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接近禁止命令とは?保護命令の効果や申立方法、注意点を詳しく解説

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配偶者からの暴力(DV)やストーカー行為に悩み、身の安全を確保しながら離婚したいと考えている場合は「接近禁止命令」が有効です。

接近禁止命令を発令できれば、相手からのつきまとい行為を止めさせられて、違反した際には刑事罰を科すこともできます。

本記事では、接近禁止命令の効果や申立ての方法、注意点についてわかりやすく解説します。

自分の安全を守り、安心して新しい一歩を踏み出すための知識として、ぜひ参考にしてください。

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目次

接近禁止命令とは?暴力や脅迫から身を守るための制度

接近禁止命令とは、重大な危害を加える相手に対し「対象者に近づいてはならない」と命じる法的な保護命令のことです。

重大な危害とは主に以下のような行動を指します。

  • 身体に対する暴力
  • 生命・身体に対する脅迫
  • 自由・名誉・財産に対する脅迫

裁判所からの公的な命令であるため、違反すると刑事罰に科されることもあり、相手のつきまといなどの行為を抑止する効果が期待できます。

接近禁止命令の申立てが認められるのは、生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと判断された場合です。

接近禁止命令が発令されると、加害者は一定期間、被害者につきまとったり電話やメールなどで連絡したりすることが法的に禁止されます。

接近禁止命令の効果3つ

接近禁止命令の効果3つ

接近禁止命令が発令されると、上記のような効果がうまれ、被害者の安全が確保されます。

ここでは、接近禁止命令の主な効果を3つ解説します。 

①相手のつきまといを法的に禁止できる

接近禁止命令の発令により、相手が自宅や職場などにつきまとう行為を法的に禁止できます。

相手の行動を制限するため、日々の恐怖から解放され、安心して生活することが可能となります。

弁護士との相談や離婚協議などを冷静に進めるための、安全な環境を確保することにもつながるでしょう。

②原則1年間、身の安全を確保できる

接近禁止命令の効力は、発令から1年間です。

以前は効力の期間が6ヵ月でしたが、2024年の法改正により期間が1年に伸長され、被害者をより長期的に保護できるようになりました。

1年という期間を利用して、安全な環境で離婚の準備や新生活の基盤作りを着実に進められます。

1年を過ぎても、危害を加えてくる場合は再度接近禁止命令を申し立てて、期間を延長することも可能です。

③命令違反は2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課される

相手が接近禁止命令を破った場合「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」という刑事罰が科されるため、加害者への牽制や抑止力となります。

