離婚時の調停調書と公正証書の違いとは|法的効力や作成費用を徹底比較
離婚調停調書と離婚協議公正証書はまったくの別物です。どちらも離婚する際に作成される文書のため混合してしまう方も多いでしょう。しかしこれらの書類の違いはシンプルで、次の通りです。
離婚調停調書…夫婦が離婚調停によって離婚する場合に必要な書類
離婚協議公正証書…夫婦が協議して離婚する場合に必要な書類
つまり離婚の仕方で作成書類が異なるのです。
この記事ではさらに離婚調停調書と離婚協議公正証書の違いを掘り下げ、作成費用について紹介します
調停調書と公正証書の根本的な違い
調停調書と公正証書にどのような違いは主に次の通りです。
- 書類が必要になる離婚方法
- 作成する人と場所
- 時効(除斥期間)
- 強制執行できる対象範囲
ではそれぞれについて解説していきます。
作成する文書は離婚方法によって変わる
離婚調停調書も離婚協議公正証書も離婚条件(慰謝料・養育費・財産分与など)についてまとめた文書です。
どちらの書類が作成されるのかは冒頭で述べた通り、離婚方法によって決まります。
作成する人と場所が違う
作成過程が異なりますので、作成する人や場所も違ってきます。
離婚調停調書の場合
調停調書は離婚調停が成立した際に必ず作成される書類で、作成するのは家庭裁判所です。
公正証書の場合
離婚協議公正証書は、夫婦間で取り決めた離婚条件に基づいて公証役場の公証人が作成します。
なお、離婚協議公正証書は作成するのがベターでしょう。しかし、必須ではありません。作成するかしないかは当事者の意思次第です。
【関連記事】離婚時に公正証書を作成すべき理由と作成方法の手順
時効(除斥期間)が違う
調停調書と公正証書では、記載された権利義務に関する時効(除斥期間)が違ってきます。
- 離婚調停調書:財産分与・慰謝料・養育費すべて10年です。
- 離婚協議公正証書:財産分与が2年・慰謝料が3年・ 養育費が5年です。
このように大きく変わるので、注意しましょう。
【関連記事】離婚慰謝料の時効は3年|時効を中断し慰謝料を請求する方法
強制執行できる対象範囲が違う
離婚調停公正証書は執行受諾文言を定めれば、金銭債務(慰謝料・財産分与・養育費)に限り訴訟手続を経ることなく強制執行が可能です。ただし、執行受諾文言の記載は任意になります。記載を忘れた場合、強制執行をするには訴訟手続きが必要です。
離婚調停調書は確定判決と同じ効力を有しますので、調書で定められた権利義務のすべてについて訴訟手続を経ずに強制執行が可能です。
調停調書と公正証書の違いまとめ
調停調書と公正証書の違いを表にまとめました。
|
事項 |
離婚調停調書 |
離婚協議公正証書 |
|
離婚方法 |
離婚調停を行う |
当事者が協議で離婚する |
|
作成する場所 |
家庭裁判所 |
公正役場 |
|
時効 |
10年 |
内容により変わる |
|
訴訟手続を経ない強制執行の範囲 |
具体的権利義務のすべて |
金銭債務のみ |
|
上記に当たって強制執行認諾文言 |
不要 |
記載がないと調停や裁判を行う必要がある |
離婚調停調書と離婚協議公正証書の似ている部分
離婚調停調書と離婚協議公正証書は根本的に違うと説明しましたが、以下のような点がとても似通っています。
- 合意した内容のみ記載できる
- 訴訟手続を経ることなく(強制執行認諾文言がある場合)強制執行できる
離婚調停調書と離婚協議公正証書の作成費用
離婚調停調書と離婚協議公正証書では作成費用が違ってきます。どのくらい差があるのか確認してみましょう。
離婚調停調書の作成費用
離婚調停調書を作成するのに必要な費用は以下の通りになります。
|
調停調書の作成費用 |
|
|
収入印紙 |
1,200円 |
|
配送料 |
2,000~3,000円 |
|
合計 |
3,200~4,200円 |
調停費用は別途必要になってきます。
離婚協議公正証書の作成費用
離婚協議公正証書を作成する場合の費用は以下の通りです。
|
公正証書の作成費用 |
|
|
支払い金額 |
手数料 |
|
100万円以下 |
5,000円 |
|
100万円を超え200万円以下 |
7,000円 |
|
200万円を超え500万円以下 |
11,000円 |
|
500万円を超え1,000万円以下 |
17,000円 |
|
1,000万円を超え3,000万円以下 |
23,000円 |
(参考:日本公証人連合会)
また、作成する証書の枚数が4枚を超える場合は1枚ごとに250円の追加料金が必要です。
まとめ|離婚協議公正証書と離婚調停調書どっちがいいの?
以下の項目をみて、離婚協議公正証書と離婚調停調書のどちらの方が自分に適しているのか参考にしましょう。
|
離婚調停調書がおすすめの方 |
離婚協議公正証書がおすすめの方 |
|
|
また、強制執行するための一文を忘れないように注意しましょう。
もしも記載する項目について不明な点がある場合は、離婚問題の解決に注力している弁護士に相談するのをおすすめします。
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