるための3つの手続き

離婚後の親権は父母の話し合いで決めるのが原則ですが、合意に至らない場合は裁判所の手続きに進むことになります。

以下では、親権者を決めるための3つの手続きについて解説します。

離婚協議|父母間で話し合う

離婚協議とは、父母が直接話し合って離婚するかどうかや離婚条件を決める方法です。

親権についても、まずは離婚協議のなかで話し合うことになります。

親権を含めた合意内容に関しては、離婚協議書として書面に残しておくことが重要です。

口約束で済ませてしまうと、あとで言った言わないの水掛け論になる可能性があります。

その後、離婚届に親権者の氏名を記入し、市区町村役場に提出すれば離婚が成立します。

離婚調停|裁判所の調停委員に仲介してもらう

離婚調停とは、家庭裁判所の調停委員に仲介してもらいながら、父母が話し合いを進める手続きです。

協議で合意に至らない場合や、そもそも直接話し合うことが難しい場合に調停を利用するケースが一般的といえます。

調停では、原則として父母が別々の部屋で待機し、調停委員が交互に話を聞きながら双方の意見を調整します。

また、家庭裁判所の調査官が家庭訪問などをおこない、養育状況などを調査することもあります。

月に1回程度のペースで開催され、3~6か月程度で終了することが多いです。

調停が成立すれば、合意内容が調停調書にまとめられ、離婚が成立します。

離婚訴訟|裁判官が最終的な判断を下す

離婚訴訟とは、家庭裁判所に離婚を求める訴えを起こし、裁判官に最終的な判断を委ねる手続きです。

原則として、調停が不成立に終わった場合に離婚訴訟を提起することができます。

裁判官は、父母双方から提出された証拠や当事者の主張、子どもの年齢・意思、養育環境などを総合的に考慮して、親権者を決定します。

離婚訴訟では1年から2年程度の期間を要し、弁護士費用も含めると数十万円から100万円以上かかることも珍しくありません。

訴訟は最終手段であり、できる限り協議や調停での解決を目指すことが、時間的にも経済的にも望ましいといえます。

家庭裁判所が親権者を決める際の主な判断基準

家庭裁判所が親権者を決める際には、子の利益を最優先に考え、さまざまな事情を総合的に判断します。

以下では、実務上重視されている主な判断基準を解説します。

養育実績

養育実績とは、これまでどちらの親が主に子どもの世話や教育をおこなってきたかという事実のことです。

裁判所は、子どもの継続的な養育環境を重視するため、主たる養育者であった親を親権者とする傾向があります。

具体的には、以下のような点を考慮して養育実績が判断されます。

  • 日々の食事の準備
  • 保育園や学校への送り迎え
  • 学校行事への参加
  • 病気の際の看病
  • 宿題の確認

一緒にいた時間が長いだけでなく、積極的に子育てに関与してきたかどうかが重要です。

ただし、過去の養育実績だけでなく、離婚後も継続して適切な養育ができるかという将来の見通しも併せて判断されます。

子どもの意思

子どもの意思は、親権者を決める際の重要な要素です。

子どもの年齢が高くなるほど、本人の意思が優先される傾向にあります。

子どもの年齢 意思の尊重度
0歳~5歳 それほど考慮されず、養育実績などが重視される
6歳~9歳 参考にされるが決定的ではない
10歳~14歳 理由や背景を含めて相当程度尊重される
15歳以上 原則として尊重される

特に15歳以上の子どもについては、家庭裁判所は必ず子どもの意見を聴かなければならないと法律で定められています。

兄弟姉妹の不分離

兄弟姉妹の不分離とは、複数の子どもがいる場合に同じ親のもとで育てることが望ましいという考え方です。

裁判所は、兄弟姉妹の精神的な結びつきを重視し、できる限り一緒に育てられるよう配慮したうえで親権者を決定します。

ただし、以下のような場合には兄弟姉妹を分離して親権者を定めることもあります。

  • 子どもたち自身が分かれて暮らすことを強く希望している
  • 年齢差が大きく、それぞれに適した養育環境が異なる
  • 特定の子どもと特定の親との間に特別強い結びつきがある
  • 一方の親が全員を養育する経済的・物理的能力がない

母性優先

母性優先とは、特に乳幼児期の子どもについて、母親による養育が望ましいとする考え方です。

昔の実務では、乳幼児期の子どもは母親との情緒的な結びつきが強く、母親による継続的な養育が健全な発達に不可欠であるとされてきました。

ただし、近年では父親の育児参加が一般化しており、母性は必ずしも母親だけが持つものではなく、「子どもを慈しみ、日常的に世話をする機能」という意味で理解されています。

