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アスペルガー症候群が理由の離婚は困難だが可能|離婚する方法と相談先

アスペルガー症候群が理由の離婚は困難だが可能|離婚する方法と相談先
アスペルガー症候群の夫。コミュニケーションも上手くとれないし、ギスギス・イライラしてもう嫌…。アスペルガー症候群であることを理由に、離婚の請求は可能なの?

結論からお伝えすると、相手が離婚に合意し、離婚届を役所に提出すれば離婚は成立します。いわゆる「協議離婚」と呼ばれるもので、この手続きにより離婚する夫婦が大半です。

しかし、相手が離婚に合意しない場合、アスペルガーという病気だけを理由に一方的に離婚を主張しても、認められないことがあります。

アスペルガー症候群は発達障害の一種だから本人に悪気はない、とわかっていても、結婚して毎日一緒にいるとなると、我慢の限界と感じてしまうのも無理はないかもしれません。

アスペルガー症候群は発達障がいの一つで、社会性・コミュニケーション・想像力・共感性・イメージすることの障がい、こだわりの強さ、感覚の過敏などを特徴とする、自閉症スペクトラム障がいのうち、知能や言語の遅れがないものをいいます。

(引用:ふせき心療クリニック

この記事では、アスペルガーの夫や妻と一緒に生活していくことに限界を感じ、離婚するかどうか悩んでいる方のために、

  • アスペルガー症候群の特徴と、それに付随して周囲が抱える苦労
  • アスペルガー症候群の配偶者と離婚する方法と適切な相談先
  • 今後も結婚生活を続けていく場合の対処法

などについて解説します。

※この記事では、便宜上「アスペルガー」という表記で統一しています。

これまで、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていましたが、2013年のアメリカ精神医学会(APA)の診断基準DSM-5の発表以降、自閉スペクトラム症(ASD;Autism Spectrum Disorder)としてまとめて表現するようになりました。(引用:厚生労働省

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アスペルガー症候群の特徴と周囲が感じる悩み|【まずはアスペルガーなのかをチェック】

まずは、あなたのパートナーが本当にアスペルガー症候群なのかをチェックすることから始めましょう。

上でもお伝えしたように、アスペルガー症候群とは広い意味での自閉症と考えられていて、発達障害です。

もっと簡単に言うと、コミュニケーション能力に偏りが見られる先天性の病気なのです。

そのため、アスペルガー症候群の人たちは見た目では気がつかれないものの、職場や家庭でさまざまな問題を抱えていることが多いです。

アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群の人は、相手がどう思うかを想像することが苦手なので、他人を傷つけてしまうことが多いです。幼稚園や小学校では、周りから浮いてしまうことも多いでしょう。

また、こだわりが強いので、興味があることに対しては一日中没頭していられるという長所もあります。文字や記号を記憶するのが格段に得意であることも特徴の一つです。

決められたルールを守ることは得意なので、学校生活を送っている子供時代は優等生扱いされることも多々あります。

しかし、大人になり社会に出て、創意工夫や臨機応変な対応を求められるようになると、うまく対応できずに会社で疎まれたり、「仕事ができない人」とレッテルを貼られてしまったりすることもあり、苦労する方が多いようです。

また、コミュニケーションを取ることが苦手なアスペルガー症候群の人にとっては、相手を受け入れ、臨機応変に対応することが必要になる恋愛や結婚は、苦労の連続であるといえるでしょう。

《主な傾向まとめ》

常識やルールに無頓着

目上の人に対しての礼儀がなっていない、その場の空気を読んで行動できない、周りへの配慮が足りない、といった行動が目立つ。そのため、「ちょっと変わった人」「自己中心的な人」「常識がない」という印象を持たれることが多い。

コミュニケーションが苦手

自分の興味のあることについて、他者が興味なさそうでも延々と話し続ける。一方で、他者の話に興味がなければ話を遮るorほかのことをし出すなど、相手に対して失礼な行動を取りがち。その結果、コミュニケーションを円滑に取ることが難しく、人間関係がうまくいかずに悩む人も多い。

マイルールへのこだわりが強い

一度自分が決めたルールや、手順などに対してのこだわりが強く、突然スケジュールが変わったり、予測していなかったことが起きたりすると、パニックに陥ってしまうことがある。例外を認めることができず、臨機応変に対応することが苦手。

アスペルガー症候群とADHDとの違い・共通点

似たような病気にADHDというものもあります。ADHDは不注意、多動性、衝動性という特徴があり、一昔前までは「落ち着きのない子だね」で済まされていたくらい、本人も周りも病気だと気がつかないことが多いです。

