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認知とは?認知してもらう方法や請求期限を解説

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夫婦の間に子どもが出来た場合には当然、妻が母親、夫が父親となります。

ただし、未婚の状態で妊娠・出産をした場合はどうでしょうか。その子どもには戸籍上の父親が存在しないことになります。

未婚の状態でも法律上の父親であることを認めてもらうには「認知」が必要になります。

2016年に行われた「全国ひとり親世帯調査」によると、全国の母子世帯数は約123万、そのうちの8.7%にあたる約11万世帯が「未婚の母」になるようです。

この記事では、未婚の状態で生まれた子どもに対し、父親との間に法的な親子関係を成立させる「認知」について解説します。

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認知とは

認知とは、戸籍上で結婚をしていない男女の間に生まれた子供と、その父親との間に法的な親子関係を成立させる行為のことをいいます。

婚姻関係にある男女の間に生まれた子供を嫡出子といいます。一方、婚姻関係にない男女の間に生まれた子供は非嫡出子と呼び、現行法の下では非嫡出子と父親との間には認知がなければ法的な親子関係は認められません。

(認知)

第七百七十九条 嫡出でない子は、その父親又は母親がこれを認知することができる。

引用:民法

このように認知は、基本的には父親と非嫡出子との間の親子関係を成立させる機能を有しており、母親による認知が問題となるケースは非常に稀です。

というのも、母親との親子関係はその母親から子供が生まれたという事実のみで当然に認められると考えられており、母親による認知は捨て子など子供を分娩したことが客観的に判断できない非常に限定的な場合に問題となるに過ぎません。

そのため、実務的には母親と子供との間に認知の問題が生じることは殆どありません。父親が非嫡出子を認知すると、子供の戸籍には父親の名前が明記され、父親の戸籍にはその子供を認知したことが明記されます。

父親に認知してもらう3つのメリット

ここで、父親に認知してもらうメリットを3つ解説します。

①認知した父親に養育費を請求できる

父親が認知した場合、母親または子が父親に対して、養育費を請求できるようになります。

父親には「生活保持義務」があり、子が自身と同じ水準の生活ができるよう努めなければなりません。子を育てる上での養育分担は「子と暮らす母親」と「子と暮らしていない父親」でも同等でなければならないと考えられています。

養育費をもらうことは、認知の最も重要な意味の一つといっても過言ではないでしょう。

養育費の額は、母親と父親の年収によっても影響しますが、例えば年収が父親母親ともに400万円程度、小学生の子ども一人であれば、月々2~4万円くらいだと考えておきましょう。

また、認知したあとに養育費の支払いが途絶えてしまった場合は以下のような手段をとることになります。

  1. 支払いを催促する内容証明を送る
  2. 家庭裁判所から養育費を支払うように勧告してもらう
  3. 公正証書を基に、給与や財産の差し押さえを行う

②認知されれば子どもに相続権が認められる

父親と母親が夫婦関係でなくても、認知すれば子どもに相続権が認められます。

父親が亡くなったとき、子どもが遺産を受け取ることができるようになります。

③子ども自身の父親が明らかになる

認知することで、子どもにとっての「父親」が明確になります。

未婚の状態で子どもが産まれたら、母親が筆頭者となった戸籍が新たに作成され、そこに子どもの情報も記載されます。現時点では父親に関する情報の記載はありません。

認知が完了すると、子どもの戸籍情報に「認知日・認知者の氏名・認知者の戸籍」などの情報が追加されます。

両親の離婚によって父親と離別するならばまだしも、「そもそも父親が誰かわからない」という状況では、それがどうしてなのか疑問に感じる場合もあるでしょう。

子どもが成人した後などに父親のことを知りたくなった場合、認知してあるとスムーズに父親にたどり着くことができます。

父親に認知してもらうデメリット

一方、認知してもらうことによるデメリットもあります。以下で解説していきます。

認知後に父親から面会交流を請求される可能性がある

認知された後に、父親から「子どもに会わせて欲しい」と面会交流を求めてくる可能性があります。

面会交流権とは、簡単にいうと「子が親に会える権利・健やかに成長していくための権利」です。

認知することによって養育費をもらうことができますが、その状態で父親に理由なく会わせないというのは難しいようです。

既婚者との子どもの場合は認知後に慰謝料請求される可能性がある

慰謝料請求の例

既婚の男性に認知を要求する際はよく注意しましょう。その男性の配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。

