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養育費が支払われない場合の対処法|5つのステップを解説

養育費が支払われない場合の対処法|5つのステップを解説
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離婚時に約束したにもかかわらず、元配偶者から養育費の支払いがなく、困っている方は多いものです。

相手に何度請求しても無視され、もはやどうしようもないのかと思っている方もいるかもしれません。

しかし、諦めないでください。

ご自身で請求しても難しい場合は、法的手段を講じることで養育費を支払わってもらえる可能性があります。

本記事では、養育費が支払われない場合の対処法を紹介します。

元配偶者から養育費をきっちり回収するためにも、ぜひ参考にしてください。

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養育費が支払われないのはうちだけ?未払い養育費がある割合は多い

離婚後に養育費が支払われていないケースは案外多いものです。

厚生労働省が令和4年12月26日付で発表した「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(令和3年11月1日現在)」によると、母親のひとり親世帯のうち、「現在も養育費の支払いを受けている」世帯は全体の3割に達しません

一方で、「養育費の支払いを受けたことがない」という世帯は過半数にのぼります。

養育費をきちんと支払ってもらえていないシングルマザーが多数を占めるのが現状なのです。

養育費が支払われないときにすべきこと5つ

子どものためにも、養育費はきちんと支払ってもらわなければなりません

以下では、養育費の支払いが滞った場合の対処法を見ていきましょう。

①相手に連絡する

養育費の支払いが滞ったら、まずは本人に連絡してみましょう。

連絡しても無視されたり、すでに数ヵ月分の滞納があったりする場合は、次のことに気を付けて督促してください。

  • 電話ではなくLINEやメール、手紙など督促の事実を残せる方法で連絡する
  • いつまでに、いくら支払ってほしいのかを明示する
  • 期限までに支払いがない場合の対処についても言及する
  • 冷静な文面を心がける

相手への連絡は、督促した事実がわかる手段でするのが望ましいでしょう。

連絡したことを証拠として残しておけば、裁判所での手続きを利用する際に、有効な証拠として使えます。

また、相手の行動を促すためにも、支払い期限や金額を明示したうえで、支払いがない場合の対処についても言及しておきましょう。

なお、支払いを督促する際に感情的な文面を送ってしまうと相手が反発心を抱く可能性もあります。

できる限り冷静に、こちらの要求のみを淡々とつづるようにしましょう。

②内容証明を送って養育費を請求する

直接連絡をしても、相手が支払いに応じない場合は、内容証明郵便を利用して督促しましょう。

内容証明郵便とは、郵便局が、いつ、誰から、誰に、どんな内容の文面を送ったのかを証明してくれるサービスです。

内容証明郵便を利用することには、次のようなメリットとデメリットがあります。

内容証明を送るメリット

内容証明を送るデメリット

  • 調停や審判の際に証拠として利用できる
  • 時効を中断できる
  • 相手にプレッシャーを与えられる
  • 法的な強制力はない
  • 相手の住所を知らなければ利用できない
  • 利用方法が少々複雑

