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本記事では、重婚的内縁の定義や法律上の扱いについて詳しく解説します。
自身の置かれた状況を正しく理解すれば、適切な行動を選択できるようになります。
現在重婚的内縁で悩みがあるなら、ぜひ記事を参考にしながら次の行動を検討してください。
重婚的内縁とは、内縁関係にある男女のどちらか一方、もしくは双方に法律上の配偶者がいる状態です。
夫婦が長期間別居している状態であったり、一方が不倫相手の家に入り浸っていたりする状況で発生しやすいといえます。
以下では、そもそも重婚と内縁はそれぞれどのような関係なのか、また重婚的内縁と愛人にはどのような違いがあるのかについて解説していきます。
重婚とは、法律上の配偶者がいる人が、配偶者以外の人と婚姻関係を結ぶことです。
日本では一夫一妻制が採用されており、重婚は法律で禁止されています。
刑法第184条においては、配偶者がいるにもかかわらず重ねて婚姻した場合は、二年以下の懲役が科されると規定されています。
しかし、すでに配偶者がいる場合は、重ねて婚姻届を提出しようとしても、基本的に役所で受け付けてもらえません。
そのため、実際に重婚罪が適用されるのは、役所で誤って受理された場合や、婚姻関係を適法に解消しない状態で別の人と婚姻届を提出した場合など、例外的なケースに限られます。
内縁とは「事実婚」とも呼ばれ、婚姻届を提出していないものの、事実上夫婦として共同生活を送っている状態です。
以下の2つの要件を満たしていれば、内縁関係が成立します。
内縁関係には、婚姻費用の分担や財産分与・貞操義務など、実際の夫婦関係とほぼ同等の権利義務が認められています。
ただし、どちらかが亡くなっても相続人にはなれない点や、子どもが生まれた場合は父親が認知しなければ父子関係が生じない点は、法律上の夫婦と異なります。
重婚的内縁と愛人の違いは、関係の性質にあります。
重婚的内縁は、法的には婚姻関係が存在しないものの、婚姻意思をもって事実上の夫婦として共同生活を送る関係です。
対して愛人には明確な定義はありませんが、一般的に金銭的な援助をともなう肉体関係のある男女を指します。
どちらも法律上の配偶者以外と特別な関係をもつ点では共通していますが、愛人関係には婚姻の意思がなく、夫婦同然の共同生活もありません。
重婚的内縁の法的リスクを理解するためには、法律上どのように扱われているのかを知っておく必要があります。
ここでは、重婚的内縁が罪になるのか、また法律上の保護を受けられるのかについて解説していきます。
各項目別に、以下で詳しく確認していきましょう。
重婚的内縁に該当する関係をもっていたとしても、刑法上の重婚罪には該当しません。
重婚罪は、法律上の婚姻関係が存続している間に、新たに婚姻手続きをおこなった場合に適用される犯罪です。
内縁関係には婚姻手続きがともなわないため、直接的に刑罰の対象とはなりません。
しかし、日本では一夫多妻制が認められておらず、重婚的内縁は通常の内縁関係と同様に法律上扱われるとは限らない点に注意が必要です。
重婚的内縁は、原則として法律上の保護を受けられません。
法律上の婚姻関係がすでに存在する場合、その配偶者以外の異性との内縁関係は、重婚を禁止している趣旨に反するためです。
したがって、重婚的内縁関係にある人が、法的な婚姻に基づく権利を主張するのは難しいケースが多いでしょう。
重婚的内縁は法律上の保護を受けられないのが原則ですが、例外的に内縁関係と同様の保護を受けられる可能性はあります。
例外的に保護されるための法律上の要件は定められていないものの、以下のような要素によって判断されるのが一般的です。
これらの要素を検討し、法律上の婚姻関係がすでに破綻していると認められれば、重婚的内縁関係が保護される可能性があります。
婚姻関係の破綻を立証したい場合には、専門家である弁護士に相談し、個々の状況に応じたアドバイスを受けるのが望ましいです。
