夫婦の危機とはどんな状態?乗り越えるための対処法や離婚に繋がりやすい特徴も解説
- 「夫婦の危機とはどんな状態なのか」
- 「自分たちの関係が『危機』に該当する場合、どのように乗り越えればよいのか」
現在夫婦関係に悩んでおり、このような不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。
「夫婦の危機」とは、夫婦としての関係が崩れるほどの状態をいい、会話が極端に減る、一緒に過ごす時間が苦痛に感じるなど、相手への関心や愛情が薄れるケースが典型です。
夫婦の危機に陥っていると感じたときは、一度距離を置いたり夫婦で話し合ったりといった方法があります。
自分たちでの解決が難しければ、カウンセラーや弁護士といった第三者に相談してみるのもひとつの手段です。
本記事では、夫婦の危機の具体例や陥ったときの対処法、離婚を考える際のポイントまで詳しく解説します。
最後まで読むことで、自分たちの状況を客観的に把握し、状況に合わせた行動を選択できるようになるでしょう。
夫婦の危機とは?関係が崩れるほどの状態であること
「夫婦の危機」とは、一般的に夫婦間の信頼や愛情が損なわれ、関係が崩れる状態をいいます。
婚姻関係が完全に破綻したとまではいかなくても、離婚の選択肢が頭をよぎったり、日常生活に深刻な影響が出たりしている場合は、夫婦の危機に直面しているといえるでしょう。
主な原因には、コミュニケーション不足や価値観のずれ、不貞行為、DV・モラハラなどがあり、複数の問題が重なることも少なくありません。
例えば、会話が極端に減ったり、一緒に過ごす時間が苦痛に感じられたりなど、相手への関心や尊重する気持ちがなくなるケースが典型的です。
こうした危機は突然訪れるのではなく、日々の小さな不満やすれ違いが積み重なり、徐々に関係が悪化していく傾向にあります。
夫婦の危機はどちらか一方だけの問題ではなく、双方の感情や行動が影響し合いながら進行するため、関係の悪化を防ぐためには早期の気づきと対応が重要です。
「夫婦の危機だな」と感じるようになった具体例3選
実際、どのようなときに夫婦の危機を感じるのでしょうか。
例えば、パートナーからの愛情を感じられなくなったときや家事・育児の負担が一方に偏って不公平さを覚えたとき、自分の大切なものを無断で処分されたときなど、きっかけは日常の中に潜んでいます。
こうした出来事が積み重なると、「これ以上関係を続けられないかもしれない」と不安を感じ、夫婦の危機を意識するようになるでしょう。
ここでは、実際に夫婦の危機を感じるようになった具体的なエピソードを3つ紹介します。
1.相手から「好きかどうかわからない」と言われた
結婚3年目のAさんは、夫との些細なけんかをきっかけに「女性として好きかどうかわからない」と告げられました。
突然の言葉にAさんは強いショックを受け、自分の至らない点を改善しようと努力しましたが、夫はすでにAさんの態度や言動に対して我慢の限界を感じており、気持ちが変わりそうにありません。
夫からはいったん距離を置くことを提案され、Aさんは「このまま夫の気持ちが戻らなくなるのでは」と強い不安に襲われました。
夫の気持ちが離れた原因には、結婚生活を続ける中で会話やスキンシップが減り、相手への思いやりが薄れてしまったことが考えられます。
Aさんのように、どちらか一方が相手への思いやりを忘れてしまうと、突然夫婦の危機が訪れる場合があります。
夫婦関係を守るためには日ごろから相手を思いやり、尊重し合うことが重要です。
2.仕事と育児のバランスが悪くて不満が溜まっていた
結婚6年目のBさん夫婦は共働きで子どもを育てていますが、夫は仕事が忙しく家事や育児のほとんどをBさんが担う日々が続いていました。
Bさんは朝早くから子どもの送り迎えや食事の準備、寝かしつけまでひとりでこなしており、自分の時間も取れません。
それに対して、夫は仕事が忙しいながらも休日は自分の趣味に時間を使っており、Bさんを気遣う様子はありませんでした。
次第に心身の疲れが溜まっていったBさんは、「なぜ、自分ばかりが負担しなければならないのか」という不公平感や孤独を強く感じ、離婚を考えるようになりました。
このように、家事や育児の分担が偏ると夫婦の協力体制が崩れ、家庭の存続そのものが難しくなる場合があります。