罰則は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)の第29条にも明記されています。

もし相手が命令違反をしても、警察に通報すれば対応してもらうことが可能です。

場合によっては、相手を現行犯逮捕できる可能性もあるでしょう。

そのため、命令が出ても「どうせ破られるのではないか」という不安を軽減でき、安心安全に自分を守れます。

接近禁止命令を申し立てるための必須条件3つ

接近禁止命令は強力な制度ですが、誰でも簡単に申し立てられるわけではありません。

DV防止法に基づき、裁判所に「保護する必要性が高い」と認めてもらうためには、3つの必須条件を満たしている必要があります。

ここでは、接近禁止命令を申し立てるための必須条件を3つ解説します。

①対象は現配偶者、元配偶者、事実婚の相手、同棲相手

接近禁止命令の対象者は、婚姻関係中の配偶者だけに限りません。

離婚後の元配偶者や事実婚・同棲関係にあるパートナーからも対象です。

そのため以下のような生活を共にしていない相手からの、つきまとい行為や連絡を制限することはできません。

  • 数回会っただけの知人
  • 同僚や上司などの職場の関係者
  • SNSで知り合っただけの人

上記のような人からの迷惑行為は、接近禁止命令の対象外とはなりますが、ストーカー規制法や迷惑防止条例で取り締まれる可能性もあります。

生活を共にしていない人からの迷惑行為に悩んでいる人は、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

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②身体的・精神的・経済的DVを受けている

接近禁止命令の発令要件は「身体に対する暴力または生命・身体・自由などに対する脅迫により、生命または心身に重大な危害を受ける恐れが大きいとき」です。

要件の「生命・身体・自由などに対する脅迫」とは、具体的には以下のような言動が挙げられます。

  • 外出しようとすると怒鳴ってくる
  • 性的な画像をSNSに投稿すると言われる
  • クレジットカードや通帳を取り上げられる

また「生命または心身に重大な危害を受ける恐れが大きい」というのは、少なくとも通院加療が必要な程度の危害です。

具体的には、うつ病やPTSD、適応障害などが挙げられます。

迅速に接近禁止命令を発令するには、暴力や脅迫の事実を立証する必要があるため、写真や日記などの記録や診断書を残しておく必要があります。

③離婚を切り出すことで危害が加えられる危険性が高いと予測される

接近禁止例を発令するには、離婚を切り出すことで相手から暴力や脅迫を受け、危害が及ぶ恐れが大きいと裁判所に認められる必要があります。

裁判所は、相手の言動や被害者が感じている恐怖などの事情を総合的に考慮して、接近禁止命令が必要かを判断します。

そのためさまざまな事情を客観的な事実に基づいて説明しなければなりません。

自分で伝えるとPTSDやパニック障害が出る、うまく伝えられないかもしれない、という不安がある人は、弁護士に相談してみてください。

接近禁止命令の申立手続4ステップ

接近禁止命令の申立手続4ステップ

接近禁止命令の申立てから発令されるまでは、大きく分けて4つのステップをおこなう必要があります。

ここでは接近禁止命令の申立手続で何をするべきかを詳しく解説します。

①警察・配偶者暴力相談支援センターに相談

接近禁止命令を裁判所に申し立てるため、事前に警察または配偶者暴力相談支援センターに事前に相談しておきましょう。

事前相談により、今受けている被害の事実を公的機関が把握していることが証明されるため、裁判所も申立ての緊急性や信憑性があると判断できます。

相談実績がない場合は、記載内容が事実であると宣誓する書類「宣誓供述書」を、公証役場で作成する必要があります。

②申立書と証拠を揃え、地方裁判所に提出

接近禁止命令の申立ては、申立人もしくは相手方の住居地または暴力・脅迫がおこなわれた場所を管轄している裁判所でおこないます。

必要な書類は下記のとおりです。

  • 保護命令申立書 2部(正本・副本)
  • 当事者間の関係を証明する書類(戸籍謄本や住民票などなど)
  • 暴力や脅迫を受けたことを証明する証拠

申立てに必要な費用は地域によって異なりますが、東京の場合は以下のとおりです。

  • 申立手数料の収入印紙1,000円分
  • 予納郵便切手2,310円(内訳:500円×2枚、300円×2枚、100円×4枚、50円×3枚、20円×5枚、10円×5枚、2円×5枚)

書類や費用の用意を忘れないように気をつけましょう。

③申立人・加害者の口頭弁論・審問

申立てが受理されると、口頭弁論や審問が開かれます。

口頭弁論や審問は、裁判官が双方から直接事情を聴取して、接近禁止命令を発令すべきかどうかを判断する手続きです。

なお緊急を要する場合(生命や身体に危険があるなど)は口頭弁論や審問をおこなわず、ただちに接近禁止命令が発令されることもあります。

④接近禁止命令の発令

接近禁止命令は、基本的に口頭弁論や審問の際に直接言い渡されます。

しかし、相手が口頭弁論や審問に来なかった場合には、書留送達で相手宅に決定書が送付されます。

書留送達で送る際に、相手が受け取りを拒否しても送達したことになり、効力が発揮されるので安心してください。

申立てから発令までの期間は事案の複雑さにもよりますが、おおむね1ヵ月以内には結論が出ることが多いです。

接近禁止命令の期間を延長する方法

接近禁止命令の効力期間である1年が経過したあとも、期間を延長することも可能です。

ただし、相手から重大な危害を受ける恐れが大きいと認められる場合に限ります。

延長手続は、裁判所で新しい事件として扱われるため、再び配偶者暴力相談支援センターや警察に相談し、裁判所に申立てをしてください。

必要書類やかかる費用は「接近禁止命令の申立手続4ステップ」で紹介したものと同様です。

書類の用意や作成に不安がある場合は、弁護士に相談し、サポートを受けながら進めることをおすすめします。

接近禁止命令を取消す方法

接近禁止命令は、状況が変化した場合に申立人であればいつでも取消しの申立てが可能です。

相手方(加害者)も取り消しはできますが、以下の条件が満たされた場合に限ります。

  • 申立人の異議がないこと
  • 接近禁止命令の効力が生じた日から3ヵ月が経過してから申し立てている

なお、接近禁止命令の取り消しは、相手方の状況が十分に改善していなければなりません。

相手方からの申し出に安易に同意してしまうと、再度被害に遭う可能性があるため、慎重に判断しましょう。

接近禁止命令と同時に申し立てできる5つの追加命令

接近禁止命令と同時に申し立てできる5つの追加命令

接近禁止命令が発令された、または発令される状況であることを前提に、5つの保護命令を追加で発令することも可能です。

複数の保護命令を発令することで、相手方との接触をほぼ全て避けられる可能性があります。

いずれも発令されれば1年間も効力を発揮するので、つきまとい行為以外に、執拗な連絡や子どもへの接触などに悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

