別居婚の状態から離婚したい!離婚する際の3つの選択肢と4つのポイントについて解説
近年、夫婦は必ず同居しなければいけないという古い価値観が変化しつつあり、婚姻関係にありながらも同居はしないという別居婚スタイルを選択する夫婦が増えています。
別居婚には、夫婦それぞれのプライベートを確保しやすい、適度な距離感で関係性を築きやすいなどのメリットがある一方、同居をしていないためにコミュニケーション不足になって関係に亀裂が入りやすい、浮気や不倫トラブルが生じやすいなどのデメリットがあるのも事実です。
そして、別居婚の夫婦が離婚を目指す場合には、同居している夫婦の離婚トラブルとは異なるポイントに注意しなければいけません。
そこで本記事では、別居婚夫婦特有の離婚手続きにおける注意点、別居婚の夫婦が離婚協議をするときのポイント、離婚について弁護士に相談・依頼するメリットなどについて、わかりやすく解説します。
1.別居婚とは|法律上の夫婦関係はあるが同居しないこと
別居婚とは、法律上の婚姻関係を保ったまま、夫婦が同居せずに別々に生活をすることです。
最近では、各自の生活スタイルや時間・空間を尊重する目的、同居によるストレスを回避・軽減する目的、適切な距離感を保つ目的などから、別居婚を選択するケースも増えています。
別居婚は法律上の概念ではありませんが、一般的に、以下の特徴があると考えられています。
- 別居について夫婦間で合意が形成されている
- 別居という生活スタイルを選択しているが夫婦関係は円満である
- 平日は別居して週末は一緒に過ごす、近所に別々の部屋を借りるなど、多様な生活スタイルを維持している
そのため、別居婚は夫婦関係が悪化して別居を選択したケースや、単身赴任で仕方なく別居を強いられるケースとは区別されています。
別居婚は違法?
民法752条では、婚姻関係にある夫婦について、以下のルールを定めています。
(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
引用元:民法|e-Gov法令検索
婚姻関係にある夫婦には同居義務が課されているので、婚姻関係にありながら一緒に住まない別居婚は同居義務違反のようにも思えます。
しかし、別居婚は夫婦双方が別居について合意をしているため、同居しないこと、別居することについて正当な理由があるともいえます。
そのため、別居婚は直ちに同居義務違反として問題視されにくいのが一般的です。
ただし、最初は別居婚について当事者双方が合意していたものの、途中で一方の気が変わって同居を求めたようなケースでは、別居婚を解消して同居をしなければ同居義務違反になると判断されかねないでしょう。
別居婚の状態にある夫婦が離婚しにくい2つの理由
一般的に、別居婚の状態にある夫婦は離婚しにくいとされています。
ここでは、別居婚の夫婦が離婚を目指すのが難しいとされる理由を2つ紹介します。
1.合意した別居だと法定離婚事由にならないから
別居婚のように夫婦双方が同意をしている別居は法定離婚事由に該当しません。
法定離婚事由とは、離婚裁判による離婚が認められる要因のことです。
法定離婚事由については民法第770条第1項各号で以下の定めが置かれています。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
引用元:民法|e-Gov法令検索
一般的に、夫婦が長期間別居していると、民法第770条第1項第5号の婚姻を継続し難い重大な事由があると判断されます。
しかし、別居婚では夫婦が別居自体に合意をしているので、別居をしていることが婚姻関係継続の支障になっているとは考えられません。
ですから、別居婚をしている夫婦が離婚を目指す場合には、途中から離婚を前提とした別居に切り替わった事実を丁寧に主張立証したり、第1号〜第5号に該当する可能性がある別の事実関係を証明したりする必要があります。
2.不倫などに関する証拠を確保するのが難しいから
別居婚をしていると、お互いがどのような生活を送っているかを日常的に身近で観察することができません。
そのため、相手方が不倫をしていたとしてもそもそも気付きにくいですし、仮に不貞行為などが発覚してもそれに関する証拠を確保するのが難しいのです。
別居婚の状態にある夫婦が離婚するための3つの選択肢
