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不倫の示談書のテンプレートを公開!確実に効力を持たせるポイントも解説

不倫の示談書のテンプレートを公開!確実に効力を持たせるポイントも解説

不倫をされた側は、不倫をした配偶者やその相手に対して、精神的な苦痛に対する償い、つまり慰謝料を請求する権利があります。

そして、問題を解決する方法のひとつとして、裁判ではなく、当事者同士の話し合いで解決を目指す「示談」があります。

その際、話し合いで決まった内容を記録するために作成するのが「示談書(じだんしょ)」です。

しかし、なかには「示談書ってどうやって作成するの?」「何を書けばいいの?」という疑問を抱えている方も多いでしょう。

そこで本記事では、不倫の示談書を作成しようと考えている方へ、弁護士監修の示談書テンプレート(ひな形)を紹介します。

示談書の各項目が持つ意味や、作成した示談書が確実に効力を持つためのポイント、有利な条件で示談を成立させるためのコツについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

不倫の示談書の文例・テンプレート【弁護士監修・PDFダウンロード】

示談書は、誰と誰の間で合意するのかによって、記載する内容や当事者が異なります。

ここでは、主な3つのケースに応じた不倫の示談書のテンプレートを紹介します。

なお、以下で紹介するテンプレートは弁護士が監修したものですが、あくまで一般的な例です。

個別の事情によっては内容を修正する必要がある場合や、より複雑な状況では専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

1.不倫相手との示談の場合

夫婦関係は継続するものの、不倫相手に対して慰謝料を請求し、配偶者との関係を完全に断ち切らせたい場合などには、以下のような示談書を作成しましょう。

なお、この示談書では被害を受けたあなた(甲)と不倫相手(乙)の二者間で合意する形式をとっています。

示談書

 

⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(以下、「甲」という)と⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(以下、「乙」という)とは、乙と甲の配偶者である⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(以下、「丙」という)との不貞行為について、以下のとおり合意した。

 

第1条(不貞行為)

乙は、令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月から令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月まで丙と不貞関係にあったことを認め、甲に対して真摯に謝罪する。

 

第2条(慰謝料)

1 乙は甲に対し、本件不貞行為に関する慰謝料として、金⚫︎⚫︎万円の支払い義務があることを認める。

2 乙は甲に対し、前条の金額を令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月⚫︎⚫︎日限り、甲の指定する下記口座に振り込む方法により支払う。ただし、振込手数料は乙の負担とする。

 

 

銀行名  ⚫︎⚫︎銀行⚫︎⚫︎支店

口座種別  普通

口座番号 ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎

口座名義 ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎

 

【分割払いの場合】

2 乙は、前条の金額を分割して令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月から令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月までの間、毎月末日限り、月額⚫︎万円を甲の指定する下記口座に振り込んで支払う。振り込み手数料は乙の負担とする。

 

 

銀行名  ⚫︎⚫︎銀行⚫︎⚫︎支店

口座種別  普通

口座番号 ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎

口座名義 ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎

 

第3条(遅延損害金)

乙が前条の支払いを怠った場合、乙は甲に対し、既払い金を除く残金及びこれに対する年⚫︎⚫︎%の割合による遅延損害金を付加し、直ちに支払うものとする。

 

【分割払いの場合】

1 乙が前条の支払いを2回以上怠った場合、当然に期限の利益を喪失し、乙は、甲に対し、直ちに第2条の金額から前項の既払い金を控除した残額を返済しなければならない。この場合、乙は、期限の利益喪失日の翌日から支払済みまで、既払い金を除く残金及びこれに対する年⚫︎⚫︎%の割合による遅延損害金を付加し、支払う。

 

第4条(求償権の放棄)

1 乙が甲に対し、第2条の支払いを行うことにより、乙が取得する乙の丙に対する求償権については、乙はこれを放棄し、丙に対して一切の請求をしないことを約する。

2 乙が前項に違反し、丙に求償権を行使した場合、乙は甲に対し、丙に対して請求した金額と同額を、直ちに支払うものとする。

 

第5条(接触禁止)