重婚的内縁が不倫行為に当たり、損害賠償請求につながるかどうかなどの判断基準として重要なのは、法律上の婚姻関係の破綻が認められるかどうかです。
次の要素を考慮して、婚姻関係が破綻していると判断できる場合には、重婚的内縁関係が保護されるため、基本的に不倫とはみなされません。
それぞれの判断基準について、以下で具体的にみていきましょう。
法律上の婚姻関係が破綻しているかどうかは、配偶者との別居の経緯や期間が重要なポイントとなります。
たとえば、配偶者の不倫やDV・モラハラなどの有責行為が原因で別居した場合、短い別居期間であっても婚姻関係が破綻していると認められる可能性はあります。
しかし、一般的に夫婦関係の破綻が認められるのは、5年間が目安です。
単純に別居期間のみで判断されるわけではありませんが、有責行為がない場合に別居から5年以内に重婚的内縁関係をもつと、不倫とみなされる可能性は高くなります。
別居中に、法律上の配偶者との夫婦関係を維持するための努力をしていたかどうかも、婚姻関係の破綻の判断に影響します。
たとえば、配偶者との交流がほとんどなく、連絡をしても事務的な要件や離婚について話し合うだけであれば、婚姻関係の破綻が認められやすくなるでしょう。
反対に、都度連絡して近況を報告していたり、定期的に面会していたりする場合には、婚姻関係の破綻が認められにくくなり、重婚的内縁関係が不倫に当たる可能性があります。
法律上の婚姻関係がある夫婦それぞれに、離婚意思があるかどうかも判断基準のひとつとなります。
夫婦双方が離婚を希望していて、離婚条件で意見が分かれているために別居しているケースでは、婚姻関係の破綻が認められる可能性が高くなります。
しかし、重婚的内縁関係をもっている側が離婚したいと思っていても、その配偶者が離婚を希望していない場合には、婚姻関係の破綻は認められにくいです。
具体的には、離婚に向けた話し合いがおこなわれているか、離婚届の準備が進められているかなどが指標となるでしょう。
重婚的内縁関係の具体的状況も、不倫と判断されるかどうかのポイントとなります。
たとえば、以下のような状況であれば、法律上の婚姻関係は破綻していると判断され、不倫には当たらない可能性が高くなるでしょう。
ただし、婚姻関係の破綻や不倫に当たるかどうかの判断については、さまざまな実情が考慮され、総合的に判断されます。
重婚的内縁が不倫とみなされてしまうか不安な場合には、一度弁護士に相談してみるのがおすすめです。
重婚的内縁が不倫に当たる場合、次のようなリスクが生じます。
法律上の婚姻関係が破綻していないにもかかわらず重婚的内縁関係を構築している場合、不利益を被る可能性が高くなってしまいます。
不倫と判断された際のリスクについて、以下で詳しく確認していきましょう。
重婚的内縁が不倫と判断された場合、有責配偶者となります。
有責配偶者とは、離婚の原因を作った責任のある配偶者です。
民法では以下の行為を法定離婚事由としており、基本的にこれらに該当する場合は有責配偶者となります。
離婚原因を作り婚姻関係を破綻させた有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められていません。
重婚的内縁が不倫とみなされた場合、離婚を拒むことが難しくなります。
通常、離婚は夫婦の合意に基づく手続きであるため、どちらか一方が離婚を望まない場合は成立しません。
しかし、不倫の事実がある場合は、婚姻関係はすでに破綻していると判断されます。
婚姻関係を破綻させた責任のある有責配偶者は、原則として法律上の配偶者からの離婚請求を拒否できません。
なお、話し合う余地が残されている場合には、交渉によって夫婦関係の修復を図ることは可能です。
重婚的内縁が不倫とみなされると、慰謝料の支払いが発生する可能性があります。
不倫によって精神的な苦痛を受けた配偶者は、その損害に対して慰謝料を請求する権利があります。
配偶者から慰謝料を請求された場合は、支払いに応じなくてはなりません。
不倫による慰謝料の相場は数十万円~300万円程度と幅があり、配偶者が受けた精神的苦痛の程度や不倫の期間など個々の状況に基づいて判断されます。