別居婚をしている夫婦が離婚をするときには、以下の順番で離婚手続きを進めていくのが一般的です。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
それぞれの手続きについて、詳しく見ていきましょう。
1.協議離婚|当事者同士が離婚について話し合う
協議離婚とは、離婚するかどうか、どのような離婚条件にするのかなどについて夫婦間で話し合いをすることです。
夫婦間で合意形成に至った場合には、協議離婚が成立します。
一方、話し合いをしても離婚について合意形成に至らない場合や、そもそも関係が悪化しすぎて話し合いさえ難しい場合には、離婚調停を申し立てます。
離婚に関する協議は当事者だけでおこなうことも可能ですが、協議段階から弁護士に相談・依頼することも可能です。
早期の離婚成立を目指すなら、弁護士に依頼をして代理人として離婚協議を進めてもらうのがおすすめです。
2.調停離婚|裁判所の調停委員を交えて話し合う
調停離婚とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚成立を目指すことです。
正式には、夫婦関係調整調停と呼ばれます。
離婚調停では、裁判官と調停委員が当事者双方から意見を聴取し、また、証拠書類などを精査したうえで、当事者双方の和解成立をサポートします。
離婚調停をした結果、当事者が離婚の成否や離婚条件について合意形成に至った場合には、調停離婚が成立します。
一方で、調停を経ても合意形成に至らないケースでは、離婚裁判での終局的解決を目指さなければいけません。
3.裁判離婚|裁判所の判決により離婚の成立を目指す
裁判離婚とは、裁判所の判決によって離婚をすることです。
裁判離婚が認められるのは、法定離婚事由があるときに限られます。
当事者の主張や裁判に提出された証拠から法定離婚事由があると判断された場合には、判決によって離婚が認められます。
このとき、他の離婚条件についても裁判官が判断を下します。
別居婚をしている夫婦の場合、どちらがどのような主張をするかにもよりますが、裁判離婚の成立を目指すには法定離婚事由の有無がポイントになることが多いです。
相手方の不貞行為を立証する証拠や、離婚を前提とした別居期間があることを示す証拠が必要になるので、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をすることをおすすめします。
別居婚の夫婦が円滑に離婚するための際の4つのポイント
別居婚をしている夫婦がスムーズな離婚成立を目指すときのポイントを4つ紹介します。
- 離婚理由・離婚原因を明確にする
- 離婚条件を詳細に決めておく
- 可能な限り証拠を確保しておく
- 離婚問題が得意な弁護士に相談・依頼する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1.離婚したい理由を明確にしておく
別居婚をしている状態で相手方に離婚を求めるときには、事前に離婚理由・離婚原因を明確にしてください。
なぜ離婚したいのか、どのような経緯で離婚を考えるに至ったかがはっきりすれば、協議をする際の論点が整理されるでしょう。
2.離婚条件について詳細に決めておく
別居婚中の夫婦だけにかかわらず、夫婦が離婚をするときには、離婚の際にさまざまな離婚条件を決めなければいけません。
離婚話を切り出してから曖昧な状態で離婚条件について話し合いを開始してもスムーズな協議は期待しにくいので、事前に自分が希望する離婚条件を決めておくのがおすすめです。
離婚について切り出す際に決めておくべき離婚条件の代表例として、以下のものが挙げられます。
- 財産分与:夫婦が共同で形成した財産の分配方法。ただし、別居婚のケースでは夫婦が家計を別にしていることが多いため、財産分与の交渉は難航することが多い。
- 婚姻費用の分担:婚姻期間中に生じた費用の分担方法。原則として収入が多いほうが少ないほうに対して支払わなければいけないが、財産分与と同じように、別居婚の場合には夫婦それぞれが別家計で暮らしていることが多いため、婚姻費用の分担請求も難航する可能性が高い。
- 慰謝料:相手方に不貞行為などの有責事由があるケースでは、精神的損害に対して金銭賠償を求めることができる。
- 親権:夫婦間に子どもがいる場合、どちらが親権をもつかを決めなければいけない。