1 乙は、甲に対して、就業上不可欠な場合を除き、今後、メール、SNS、面会など方法の如何を問わず、丙と一切接触しないことを約する。

2 乙が前項に違反し、丙と接触した場合、乙は、甲に対し、違約金として、1回の違反行為につき⚫︎⚫︎万円を支払うものとする。

 

第6条(口外禁止)

甲及び乙は、本件不貞行為及び本件示談について互いに口外しない。

 

第7条(清算条項)

甲と乙は、本件不貞行為に関し、甲と乙の間には、本示談書に定めるものの他に何らの債権債務がないことを相互に確認する。

 

上記の合意内容を証するため、本示談書を2通作成し、甲及び乙が署名捺印の上、各自1通を保有する。

 

以上

 

令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月⚫︎⚫︎日

 

(甲)住所

氏名          印

 

(乙)住所

氏名          印

 

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2.配偶者、不倫相手の2者との場合

不倫をした配偶者(乙)と不倫相手(丙)の両方に対して、慰謝料の支払いなどを求める場合、以下のような示談書を作成しましょう。

示談書

 

⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(以下、「甲」という)、⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(以下、「乙」という)及び⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(以下、「丙」という)とは、乙と丙との不貞行為について、以下のとおり合意した。

 

第1条(不貞行為)

乙及び丙は、令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月から令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月まで不貞関係にあったことを認め、甲に対して真摯に謝罪する。

 

第2条(慰謝料)

1 乙及び丙は甲に対し、本件不貞行為に関する慰謝料として、金⚫︎⚫︎万円の支払い義務があることを認める。

2 乙及び丙は甲に対し、前条の金額を令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月⚫︎⚫︎日限り、甲の指定する下記口座に振り込む方法により支払う。ただし、振込手数料は乙の負担とする。

 

 

銀行名  ⚫︎⚫︎銀行⚫︎⚫︎支店

口座種別  普通

口座番号 ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎

口座名義 ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎

 

【分割払いの場合】

2 乙及び丙は、前条の金額を分割して令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月から令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月までの間、毎月末日限り、月額⚫︎万円を甲の指定する下記口座に振り込んで支払う。振り込み手数料は乙及び丙の負担とする。

 

銀行名  ⚫︎⚫︎銀行⚫︎⚫︎支店

口座種別  普通

口座番号 ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎

口座名義 ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎

 

第3条(遅延損害金)

乙及び丙が前条の支払いを怠った場合、乙及び丙は甲に対し、既払い金を除く残金及びこれに対する年⚫︎⚫︎%の割合による遅延損害金を付加し、直ちに支払うものとする。

 

【分割払いの場合】

1 乙及び丙が前条の支払いを2回以上怠った場合、当然に期限の利益を喪失し、乙及び丙は、甲に対し、直ちに第2条の金額から前項の既払い金を控除した残額を返済しなければならない。この場合、乙及び丙は、期限の利益喪失日の翌日から支払済みまで、既払い金を除く残金及びこれに対する年⚫︎⚫︎%の割合による遅延損害金を付加し、支払う。

 

第4条(口外禁止)

甲、乙及び丙は、本件不貞行為及び本件示談について互いに口外しない。

 

第5条(清算条項)

甲、乙及び丙は、本件不貞行為に関し、甲、乙及び丙の間には、本示談書に定めるものの他に何らの債権債務がないことを相互に確認する。

 

上記の合意内容を証するため、本示談書を3通作成し、甲、乙及び丙が署名捺印の上、各自1通を保有する。

 

以上

 

令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月⚫︎⚫︎日

(甲)住所

氏名          印

 

(乙)住所

氏名          印

 

(丙)住所

氏名          印

 

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3.ダブル不倫の示談の場合

不倫をした双方(乙・丙)がそれぞれ既婚者であり、その配偶者たち(甲・丁)も交えて解決を図る、いわゆるダブル不倫の場合は、以下のような示談書の作成が考えらえます。

合意書

 

⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(以下、「甲」という)、⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(以下、「乙」という)、⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(以下、「丙」という)及び⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(以下、「丁」という)とは、乙と丙との不貞行為について、以下のとおり合意した。

