「元配偶者とはもう顔も合わせたくないのに、大切な子どもを会わせなければならないの?」そう感じる方も少なくありません。
相手からのDVやモラハラ、子ども自身が強く拒否している場合、あるいは新しい家庭の平穏を守りたいと思った時に面会交流を拒絶したいと思ってしまうのも無理はありません。
しかし、感情のままに面会交流を拒み続けてしまうと、かえってあなたや子どもにとって法的に不利な状況に陥る可能性があります。
そこで、本記事では以下のポイントについてわかりやすく解説します。
- 拒否を続けたときのリスク
- 拒否が認められやすいケースと認められにくいケース
- 面会交流を拒否する上での進め方
- 面会交流調停を起こされた時の対処法
元配偶者に子どもを合わせたくないと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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結論からいうと、もしお子さんとの面会交流を不当に拒絶されている場合は、弁護士に相談するのをおすすめします。
弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。
- 慰謝料請求できる事案か判断してもらえる
- 適切な交渉の進め方について教えてもらえる
- 依頼することで、代理交渉を任せることができる
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面会交流は親の都合だけで原則として拒否できない
親の一方的な感情や都合だけで面会交流を拒否することは、原則として認められません。
面会交流は、親のためにあるのではなく、子どもの健やかな成長のために守られるべき「子どもの権利」だからです。
また、民法第766条では、離婚後の子の監護に関する事項として、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記されています。
そのため、「元配偶者の不倫が許せないから顔も見たくない」「養育費が支払われていないから会わせない」といった親側の事情だけでは、面会交流を拒否する正当な理由とは認められないのが一般的です。
面会交流の取り決めを拒否し続けた場合の4つの法的リスク

正当な理由なく面会交流を拒否し続けた場合、法的な手続きを通じて相手方から段階的に厳しい対応が取られる可能性があります。
ここでは、面会交流の取り決めを拒否し続けた場合に考えられる4つの法的リスクを解説します。
リスク1:家庭裁判所から「履行勧告」を受ける
面会交流を拒み続けると、法的な手段として「履行勧告」が最初に取られる可能性があります。
「履行勧告」は相手方の申立てにより、家庭裁判所からあなたに対して「取り決めを守るように」と促す手続きのことです。
多くの場合は調査官が書面や電話で事情を確認し、その結果を踏まえて面会交流の調整が行われます。
履行勧告に強制力はなく、従わなくてもすぐに罰則が科されるわけではありません。
ただし、履行勧告を無視し続けると相手方は、より厳しい法的手段に移行する可能性が極めて高くなります。
リスク2:「間接強制」で1回数万円の制裁金が科せられる
履行勧告を無視して面会交流を拒み続けると、相手方は次の段階として「間接強制」という、より強力な手続きを申し立てる可能性があります。
間接強制とは、「面会交流を1回拒否するごとに万円を支払うように」と裁判所が命じるもので、金銭的なペナルティによって間接的に面会交流を促す仕組みです。
制裁金の金額はケースによって異なりますが、1回あたり数万円(3万~10万円程度)が目安です。
例えば、制裁金が「1回につき5万円」と定められた場合、3回拒否すれば15万円の支払い義務が発生します。
このように、間接強制は経済的に大きな負担となるため、感情的な理由だけで面会交流を拒否し続けることは大きなリスクを伴います。
リスク3:損害賠償として「慰謝料」を数十万円単位で請求される
面会交流の拒否の仕方が悪質だと判断された場合、不法行為に基づく損害賠償を請求される可能性があります。
面会交流は「子どもの権利」であると同時に、別居している親の権利でもあります。
そのため、正当な理由もなく面会を拒否されたことで負った精神的苦痛に対する賠償金を、慰謝料として請求されてしまいます。
慰謝料の金額は、拒否の期間や理由、子どもの年齢などを総合的に考慮して決められ、数十万円になることもあれば、特に悪質な場合は100万円を超えることもあります。
リスク4:「親権者変更」を申し立てられる可能性も
面会交流を拒み続けると、最悪の場合「親権を失う」可能性も考えられます。
面会交流の拒否が子どもの成長に悪い影響を与えていると判断されれば、相手から「親権を変えてほしい」と裁判所に申し立てられることがあるからです。
もちろん、面会交流の拒否が原因で親権が変更されることはめったにありません。
しかし、親権を決めるうえで一番大事なのは「子どもの幸せ」です。