- 養育費:子どもを引き取らない側の親は、子どもの親権をもつ側の親に対して養育費を支払う必要がある。
- 面会交流:子どもを引き取らない親と子どもがどの程度の頻度・方法・期間で交流するのかについて決める。
3.可能であれば離婚の証拠を確保しておく
別居婚の状態では難しいかもしれませんが、可能な限り離婚原因に関する証拠は事前に確保するようにしてください。
たとえば、証拠もない状況で相手方の不倫を問い詰めたところで、別居婚状態では、簡単に証拠を隠滅されかねません。
そして、相手方が不貞行為を認めないままだと慰謝料を受け取ることはできませんし、相手方が離婚に同意をしてくれないと離婚自体が認められないリスクも高まります。
別居婚をしていると相手方の生活実態を把握しにくいかもしれませんが、弁護士や興信所、探偵をうまく活用して、少しでも離婚手続きが有利になるように証拠を収集してください。
4.離婚問題が得意な弁護士に相談・依頼する
別居婚をしているパートナーとの離婚を目指すなら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください。
弁護士は相談者・依頼者の利益を最大化することを職責としています。
「スピーディーに離婚を成立させたい」「別居婚中の相手と顔を合わせずに離婚を成立させたい」など、相談者・依頼者のニーズを満たしてくれるでしょう。
ベンナビ離婚では、別居婚をしている夫婦トラブルへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。
弁護士に相談するタイミングが早いほど有利に離婚手続きを進めやすくなるので、速やかに信頼できる弁護士までお問い合わせください。
別居婚の夫婦が離婚する際に弁護士に相談・依頼するメリット
さいごに、別居婚の夫婦が離婚するときに弁護士に相談・依頼するメリットを3つ紹介します。
- 法的なアドバイスを期待できる
- 相手方との交渉などの手続きを全て任せられる
- 証拠を集める際のサポートを期待できる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
1.法的なアドバイスを受けられる
弁護士は法律問題のプロです。
ですから、別居婚の夫婦が抱えるトラブルに対して、法律的な見地からのアドバイスを受けることができます。
特に、別居婚の離婚トラブルでは、夫婦間の信頼関係が崩れてしまっており、当事者間だけでは円滑な協議が進みにくいことが多いです。
その点、弁護士に対応を任せれば、養育費や財産分与、婚姻費用の分担など、離婚トラブルで争点になることが多いポイントに対して、正確な判断を期待できるでしょう。
2.相手方との交渉などを全て任せられる
離婚トラブルの解決を弁護士に依頼すれば、協議や調停、裁判といった全ての離婚手続きを代理してもらえます。
依頼者は定期的に法律事務所を訪問するなどして弁護士と意思疎通を図るだけで済みます。
ですから、別居婚中の配偶者と顔を合わせることなく離婚成立を目指せるので、精神的な負担も軽減できるでしょう。
3.証拠を集める際のサポートをしてくれる
弁護士に相談・依頼をすれば、離婚手続きを有利に進めるための証拠の確保や収集するべき証拠の内容・種類についてのアドバイスを期待できます。
別居婚中のため、自分で証拠を確保するのが難しいようなケースでは、法律事務所のスタッフを使ったり提携している興信所などに依頼をしたりして、証拠確保をおこなってくれる場合もあります。
さいごに|「ベンナビ離婚」を使って離婚問題が得意な弁護士を探そう!
別居婚を選択した夫婦が離婚を目指すなら、早期に弁護士の力を借りるのがおすすめです。
弁護士に相談・依頼することで、話し合いが円滑に進んで協議離婚の成立を目指しやすくなりますし、協議がまとまらずに調停・裁判に移行したとしても離婚手続きのほとんど全てを任せることができるでしょう。
ベンナビ離婚では、別居婚トラブルなどへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。
法律事務所の所在地、具体的な相談内容、初回の相談料無料などのサービス面から24時間無料で専門家を検索できるので、できるだけ早いタイミングで信頼できる弁護士までお問い合わせください。
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