 

第1条(不貞行為)

乙及び丙は、令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月から令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月まで不貞関係にあったことを認め、甲は乙に、丙は丁に対して真摯に謝罪する。

 

第2条(接触禁止)

乙及び丙、就業上不可欠な場合を除き、今後、メール、SNS、面会など方法の如何を問わず、一切接触しないことを互いに約する。

 

第3条(慰謝料)

甲及び丁は、第1条記載の不貞行為に関し、本合意書をもって一切の解決を図るものとし、本合意書記載の内容が遵守されている限り、甲は丙に、丁は乙に対して、慰謝料請求権を行使しない。

 

第4条(求償権)

乙及び丙は、互いに第1条記載の不貞行為の損害賠償債務について、相手方に対して求償権は行使しない。

 

第5条(口外禁止)

甲、乙、丙及び丁は、本件不貞行為及び本件示談について互いに口外しない。

 

上記の合意内容を証するため、本示談書を2通作成し、甲、乙、丙及び丁が署名捺印の上、甲、乙において1通、丙、丁において1通を保有する。

 

以上

 

令和⚫︎⚫︎年⚫︎⚫︎月⚫︎⚫︎日

 

(甲)住所

氏名          印

 

(乙)住所

氏名          印

 

(丙)住所

氏名          印

 

(丁)住所

氏名          印

 

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ダブル不倫の場合、お互いの家庭への慰謝料請求をしない代わりに、不倫関係の完全な解消と接触禁止を約束させる「ゼロ和解」と呼ばれる形をとることが多いです。

示談書テンプレートの選び方

どのテンプレートを選ぶかは、最終的にどのような解決を望むかによって変わってきます。

例えば、不倫相手からのみ慰謝料を受け取り、夫婦関係を続ける場合はテンプレート1が基本ですが、ダブル不倫で、お互いに事を荒立てずに不倫関係だけを終わらせたい場合は、テンプレート3の「ゼロ和解」が有効な選択肢となり得ます。

どのような示談書を作成するのかで迷った場合は、弁護士などの専門家に相談し、アドバイスをもらうのがよいでしょう。

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不倫の示談書に記載する主な内容

不倫の示談書には、当事者間で合意した内容を具体的に記載します。

具体的な記載内容は、以下のとおりです。

  • 謝罪|不貞行為の事実を認める内容
  • 慰謝料|支払い義務と支払い方法に関する内容
  • 接触禁止|違約金に関する内容
  • 求償権 | 求償権を放棄することを明記する
  • 口外禁止|当事者全員の義務であることを明記する
  • 清算条項|解決の確認のため、必ず記載する

ここでは、一般的な示談書に含まれる主な条項とその意味について、ひとつずつ見ていきましょう。

1.謝罪|不貞行為の事実を認める内容

まず、示談書の冒頭で、誰が誰と、いつからいつまで不貞行為をおこなったのか、その事実を具体的に記載し、加害者がその事実を認めることを明確にします。

例えば、「乙は、甲の配偶者である丙と、令和〇年〇月から令和〇年〇月までの間、不貞関係にあったことを認めます」といった形です。

期間や場所、頻度などがわかっていれば、より具体的に書くこともあります。

また、多くの場合、この事実認定に加えて、加害者からの謝罪の言葉も記載されます。

謝罪の言葉自体に直接的な法的強制力はありませんが、被害者の感情的な区切りとして重要であり、また、不貞行為の事実を認めたことの証拠にもなります。

この条項は、後になって「不倫なんてしていない」と言い逃れされるのを防ぐために非常に重要です。

特に将来、離婚を考える可能性がある場合、この記載があることが不貞行為の有力な証拠となります。

2.慰謝料|支払い義務と支払い方法に関する内容

不倫は、被害者の心の平穏を害する「不法行為」であり、加害者は、「被害者が受けた精神的苦痛に対する慰謝料」を支払う義務を負います。

示談書では、合意した慰謝料の金額を明確に記載し、支払う側がその支払い義務を認めることをはっきりと記載しましょう。

また、以下のように慰謝料をいつ、どのように支払うのか、具体的な支払い方法を定めることも大切です。

  • 支払い期日:「令和〇年〇月〇日限り」のように、支払い期限を明確に指定します。
  • 支払い方法:一括で支払うのか、分割で支払うのかを明記します。
  • 振込の場合:銀行振込で支払う場合は、振込先の銀行名、支店名、口座の種類、口座番号、口座名義人を正確に記載します。
  • 振込手数料:振込手数料をどちらが負担するのかを記載します。

