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【具体例付き】精神的苦痛で離婚・慰謝料請求は可能?条件や慰謝料相場を解説

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こんな悩みに苦しんでいる人は一定数います。特にモラハラなどの精神的な虐待は第三者からは見えにくいため、相談しにくく、我慢を続けてしまう人も多いでしょう。

しかし、精神的苦痛を理由とした離婚や慰謝料請求は、一定の条件を満たせば法的に認められるケースがあります。

本記事では、精神的苦痛が原因で離婚・慰謝料請求が認められる具体例、逆に認められにくい例、請求できる慰謝料の相場、証拠の集め方などを詳しく解説します。

「こんなことで離婚できるの?」「証拠がないと無理?」と不安を感じている人は、ぜひ参考にしてください。

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精神的苦痛で離婚や慰謝料請求は可能?【具体例も紹介】

配偶者のモラハラや無視、心ない言葉により、日々大きな精神的苦痛を受けている人は、「離婚したい」「慰謝料を請求したい」と考えるのも無理のないことです。

実際に、精神的苦痛を理由として離婚や慰謝料請求が認められる可能性は十分にあります。

令和2年度の司法統計によると、精神的虐待を理由として離婚する人は、「性格の不一致」や「生活費を渡さない」などと並んで多いというデータもあります。

ただし、どのような状況で離婚や慰謝料請求が認められるかは、離婚手続の進め方や、相手の行為の内容・程度によって異なるのが実情です。

そこでここでは、精神的苦痛による離婚が認められやすい・認められにくい具体例を紹介します。

協議離婚・調停離婚では、相手と合意できれば精神的苦痛で離婚や慰謝料請求が可能

協議離婚とは、夫婦が話し合いで合意し、離婚届を提出することで成立する離婚方法です。

精神的苦痛をはじめとして、どんな理由であっても双方が同意すれば離婚することができます。また慰謝料についても、協議のうえ相手が支払いに応じれば請求可能です。

調停離婚も同様で、家庭裁判所を介して合意に達すれば、精神的苦痛を理由として離婚や慰謝料請求はできます。

たとえば「夫が日常的に暴言を吐く」など精神的な苦痛を主張し、相手もその責任を一定程度認めていれば、慰謝料を含めた解決が可能です。

ただし、あくまで当事者同士の合意が前提であり、相手が否定すれば合意には至りません。協議や調停によって合意に至らない場合は裁判に進む必要があります。

裁判離婚では、しかるべき離婚理由があれば離婚や慰謝料請求が可能

裁判によって離婚を目指す場合は、民法770条で定められた「法定離婚事由」があることが求められます。

具体的には、精神的苦痛を理由として離婚する場合、法律上の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当しなければなりません。

たとえば、長期間のモラハラや無視、極端な束縛、人格否定を繰り返すなど、婚姻関係を維持することが困難なほどの精神的虐待があれば、この条項に該当すると判断されやすくなるでしょう。

また、これらの行為は法律上の「不法行為」にもあたるため、離婚と同時に慰謝料請求することも十分に可能です。

なお、裁判によって離婚や慰謝料請求を進める場合は、精神的苦痛を受けている側である原告が具体的な証拠をもって主張を裏付けることが重要です。

手続きのハードルは協議・調停より高くなりますが、証拠があれば離婚が認められる可能性は十分にあるといえます。

精神的苦痛を理由として裁判離婚で離婚・慰謝料請求が認められる主な具体例

裁判で「精神的苦痛による離婚・慰謝料請求」が認められるには、相手の言動が社会通念上、明らかに婚姻関係を破綻させるような内容である必要があります。

具体的には以下のようなケースが挙げられます。

不貞行為があった場合

配偶者がほかの異性と肉体関係を持つ行為は裁判上の離婚理由に該当するうえ、高い確率で慰謝料請求が認められます。

証拠としては、ラブホテルの領収書や写真、SNSのやり取りなどが有効です。

なお、不貞行為の場合は不倫相手と配偶者の双方が加害者となるため、二人に対して慰謝料請求が可能です。

DV、モラハラがあった場合

暴力や暴言、人格否定などのDVおよびモラハラは、「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚や慰謝料請求の理由になり得ます。

