離婚をするときに子供の親権や慰謝料、財産分与などで相手と揉めて、弁護士が必要となったときにかかる費用相場は、内容にもよりますが50~100万円ほどになります。
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配偶者と別居することになり、もしあなたが仕事をしておらず頼れる実家もないような場合、生活費をやりくりできるか不安に感じるかもしれません。
しかし基本的に別居中であっても、配偶者から「婚姻費用」として生活費を請求することが可能です。
具体的な金額については裁判所が公表する算定表が目安になりますが、2019年12月23日には改訂版が公表されており、改定前に比べると全体的に増加傾向にあります。
また2020年4月1日には改正民事執行法が施行されており、強制執行による回収を容易に行える可能性が高くなるなど、さまざまな点が変更されました。
ここでは、別居中の生活費にあたる「婚姻費用」がいくらもらえるのか、またどのような方法で請求すればよいのかなどを解説していきます。
冒頭でも触れた通り、別居中に発生する生活費のことを「婚姻費用」と呼びます。
夫婦には、お互いの生活レベルが同等になるように助け合う義務があり(民法752条)、以下のような生活に必要な費用について分担する必要があります。
婚姻関係が続いていれば別居中であっても請求でき、収入の多い夫から妻へ渡すのが一般的です。
以下では、婚姻費用の請求にあたって知っておきたいポイントを解説します。
基本的に婚姻関係が続いていれば婚姻費用の請求は可能ですが、「別居原因が自分にある」という場合は例外です。
「自身の不倫が原因で別居した」「相手を殴ったことが原因で別居した」など、自身が婚姻関係を壊しているようなケースでは、請求が認められなかったり減額されたりなどの制限があります。
ただし子供を引き取っている場合の養育費に関しては、別居理由に関係なく請求できます。
婚姻費用の金額については、以下の事情を考慮して決めるのが一般的です。
通常、婚姻費用は、請求時から別居解消または離婚するまで受け取れます。
なお過去にもらえるはずだった婚姻費用もさかのぼって請求できるものの、多くの場合、請求は認められません。
以下の通り、2019年に婚姻費用分担調停(審判)で決定された婚姻費用の金額は、月15万円以下というケースが最多です。
婚姻費用は夫婦間の話し合いにより自由に決定できます。
そのため一律いくら請求できるとは決まっていないものの、多くの場合、裁判所が公表している婚姻費用算定表を参考に話し合いが行われます。
ここでは、婚姻費用算定表を用いた相場の調べ方を解説します。
婚姻費用算定表は、子どもの人数や年齢に合わせて10種類あります。
まずは「養育費・婚姻費用算定表|裁判所」から、自身の状況に合った表を選びましょう。
この記事では、以下のケースを想定して相場を確認していきます。
上記のケースの場合、表11を選ぶことになります。
引用元:養育費・婚姻費用算定表|裁判所
義務者とは生活費を支払う側を指し、今回のケースでは年収300万円の夫のことです。
その際、支払う側が給与所得者か自営業者かによって表の見方が変わるため注意が必要です。
給与所得者の場合は源泉徴収票で年収を確認し、縦軸から該当する金額を確認しましょう。
自営業者の場合は、確定申告書で年収を確認し、縦軸から該当する金額を見てください。
引用元:養育費・婚姻費用算定表|裁判所
※枠や省略線は編集部強調による
権利者とは生活費をもらう側を指し、今回のケースでは年収100万円の妻のことです。
こちらも給与所得者なのか自営業者なのかによって表の見方が異なりますので注意しましょう。
引用元:養育費・婚姻費用算定表|裁判所
※枠や省略線は編集部強調による
②・③それぞれの該当項目から交わる箇所の金額が婚姻費用の相場です。
今回のケースでは、月額4〜6万円が相場ということになります。
引用元:養育費・婚姻費用算定表|裁判所
※枠や省略線は編集部強調による
ただし上記はあくまで目安の金額であるため、ケースに応じて多少の増減はあります。
自身がどれほど受け取れる可能性があるか詳しく知りたい方は、離婚問題に注力する弁護士に相談してみることをおすすめします。