内容証明郵便は、郵便局に督促の事実を証明してもらえる証拠能力の高い書類です。

そのため、相手が支払いに応じず、調停や審判になった際には有効な証拠として利用できます。

また、養育費は支払い期限から5年が経過すると、時効の成立によって請求できなくなってしまいます。

その点、内容証明を利用して督促すれば、確実に時効を中断できるため、期限が迫っている場合はとくに有効です。

さらに、形式的な書面であるため、こちらの本気度が伝わりやすいのもメリットでしょう。

内容証明郵便によってプレッシャーを感じた相手が、すぐに支払いに応じることもあり得ます。

しかし、内容証明には法的な強制力はありません。

支払いは相手の意思に委ねられるため、必ずしも養育費を受け取れるわけではないことに注意が必要です。

また、あくまで郵便サービスであるため、相手の住所を知らなければ利用できません。

書面1枚あたりの文字数に制限があったり、書面内にも相手と自分の住所を記載しておく必要があったりするなど、独自のルールが多い点にも注意しましょう。

③家庭裁判所に調停の申し出をする

自分で督促をしても、相手が応じない場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てましょう。

調停とは、当事者同士でもう一度話し合いをする手続きです。

調停では、調停委員が間に入り、中立な立場で双方の主張を聞いてくれます。

法律に基づいた解決案も提案してもらえるので、当事者同士で話し合うよりもスムーズな解決に期待できるでしょう。

調停が成立した場合

当事者双方が納得して調停が成立すれば、裁判所は調停調書を作成し、決まった内容を記載します。

調停調書は、当事者の手元には1週間程度で届くはずです。

調書は、合意内容を正式に証明でき、執行力があるものなので大切に保管しておきましょう。

調停が成立しなかった場合

両者が納得できず、調停が成立しなかった場合は、自動的に審判へと移行します。

審判とは、調停において双方がおこなった主張を元に、裁判所が判断を下す手続きです。

審判で決定した内容は、審判書として手元に届きます。

審判書は、調停調書と同様にその内容を証明でき、執行力を有する書類であるため失くさないようにしましょう。

また、審判によって決定された内容に納得できない場合は、2週間以内であれば「即時抗告」という不服申し立てが可能です。

④家庭裁判所に履行勧告の申し出をする

調停や審判で、養育費の支払い義務が認められたにもかかわらず、相手が支払いに応じない場合は、家庭裁判所に履行勧告を申し立てるとよいでしょう。

履行勧告とは、調停や審判を通して決まった内容に従わない人に対して、決定内容を守らせるための仕組みです。

申し立てをすれば、家庭裁判所が相手方に対して支払いをするよう説得したり、勧告をしたりします。

費用はかからず手続き自体も簡単なので、相手方がなかなか支払わない場合は利用を検討してください。

ただし、強制力はないため、相手が応じるとは限りません。

履行勧告を無視された場合は履行命令を申し立てる

家庭裁判所からの履行勧告にも相手が従わなければ、履行命令の申し立てる方法があります。

履行命令とは、相手が応じなければ、罰則を科せる制度です。

10万円以下の罰金の支払いを命じられる可能性があります。

ただし、それでも間接的な強制力しかないため、相手が応じなければ養育費の回収はできません

また、相手に科された罰金は申立人に支払われるわけではないことにも注意しましょう。

⑤地方裁判所に強制執行の申し立てをする

相手が履行勧告や履行命令にも従わなければ、強制執行をするしかありません。

差し押さえを申し立てて、相手の預金や給料から直接養育費を回収します。

申し立ては、以下の必要書類を揃えたうえで、相手の住所地を管轄する地方裁判所に対しておこないましょう。

必要書類

取得先など備考

申立書

各地方裁判所のホームページに書式がある場合もあります。

当事者目録・請求債権目録・差押債権目録

申立書に添付するほか、裁判所の指定枚数を準備

債務名義

調停調書、審判書、和解調書、判決書、公正証書などのうちいずれか

送達証明書

相手方に調停調書などの債務名義が届いたことを証明する書類。養育費の支払いについて取り決めをした裁判所や公証役場に申請をして取得。

第三債務者の資格証明書

預金を差し押さえる場合は金融機関、給与を差し押さえる場合は相手の勤務先のもの

収入印紙

4,000円分

予納郵券

申し立て先の裁判所による。ホームページを見るか直接問い合わせて確認。

また、申し立ての際には、差し押さえをする対象財産を明確にしなければなりません

預金の場合は口座情報、給与の場合は勤務先の情報を調べておきましょう。

強制執行にデメリットはある?

強制執行は、養育費を支払わない相手から強制的に養育費を回収するのに有効な方法です。

しかし、次のデメリットがあることに注意しましょう。

  • 手続きが複雑で手間がかかる
  • 養育費を回収できない可能性もある

まず、差し押さえの申し立て手続きは、慣れない方にとっては複雑に感じられるものです。

申立書のほかに目録を作成する必要があるなど、戸惑うことも多いでしょう。

不慣れな分手間がかかり、時間的な負担も生じます。

また、差し押さえの申し立てをしても、相手に財産がなければ養育費は回収できません。

給与から回収する場合、回収できるのは手取り収入の2分の1が限度と定められています。

そのほかの債権に比べて、差押えることのできる範囲は拡張されていますが、回収したい金額次第によって、給与以外からの差押を検討する必要がある場合もあります。

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公正証書がなくても未払い養育費は請求できる?

公正証書がなくても、養育費の請求はできます

少々時間と手間はかかりますが、調停や審判手続きを利用すれば、公正証書と同様に執行力のある調停調書や審判書が手に入ります。

これらの書類によって養育費の支払いに応じない相手に対して、強制執行がおこなえるのです。

元配偶者の親に未払い養育費は請求できる?