家事や育児の負担を見直し、互いに思いやりをもって協力することが、夫婦関係の修復には欠かせません。
3.自分の大切にしていたものを勝手に捨てられてしまった
Cさんは、長年大切に乗ってきた車を夫に無断で処分されてしまいました。
処分された車は確かに古いもので故障もしていましたが、最後に乗りたいことや手放す際はきちんと折り合いをつけたい旨を伝えていたにもかかわらず突然処分されてしまったことに、Cさんは強いショックと怒りを感じました。
Cさんは自分の所有物だけでなく、「自分の存在もまったく尊重されていない」と深く傷つき、夫婦の信頼関係が大きく損なわれたと感じています。
大切な物を無断で捨てることは、法的にもトラブルの原因となり得る行為です。
夫婦の間に大きな溝を生み、「このまま一緒に暮らすのは難しい」と、離婚を考えるきっかけになる場合があります。
夫婦関係を守るためにはお互いの価値観を尊重し、事前にしっかり話し合うことが大切でしょう。
夫婦の危機に陥っていると感じた場合の3つの対処法
夫婦の危機に陥っていると感じたら、以下の3つの方法で対処することをおすすめします。
- 一度、距離を置いてみる
- 夫婦でよく話し合ってみる
- カウンセラーに相談してみる
まずは冷静に状況を整理し、適切な対応を選ぶことが関係修復の第一歩です。
感情的になって「離婚だ!」と結論を急ぐのではなく、一度距離をおいてみるところから始めましょう。
1.一度、距離を置いてみる
まずは一度距離を置き、冷静になることが必要です。
一定期間距離を置くことで日常のストレスや相手への不満を一時的にリセットし、感情を整理できるでしょう。
例えば、別々の部屋で過ごしたり、短い期間でも実家に帰ったりすることが、相手の存在の大切さや本音に気づくきっかけになる場合があります。
ただし、距離を置く際は、期間や連絡方法など具体的なルールを決めておきましょう。
ルールを決めないまま距離を置くと、そのまま本格的な別居や関係の悪化につながるリスクがあるため、注意が必要です。
距離を置いたあとは、あらためてお互いの気持ちや今後の関係について冷静に話し合う時間を設けることが、関係修復への第一歩となります。
2.夫婦でよく話し合ってみる
夫婦関係を修復するためには、話し合いの時間を設けることが欠かせません。
多くの夫婦が危機に陥る背景には、コミュニケーション不足が影響しているためです。
話し合いでは、相手の意見や気持ちを否定せずに受け止め、お互いが感じている不満や希望を率直に伝え合うことが大切です。
例えば、自分の気持ちを伝えたうえで相手の主張も丁寧に聞けば、折り合いをつけられるポイントや解決策が見えてきます。
ただし、感情をぶつけ合うだけの口論になってしまうと、かえって溝が深まってしまう可能性もあるでしょう。
その場合は夫婦だけで話し合うのではなく、信頼できる家族や友人などの第三者に同席してもらうと冷静に話し合えるはずです。
なお、話し合いはできるだけ早い段階でおこなうことをおすすめします。
なぜなら、万が一相手が弁護士に相談し始めた場合、すでに離婚の意思が固まり、話し合いも離婚を前提としたものになりやすくなるからです。
離婚を回避したいなら、相手が法的手続の準備を始めてしまう前に歩み寄る努力をしましょう。
3.カウンセラーに相談してみる
夫婦だけでの解決が難しければ、第三者であるカウンセラーに相談する方法も効果的です。
夫婦関係について、専門家の客観的な視点からアドバイスを受けることで、新たな気づきを得られる可能性があります。
例えば、夫婦ふたりで受ける「夫婦カウンセリング」では、安全な環境で本音を共有でき、コミュニケーションの改善や再スタートのきっかけをつかめます。
相手がカウンセリングに消極的なときは、まず自分だけ相談してみるのもひとつの方法です。
なお、カウンセリングを受けるには、市区町村や専門機関、民間サービスなどさまざまな窓口を利用する方法があります。
ただし、DVやモラハラなど深刻なトラブルがあるときは、カウンセリングでは解決しない可能性が高いです。
その場合は弁護士や専門機関に相談することをおすすめします。
離婚理由に繋がる可能性が高い「夫婦の危機」の特徴
「夫婦の危機」は、性格が合わない、DVやモラハラ、不倫・浮気といったさまざまな離婚理由につながります。