裁判所からの勧告や命令を無視して、意図的に子どもを相手から引き離し続けると、「親権者としてふさわしくない」と判断されてしまう可能性もあります。
これはあくまで最悪のケースですが、正当な理由がない状態で拒否し続けると、親権という大切な権利まで失ってしまうリスクがある点は覚えておく必要があります。
面会交流の拒否が法的に認められる4つのケース
面会交流を拒み続けることにはリスクがありますが、「どんな場合でも絶対に拒否できない」というわけではありません。
もし面会交流を行うことで、子どもの幸せや成長に悪影響を及ぼすと客観的に判断できる事情がある場合には、拒否や制限が「正当な理由」として認められることがあります。
具体的には、次のようなケースで面会交流の拒否が正当とされる可能性があります。

ケース1:子どもが虐待や暴力を受けるおそれがある
元配偶者に虐待の事実やおそれがある場合には、面会交流を拒否できる正当な理由となります。
さらに、過去に虐待があった場合でも、子どもに危険が及ぶ可能性があると判断されれば、拒否が認められることもあります。
ここでいう虐待には、以下のようなものが含まれます。
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虐待の種類
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内容
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身体的虐待
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殴る、蹴る、叩く、物を投げつけるなど。
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精神的虐待
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子どもの人格を否定するような暴言を吐く、脅す、無視するなど。
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ネグレクト(育児放棄)
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食事を与えない、不潔な環境に置くなど。
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そして、これらの事実を主張する際には、客観的な証拠が非常に重要になります。
例えば、以下のようなものが有効です。
虐待の客観的証拠
- 医師の診断書
- 痣や怪我の写真
- 暴言を録音した音声データ
- 児童相談所や警察への相談記録
子どもが面会交流の後に、夜泣きがひどくなったり、おびえたり、特定の言動に過敏に反応したりするなど、精神的に不安定な状態になる場合も、虐待が疑われるサインかもしれません。
子どもの安全を最優先に考え、少しでも不安を感じたら、ためらわず児童相談所や専門家へ相談してください。
ケース2:あなたが元配偶者から暴力を受けるおそれがある
あなたが元配偶者からの暴力やDVを受けるおそれがある場合は、それ自体が面会交流を拒否する正当な理由になり得ます。
特に問題となるのが、子どもの目の前で親が暴力を受けるケースです。
これは「面前DV」と呼ばれ、子どもに直接手をあげなくても、暴力の場面を目撃すること自体が子どもの心に大きな傷を残すと考えられています。
例えば、子どもの受け渡しの際に大声で怒鳴られたり、物を投げつけられたり、暴力を振るわれたりするような場合です。
このようなときは、面会交流の中止や、第三者の立ち会い、第三者機関を利用した子どもの受け渡しを裁判所に求めることができます。
ケース3:子どもが連れ去られる具体的な危険性がある
元配偶者が面会交流を利用して子どもを連れ去るおそれがある場合も、面会交流を拒否できる正当な理由になります。
ただし、ここで重要となるのが「連れ去られるかもしれない」という漠然とした不安だけでなく、具体的な危険性を客観的な事実や証拠で示す必要があるという点です。
例えば、次のような事情があれば「具体的な危険性」があると判断されやすくなります。
具体的な危険性
- 「親権を取り返す」「もう二度と返さない」といった言動を繰り返している
- あなたに無断で子どもを転園・転校させようとしたことがある
- 国内に安定した住居や仕事がなく、行方が分からなくなるおそれがある
- 「子どもと海外で暮らす」と周囲に話し、実際にパスポート取得など渡航準備を進めている
このようなメールやメッセージ、周りの人の証言などは、連れ去りの危険があることを裏付ける大切な証拠になります。
ケース4:子ども本人が面会を拒絶している
最後に、子ども自身がはっきりとした意思をもって面会交流を強く拒んでいる場合も、その気持ちが尊重され、面会を拒否できる大きな理由となります。
ただし、ここでは子どもの年齢が大きく関係します。
まだ小さい子どもが「会いたくない」と言うのと、ある程度の年齢になり、理由をもって「会いたくない」と言うのとでは、その言葉の重みは違って受け止められるからです。