原則として、元配偶者の親に養育費を負担してもらうことはできません

なぜなら、祖父母には孫の養育費を支払う義務はないからです。

ただし、次のような場合であれば子どもの祖父母に対して養育費を請求できます。

親に未払い養育費を請求できる場合

元配偶者の親が、養育費の支払いについて連帯保証人になっている場合は元配偶者の代わりに養育費を支払ってもらうように請求可能です。

連帯保証人とは、債務者本人が支払いをしない場合に、代わりに支払いを約束した人のことを指します。

そのため、養育費を支払わない元配偶者に代わって支払うように請求できるのです。

養育費の未払いについて弁護士に相談するメリット

養育費の未払いで困っているなら、弁護士に相談や依頼をすることをおすすめします。

弁護士に相談・依頼すれば、次のようなメリットが期待できます。

適正な金額で養育費を請求できる

弁護士に相談すれば、相手の状況や夫婦間の事情、過去の裁判事例などを鑑みたうえで、適正な金額の養育費を算出してもらえます。

相手がこちらの提示金額よりも低い金額の支払いを主張してきても、説得力のある根拠を示して対抗できるでしょう。

不当に低い金額しかもらえないという事態を回避できます。

相手と直接やり取りせずに済むため、精神的負担が減る

弁護士に依頼をすれば、相手との交渉はもちろん、連絡も全て弁護士に任せられます

直接相手と関わる必要がなくなるため、精神的な負担が軽減するでしょう。

相手にプレッシャーをかけることができる

弁護士から連絡が来ると、プレッシャーを感じる人も多いものです。

無視を決め込んでいた相手であっても、何らかのリアクションを返してくるケースも少なくありません。

驚くほどあっさり支払いに応じる人もいるでしょう。

手続きを任せることができる

内容証明郵便の送付や、調停、審判などの裁判所手続きは、不慣れな方にとっては難しく感じられるものです。

申請や申し立てをなかなか受け付けてもらえず、諦めようと思ってしまうこともあるでしょう。

弁護士に依頼すれば、内容証明の送付や裁判所での手続きも全て任せることができます

打ち合わせをしたり、証拠を提供したりするなど多少協力する必要はありますが、それ以外の負担はほとんどありません。

普段どおりの生活を送っているうちに、解決に導いてもらえるでしょう。

状況に合わせて適切な回収方法を提案してもらえる

養育費の回収方法にはいくつかあり、状況によってベストな方法が異なります。

必ずしも調停や強制執行などの法的手段を講じるのがよいとは限らず、上手く交渉することが、解決への最短の道である場合もあるのです。

弁護士に相談すれば、法的知識だけでなく、それまでの解決実績や経験を踏まえたうえで、あなたのケースに最もよい方法を提案してもらえます。

今後の未払いも防止できる

弁護士は、将来的に起こりうる未払いトラブルも見据えたうえで解決策を提案してくれます。

養育費について決めた書面がない場合は、合意書や公正証書の作成をアドバイスしてもらえるでしょう。

養育費以外の問題も相談できる

弁護士には、離婚にまつわるほかの法律トラブルについても相談できます。

離婚時には、養育費以外にも財産分与や婚姻費用分担請求、相手が不貞を働いた場合には慰謝料請求についてなど、さまざまな問題や手続きが関係します。

ご自身が抱える離婚問題について、弁護士に相談すると最適な解決策を提案してくれるでしょう。

さいごに|養育費が支払われないときは弁護士に相談しよう

元配偶者から養育費が支払われない場合、直接相手に請求するほかにも、内容証明の送付や家庭裁判所への調停申し立て、強制執行など、さまざまな方法があります。

しかし、時間や手間がかかる方法がほとんどで、ご自身で試みるのは大変なケースも多いでしょう。

そのため、養育費の未払いで困ったら、弁護士に相談することをおすすめします

弁護士に相談や依頼をすれば、適正な額の養育費が支払ってもらえるよう、ご自身に代わって請求してもらえます。

状況に合わせて最適な手段を講じることで、早期解決に至ることも多いでしょう。

諦めて泣き寝入りせず、まずは弁護士の元を訪れてください。

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この記事の監修者
林奈緒子法律事務所
林奈緒子 (第二東京弁護士会)
家族に支えてもらいながら、弁護士の仕事をしております。依頼者様の立場に立ち、離婚後の幸せまで見越しながら解決策を一緒に考え、ご提示できるよう尽力します。

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本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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