無料相談可能な事務所もありますので、お気軽にご相談ください。
婚姻費用を請求するにはさまざまな手段があり、以下で詳しく解説していきます。
別居前や話し合いに応じてもらえる場合には、当事者同士で直接話し合って決定するのが望ましいでしょう。
双方が合意に至れば合意書を作成することになりますが、その際は公正役場にて公正証書にしてもらうことで、不払い時の回収対応がスムーズに進められます。
公正証書については以下の記事では詳しく解説していますので、気になる方はご覧ください。
すでに別居していたり話し合いに応じてもらえなかったりする場合には、内容証明郵便を送付して請求するという手段もあります。
ただし注意点として、あくまで内容証明郵便では支払いを催促するだけにとどまり、強制的に支払わせる効力はありません。
以下の記事では送付時の注意点について詳しく解説していますので、気になる方はご覧ください。
上記の手段でも支払ってくれない場合には、相手の居住地を管轄する家庭裁判所にて婚姻費用分担請求調停を申し立てます。
婚姻費用分担請求調停では、2名の調停委員を挟んで婚姻費用について話し合うことになります。
婚姻費用分担請求調停の手続きについては以下の通りです。
申立ての際に提出する書類は以下の3点です。
申立書は、裁判所HP(婚姻費用申立書|裁判所)からダウンロードできます(記入例はこちら)。
申立書には以下の項目を記載しましょう。
調停にかかる費用は2,000円ほどです。内訳は以下の通りです。
調停によって婚姻費用が決定しても、なかには決まった通りの額をしっかり支払ってくれない場合もあります。その際は、以下の方法で催促できます。
履行勧告とは、家庭裁判所の方から電話や郵便などで「決まった内容を守りなさい」と勧告してもらえる制度です。
裁判所から通達してもらうことで、心理的なプレッシャーを与えられるでしょう。
調停で両者が合意した結果を証明する調停調書さえあれば依頼でき、費用もかかりません。調停を行った裁判所に電話か直接申し出ることで手続きできます。
履行勧告に相手が応じない場合の次の手として、履行命令があります。
履行命令とは、一定期間を定めた上で決められた義務を実行するよう命令することを指します。履行命令を行うには、履行勧告と同様に調停を行った裁判所へ依頼すれば応じてもらえます。
もし履行命令が行われても、正当な理由なく従わない場合には10万円以下の過料が課せられます(家事事件手続法第290条5項)。
しかし履行命令には法的強制力はなく、婚姻費用を強制的に支払わせることはできません。
もし履行勧告や履行命令にも従わない場合は、次の手段として強制執行を行うことができます。
強制執行には、支払い義務がある者の財産の差し押さえをする直接強制と、一定期間に支払いがなければ間接強制金を課す警告によって支払いを促す間接強制の2種類があります。
直接強制とは、婚姻費用が得られるように、地方裁判所が支払い義務のある者の財産を差し押さえることをいいます。
婚姻費用の場合、将来に支払われる金額についても差し押さえが可能です。
間接強制では財産の差し押さえは行われません。しかし義務の履行がなければ強制的に間接強制金が課され、心理的に義務の履行を強制させるため有効と言えるでしょう。
原則として金銭の支払義務に対して間接強制の方法をとることはできませんが、婚姻費用などの夫婦・親子関係から生じる金銭の支払義務については、例外的に間接強制の方法が認められています。
この間接強制金が膨れ上がると、支払い義務がある者の生活が困窮してしまう恐れもあるため、相手の収入を考慮して適性金額が決定されます。
なお離婚問題に注力する弁護士であれば、婚姻費用の請求に必要な手続きのアドバイスやサポートが依頼できます。自身での対応が不安な方は相談しましょう。
たとえ別居することになっても婚姻費用を受け取ることができれば、生活も楽になるでしょう。
請求額はいくらが適正か分からない方や請求手続きが不安な方は、まずは一度弁護士と相談してみることをおすすめします。
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