重婚的内縁を解消する場合、次のような金銭的問題が発生する可能性があります。
例外的に法的な保護を受ける場合は、これらの金銭的問題についても考慮しておかなければなりません。
どのような費用を請求される可能性があるのか、以下で詳しく解説していきます。
重婚的内縁を解消する際に、もっとも大きな金銭的リスクが慰謝料です。
重婚的内縁関係が法的に保護されるケースでは、離婚する場合と同様に、相手から慰謝料を請求される可能性があります。
とくに不貞行為やDV・モラハラなどの行為が理由の場合は、慰謝料の支払いを覚悟しておいたほうがよいでしょう。
内縁解消時の慰謝料相場は、個々の状況によっても異なりますが、50万~200万円程度が目安となります。
重婚的内縁を解消する際に直面する、もうひとつの金銭的問題は財産分与です。
内縁関係においても、内縁関係が継続している期間内で築いた財産があれば、財産分与の請求が認められます。
ただし、重婚的内縁は原則として法的な保護を受けられないため、例外的に保護が認められるケースに限られます。
内縁関係がいつからはじまったかを証明するのは難しいため、財産分与の請求が可能なケースでは、どこまでの財産が対象となるかが争点となりやすいでしょう。
婚姻費用とは、婚姻関係にある間に必要となる生活費や子どもの養育費などを指します。
重婚的内縁が例外的に保護される場合、内縁関係を継続している期間内であれば婚姻費用の分担義務を担います。
しかし、別居した時点で内縁関係は解消したものとみなされるため、別居後に婚姻費用を請求するのは困難です。
法律上の婚姻関係にあれば別居中の婚姻費用も支払う必要がありますが、内縁関係の場合は原則として別居後の婚姻費用の支払いは発生しません。
重婚的内縁に関するよくある質問として、次のような内容が挙げられます。
それぞれの質問に対して、以下でひとつずつ回答していきます。
重婚的内縁関係の夫婦に生まれた子どもは、原則として母親の戸籍に入り、母親の性(苗字)を名乗ります。
しかし、以下の手続きを進めると、父親の戸籍に入り、父親の性を名乗れるようになります。
父親が認知をしただけでは、子どもの戸籍や性は変わらないため注意が必要です。
重婚的内縁関係を解消する際、相手に対して養育費を請求するためには、まず子どもと父親の間に法律上の親子関係を生じさせる必要があります。
内縁関係の夫婦から生まれた子どもは、母親と親子関係がありますが、父親には親子関係がありません。
父親が認知すれば法律上の親子関係が生じ、父親にも子どもを扶養する義務が生じるため、養育費の請求が可能となります。
内縁関係の解消後も養育費を支払ってほしい場合には、父親に役所で認知届を提出してもらうようにしましょう。
重婚的内縁が例外的に法的な保護を受けられるケースであれば、浮気は不貞行為となるため、内縁関係にある相手とその浮気相手に慰謝料を請求できます。
ただし、浮気相手が重婚的内縁関係にある事実を知らなかった場合には、故意または過失が認められないため、浮気相手には慰謝料請求できません。
なお、重婚的内縁関係の相手の不貞行為を成立させるためには、まず法律上の婚姻関係が破綻していると認められる必要があるため注意が必要です。
重婚的内縁は、基本的に刑法における重婚罪には該当しません。
しかし、法律上の婚姻関係が破綻していないにもかかわらず、重婚的内縁関係を構築してしまうと、不倫とみなされるリスクがあります。
不倫とみなされるかどうかを判断するためには、さまざまな事情を考慮する必要があり、複雑な要素も関係します。
重婚的内縁関係で悩んでいるときは、まず専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
男女問題の経験が豊富な弁護士であれば、個別の状況に応じた適切な判断が可能なため、よりよい結果を得るためのアドバイスやサポートが受けられるでしょう。
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