また、分割払いにする場合は、以下のようにさらに詳細な取り決めが必要です。

  • 支払い期間:「令和〇年〇月から令和〇年〇月までの間」のように、いつからいつまで支払うのかを定めます。
  • 毎月の支払い額:「毎月末日限り、月額〇万円を支払う」のように、毎月の支払い日と金額を定めます。

そのほか、支払いが遅れた場合のペナルティについても定めておくことが重要です。

  • 遅延損害金:支払いが遅れた場合に、遅れた日数に応じて加算される利息です。
  • 期限の利益の喪失:分割払いの場合、支払いを一定回数以上怠ると、残りの金額を一括で支払わなければならなくなる、という条項です。これは、支払いを確実にするための強いプレッシャーとなります。

これらの金銭に関する取り決めは、後々のトラブルを避けるために、最も明確かつ具体的に記載する必要があります。

3.接触禁止|違約金に関する内容

夫婦関係を修復し、平穏な生活を取り戻すためには、不倫相手と配偶者が今後一切接触しないことが非常に重要です。

そのため、不倫の示談書には「接触禁止条項」を盛り込むのが一般的です。

この条項では、不倫相手が、もう一方の当事者と、今後一切連絡を取ったり会ったりしないことを約束します。

なお、ここでは「面会、電話、手紙、メール、LINE、SNSなど、方法の如何を問わず」といった補足も記載し、あらゆる手段での接触を禁止することが大切です。

職場が同じなど、業務上どうしても接触が必要な場合は、「業務上必要やむを得ない場合を除き、私的な連絡を取らない」といった例外を設けることもあります。

この約束を破らせないためには、違反した場合のペナルティを定めておくこともおすすめです。

「本条項に違反した場合、1回の違反につき〇〇万円を支払う」のように、具体的な金額を明記しておきましょう。

ただし、違約金の金額があまりに高額すぎると法的に無効と判断される可能性もあるため、数十万円から100万円程度の範囲で設定するのが一般的です。

4.求償権 | 求償権を放棄することを明記する

「求償権」とは、わかりやすくいうと「立て替えた分を本来負担すべき人に請求する権利」のことです。

不倫の場合、法律上は不倫をした配偶者とその不倫相手の二人が、共同で被害者に損害を与えたと考えられます。

そのため、例えば不倫相手が慰謝料の全額を被害者に支払った場合、本来は不倫をした配偶者も負担すべき部分があったとして、不倫相手が不倫をした配偶者に対して「あなたが負担すべき分を支払ってください」と請求する権利を持つ可能性があるのです。

もしあなたが夫婦関係を続けていく場合、示談によって不倫相手から慰謝料を受け取ったとしても、後から不倫相手があなたの配偶者に対してこの求償権を行使し、お金を請求されては意味がありません。