①被害者への電話等禁止命令

電話やメール、SNSでのメッセージなどの執拗な迷惑行為を禁止させたい場合は、被害者への電話等禁止命令を申し立てられます。

具体的に禁止される行為は以下のとおりです。

  • 面会の要求
  • 行動監視を告げる
  • 著しく粗野乱暴な言動
  • 無言電話や緊急時以外の連続した電話やメール、SNSなどの送信
  • GPSによる位置情報の取得

ストーカー的な連絡行為に困っている人は、被害者への電話等禁止命令の申立ても検討してください。

②子への接近禁止命令

相手が子どもにつきまとっている場合は、子への接近禁止命令が有効です。

たとえば、子どもを連れ去る危険性があったり、別居後に子どもの学校や保育園の周辺をうろついたりしている場合に効力を発揮します。

自分だけでなく子どもへのつきまとい行為を禁止できるため、安全が確保されて平穏な生活環境を守ることができます。

③子への電話等禁止命令

相手が子どもに執拗に連絡を取る行為を防ぎたい場合は、子への電話等禁止命令を申し立てましょう。

子への電話等禁止命令は、2024年の法改正で新たに設けられた保護命令です。

近年はスマートフォンやタブレットなどを持つ子どもが増えたため、子どもの保護を強化するために新設されました。

子どもに毎日電話で悪口を吹き込んだり、ゲームアプリを通じて子どもに接触して居場所を聞き出そうとするなどの行為を止めさせられます。

④親族等への接近禁止命令

相手があなたの実家や兄弟姉妹の家に押しかけたり、つきまとったりなどの迷惑行為をしている場合、親族等への接近禁止命令を申し立てられます。

暴力的な人は、被害者本人だけでなく、その周囲の人々を巻き込んで精神的に追い詰めようとすることがあります。

親族等への接近禁止命令により、親や兄弟姉妹への二次的な被害を防ぎ、自分が安心して支援を受けられる環境を確保しましょう。

⑤退去等命令

相手と同居しており、暴力などから逃れるためにあなたが家を出ると生活基盤を失ってしまう場合は「退去等命令」を申し立てることができます。

退去等命令が認められれば、2ヵ月間相手を家から退去させられて、住まいの周辺をうろつくことを禁止できます。

相手が近くにいない間に、弁護士への依頼や引っ越し先の確保などをおこないたい場合に有効です。

なお、被害者が単独で賃借している部屋や所有している家の場合は、被害者の申し出によって退去等命令の期間を6ヵ月とする特例もあります。

接近禁止命令を申し立てる前に知っておくべき注意点5つ

接近禁止命令は被害者の安全を守るための制度ですが、主な注意点が5つあります。

ひとつずつ解説していきます。

①申請書に記載した住所は相手に伝わる

接近禁止命令の申立書に記載する住所は、相手方にも伝わります。

引っ越し先の住所を記載してしまうと、相手が接近禁止命令の発令後も刑事罰を恐れず、つきまとい行為をするかもしれません。

知られたくない住所は記載せず、相手と同居していたときの住所を記載してください。

また裁判所に提出する書類にも、引っ越し先の住所が推測される事項は記載しないようにしましょう。

②証拠が不十分だと発令されないことがある

接近禁止命令が発令されるためには、相手から受けていた暴力や脅迫の事実を、客観的な証拠に基づいて裁判所に示す必要があります。

証拠が不十分だと申立てが認められない可能性があるため、以下のような証拠をできる限り集めておきましょう。

  • 診断書
  • 写真・動画・音声データ
  • SNSやメールなどの記録
  • 警察や配偶者暴力支援センターへの相談記録

「怖かった」「殴られた」といった口頭での訴えだけでは、申立てが認められない可能性があるため、証拠をしっかりと用意してください。

なお、何が証拠として有効かがわからない場合は、弁護士の無料相談を活用すればアドバイスを受けられます。

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③偶然の遭遇は制限できない

接近禁止命令は、相手が意図的にあなたにつきまとう行為を禁止するものです。

そのためスーパーや駅といった、公共の場所で偶然出会ってしまうことまでは防げません。

相手に悪意がなく、たまたま同じ場所に居合わせた場合は、命令違反にはならないことを把握しておきましょう。

ただし、頻繁に遭遇する場合や、暴言を吐くなどの威圧的な行動をとった場合は、つきまとい行為として命令違反に問える可能性があります。

万が一偶然遭遇してしまった場合は、相手を刺激しないように冷静にその場を離れてください。