法律で明確な基準はありませんが、家事事件手続法152条2項では、子どもの監護に関する処分の審判をする場合には、15歳以上の子どもの意見や考えを聞かなければならないと定められています。
15歳以上になれば、本人の意思がそのまま認められ、実務上は10歳前後から子どもの意見が尊重されるケースが多いです。
面会交流の拒否理由にならない2つのケース
ここまで面会交流を拒否できる正当な理由を見てきましたが、逆に、よく主張されるけれど正当な理由として認められないケースもあります。
代表的なのは「養育費の不払い」 と 「監護親の再婚」 です。
ケース1:養育費を支払ってくれない
「養育費を払ってくれないのに、子どもに会う権利ばかり主張するなんて納得できない」と感じる方も多いです。
しかし、養育費の不払いを理由に面会交流を拒否することはできません。
なぜなら、養育費と面会交流はどちらも子どものためのものであり、別々の義務・権利として考えられているからです。
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養育費
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子どもの生活を支えるための「扶養義務」
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面会交流
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子どもの健やかな成長のための「子どもの権利」
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この2つは交換条件ではないため、「養育費を払わないなら会わせない」という考えは法的に認められません。
そのため、養育費が支払われず困っている場合には、面会交流を拒むのではなく、弁護士に相談して適切な法的手続きで対応する必要があります。
ケース2:自分が再婚して新しい生活が始まった
あなたが再婚し、子どもが新しいパートナーと仲良く過ごしていると、「もう元配偶者に会わせなくてもいいのでは」「新しい家庭を乱されたくない」と思うことがあるかもしれません。
ですが、再婚したことや新しい家庭を築いていることだけを理由に、面会交流を拒否することはできません。
裁判所は、新しい家庭が円満であっても、子どもが実の親と会う機会を持つことは、子どもの成長や自分らしさを育むうえで大切だと考えているからです。
また、再婚相手と子どもが養子縁組をしても、実の親との法的な親子関係がなくなるわけではありません。
そのため、養子縁組を理由に面会交流を一方的に拒否することもできません。
ただし、例外として、元配偶者が嫌がらせをしたり、子どもの前で新しい家庭の悪口を言ったりする場合は、子どもに悪影響を与えるため、面会交流を制限・中止できる正当な理由と判断される可能性があります。
面会交流を拒否するための3つのステップ

自身の状況が「面会交流を拒否できる正当な理由」に当てはまると思ったとしても、感情的に突き放すのはよくありません。
相手を刺激し、かえってトラブルが大きくなる可能性があるからです。
面会交流を拒否するときは、「①交渉→②調停→③審判」という法的な手続きを踏み、冷静に順序立てて進めるようにしましょう。
ステップ1:相手方との話し合い(弁護士を代理人に立てる)
最初のステップは、相手との話し合いです。
まずは直接、または弁護士を通して、面会交流をやめてほしい、あるいは条件を変えてほしいと伝えます。
このときに「会わせたくない」という気持ちだけを伝えても、相手は納得しません。
なぜ拒否したいのかを説明し、その理由を裏付ける証拠を見せることが大切です。
また、交渉を安全に進める方法を考える必要もあります。
DVやモラハラがあり、自分で相手と話すのが危険だったり大きな負担になる場合は、必ず弁護士に依頼しましょう。
例えば、弁護士に依頼すると、相手に対して次のような書面を送ってもらうことができます。
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『お子さんが面会後に精神的に不安定な状態になっていることが、医師の診断書で確認されています。つきましては、お子さんの心身の安定を最優先とするため、当面の間は面会交流を中止していただきたく、ご連絡申し上げます。』
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このように、客観的な証拠を添えて弁護士から伝えることで、あなたの主張に正当性を持たせ、冷静に交渉を始めることができます。
ステップ2:家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立てる
話し合いで解決できないときは、次のステップとして家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立てます。