このような事態を防ぐために、不倫相手とのみ示談する場合は、示談書に「求償権を放棄する」という条項を入れることが非常に重要です。

具体的には、「乙(不倫相手)は、丙(配偶者)に対する求償権を放棄する」といった形で明記します。

また、「もしこの約束を破って求償権を行使した場合は、請求した金額と同額の違約金を甲(あなた)に支払う」といったペナルティを加えることもあります。

5.口外禁止|当事者全員の義務であることを明記する

不倫の事実や示談の内容は、非常にプライベートな事柄です。

これが外部に漏れると、当事者の社会的信用が傷ついたり、さらなる精神的苦痛を受けたりする可能性があります。

そのため、示談書には「口外禁止条項」を示談書に盛り込むことが大切です。

これは、示談書に署名した当事者全員が、不倫の事実や示談で取り決めた内容について、正当な理由なく第三者に口外したり、情報を漏らしたりしないことを約束するものです。

「甲及び乙は、互いに口外しない」のように、一方だけでなく、関わった当事者全員の義務であることを明確にしましょう。

この条項により、プライバシーを守り、問題をこれ以上広げないようにすることができます。

6.清算条項|解決の確認のため、必ず記載する

「清算条項」は、不倫の示談書の中でも特に重要な条項のひとつです。

これは、「この示談書に書かれている内容をもって、今回の不倫に関する問題は全て解決済みとし、示談書に定められたこと以外には、当事者間には一切の貸し借り(債権債務)はありません」ということを、お互いに確認し合うための条項です。

具体的には、「甲と乙(及び丙など)は、本件不貞行為に関し、本示談書に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった形で記載されます。

この条項があることで、示談が成立したあとに、どちらか一方が「やっぱり慰謝料が足りない」や「ほかにも損害があった」などといって、同じ問題で追加の請求をすることができなくなります

つまり、「この示談をもってこの件に関しては完全に終わりにする」という最終確認の役割を果たすのです。

後々の紛争を蒸し返さないためにも、必ず記載するようにしましょう。

自分で作成した示談書でも、確実に効力を持たせるためのポイント

「弁護士に頼まずに自分で不倫の示談書を作っても、ちゃんと効力はあるの?」と心配になる方もいるかもしれません。

当事者同士で作成した示談書でも、以下のポイントを押さえていれば、法的に有効な契約書として効力を持ちます

  • 当事者の署名・捺印をする
  • 示談成立日を明記する
  • 内容は明確に記載する
  • 公序良俗に反する内容にしない
  • 相手を脅して書かせない

内容や書き方に不備があると、せっかく作成した示談書も意味がなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

以下でそれぞれのポイントを押さえておきましょう。

1.当事者が署名・捺印をする

示談書の内容に当事者全員が合意したことを証明するために、示談に関わる全員が、必ず自筆で署名し、印鑑を押す必要があります。

署名・捺印があることで、「確かにこの内容で合意しました」という意思表示となり、示談書が本物であることの証明力が高まります。

また、示談書は、当事者の人数分作成し、全員が署名・捺印した原本を各自が1通ずつ保管するようにしましょう。

もし示談書が複数ページにわたる場合は、ページとページの間にまたがるように印鑑を押す「割印」をしておくと、あとからページが差し替えられたりするのを防ぐのに役立ちます。

2.示談成立日を明記する

示談書には、必ず「示談が成立した日」、つまり全員が署名・捺印して合意が完了した日付を正確に記載してください。

この日付は、示談契約がいつ発効したかを示す基準となり、慰謝料の支払期限などを計算する起点にもなります。

3.内容は明確に記載する

示談書に書く内容は、誰が読んでも同じ意味として理解できるように、具体的かつ明確に記載することが非常に重要です。

曖昧な表現や、解釈が分かれるような書き方は避けましょう。

なぜなら、内容が曖昧だと、あとになって「こういう意味だと思った」「いや、そうではない」といった解釈の違いから新たなトラブルが生まれる可能性があるからです。

内容が明確であればあるほど、約束が守られやすくなり、万が一守られなかった場合にも、示談書に基づいて対応しやすくなります。

4.公序良俗に反する内容にしない

示談書の内容は、公序良俗に反するものであってはなりません

もし公序良俗に反する内容が含まれている場合、その部分は法的に無効と判断され、効力が認められない可能性があります。

例えば、以下のような内容は問題となる可能性があります。

  • 法外に高額な慰謝料や違約金:相場から著しくかけ離れた金額は、無効とされることがあります。
  • 個人の自由や権利を不当に制限する内容:例えば、「一生誰とも結婚しないことを約束させる」「仕事をやめさせる」といった、相手の基本的な人権を過度に侵害するような約束は無効となる可能性が高いです。離婚後の接触禁止なども、状況によっては無効とされることがあります。
  • 犯罪行為を強要する内容:当然ながら、法律に違反する行為を約束させることはできません。