現在では、父親であっても主たる養育者として積極的に育児に関わってきた実績があれば、親権者として認められる可能性は十分にあります。

離婚後の養育環境

離婚後の養育環境も、親権の判断で重要視されるポイントのひとつです。

裁判所は、子どもが安定した生活を送れるように離婚後の養育計画や生活基盤を確認します。

具体的には、以下のような点が考慮されます。

  • 経済的に安定しているか
  • 仕事と育児の両立は可能か
  • 親族のサポートはあるか
  • 保育園・学校に通いやすいか
  • 居住地の治安はよいか
  • 医療機関へのアクセスは良いか

また、離婚後は養育環境ができるだけ変わらないことが望ましいとされています。

例えば、離婚後に転校を余儀なくされる場合は、子どもにかかる負担が大きいため、親権の獲得という観点においてはマイナスに働く可能性が高いです。

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親権争いで不利になる3つのケース

子どもの安全と福祉に悪影響をもたらす行為に及んでいる場合、親権の獲得は極めて困難です。

ここでは、親権争いで特に不利になる3つのケースについて解説します。

育児放棄・ネグレクトの事実がある場合

育児放棄・ネグレクトとは、子どもに必要な世話をせず放置することです。

子どもの基本的な生存と発達に必要なケアを怠る親に対して、裁判所が親権を認めることは基本的にありません。

育児放棄・ネグレクトには、以下のような行為が該当します。

  • 食事を与えず、栄養失調状態にする
  • 不潔な衣服を着せ続け、入浴させない
  • 病気やけがをしても医療機関を受診させない
  • 長時間子どもを一人で放置する
  • 学校に通わせず、教育を受けさせない

育児放棄・ネグレクトが事実かどうかは、医療機関の診断書、学校や保育園からの報告書、児童相談所の記録などによって判断されます。

子どもに対して身体的・精神的な虐待をおこなったことがある場合

子どもに対して身体的・精神的な虐待をおこなったことがある場合も、親権の獲得は難しいでしょう。

身体的虐待だけでなく、精神的虐待も重大な問題として扱われる点がポイントです。

虐待の種類 具体例
身体的虐待 殴る、蹴る、叩く、物を投げる など
精神的虐待 暴言、脅迫、無視、人前での罵声 など

虐待があったかどうかは、医師の診断書や児童相談所・警察の記録などをもとに判断されるケースが一般的です。

別居している子どもを連れ去った場合

別居中に相手方の同意なく子どもを連れ去る行為も、親権争いで不利になる要因のひとつです。

たとえ親であっても、もう一方の親の監護権を侵害する連れ去りは違法行為とされ、親権者としての適格性を疑われます。

違法な連れ去りと判断される行為
  • 別居中の相手方宅から無断で子どもを連れ出す
  • 保育園や学校から無断で子どもを引き取る
  • 面会交流の時間が過ぎても子どもを返さない
  • 相手方の承諾なく子どもを遠方に転居させる

ただし、虐待から子どもを保護するために連れ出した場合などは、正当な理由があると認められるため、親権争いで不利になる可能性は低いといえます。

親権獲得のために離婚前から準備すべき4つのポイント

親権争いになってから慌てて準備を始めるのではなく、日頃から子どもとの関わりを深め、養育実績を積み重ねることが大切です。

以下では、親権獲得のために離婚前から準備すべき4つのポイントについて解説します。

育児日記や連絡帳などで具体的な養育実績を記録する

親権を獲得したい場合は、養育実績を記録しておきましょう。

自分がどれだけ育児に関わってきたかを形あるものに残しておけば、親権者としての適格性を認められやすくなります。

養育実績を示す証拠としては、以下のようなものが有効です。

  • 育児内容を記録したノート
  • 子どもとの日常を映した写真や動画
  • 参加した学校行事に関する資料
  • 教師とのやり取りがわかる学校の連絡帳
  • 母子手帳や子どもの診察記録
  • 子ども用品のレシート