身の危険を感じるようなことがあれば、ためらわず警察に通報しましょう。

④相手の行動を完全に制限できるわけではない

接近禁止命令では、相手の行動や感情を完全にコントロールできるわけではないことも、理解しておく必要があります。

命令が出たからといって、あなたに執着しなくなるわけではないので、嫌がらせを続けてくる可能性も否定できません。

相手の行動に不審な点や不安を感じた場合は、すぐに弁護士や警察に相談し、命令違反にあたらないかを確認しましょう。

接近禁止命令が出た後も油断せず、常に身の安全を最優先に行動してください。

⑤接近禁止命令だけでは制限できないこともある

接近禁止命令は、相手があなたの身辺につきまとうことを禁止しますが、それだけでは防げない危険もあります。

例えば、相手を家から追い出したり、子どもへの接触を防いだりすることはできません。

状況に応じて、以下の保護命令も同時に申し立てる必要があることを覚えておきましょう。

  • 被害者への電話等禁止命令
  • 子への接近禁止命令
  • 子への電話等禁止命令
  • 親族等への接近禁止命令
  • 退去等命令

身の安全を確保するためにも、自分の状況を正確に把握しておくことが大切です。

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接近禁止命令の申立てにかかる費用

接近禁止命令の申立てにかかる費用は、自分で手続きをするか、弁護士に依頼するかによって異なります。

ここでは、それぞれの費用の内訳と相場を解説します。

自分で申立てする場合の相場は約3,000~5,000円

自身で申立て手続きをおこなう場合、裁判所に納める費用のみかかります。

費用は地域によって異なりますが、東京の場合の内訳は、収入印紙1,000円分と、予納郵便切手2,310円分です。

また戸籍謄本や住民票の取得も必要なので、1通あたり300円から750円ほどかかります。

自分で申し立てると、費用を低く抑えられる点がメリットですが、申立書の作成や証拠の準備を全て自分でおこなう必要があります。

書類に不備があれば、申立てが認められないリスクもあるため、できるだけ弁護士に代理人として依頼し、手続きを一任するのがおすすめです。

弁護士に依頼する場合の相場は約30万円

弁護士に接近禁止命令の申立てを依頼する場合は、約30万円が費用相場です。

自分で手続きするよりも費用がかかりますが、弁護士に依頼すれば以下のようなメリットを得られます。

  • 申立書の作成や証拠収集、裁判所とのやり取りを一任できる
  • 相手と直接顔を合わせる精神的負担を回避できる
  • 申立てが認められる可能性が高まる
  • 離婚協議や慰謝料請求を有利に進めるためのサポートも受けられる

費用に不安がある場合でも、無料相談を実施している法律事務所も多いので、一度相談しながら見積もりを出してもらうとよいでしょう。

接近禁止命令についての相談窓口3選

配偶者からの暴力や脅迫に悩み、接近禁止命令を検討しているなら、一人で抱え込まずに相談することが解決への第一歩です。

ここでは、接近禁止命令について相談できる窓口を3つ紹介します。

①ベンナビ離婚|離婚問題に強い弁護士が見つかる

接近禁止命令の申立てと離婚手続を迅速に進めたいなら「ベンナビ離婚」がおすすめです。

「ベンナビ離婚」は、全国の離婚問題に注力した弁護士を探せるポータルサイトです。

どの弁護士に相談すればよいかわからない、という人でも、市区町村で絞り込んで検索できるため、自分に合う弁護士を見つけられます。

また離婚前相談や不倫・離婚慰謝料、DV、モラハラなどで調べられるので、ニーズに適した弁護士を探しましょう。

初回相談無料の法律事務所も多数掲載しており、弁護士ページからそのまま電話やメールで相談することも可能です。

無料で利用できるポータルサイトなので、気軽に利用してみてください。

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②法テラス|収入・資産の一定条件を満たせば無料で相談できる

弁護士に依頼したいものの、経済的な事情で費用を支払うのが難しい場合は、法テラスの利用が適しています。

民事法律扶助の趣旨に適していて、収入や資産が以下の基準を満たせば、1回30分までの無料相談を、同一問題につき3回までおこなえます。

家族人数 収入基準 資産基準
1人 20万200円以下 180万円以下
2人 27万6,100円以下 250万円以下
3人 29万9,200円以下 270万円以下
4人 32万8,900円以下 300万円以下