診断書や録音データ、被害の記録などが証拠として有効です。

悪意の遺棄

正当な理由なく生活費を渡さない、家に帰らない、家庭を放置するといった行動は「悪意の遺棄」に該当します。

婚姻関係の義務を放棄した行為として精神的苦痛の根拠となり、離婚・慰謝料が認められるケースが多いです。

性交渉がない

正当な理由なく長期間にわたり性交渉を拒否され続けると、夫婦としての実体がないと判断され、離婚理由になる可能性があります。

拒否の期間や理由、拒否に至る経緯などを記録しておくと裁判において有利に働きます。

精神的苦痛を理由として裁判離婚で離婚や慰謝料請求が難しい具体例

以下のような事例では、たとえ辛い思いをしていたとしても、裁判では「婚姻を継続し難い重大な事由」とまでは認められず、離婚や慰謝料請求が難しい可能性があります。

ただし、以下に当てはまるケースでも長期間積み重なっている場合や、裏付けとなる証拠がそろっている場合は、判断が変わることもあります。

まずは弁護士に相談し、自分の状況が法的にどう評価されるかを確認するのがおすすめです。

性格の不一致

価値観や考え方が合わないといった性格の不一致は、裁判上は離婚理由としては弱く、慰謝料請求も認められにくい傾向があります。

実際、性格の不一致が原因で離婚に至る夫婦は多いですが、そのほとんどが協議や調停によって離婚を決定しています。

健康上の問題

配偶者の病気や障害が原因で精神的負担を感じている場合でも、それだけで離婚や慰謝料が認められることは少ないです。

婚姻中は互いに支え合う義務があるとされるため、健康上の問題を理由とした離婚は慎重に進めるべきです。

信仰上の対立

宗教や信仰を巡る意見の違いがあっても、それだけでは離婚や慰謝料請求が認められることは少ないです。

ただし、宗教活動の強要や生活への著しい悪影響があれば、状況次第で認定されることもあります。

相手方の親族との不和

義父母との関係が悪く、精神的に負担が大きいといった事情があっても、夫婦間の直接的な問題でなければ離婚理由とは認められにくいです。

相談にのってくれなかったり、親族側に加担して妻に辛くあたったりなど配偶者の対応に問題がある場合は、そこに焦点をあてて離婚を主張すれば離婚が認められやすくなります。

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精神的苦痛を根拠として、裁判離婚で離婚・慰謝料請求をするには証拠が必要

精神的苦痛を理由に裁判で離婚や慰謝料請求を求める場合、単に「辛かった」「我慢できなかった」と主張するだけでは認められません。

裁判では、相手の行為に違法性があること、そしてその結果として精神的な損害が生じたことを客観的な証拠で立証する必要があります。

そのため、特にモラハラや無視、暴言など目に見えにくい精神的虐待の場合、言動の証拠や被害の経過を丁寧に記録しておくことが重要です。

客観的な証拠がなければ、主張が一方的な言い分に過ぎないと判断され、請求が棄却されてしまう可能性もあるため注意しましょう。

離婚・慰謝料請求に有効な証拠の具体例

離婚・慰謝料請求に有効な証拠としては、以下のような証拠ものが当てはまります。可能な限り複数の証拠を組み合わせることで、主張の信頼性を高めることができます。

  • 暴言やモラハラの録音データ:発言のトーンや内容が記録されている音声は、強力な証拠になります。
  • LINEやメールのスクリーンショット:無視や暴言、命令口調などのやり取りが確認できるものは重要です。
  • 日記・メモ:いつ・どのような言動があったかを継続的に記録したメモは、被害の継続性を示す証拠になります。
  • 診断書や通院記録:精神的ストレスによる通院履歴や医師の所見は、心身への影響を示す客観的資料として有効です。
  • 第三者の証言:友人や親族など、日常的に被害の様子を見聞きしていた人物の陳述書も有力な証拠となります。

これらをもとに弁護士と協力して証拠の整理・提出をすることで、裁判でも認められる可能性が高まります。

精神的苦痛が原因で離婚するときに請求できる慰謝料相場

精神的苦痛を理由に離婚慰謝料を請求する際には、相手の不法行為の程度や婚姻期間などによって金額が大きく変わります。

一般的な相場としては50万円~300万円程度とされていますが、さまざまな要因によってさらに幅が出ます。

ここでは、慰謝料が増額・減額される主な要因を具体例を交えて紹介します。

離婚慰謝料が増額される要因の主な例

慰謝料は、被害の深刻さや加害者の悪質性、婚姻生活の状況などにより増額されることがあります。

特に以下のような要素がある場合、裁判や示談において慰謝料が増額されやすくなります。

要素 概要
婚姻期間が長い場合 20年以上の長期婚で、精神的苦痛が長期に及んでいた場合、離婚により被害者が受けるダメージは大きく、慰謝料は増額されやすくなります。
モラハラ・暴言が執拗かつ悪質な場合 人格否定や無視、暴言などのモラハラが執拗かつ悪質であり、精神疾患を招くような深刻な被害を受けた場合、加害者の行為の悪質性から慰謝料が高額になることがあります。
不貞やDVが複数回に及ぶ場合 不貞やDVが複数回に及ぶ場合は、精神的苦痛が大きいとして慰謝料はさらに上乗せされます。
被害者が精神的疾患などを発症している場合 精神科通院歴や診断書の提出により、被害の深刻さを客観的に示せれば、慰謝料増額の大きな根拠となります。
子どもがいる場合 不法行為によって婚姻関係が破綻した場合、子どもに与える精神的ダメージも大きいため、慰謝料が増額される要因となります。
また、子どもの年齢が低いほど慰謝料も増額されやすくなります