面会交流調停とは、裁判官と調停委員が間に入り、中立の立場で双方の話を聞き、話し合いによる解決を目指す手続きのことです。
調停は非公開で行われるため、プライバシーは守られます。
また、当事者同士が顔を合わせずに済むように別々の待合室が用意されていたり、調停委員が交互に話を聞いてくれるなど、安心して話せる環境が整えられています。
調停の場では、「相手が子どもの前で私に怒鳴るのをやめてほしい」といった具体的な理由を、証拠と一緒に調停委員に伝えていきます。
このようにして、家庭裁判所を通じて第三者に間に入ってもらうことで、感情的な対立を避けつつ、冷静に解決へ進めることができます。
ステップ3:最終判断を裁判官に委ねる「審判」
調停で何度話し合っても意見がまとまらず合意できない場合は、面会交流調停が不成立となり、自動的に審判の手続きに移行します。
審判は、話し合いである調停とは違い、裁判官がこれまでの主張や証拠、家庭裁判所の調査官による報告などをもとに、最終的な判断を下す手続きです。
審判で決まった内容には、判決と同じ強い効力があり、従わなければなりません。
例えば、あなたが「子どもに虐待のおそれがある」と主張し、相手が「そんな事実はない」と反論して調停がまとまらなかったとします。
審判に移ると、裁判官は提出された診断書や写真、子どもの証言などを確認し、「虐待の事実を裏付ける証拠は不十分だが、子どもの気持ちに配慮して、しばらくは第三者の立ち会いのもとで面会交流を行う」といった具体的な判断を下します。
相手から面会交流調停を起こされた場合の3つの対処法
相手が面会交流を求めて家庭裁判所に申し立てをすると、裁判所から「調停呼出状」という手紙が届きます。
これは、家庭裁判所が「指定日時に調停へ出席してください」と知らせる正式な通知です。
このような場合に取るべき対処法は次の3つです。

調停は、あくまで話し合いの場です。
なぜ面会交流を拒否せざるを得ないのか、その正当な理由をきちんと準備して、調停委員に論理的に伝えることができれば、あなたの主張が認められる可能性は十分にあります。
そのため、裁判所からの手紙に怯えるのではなく、これを「自分の正当性を公的な場で主張できる機会」と前向きに捉え、しっかりと準備をしましょう。
対処法1:必ず裁判所に出頭し、無視をしない
相手から調停を申し立てられたときに、絶対にしてはいけないのが「無視して欠席すること」です。
怖い、面倒だという気持ちから呼出状を放置すると、あなたには何のメリットもありません。
無断欠席すれば、自分の意見を伝える機会を失い、相手の主張に沿った形で審判が下されてしまう危険性があります。
さらに、正当な理由なく出席しない場合には、法律上5万円以下の過料が科される可能性もあります(家事事件手続法第51条3項)。
それ以上に「話し合いに応じない非協力的な人」という悪い印象を裁判官や調停委員に与えてしまい、あなたにとって大きな不利につながります。
そのため、仕事や病気など、どうしても出席できない事情がある場合は、必ず事前に裁判所へ電話で連絡し、事情を説明しましょう。
対処法2:感情的にならないこと
調停では、感情的にならず、事実を冷静に伝えることがとても大切です。
調停委員はどちらかの味方をするのではなく、中立の立場で双方の話を聞き、「子どもの幸せのために何が最善か」を考えます。
もしあなたが不満や怒りを感情的にぶつけてしまうと、「この人は冷静に判断できない」と見られ、せっかくの主張が伝わりにくくなってしまいます。
大事なのは、「あの人が憎い」と感情を強調するのではなく、「いつ、どこで、誰が、何をしたのか」を整理して具体的に説明することです。
例えば「〇年〇月〇日の面会交流で、子どもが『帰りたい』と泣いていたのに元配偶者が夜9時まで連れ回し、翌日子どもが38度の熱を出した」といった事実を冷静に伝える方が説得力があります。
対処法3:事実を客観的に伝える準備をする
調停に臨む前には、「なぜ面会交流を拒否したいのか」を裏付ける客観的な証拠を集め、整理しておくことも重要です。
証拠は、あなたの主張がただの言い分ではなく、事実に基づいていることを示すための大切な材料になります。
例えば次のようなものです。
- DVや虐待があった場合:医師の診断書、怪我の写真、警察への相談記録など
- 暴言があった場合:録音データ、メールやLINEのスクリーンショットなど
- 子どもが拒否している場合:子どもが書いた手紙や日記、学校の先生やカウンセラーの意見書など
さらに、あなたの最終的な希望と妥協できる点も整理しておくといいです。
「完全に拒否したいのか」、それとも「第三者の立ち会いを条件に面会を認めるのか」といった具体的な着地点を考えておくことが大切です。
具体的な代替案を示すことで、「一方的に交流を断っているのではなく、子どもの安全を第一に考え、解決策を探している」という真剣な姿勢を調停委員に伝えることができます。
面会交流の拒否を弁護士に相談すべき4つのメリット
面会交流の問題は感情も絡むため、当事者だけで解決するのは難しいことが多いです。
そのため、本気で拒否を考えているなら、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。