配偶者との別居を考えている場合は、別居前から育児日記をつけ始めることをおすすめします。

別居して相手方の監視の目がなくなってからの記録は、信憑性を疑われやすいので注意してください。

子どもと過ごす時間を増やして精神的なつながりを深める

裁判所は親権の判断において、親子間の精神的な結びつきを重視します。

そして、精神的な結びつきを深めるには、子どもと過ごす時間を増やすことが何よりも大切です。

一緒に食事をする、遊ぶ、会話をするといった関わりを持つようにしましょう。

特に10歳以上の子どもは、本人の意思が親権者の決定に大きく影響します。

日頃から子どもとの信頼関係を築いておけば、自身を親権者として選んでくれる可能性が高まります。

ただし、相手方の悪口を吹き込むなど、子どもの意思を意図的に捻じ曲げようとするのは絶対にやめてください。

不自然な誘導行為が発覚した場合は、親権者としての適格性を疑われてしまいます。

離婚後の住居や収入の目処を立てて生活基盤の安定性を示す

離婚後に子どもと安定した生活を送れる基盤があることも、親権の獲得に欠かせないポイントのひとつです。

裁判所は、親権者となる親が経済的に自立しており、子どもに適切な住環境を提供できるかを重視します。

経済面については、安定した収入源を確保することが重要です。

パートやアルバイトであっても、養育費や公的支援を含めて十分な生活費を確保できるのであれば、それほど不利になることはないでしょう。

住居に関しては、子どもが不自由なく暮らせる広さがあれば基本的に問題ありません。

ただし、同じ学区内に住み続け、友人関係も維持できる立地にあることが望ましいといえます。

また、実家の協力が得られる場合は大きなプラス要素となります。

面会交流にも寛容な姿勢をみせる

親権を獲得したあとの面会交流に対して、寛容な姿勢をみせることも大切です。

面会交流は、非親権者の権利であると同時に、子どもが両親の愛情を受けながら成長する権利でもあります。

面会交流に協力的で寛容な姿勢を示す親のほうが、子どもの利益を優先的に考えられていると評価されやすくなります。

もちろん、DVや虐待のおそれがある場合など、相手方との接触が子どもの福祉を害すると認められるときは、面会交流を制限・拒否することも正当化されます。

また、相手方の無理な要求をすべて受け入れる必要もありません。

子どもの生活リズムを乱すような過度な要求には、異議を唱えることも重要です。

父親が親権を取った2つの事例

親権争いにおいては母親が有利になる傾向があるものの、父親に一切の可能性がないわけではありません。

以下では、実際に父親が親権を獲得した2つの事例を紹介します。

子どもの意思が尊重されて親権を獲得した事例

まず紹介するのは、婚姻を継続し難い理由があるとして、夫が妻に離婚を請求し、二人の子どもの親権を争った事例です。

結果 父親が長女の親権者、母親が長男の親権者になった
理由 【父親が長女の親権を獲得できた理由】
・長女が父親と一緒に住みたいという明確な意思を持っていた
・母親は長女の心情を配慮できているとはいいがたい状況にあった
・長女は転校後、学校に馴染んでおり、生活を楽しんでいることがうかがえる
 
【母親が長男の親権を獲得できた理由】
・長男は母親の監護のもとで心身に問題なく成長している
参考
東京家裁立川支部平成24年12月20日判決(Westlaw Japan 文献番号2012WLJPCA12206012)

配偶者に連れ去られた子どもの親権を獲得した事例

次に紹介するのは、DVによって夫婦関係が破綻したとして、妻が夫に対して離婚を請求した事例です。

結果 父親が親権を獲得した
理由 ・母親は父親の了承なしに子どもを連れ去り、家を出たうえ、面会交流を拒否していた
・父親は子どもを連れ去られた直後から法的手段に出ていた
・父親には親権を獲得後、周到に監護する計画と意欲が認められる
・年間100日に及ぶ面会交流の計画も提示している
参考
千葉家裁松戸支部平成28年3月29日判決(判時 2309号121頁)

親権問題でもめたときは弁護士への相談がおすすめ

親権について父母の意見が対立し、話し合いでの解決が難しい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

法律や判例の知識があるかどうかで、親権争いの結果は大きく左右されるため、専門家のサポートを受けることが重要です。

弁護士に依頼すると、以下のようなサポートを受けられます。

  • 親権獲得に向けた具体的な戦略を立ててくれる
  • 養育実績を示す証拠の収集方法をアドバイスしてくれる
  • 調停・審判・訴訟での主張内容を作成してくれる
  • 相手方との交渉を代行し、精神的な負担を軽減できる
  • 裁判手続きにかかる煩雑な作業を一任してくれる

また、弁護士は親権だけでなく養育費や面会交流、財産分与など、離婚に伴うほかの問題についても総合的にサポートしてくれます。

親権に関してよくある質問

最後に、親権についてよく寄せられる質問を紹介します。

同様の疑問を感じている方は参考にしてください。

一度決めた親権者を変更することはできますか?