令和5年の司法統計によれば、男女ともにもっとも多い離婚理由は「性格の不一致(性格が合わない)」で、離婚した男性のうち59.9%が、女性のうち38.0%が該当しています。
また、DVやモラハラ、不倫・浮気、浪費、セックスレスも上位に入り、性別によって割合や傾向に違いが出るのが特徴です。
主な離婚理由の男女別の割合は以下のとおりです。
|
主な離婚理由 |
男性 |
女性 |
|
性格が合わない |
59.9% |
38.0% |
|
DVやモラハラがある |
DV:8.7% モラハラ:21.4% |
DV:18.5% モラハラ:26.1% |
|
不倫や浮気が発覚する |
12.0% |
12.9% |
|
浪費や家事の放棄がある |
11.5% |
8.5% |
|
セックスレスになっている |
10.5% |
6.3% |
ここからは、主な離婚理由ごとに具体的な特徴や注意点について詳しく見ていきましょう。
1.性格が合わない
性格の不一致は、夫婦間でもっとも多くあげられる離婚理由です。
そもそも、夫婦はもともと異なる環境で育っているため、考え方や習慣に違いが出るのは当然です。
しかし、結婚当初は許容できても、相手に対する気持ちが薄れていくとともに嫌な部分が目につくようになります。
どちらか一方が常に我慢を強いられる状況では不満が蓄積しやすく、もう一方が気づかないうちに離婚を考えるところまで追い込まれてしまうケースも少なくありません。
例えば、金銭感覚や子育ての方針、休日の過ごし方など、日常の選択肢で意見が対立した場合、互いに歩み寄れないまま距離が広がっていくことがあります。
性格の不一致が表面化したときは、お互いに価値観を尊重し合ったり第三者の意見を取り入れたりといった工夫が必要です。
2.DVやモラハラがある
DVやモラハラも離婚理由になりやすい傾向があります。
暴力や言葉による攻撃、相手を見下したり否定したりする態度が繰り返されると、被害者は強い恐怖やストレスを感じ、安心して日常生活を送ることさえ難しくなります。
例えば、家庭内での暴言や物理的な暴力、働いていない配偶者に生活費を渡さない経済的DV、外部の人間の前で侮辱する行為などが日常化すると、夫婦関係の修復は極めて困難になるでしょう。
モラハラの場合は目に見える傷が残らない分、証明が難しいですが、日常的な批判や無視、行動や交友関係の制限など、精神的な支配が続くと被害者の自己肯定感が低下し、うつ病や不安障害といった深刻な健康被害につながることもあります。
DVやモラハラが疑われる場合は早い段階で弁護士や専門機関に相談し、安全確保のための具体的な対策を講じることが重要です。
「DV相談プラス(0120-279-889)」など、24時間対応の相談窓口を利用するのもよいでしょう。
3.不倫や浮気が発覚する
パートナーの不倫や浮気も離婚理由として多く挙げられます。
不貞行為は、パートナーに対する明らかな裏切り行為であるため、精神的なダメージが大きく、一度相手を信じる気持ちが失われると関係の修復は難しいでしょう。
中には一気に愛情が冷めてしまい、離婚一択になる場合もあります。
不倫や浮気が発覚するきっかけはさまざまですが、例えば以下のものが代表的です。
- LINEやメール
- スマートフォンやパソコンの使い方の変化
- 家計やクレジットカード明細の不審な支出
- ファッション・趣味の変化
- 帰宅時間・外出パターンの変化
- 第三者からの指摘
- レシートや車内の忘れもの
相手の不倫や浮気に気づいたときは、感情的な対立が起こりやすくなります。
しかし、不倫や浮気が原因で離婚する場合は、証拠の確保や冷静な対応が重要です。
感情的になる気持ちもわかりますが、まずは冷静に対応し、慰謝料請求や今後の生活設計を含めた現実的な判断を心がけましょう。
4.浪費や家事の放棄がある
浪費や家事の放棄なども離婚理由として多く挙げられます。
例えば、ギャンブルや無計画な買いもので散財し借金をつくる、生活費を渡さない、家計の管理を一方的に放棄する行為は、経済的な不安を引き起こすため離婚の理由として認められるケースが多いです。
また、家事や育児を一切手伝わない場合も、もう一方の負担が増し、精神的に追い詰めることから離婚に結びつきやすいでしょう。