示談は当事者の合意が基本ですが、法律は、あまりにも不公平であったり、社会的に見て許されないような約束までは保護しません。

怒りや悲しみの感情から厳しい条件を求めたい気持ちは理解できますが、法的に有効な範囲で合意することが重要です。

5.相手を脅して書かせない

示談書は、当事者全員が自由な意思に基づいて合意して初めて有効となります。

相手を脅したり、無理やり書かせたりして作成された示談書は、あとから取り消されたり、無効と判断されたりする可能性があることを覚えておきましょう。

不倫という裏切り行為に対して強い怒りを感じるのは当然ですが、感情に任せて相手を追い詰め、違法な手段で不倫の示談書にサインさせることは絶対に避けてください。

冷静な話し合いに基づき、双方が納得した上で署名・捺印することが、後々のトラブルを防ぎ、確実に効力を持つ示談書を作成するための大前提となります。

不倫トラブルで有利な内容の示談書を作成するポイント

不倫の示談書は、単に作成すればよいというものではありません。

あなたにとって納得のいく、そして将来にわたって安心できる内容にするためには、いくつかのポイントがあります。

ここでは、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

1.各条項の意義を理解する

まず、示談書を作成する際は、各条項が、具体的にどのような意味を持ち、なぜ必要なのかをきちんと理解しておくことが非常に重要です。

それぞれの条項が持つ法的な意味や効果を知ることで、個々人の状況に合わせて、どの条項が必要で、どの条項は修正すべきか、あるいは追加すべきかを判断できるようになります。

意味を理解せずにただテンプレートを丸写しするだけでは、必要な保護が得られなかったり、逆に不利な内容で合意してしまったりするリスクがあります。

2.相手に任せず、自分で作成する

可能であれば、不倫の示談書の最初の案の作成は、相手方やその代理人に任せるのではなく、あなた自身やあなたの代理人である弁護士などが主導して作成することをおすすめします。

なぜなら、最初に文書を作成する側が、全体の構成や表現のニュアンスなど、議論の土台となる条件を有利に設定しやすい傾向があるからです。

相手方が作成した案を元に交渉を始めると、どうしても相手のペースで話が進みがちになります。

まずはあなた自身の希望や要求を反映させた案を作成し、それを相手方に提示して交渉を始めるほうが、最終的に有利な条件を引き出しやすくなるでしょう。

3.示談書は公正証書にする

示談書の内容のうち、慰謝料の支払いに関する合意については「公正証書」という形で作成するのがおすすめです。

公正証書とは、公証役場という公的な機関で、公証人という法律の専門家が作成する公文書です。

不倫の示談書を公正証書として作成する最大のメリットは、その強制執行力にあります。

例えば、示談書の中に慰謝料の支払いに関する記載がある場合、示談書を公正証書として作成しておけば、相手が支払いを怠った際に、裁判を起こさなくても強制執行が可能です。

そのほか、公正証書には以下のようなメリットがあります。

  • 示談内容の証明力が高く、「いったいわない」の争いを防ぎやすい
  • 公証人が内容を確認するため、法的に無効な内容になるリスクが低い
  • 相手に心理的なプレッシャーを与え、約束を守らせる効果が期待できる

4.弁護士に相談する

不倫の示談交渉や示談書の作成には、法律的な知識だけでなく、交渉の進め方や感情的な側面への配慮も必要です。

もし少しでも不安があれば、離婚や不倫問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

示談書作成について弁護士に相談すると、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 法的なアドバイス:あなたの状況に合わせた適切な慰謝料の相場や、示談書に盛り込むべき条項について、専門的なアドバイスを受けられます。
  • 示談書の作成・チェック:法的に有効で、あなたにとって不利にならない示談書を作成してもらったり、ご自身で作成した案をチェックしてもらったりできます。
  • 交渉の代理:相手方との交渉を全て任せることができます。精神的な負担が大きい相手との直接対決を避けられるだけでなく、冷静かつ有利に交渉を進めてもらえる可能性が高まります。
  • 公正証書作成のサポート:公正証書を作成する際の手続きもサポートしてもらえます。
  • 精神的な支え:辛い状況の中で、法的な問題だけでなく、精神的な支えにもなってくれるでしょう。

弁護士費用が心配な方もいるかもしれませんが、多くの法律事務所では初回相談を無料でおこなっています。

無料相談を利用したからといって、必ず依頼しなければならないわけではないので、まずは相談してみて、依頼するかどうかを判断するのもよいでしょう。

不倫の示談書についてよくある質問

ここでは、不倫の示談書を作成する際によく寄せられる質問を紹介します。

タイトルは「合意書」などでもよいでしょうか?