離婚慰謝料が減額される要因の主な例

離婚原因に関して被害者側にも一定の責任が認められる場合や、相手の支払い能力が著しく低い場合などは、慰謝料が減額されることがあります。

具体的には、以下のような事情が慰謝料の減額要因に該当します。

要素 概要
被害者側にも離婚原因の一端がある場合 夫婦喧嘩が日常化していたり、被害者側にも暴言・挑発行為があったと認定されると、「お互い様」と判断され、慰謝料が減額される可能性があります。
精神的苦痛の程度が客観的に軽いと判断された場合 証拠が不十分であったり、客観的に見て精神的苦痛の程度が軽微であると判断された場合は、慰謝料請求が棄却されたり、最低限の金額に抑えられることがあります。
離婚までの期間が短い場合 婚姻期間が極端に短いと、精神的苦痛の蓄積が少ないと判断されやすく、慰謝料も低額になります。
相手の支払い能力が著しく低い場合 加害者に収入がない、資産もないといった場合には、請求できる金額が制限されます。
たとえ判決で高額の慰謝料が認められても、回収できなければ意味がないため、現実的な回収可能額に基づいて和解するケースもあります。

裁判所は一方的な主張だけでなく、夫婦双方の関係性や責任の程度を慎重に見極めたうえで慰謝料額を判断します。

適正な慰謝料を得るためには、加害行為の証拠や被害の深刻さを裏付ける資料の提出が欠かせません。

精神的苦痛により離婚・慰謝料請求をするときのおおまかな流れ

精神的苦痛を受けて離婚や慰謝料を求めたいと考えたとき、どのように手続きを進めればよいのか戸惑う方も多いでしょう。

離婚の手続きには大きく分けて協議・調停・裁判と3つの段階があり、どの段階においても慰謝料請求を同時におこなうことが可能です。

ただし、相手との関係性や態度によって、どこまで進める必要があるかは異なるため、状況に応じた手続きが必要となります。

ここでは、精神的苦痛を理由とした離婚・慰謝料請求の基本的な流れを3つのステップに分けて解説します。

1.話し合いでの離婚を目指す

まずは相手との話し合いによる「協議離婚」を目指すのが基本です。

協議離婚では、裁判所での手続きを通さずに離婚届を役所に提出することで成立するため、もっともシンプルかつ早期に解決を目指すことができます。

精神的苦痛を理由とする離婚の場合でも、相手が離婚と慰謝料の支払いに合意してくれれば、証拠を揃える必要もなく、弁護士を介さずに手続きが完了することも可能です。

相手が直接の話し合いに応じてくれない場合は、弁護士に相談のうえ、内容証明郵便を利用して離婚や婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料請求などについて交渉する方法もとれます。

なお、協議で慰謝料の取り決めをする際は、口頭で約束するのではなく離婚協議書を公正証書化し、合意内容を明文化しておくことが重要です。

あとから「そんな約束はしていない」と言われないよう、金額・支払い方法・期限などを明確にしましょう。

相手との関係がまだ完全に崩れていない場合には、まずは穏便な話し合いから始めるのが理想的です。

2.離婚調停を申し立てる

話し合いがまとまらない、あるいは相手が一切応じない場合は、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てます。

調停とは、裁判所の調停委員が間に入り、双方の言い分を聞きながら合意を目指す手続きです。

精神的苦痛が原因で離婚を望む場合は、調停時にその内容を主張し、必要に応じてLINEの記録や診断書などの証拠を提出します。

また、慰謝料の金額も話し合いの対象となり、合意が成立すれば「調停調書」が作成され、裁判と同等の効力を持ちます。

協議で解決できない場合の次の手段として、多くの人が利用するステップです。

3.離婚訴訟を起こす

調停でも解決に至らなかった場合、最終的には家庭裁判所に「離婚訴訟」を提起します。

離婚訴訟とは、裁判所による判断をもって離婚の成立や慰謝料請求を目指す手続きのことです。

精神的苦痛が原因の場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかどうかが審理の焦点となります。

証拠としては、モラハラの録音、LINEの内容、診断書、第三者の証言などが必要です。

また、加害行為の有無だけでなく、婚姻期間や被害の程度などを総合的に見て、慰謝料の金額が決定されます。

判決が出れば、相手が拒否しても強制的に離婚が成立し、慰謝料の支払いも命じられます。

精神的・時間的負担は大きくなりますが、確実な解決を目指しやすい手段といえるでしょう。

さいごに | 精神的苦痛を理由に離婚・慰謝料請求をするときは弁護士に相談を!

本記事では、精神的苦痛を理由に離婚や慰謝料請求が認められる具体例や、手続きの流れについて詳しく解説しました。

精神的苦痛を理由に離婚や慰謝料を請求するには、相手の違法性や被害の深刻さを証拠で裏付ける必要があります。

とはいえ、モラハラや無視、暴言などは外から見えにくいため、自力で証明するのが難しいのが実情です。

そのため、少しでも離婚と慰謝料請求を有利に進めるには、早い段階で弁護士に相談し、今後の見通しを立てることをおすすめします。

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この記事の監修者
法律事務所Legal Barista
阿部 洋介 (札幌弁護士会)
結婚相談事業所を併設しており、全国的にも珍しい「婚」に注力した法律事務所となっております。ご依頼者様に寄り添った姿勢で最善の解決策をご提案いたします。

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本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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