上記の画像ですと、A子さんは既婚者であるB男さんと不倫関係にありましたが、A子さんが妊娠。

B男さんが認知すると、B男さんの戸籍(青枠)に子どもを認知したという事実が記載されます。C美さんが何かのタイミングで戸籍をチェックしたときに、B男さんに隠し子がいることが知られてしまいます。

結果、C美さんからB男さん、A子さん両者に慰謝料請求、という形になる可能性があります。

B男さんが既婚者であることをA子さんが知らなかった場合には慰謝料の支払いは免れる可能性が高いものの、トラブルは避けられないでしょう。

認知してもらう3つの方法と手続き

次に、認知してもらうための具体的な方法を紹介していきます。

①話し合いで認知してもらう任意認知

任意認知とは、文字通り、男性自らの意思で認知してもらう方法です。

難しいことは何もありません。男性にコンタクトをとり認知して欲しい旨を伝え、納得してもらうだけです。

認知の同意が取れた場合には、市役所などに認知届を提出することで手続きが完了します。

②裁判所を通じて認知してもらう強制認知

話し合いで認知に同意してもらえなかった場合には、裁判所を通じて認知を求めることになります。

具体的には、調停委員を交えて話し合いを行う調停、判決で決着をつける裁判があります。

調停での話し合い

父親が話し合いをしても認知に応じない場合、裁判所の手続きを利用することを検討せざるを得ません。

具体的には、認知請求の調停手続きを申し立て、家庭裁判所の調停委員を交えて話し合いを進めることになります。

調停で認知する旨の合意が成立し、裁判所が当該合意に正当性があると認める場合には、裁判所が合意に相当する審判を出します。

この審判の確定により、認知が認められます。

裁判での決着

調停でも認知に同意してもらえなかった場合、最後は訴訟(裁判)という形で認知を求めることになります。

調停はあくまで話し合いであり、結果に納得出来ない場合、調停委員の助言に従う必要はありません。

ただし、裁判となるとお互いの言い分を聞いて、裁判所が判決を下すことになります。

もし「原告の言い分を認めない(認知請求は認めない)」という判決になってしまった場合には、控訴してその判断を争うほかは、基本的には手段は残されていません。

以下は、認知に関して実際にあった裁判です。

事件の内容

被告(男性)が、当時内縁関係にあった原告(女性)の妊娠を知って、無理矢理堕胎させるために暴力を振るい、正式な病院の診察すら受けさせずに拘束するなどして肉体的・精神的苦痛を加え続けた後、原告との連絡を一切絶って内縁関係も破壊したとして、慰謝料1,000万円を含む損害賠償を求めた事件です。

 

原告については、被告による暴行によって「子どもに悪影響が出るのではないか」と不安と孤独に耐えながらも厚生病院での検診等を受け続け、子供Aを出産しています。

 

被告については、原告が子どもの認知を求める手紙を出しても連絡をせず、原告が平成19年4月に申し立てた調停の期日に4回とも出頭していませんでした。

 

子供Aについては、同年10月に提起した認知請求訴訟にて「被告が父親である確率が99.9988%である」とするDNA鑑定結果が出ています。

 

結果

原告は子供Aを出産したが、被告は平成20年5月14日にAを認知し、その直後に「Aは被告の子どもであることを認知する」との判決が下され、同判決は確定しました。

 

参考:東京地判平成22年2月24日(Westlaw Japan 文献番号 2010WLJPCA02248007)

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認知を請求できる期限はいつ?

認知の期限は条件によって異なります。

具体的には、親が亡くなっている場合には認知できる期限が短くなります。

子どもの認知に原則として期限はない

認知の請求に関しては、原則として期限はありません。

ただし、子どもが成人したあとの認知に関しては、子ども本人の承諾がないと認知できません。

これは、子育てや養育費の支払いをしていないのに、子が自立してから親を名乗り、認知することで老後や生活の面倒を見てもらおうとするのを防ぐための決まりです。

父親が死亡した場合の認知の期限

父親が死亡した場合には、死亡日から3年以内に認知する必要があります。

父親に認知してもらう3つのメリット」で説明した通り、認知することで法律上の親子となり、父親が亡くなった場合には財産を相続できます。

遺産分割が済んでしまったあとに認知が完了したとしても、相続は可能です。その場合、金銭の支払いのみを他の相続人に請求することができます(民法 第910条)。

妊娠中であれば「胎児認知」を請求できる

妊娠中の段階であっても認知は請求できます。

ただし、「母親が承諾すること」が認知の条件となります。

婚姻をしていない状態でも、母親は妊娠・出産することで親子関係が証明されます。

結婚もしていない男から勝手に父親を名乗られないためにも、認知に母親の承諾が必要なのは当然といえるでしょう。

外国籍を持つ交際相手に認知を請求する場合

父親が外国人の場合の認知はどのような扱いとなり、どのような手続きが必要になるのでしょうか。

認知はどちらの国の法律が適用されるか

法の適用に関する通則法 第29条 1項では、以下の通り定められています。

(嫡出でない子の親子関係の成立)