アスペルガー症候群とADHDは混同されがちなのですが、以下のような違いがあります。

 

アスペルガー症候群

ADHD

こだわり  

強い

なし

運動神経  

問題ありの場合が多い

問題なし

集中力

抜群に優れている

散漫

実際には、アスペルガー症候群とADHDを見分けるのは難しいとされています。なぜなら、両者ともに、「空気が読めない」「物事の言い方がストレートで相手を傷つけるorイラつかせる」という特徴が目立ってしまうからです。

また、アスペルガーとADHDを併発しているケースも少なくないので、両方の特徴を持っている人も中にはいます。

アスペルガー症候群の結婚生活においての問題

アスペルガー症候群の人との結婚生活における問題点はたくさんあるのですが、一番の問題は、ほかの人にはあまり重大な問題だとわかってもらえずにどんどん一人で抱え込んでしまう点でしょう。

アスペルガー症候群の人は、相手の気持ちをよく考えることができないので、家族のことを顧みずに自分中心に動いてしまったり、意思疎通がうまく取れないので夫婦での話し合いがまったく前に進まなかったりという問題も起こりやすいです。

パートナーにだけでなく、自分の子供にも空気の読めない発言をしてしまうので、家族の中で浮いてしまうことも多々あります。

アスペルガー症候群の夫or妻を持つ人のよくある悩み

  • 計画通りに行かないとパニックに陥るので対処できない
  • パートナーの体調や状況を考慮できない
  • こだわりが強すぎてついていけない
  • 一つのことに熱中しすぎる
  • 怒るタイミングがわからない
  • 親族や友人との関係をうまく築けない

一つひとつは大きな問題だと捉えられないことも多いのですが、毎日のことで、一緒に生活する人からすると、日々ストレスが溜まってしまいます。

それが行きつくところまでいってしまうと、カサンドラ症候群()を発症してしまう恐れもあるので要注意です。

用語解説
カサンドラ症候群

アスペルガー症候群の人の近くにいることで心労が重なり、鬱などの精神病になってしまう症状のことです。

アスペルガーの人と結婚生活を長年続けていると、かなりの確率でカサンドラ症候群にかかってしまいますので、「一緒にいてしんどいな」「いつも疲れている感じがするな」と思ったら、一人で抱え込まず、友人や自分の親、専門家などに相談するようにしましょう。

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アスペルガー症候群が理由の離婚は可能だが難しい|離婚する方法とは

冒頭でも触れたように、アスペルガー症候群という病気だけを理由に離婚することは難しいです。なぜなら、法的な離婚事由の「強度の精神病」ではないからです。

法律で認められている離婚事由に「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない」というものがありますが、アスペルガー症候群は「回復の見込みがない」とはいえ、「強度の精神病」とは言い難く、たいていの場合は介護まではしていません。

そのため、この精神病にはあたらないと判断されることが多く、この病気だけを理由に離婚することは難しいというわけです。しかし、アスペルガー症候群の夫や妻との離婚が不可能なわけではありません。

話し合いができそうであれば協議離婚で可能

冒頭でもお伝えしたように、相手と話し合って離婚への合意を得ることができれば、もちろん離婚することが可能です。この場合は離婚届にサイン&捺印をし、役所に提出するだけです。

しかし、そもそもアスペルガー症候群は一般的なコミュニケーションを取ることが困難とされている病気なので、話し合いにならないことが多く、当人同士だけでの協議離婚は困難になるケースもあります。

婚姻を継続しがたい重大な事由を証明できれば可能

アスペルガー症候群という病気そのものを理由に離婚を認めさせることは難しいのですが、それに付随する言動や、受けた被害内容などを証明できれば、離婚を裁判所に認めさせ、離婚を成立させることは可能です。

また、アスペルガー症候群によって相手への愛情が冷め、夫婦生活が破たんしていることを証明することができる場合も、離婚が認められることになります。

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アスペルガー症候群の夫or妻とどうしても離婚したい人の相談先

アスペルガー症候群の夫や妻と離婚したいという意志が固まっている人は、スムーズに離婚の話を進めるためにも、自分の精神面をケアする意味でも、専門家に相談するといいでしょう。どのような専門家に相談するのがベストか、この章で解説します。

弁護士

離婚となると法律的な問題も絡んできますので、まずは弁護士に相談するのがベストでしょう。また、アスペルガー症候群が原因でこれまでに受けてきた精神的、肉体的苦痛があれば、それもしっかりと伝えましょう。