示談書のタイトルは、「合意書」で問題ありません

タイトルには、「示談書」のほかに、「合意書」や「和解書」といった名称が使われることもよくあります。

どのタイトルを使っても、法的な効力に違いはありません。

重要なのは、タイトルではなく、その文書に書かれている内容と、当事者全員がその内容に合意して署名・捺印しているという事実です。

ただし、「誓約書」というタイトルは、通常、一方の当事者だけが何かを約束する場合に使われることが多いため、示談書の場合は、「示談書」「合意書」「和解書」のいずれかを使うのが一般的です。

示談書に記載する日にちは、いつにすればよいでしょうか?

示談書の一番最後に記載する日付は、示談の内容について当事者全員の合意が成立し、全員が署名・捺印を完了した「示談成立日」を記載してください。

未来の日付や過去の日付ではなく、実際に示談が成立したその日の日付を書くのが正しい方法です。

住所は必ず記載しなければなりませんか?

示談書には、署名・捺印とともに、当事者全員の現在の住所を正確に記載することを強く推奨します。

住所を記載する主な目的は、示談の当事者が誰であるかを特定し、明確にするためです。

住所の記載がなくても、氏名や捺印などから当事者が特定できれば、直ちに示談書全体が無効になるわけではありません。

しかし、後日、連絡を取る必要が生じたり、法的な手続きが必要になったりした場合に備えて、住所は正確に記載しておくのが望ましいでしょう。

示談書に有効期限はありますか?

不倫の示談書そのものに「有効期限」というものはありません

ただし、示談書に含まれる各条項の内容によって、その効力が続く期間や考え方が異なります。

  • 清算条項:「この示談書に定める以外に債権債務はない」という確認は、その時点で問題を解決済みとするものであり、基本的に永続的な効力を持ちます。過去の問題を蒸し返すことはできません。
  • 慰謝料支払義務:支払うべき金額と支払い期日が定められています。もし期日までに支払われなかった場合、慰謝料を請求する権利(債権)には「消滅時効」があります。現在の法律では、原則として権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年のいずれか早い方で時効にかかる可能性があります。
  • 接触禁止条項:「今後一切接触しない」という約束は、基本的には将来にわたって守られるべきものです。ただし、夫婦関係が継続していることを前提としている場合、もし将来離婚に至った場合には、その効力が失われると解釈されることもあります。
  • 口外禁止条項:通常、期間の定めはなく、永続的に守るべき義務と考えられます。

このように、示談書全体としての有効期限というよりは、各条項の性質によって効力の期間や考え方が異なると理解しておくとよいでしょう。

さいごに|不倫を有利に解決するには弁護士に相談

示談書は、配偶者の不倫という辛い経験を乗り越え、問題を解決するために非常に重要な役割を果たします。

示談書の作成に悩んでいる方は、ぜひ本記事のテンプレートを参考に、適切な内容の示談書を作成してみてください。

しかし、ご自身の状況に合わせて最適な内容の示談書を作成し、不利な条件で合意してしまわないようにするためには、法律の専門知識が必要なケースもあります。

特に、慰謝料の金額が妥当か、相手との交渉がうまくいかない、示談書の内容に少しでも不安があるといった場合には、一人で悩まずに、離婚や不倫問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士は、あなたの権利を守り、最善の解決策を見つけるための強力な味方となってくれます。

法的な手続きを代行してくれるだけでなく、精神的な負担を軽減し、あなたが前向きな一歩を踏み出すためのサポートも提供してくれるでしょう

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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