
偽装離婚がバレたら逮捕?4つの目的と知っておきたいリスク


離婚しているものの同居していたり、休日は二人で出かけたりして、事実上では離婚前と同じように夫婦関係を継続していることを、偽装離婚といいます。
手当の不正受給や保育園への優先的な入園、節税など様々な目的で行われます。
離婚後に同居したり、出かけること自体違法ではありませんが、その延長で虚偽の事実を申告して利益を得たり、脱税したりする行為は犯罪です。
この記事では、偽装離婚の目的やバレた場合のリスク、偽装離婚して不正受給した相手を通報した場合について紹介します。
偽装離婚を行う主な4つの目的
偽装離婚をなぜしてしまうのでしょうか。ここでは、偽装離婚する4つの目的について紹介します。
①生活保護や児童扶養手当などの不正受給
偽装離婚をする人の目的の多くは、生活保護や児童扶養手当を受給することやひとり親になることで各種費用を免除することです。
生活保護は頼れる人がいないことや、収入が一定以下で就労できないなどの条件があり、結婚して配偶者に一定の収入があれば当然受給できません。
また、児童扶養手当もひとり親が対象になるため、配偶者がいると受給できなくなってしまうため、戸籍上の籍を抜きひとり親になる必要があります。
生計を離婚前のように一緒にした上で、不正受給しにより楽をしてお金を受け取るのが目的です。
②保育園への優先的な入園
多くの自治体では、入園審査に点数制を導入しており点数が高ければ高いほど入園しやすいされています。
しかし、申し込みをする保護者の大半が、「父と母両者がフルタイムで働いている」「預けられる祖父母が遠方に住んでいる」など、加点条件はどの家庭も抱えており点数は拮抗しています。
そのため、どの家庭も少しでも加点をしたいところだが、それには就業や託児の実績が必要です。認可保育園に入る前から父母両者が働いているなど、やむを得ない理由などで子供を預けていたという過去の事実が加点対象になるからです。
このような状況を理由に、偽装離婚する行き過ぎた親が発生してしまいます。偽装離婚でシングルマザーになれば入園率がぐんと高まるからです。
実際には家族が揃って暮らしていても書面上で離婚が成立していれば、入園審査ではシングルマザーだとみなされます。
③財産分与などによる節税
金銭の贈与がある場合、贈与税や所得税などの税金が発生します。しかし、離婚時の財産分与や慰謝料の支払いには贈与税などが発生しません。
財産が多ければ多いほど、普通に死亡し相続が発生した時、莫大な相続税が生じます。
相続税はもちろん遺族が支払うことになりますが、莫大な相続税の支払いを回避するために、偽装離婚により財産分与や慰謝料という名目で贈与してしまうケースもあrます。
④自己破産前の財産隠し
自己破産では、自分の持つ財産を処分する必要があります。
しかし、できるだけ多く残すために、財産分与や慰謝料として配偶者に財産を渡してしまい、処分される財産を最小限にとどめようとする人もいます。
偽装離婚が疑われる夫婦の特徴
必ずしも偽装離婚とは言えませんが、以下のような特徴がある場合、ただの離婚ではなく不正受給などを目的とした偽装離婚している可能性があります。
- 生活保護を受けながら、配偶者と同居している
- 児童扶養手当を満額受け取った上で、配偶者と同居している
- 一方が莫大な資産や財産を持っていた
- 離婚後すぐに債務整理を行っている など
離婚する理由は人それぞれなので、仲が良い夫婦が突然に離婚することもあり得ますし、円満離婚したため離婚後も仲のよい人達もいます。
偽装離婚の判断が難しいですし、そのようなことを堂々とできてしまう人と関わることで、余計なトラブルに発展する可能性がありますので、注意しましょう。
偽装離婚がバレたときのリスク
偽装離婚がバレる可能性は十分にあります。その場合、以下のようなリスクが考えられます。
社会的な信用がなくなる
偽装離婚により、不正受給をしていることや優先的に保育園に入園したことがバレたら、社会的な信用がなくなるでしょう。
近所の人に知られ噂されれば、引っ越しを余儀なくされる可能性があります。
また、近所ではなく会社で不正受給などが知られれば社内での評判も落ちますし、状況によっては左遷や降格などの処分が下されるケースもゼロではありません。
逮捕や起訴される可能性がある
偽装離婚がバレることで、公正証書原本不実記載等罪に該当する可能性があります。
逮捕された後に適切な対応ができなければ、周囲に知られる可能性もありますし、起訴され有罪判決を受ける可能性もあるでしょう。
起訴され、有罪判決や執行猶予処分をうければ、前科がついてしまい、これから真面目に収入を得ようとしても再就職が難しくなります。
不正受給に対し返還請求を受ける
不正受給が発覚すれば当然、返還請求を受けます。返還できない場合、状況によっては財産などの差し押さえを受ける可能性があるでしょう。
この時、返還請求を受けるのは受給していた人になります。今まで同居していた元配偶者に援助してもらえればいいですが、戸籍上の関係がないので援助する義務はありません。
逃げられてしまい、一人で返還し続けなければならない可能性もあるでしょう。
親子関係が悪化する可能性がある
親の不正受給がバレてしまえば、罪のない子どもも周囲から距離を置かれたり、いじめられたりするリスクが高いでしょう。
不正受給している親を憎んでしまう可能性もあります。
また、不正受給してもいい、違法してもいいと思い込んでしまうことで、その子どもも将来不正受給を行ったり別の犯罪に手を染めてしまうかもしれません。
将来的に困窮する可能性がある
法律上離婚しているため、元配偶者と同居しているからと言って扶養義務があるわけではありません。
そのため、突然帰ってこなくなったり、急に家から追い出されるという可能性も考えられます。突然家を追い出され、追い出した元配偶者は別の人と結婚したとしても、権利を主張できません。
また、子どもが大人になることで、児童扶養手当などの支給が停止されます。その際に生活保護もストップしていたら、いきなり自分の収入だけでやりくりしなければならないのです。今まで働きもせず手当に頼って生活していた場合、困窮する可能性は高いでしょう。
偽装離婚で不正受給する人を通報することはできる?
生計を一緒にしているといっても過言ではないような人が、ひとり親というだけで、手当を満額受給していたりさまざまな費用が無料になっているのを見ると、怒りがわくのも当然です。
なかには通報したいと思う人いるでしょう。
不正受給について市区町村や社会福祉協議会などに通報することは可能です。通報後は、担当者の審査が入り不正と判断されれば返還請求が行われます。
ただし、他の業務もあるためすぐに審査されるわけではありません。通報する際は、なぜそう思うのか、具体的な理由を交え冷静に伝えるようにしましょう。
まとめ
不正受給をすることで楽できますが、自分だけでなく子どもや元配偶者にも大きな損害を与えることになります。
もし、少しでも得をしたいと偽装離婚を考えているのであれば、子どもの将来・自分の将来をよく考え絶対にやめましょう。
周囲に偽装離婚により不正受給がいる場合、通報するのもひとつの方法ですが、匿名で絶対に周囲へばらさないように通報することが重要です。
通報がバレると、余計なトラブルに巻き込まれる可能性があるからです。


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