第二十九条 嫡出でない子の親子関係の成立は、父親との間の親子関係については子の出生の当時における父親の本国法により、母親との間の親子関係についてはその当時における母親の本国法による。この場合において、子の認知による親子関係の成立については、認知の当時における子の本国法によればその子又は第三者の承諾又は同意があることが認知の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。

引用:法の適用に関する通則法

つまり、「認知に関しては、親の国籍の法律が適用される」ということです。

認知する際、父親が日本人なら日本の法律、父親がアメリカ人ならアメリカの法律が適用されます。なお国によっては認知という仕組みをとっていないこともあり、以下で紹介します。

認知主義

認知することで父親と子の親子関係が証明されます。このような方法をとっている国の例としては、日本・韓国・ブラジルなどがあげられます。

事実主義

認知は必要なく、DNA的に親子であれば法律上の親子関係が成立するというものです。中国やフィリピンではこのような形式が取られています。

ちなみに、父親の本国で事実主義が採用されていたとしても、日本の実務上では認知届を出せば親子関係が成立します。

「事実主義」は「認知そのもの」を否定するものではないこと、また、DNA的に親子であれば認知(法律上の親子)に値すると考えられているからです。

認知後の届出先

こちらは通常と変わらず、市役所などに認知届を提出することになります。

父親の本国に、認知に関わる別の法律(第三者の承諾など)がある場合、それを証明する書類を求められるかもしれません。

詳しくは市役所に問い合わせたり、弁護士に問い合わせたりしましょう。

認知で困ったときは弁護士に相談

交際相手に認知してもらえない、元交際相手に認知をお願いしても返信がないなど、認知に関する悩みを抱えている方は弁護士に相談しましょう。

個人の力ではどうにもならない場合でも、弁護士が介入することでスムーズに解決できる場合があります。

認知を請求を弁護士に依頼するメリット

自身で交渉するより認知に至りやすいというのが最大のメリットでしょう。

個人で認知を請求するのと、母親の代理人となった弁護士が認知の請求をするのでは、「父親が感じるプレッシャー」がまるで違います。

内容証明郵便が届いたり、裁判所からの呼び出しがかかったりすれば、多くの人が「認知するしかない」と感じるはずです。

また、認知を請求すること自体がストレスであったり、恐怖であったりする場合には、弁護士にすべて任せることで精神的負担を和らげることができます。

認知の請求による弁護士費用の相場

弁護士費用は弁護士事務所によっても違いますが、だいたい20万円~50万円くらいだと考えておきましょう。

「そんな金額用意できない…」と感じる方は、一度「法テラス」に相談してみましょう。条件はありますが、認知に関する悩みが無料で相談できたり、弁護士費用の立替えなどをしてくれます。

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まとめ

認知とは、「未婚の女性が妊娠・出産した際、父親が自分の子だと認めることで、法律上の親子になる手続き」です。

夫婦の間で子どもが産まれた場合、当然、女性が母親、男性が父親となります。

ただし未婚の状態での妊娠・出産では、そうはなりません。「母親はいるが、父親は存在しない」という状態です。父親と子どもを法律上の親子にするためには認知が必要になります。

戸籍上でも母親が戸籍筆頭者となり、子どもの記載はありますが父親の部分は空欄となっています。認知が完了すると、母親の戸籍、父親の戸籍両方に認知の事実が記録されます。

もちろん親子関係は認められるものの、当該男女は夫婦ではないため戸籍は別々のままになります。

子どもにとって認知する最大のメリットは「養育費がもらえる」「父親が亡くなったときに相続がもらえる」という点です。認知しなければ片親で育てていくことになり、経済的に苦労をする可能性があります。

「間違いなく生物学上の父親であるのに認知してもらえない」などのお悩みがある場合には、一度弁護士に相談してみましょう。

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この記事の監修者
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この記事は、株式会社アシロの『離婚弁護士ナビ編集部』が執筆、社内弁護士が監修しました。

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本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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