その理由は弁護士に依頼すると次のようなメリットがあるからです。
- メリット1:あなたの状況が「正当な理由」にあたるか正確に判断できる
- メリット2:相手との交渉窓口となり、精神的ストレスから解放される
- メリット3:相手からの無理な要求の拒否や不利な条件での合意を回避できる
- メリット4:調停・審判であなたの主張を論理的かつ説得的に代弁してくれる
メリット1:あなたの状況が「正当な理由」にあたるか正確に判断できる
弁護士に相談すれば、過去の裁判例や家庭裁判所の判断の傾向を踏まえて、状況が「正当な理由」として認められるかどうかを正しく見極めてもらえます。
面会交流を拒否できるかどうかは子どもの年齢や体調、元配偶者との関係や過去のトラブルなどによって大きく変わるため、自分だけで判断するのは危険です。
さらに、必要な証拠やその集め方についても具体的にアドバイスを受けられるので、裁判所に対して正当な拒否理由をしっかり裏付けられます。
メリット2:相手との交渉窓口となり、精神的ストレスから解放される
元配偶者と直接やりとりをするのは、大きな精神的負担になります。
特に過去にDVやモラハラがあった場合、連絡を取るだけでも恐怖やストレスを感じてしまう人は少なくありません。
弁護士に依頼すれば、あなたの代わりに交渉窓口となり、全てのやりとりを引き受けてくれます。
具体的には、弁護士が代理人として「受任通知」を相手に送ることで、今後の連絡は弁護士を通して行うよう正式に伝えられます。
これにより、相手が直接電話やメールをしてきても応じる必要がなくなり、しつこい連絡に悩まされることもなくなります。
メリット3:相手からの無理な要求の拒否・不利な条件での合意を回避できる
当事者だけで話し合うと、法律の知識がない分、相手の勢いに押されて不利な条件をのまされてしまう危険性があります。
例えば「拒否するなら親権を変えるぞ」「裁判になったら必ず負けるぞ」と脅されると、本当は納得していないのに、怖さから合意してしまうかもしれません。
その点、弁護士に依頼すれば、相手の要求が法律的に正しいかどうかを判断し、根拠のない要求は「それには応じません」とはっきり断ってくれます。
さらに、子どもの年齢や生活に合った条件を考えて提案し、合意内容をきちんと書面にしてくれるので、後々のトラブルも防ぎやすくなります。
メリット4:調停・審判であなたの主張を論理的かつ説得的に代弁してくれる
相手との話し合いがまとまらず家庭裁判所での調停や審判に進むとき、弁護士の存在はとても心強いです。
なぜなら調停や審判では感情的に訴えるのではなく、法律に沿った分かりやすい説明が求められるからです。
ところが裁判所に不慣れな人が緊張の中で冷静に対応するのは簡単ではありません。
その点、弁護士に依頼すれば、主張を整理したうえで法的な根拠を踏まえ、裁判官や調停委員に分かりやすく伝えてもらえます。
そして、結果として子どもの安全を守るための希望や面会交流の制限を求める意見が反映される可能性が高まります。
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面会交流の拒絶に関するよくある質問
ここでは、面会交流の拒絶を考えている方から特によく寄せられる、より具体的な質問について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。
Q:元配偶者の両親(祖父母)からの面会の要求にも応じないといけませんか?
A.祖父母からの面会要求に応じる法的な義務はありません。
法律で面会交流権が認められているのは、子どもと離れて暮らす「親」に限られ、祖父母には独立した面会交流権がないからです。
ただし、祖父母との関わりが子どもにとって良い影響を与える場合もあるため、監護親として子どもの気持ちを尊重して柔軟に判断することが望ましいとされています。
Q:面会中に私の悪口を子どもに言っているようなのですが面会交流を拒否できますか?
A.面会中に子どもの前であなたの悪口を言う行為は、すぐに面会交流を拒否できる理由にはなりません。
法律上「親の感情」だけでは拒否が認められず、あくまで子どもの利益を守ることが基準になるからです。
ただし、悪口によって子どもが精神的に不安定になったり、親子関係が悪くなったりする場合は、子どもの健やかな成長を妨げるおそれがあると判断され、面会交流の制限や拒否が正当化される可能性があります。
Q:子どもが面会交流を嫌がっているのですが、何歳から面会交流の拒否が認められますか?
A.明確な年齢の線引きはありませんが、目安として10歳~15歳以上であれば意見が反映されるケースが多いです。
裁判所は年齢だけでなく「理由の具体性」「面会後の心身の変化」「学校や医師・カウンセラーの所見」などを総合的に見て判断します。
ただし、低年齢でも、虐待・面前DV・連れ去りの具体的なおそれ等があるときは、面会の中止や制限が認められる可能性があります。
Q:子どもが精神的に不安定なのですが、医師の診断書があれば拒否できますか?