アスペルガー症候群の特徴として、話し合いが噛み合わないという問題もありますので、自分たちだけで離婚の話し合いを進めてもらちが明かないことは多々あります。弁護士を間に入れることによって、相手との離婚の話をスムーズに進めることが可能になります。

【関連記事】弁護士に無料法律相談できるおすすめ相談窓口|24時間・電話相談OK

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カウンセラー・アドバイザー

あなた自身が精神的に参っている状態であれば、弁護士への相談と並行してカウンセラーや離婚アドバイザーに相談するのもいいでしょう。

結婚生活における苦痛や不満を第三者の専門家に話すことで、自分のなかでも気持ちや考えを整理することができます。

また、離婚せず、結婚生活を続けていきたい場合も、アスペルガー症候群を乗り越えて一緒に生活を続けていく上で大切なことについて、具体的にアドバイスがもらえるでしょう。

NPO法人・支援機関

弁護士やカウンセラーに相談することは、離婚する際にも結婚生活を続けて行く際にもとても有効です。しかし、お金がかかってしまうというデメリットもあります。

まだ離婚する気持ちが固まっていなかったり、いきなりお金をかけて相談することに抵抗があったりする場合は、NPO法人の離婚相談所や、発達障害者支援機関などに相談してみるのもいいですね。

もし、相談しているうちに離婚の意志が固まったり、弁護士を紹介してほしくなったりしたら、NPO法人や支援機関などが間に入って紹介してくれることもあります。一人で抱え込むことはせず、ぜひ相談してみることをおすすめします。

アスペルガー症候群の夫or妻と今後も関係を続けていく場合のコツ

アスペルガーという病気は悩ましいものの、それでもやっぱり離婚せずに関係を続けていきたい!」という方向けに、ここではうまくアスペルガー症候群と付き合っていくコツについてご紹介します。

コツ1:アスペルガー症候群を個性と捉える

アスペルガー症候群は病気というよりも先天性の個性のようなものです。相手の感情を読み取るのが苦手、空気を読むのが苦手、臨機応変に対応することが苦手。

例えばこれらを、走るのが苦手な人や絵をかくのが苦手な人と同じように、個性だと思うようにしてみてはいかがでしょうか。

また、アスペルガー症候群について書籍やネットで調べてみるのもいいですね。アスペルガー症候群の本質的な部分を理解すれば、もっと楽に付き合えるようになるかもしれません。

コツ2:できるだけ具体的に伝達してあげる

アスペルガーの人は、抽象的な事象を理解することが苦手です。「いい感じにやっておいて」「適当に迎えに来てくれればいいから」のような伝え方はトラブルの元です。

こちらとしては、大体相場のようなものが理解できているので、このような抽象的な伝え方をしてしまいがちですが、アスペルガーの人からしたら、何をどうすればいいのかわかりません。

コミュニケーションがうまく取れないことが原因で、言い合いになったり喧嘩になったりすることもあるでしょう。何かを伝えるときは、できるだけ具体的に示してあげてください

あなた自身も相手に対しての配慮を心がけることが夫婦円満の秘訣です。

コツ3:自分が今どういう感情なのかを説明してあげる

「どうしてわかってくれないの?」「なんでこんなときにそういうことを言ってくるの?」とイライラしてしまうことも多々あると思いますが、このような場合はただ感情をぶつけるのではなく、あなたの感情をわかりやすく説明してあげるといいでしょう。

「今私は、●●のせいでとても怒っている」「だから、あなたには●●をしてほしい/してほしくない」というように、あなたの感情とその原因を説明した後に、どういう行動を取ってほしいのか、取ってほしくないのかをわかりやすく伝えてあげてください

そうすれば、夫婦間での意思疎通に食い違いもなく、スムーズなコミュニケーションを取ることができるようになるはずです。

まとめ

自分の夫や妻がアスペルガーかもしれないと悩んでいる人は、決して少なくありません。明確にわかりやすい症状があるわけでもないので、結婚してしばらく気がつかない夫婦も多いです。

アスペルガー症候群であることだけを理由に、一方的に離婚を押し通すことは難しいです。調停や裁判で離婚を請求する場合には、現在の状況が法定離婚事由に該当していることを証明する必要があります。

離婚するにしても、結婚生活を続けていくにしても、一人だけで悩むのは精神的にもつらいものがあるでしょう。できるだけ早めにカウンセラーや弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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この記事の監修者
新日本パートナーズ法律事務所
池田 康太郎 (第二東京弁護士会)
弁護士登録以来一貫して離婚・不倫問題の解決に取り込んでいる。特に『配偶者から不倫慰謝料請求をされた方むけ』の相談に注力しており、多数の解決実績がある。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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