一度決めた親権者を変更することは、法律上可能です。

親権者の変更を求める場合は、家庭裁判所に親権者変更調停を申し立てることになります。

ただし、親権者の変更は簡単に認められるものではありません。

以下のように、子の利益のために親権者の変更が必要と認められる場合に限られます。

  • 現在の親権者が病気や経済的困窮で子どもの養育ができなくなった場合
  • 虐待やネグレクトがある場合
  • 子ども自身が親権者変更を強く希望している場合
  • 養育状況が大きく変わる場合

親権者の変更を認めてもらうには、子の利益につながる証拠を示しながら、調停委員を味方につけることが重要です。

過去の事例などに関する知識も必要になるため、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

離婚後に親権者が死亡したらどうなりますか?

親権者が亡くなったとしても、生存しているもう一方の親が自動的に親権者になるわけではありません

親権者が死亡した場合は、まず未成年の後見が開始します。

後見とは、被後見人の世話をしたり、財産を管理したりすることです。

未成年後見人は、死亡した親権者が遺言で指定していない限り、未成年本人・親族・利害関係人などの請求によって家庭裁判所が選任します。

これに対し、もう一方の親は親権者変更の審判を家庭裁判所に申し立てることができます。

未成年後見人選任の申立てと親権者変更の審判が同時に生じた場合は、家庭裁判所がどちらを優先するかを判断します。

父親が親権を取るのが不利といわれるのはなぜですか?

父親が親権を取るのが不利といわれる理由は、養育実績や生活環境などの実質的な事情によるものです。

従来の日本社会では、母親が主に育児を担当し、父親は仕事中心の家庭が多かったため、離婚時点での養育実績を比較すると母親が有利になっていました。

特に乳幼児については、授乳や日常的な世話で母親との結びつきが強いことが多く、母性優先の原則が重視されていたのも事実です。

しかし、父親が主たる養育者として実績を積んでいる場合などは、親権を獲得できる可能性も十分あります。

親権を放棄することはできますか?

親が親権を一方的に放棄することは原則としてできません

親権は、子どもの利益のために認められた権利であると同時に義務でもあるからです。

仮に自身が親権者になっていることで子どもに不利益が生じている場合には、家庭裁判所に親権者変更の審判を申し立て、もう一方の親に親権を移す必要があります。

例えば、重い病気で子どもの世話ができなくなった場合や、経済的に困窮して養育が困難になった場合などです。

なお、両親ともに親権を行使できない、または行使することが著しく困難な場合には、家庭裁判所が未成年後見人を選任します。

子どもの戸籍や名字は親権者と同じになるのですか?

離婚しても、子どもの戸籍や名字が自動的に親権者と同じになるわけではありません

例えば、婚姻中に「鈴木」姓だった夫婦が離婚し、妻が親権者となって旧姓の「田中」に戻った場合でも、子どもは「鈴木」姓のままで、父親の戸籍に残ります。

子どもの戸籍や名字を変更したい場合は、以下の手続きが必要です。

  1. 家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てる
  2. 氏の変更を許可する審判書を取得する
  3. 審判書を添えて市区町村役場に入籍届を提出する

なお、15歳以上の子どもは自分自身で申立てをおこなう必要があります。

親権をとられて面会も拒否された場合はどうすればいいですか?

正当な理由なく面会を拒否された場合は、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てましょう。

調停では、調停委員が双方の事情を聞きながら、合意形成を目指します。

調停でも合意に至らない場合は、審判に移行し、裁判官が面会交流の可否や方法を決定します。

調停や審判で面会交流が認められたにもかかわらず、相手方が応じない場合は、履行勧告や間接強制といった手段を取ることも可能です。

  • 履行勧告:家庭裁判所が相手方に面会交流を促す(強制力なし)
  • 間接強制:面会交流を促し、応じない場合には金銭の支払いを命じる

ただし、調停では子どもにとって面会交流が必要であることを論理的に主張しなければならないので、まずは弁護士からアドバイスを受けるようにしてください。

親権者を決めるときは子どもの利益を最優先に考えよう!

親権は、子どもの利益のために認められた権利・義務のことを指します。

親の一方的な感情ではなく、子どもの利益を最優先に考えたうえで、最善の選択をとることが重要です。

親権問題で悩んだときは弁護士に相談し、法的な視点でのアドバイスを受けてみるのがよいでしょう。

弁護士を探す際は、ベンナビ離婚を利用してみてください

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この記事の監修者
東日本総合法律会計事務所
加藤 惇 (第一東京弁護士会)
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本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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