浪費や家事放棄が問題になるときは、家計の見直しや分担ルールの変更、必要に応じて専門家への相談が解決の糸口になります。
ただし、ギャンブルや浪費が「やめたくてもやめられない」「やらずにいられない」という状況なら、依存症や精神疾患が原因になっている可能性が高いです。
このような場合、家族だけで抱え込まず、精神科や心療内科などの医療機関を受診したり、ギャンブル依存症予防回復支援センター(0120-683-705)、精神福祉センターといった相談窓口を利用したりすることも検討しましょう。
依存症は適切な治療と支援により回復できることもあるため、早めの相談が大切です。
5.セックスレスになっている
セックスレスも、場合によっては「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚理由に認められることがあります。
とくに、子どもを望んでいるにもかかわらず正当な理由なく一方的に性交渉を拒否され続けたようなケースでは、裁判でも離婚が認められる可能性があります。
セックスレスが長期化すると、夫婦間の心身のつながりが薄れ、信頼や親密さの低下、孤独感や不満の蓄積、不倫・別居などの問題に発展するリスクが高まります。
とくに熟年夫婦や出産を機に性交渉がなくなったケース、EDなどの健康上の問題がある場合など、背景はさまざまです。
お互いが納得していれば問題にはなりませんが、以下のようなケースでは注意が必要です。
- 数ヵ月以上のセックスレスが続いている
- 一方的な拒否が繰り返されている
- 子どもを希望しているのに応じてもらえない
このような場合、関係悪化や法的トラブルを避けるためにも、次のような対応を検討しましょう。
- まずは冷静に話し合う:感情的にならず、相手の立場も尊重した対話が第一歩
- カウンセリングを受ける:夫婦問題の専門家に相談することで解決の糸口が見えることも
- 証拠を記録しておく:日記・メール・生活状況など、離婚や慰謝料請求に備えて客観的な証拠を保管
- 弁護士に相談する:法的な見解や適切な対応策を専門家にアドバイスしてもらうのが安心です
早めに状況を整理し、感情だけで動かず冷静に対応することが、後悔しない選択につながります。
夫婦の危機を理由に離婚を決意した場合は弁護士に相談を
夫婦関係の危機をきっかけに離婚を決意したときは、できるだけ早い段階で離婚問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談することで冷静かつ有利な条件で手続きを進めやすくなり、精神的な負担を大幅に軽減できます。
また、弁護士は相手との交渉や書類作成、証拠の確保、裁判手続の代理など、複雑な手続きを一括してサポートしてくれるため、安心して離婚問題に向き合えるのも大きなメリットです。
また、DVやモラハラ、不倫などの事情があるケースや相手と直接話し合うのが難しいときも、弁護士のサポートがあればスムーズな解決を期待できるでしょう。
まずは無料相談を活用し、現状や自分がどうしたいのかを整理したうえで、最適な対応策を一緒に考えてもらいましょう。
さいごに|夫婦の危機を迎えたときは慎重に行動することが大事!
本記事では、夫婦の危機を乗り越えるための対処法や、離婚に繋がりやすい特徴について解説しました。
夫婦の危機とは、夫婦関係が崩れるほどの状態を指し、会話が減ったり一緒にいることを苦痛に思うようになったりなど、相手への関心や愛情が失われるケースが典型です。
性格が合わない、DVやモラハラ、浮気・不倫などが原因で夫婦の危機に陥っている場合、放置すれば離婚にもつながる可能性が高いでしょう。
とはいえ、こうした危機は突然起こるものではなく、日々の小さなすれ違いや不満の積み重ねが原因になる傾向があります。
そのため、違和感を感じた時点で早めに話し合いの機会を設け、必要に応じてカウンセラーや弁護士など第三者の力を借りることも大切です。
「自分たちだけで何とかしよう」と抱え込まず、客観的な視点や専門家のサポートを活用することが、冷静な判断や後悔のない選択につながります。
夫婦の危機を感じたときは焦らず慎重に行動し、これからの人生がよりよいものになるよう一歩踏み出してみましょう。
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