A.診断書があれば必ず拒否できるわけではありませんが、医師の診断書は面会交流を中止・制限するための非常に強力な根拠になります。
なぜなら、診断書に「子どもの症状」「面会後に症状が悪化していること」「中止や制限が必要であること」が書かれていれば、裁判所はその内容を重視するからです。
ただし、面会交流の拒否が必ず認められるわけではなく、短時間・立会いあり・オンラインなどの条件が調整されるケースも多いです。
Q:元配偶者の不倫が理由で離婚したのですが面会交流を拒否できますか?
A.不倫だけを理由に面会交流を拒否することはできません。
なぜなら、夫婦間の問題と親子の交流は切り離して考えられ、裁判所は子どもの利益が守られるかどうかで判断するからです。
そのため、不倫によるあなたの心の傷は、面会の拒否ではなく慰謝料請求などで対応するのが基本です。
Q:面会交流について元配偶者と直接やりとりをしたくないのですが何か方法はありますか?
A.はい、直接やりとりを避ける方法はあります。
代表的なのは「弁護士を代理人にする」場合と「第三者機関を利用する」場合の2つで、それぞれの役割や費用、サポート内容に大きな違いがあります。
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弁護士を代理人にする
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第三者機関を利用する
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役割・立場
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代理人
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中立な第三者
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主なサポート内容
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相手との連絡・交渉を代行
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連絡調整の仲介・面会の付き添い・見守り
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費用
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比較的高い
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比較的安い
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利用されるケース
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・相手が感情的で話し合いが困難
・DVやモラハラの経緯がある
・養育費の不払いなどの金銭問題も絡んでいる
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・法的な争いはないが、直接顔を合わせたり連絡したりすることに抵抗がある
・子どもの受け渡しだけをサポートしてほしい
・面会交流の場に第三者に立ち会ってほしい
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注意点
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相手が「大ごとにされた」と感じる可能性がある
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法的な交渉やアドバイスはできない
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どちらの方法が良いかは、元配偶者との関係性や、あなたが何に一番困っているかで選択すると良いです。
Q:面会交流を拒絶すると養育費は貰えなくなりますか?
A.いいえ、面会交流を拒絶しても養育費は原則として止まりません。
なぜなら、養育費は子どもの生活を支えるための親の義務で、面会交流とは別に扱われ、交換条件にできないからです。
そのため、もし、面会交流を拒絶したことで養育費が支払われなくなったとしても、家庭裁判所の調停や審判を利用したり、公正証書や調停調書をもとに「給料の差押え」などの強制執行で回収できます。
Q:面会交流はどれぐらいの頻度でしないといけませんか?
A. 法律で「月○回」といった決まった頻度はありません。
なぜなら、面会交流は子供の年齢・体調・生活リズム、親子の距離や関わり方など個別事情に合わせて決めるものだからです。
ただし、家庭裁判所の調停などで話し合う際の目安としては「月1回程度」とされることが多く、実際に裁判所の統計でも月1回以上の頻度が最も多い結果となっています。
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面会交流の回数
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件数
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割合
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週1回以上
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230件
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2.43%
|
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月2回以上
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775件
|
8.19%
|
|
月1回以上
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3,862件
|
40.83%
|
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2~3カ月に1回以上
|
521件
|
5.51%
|
|
4~6カ月に1回以上
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150件
|
1.59%
|
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長期休暇中
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34件
|
0.36%
|
|
別途協議
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2,668件
|
28.21%
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その他
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1,218件
|
12.88%
|
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合計
|
9,458件
|
100%
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Q:合意した面会交流の条件を後から変更することはできますか?
A.はい、変更できます。
子どもの成長や学校・部活、親の引っ越しや仕事の時間など、状況は変わるからです。
ただし、親の気持ちだけを理由に一方的に減らしたり中止したりすることはできません。
あくまでも「子どもの生活や成長に合っているかどうか」が判断の基準になります。
まとめ
面会交流は原則として「子どもの権利」であり、親の気持ちだけで拒否することはできません。
ただし、DVや連れ去りの危険、子ども自身が強く拒んでいる場合など、「正当な理由」があれば拒否や制限が認められる可能性があります。
一方で、理由なく拒否を続ければ、履行勧告や制裁金、慰謝料請求、さらには親権者変更といった大きなリスクに発展することもあります。
そのため、対応に迷ったり、一人での話し合いが難しい場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。