※東京都や大阪市などに住んでいる場合の基準です。

基準に満たない場合でも、事情によっては条件が緩和する可能性もあるため、まずは電話して確認してみましょう。

③各自治体の法律相談|身近な場所で相談できる

「いきなり法律事務所に行くのはハードルが高い」という人は、お住まいの市区町村役場などで実施されている無料相談の利用がおすすめです。

各自治体が住民サービスの一環として提供しており、無料で身近な場所で相談できるため、気軽に相談しやすい特徴があります。

ただし相談時間が15〜30分程度と短かったり、自分とは合わない弁護士に相談することになる可能性もあります。

その場で具体的な手続きを依頼することもできないため、あくまで一般的なアドバイスを受ける場と考えて活用してください。

「接近禁止命令」についてのよくある質問

さいごに、接近禁止命令について、多くの人が抱く疑問とその回答を解説します。

あなたの状況に役立てるための参考にしてください。

Q1. 「接近禁止命令」と「保護命令」は違うものですか?

「接近禁止命令」は、DV防止法に定められた「保護命令」という制度のひとつです。

保護命令のなかには、接近禁止命令以外にも、被害者への電話等禁止命令や退去等命令などの5つの命令が含まれます。

保護命令という大きな枠組みのなかにある複数の命令のひとつが、接近禁止命令であると理解してください。

Q2. 接近禁止命令は誰が出すのですか?警察ですか、裁判所ですか?

接近禁止命令を発令できるのは裁判所です。

接近禁止命令は、DV防止法に基づく司法手続であり、個人の行動を法的に制限する命令であるため、慎重な審理を経て裁判官が判断します。

警察が命令を直接出すことはありませんが、接近禁止命令を申し立てる前の相談先だったり、違反行為があった際の対応をしてくれたりします。

Q3. 配偶者以外(元彼氏、友人、親子、兄弟姉妹など)にも出せますか?

接近禁止命令は、配偶者・元配偶者・事実婚や同棲しているパートナー・元パートナーに限定されています。

したがって、生活を共にしていない彼氏や友人、親族などに、接近禁止命令を発令することはできません。

ただし、ストーカー規制法や迷惑防止条例に該当する場合は、罰則を処せる可能性もあります。

自分の状況が接近禁止命令の対象になるかわからない場合は、警察や弁護士に相談し、適切な対応を確認しましょう。

Q4. 離婚後の元配偶者に対して、改めて出すことはできますか?

離婚後の元配偶者に対しても、接近禁止命令を申し立てられます

暴力や脅迫は、離婚によって関係性が変わっても継続したり、かえってエスカレートしたりするケースが少なくありません。

そのため離婚後に元配偶者から、暴力や脅迫を受けて身の危険を感じる場合でも、接近禁止命令を申し立てられます。

Q5. 相手が子どもに接触しないようにすることも可能ですか?

以下の命令を申し立てれば、相手が子どもに接触しないようにすることも可能です。

  • 子への接近禁止命令
  • 子への電話等禁止命令

子どもに悪口を吹き込んでいる、相手が子どもの学校や保育園などの周辺をうろついているなどの場合は、上記の命令を申し立てましょう。

自分と子どもの安全のために、積極的に活用してください。

Q6. 殴る蹴るなどの暴力はなく、精神的DVだけでも申し立てできますか?

接近禁止命令は、全ての精神的DVで申し立てられるわけではありません。

接近禁止命令の発令には、生活を共にしている・していたパートナーが、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 身体に対する暴力又は生命・身体・自由・名誉もしくは財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫をしている
  • 今後も生命又は心身に重大な危害を受ける恐れが大きい

ただし、相手からの精神的DVがエスカレートし、脅迫や暴力がある場合は、接近禁止命令を申し立てられる可能性もあります。

今後の対応策を考えるためにも、まずは警察や弁護士に相談してください。

Q7. ストーカー行為をやめさせるために利用できますか?

相手からのつきまといが、ストーカー行為にあたる場合は、接近禁止命令でやめさせられます。

ただし相手との関係性が配偶者や同棲している彼氏などではない場合は、接近禁止命令を発令できないので注意してください。

相手の行為がストーカー規制法や迷惑防止条例に該当する可能性もあるので、まずは警察や弁護士に相談することをおすすめします。

Q8. 接近禁止命令は「意味ない」と聞きますが、本当ですか?

接近禁止命令は、相手のつきまとい行為を禁止する限定的な命令のため、意味ないという人もいるようです。

しかし接近禁止命令とほかの保護命令を組み合わせることで、加害者との接触を大きく回避できるという利点があります。

また命令違反をすると刑事罰が科されるため、違反行為を思いとどまらせる効果が期待できます。

上記のような理由から、接近禁止命令は決して意味のない制度ではないことを理解できるでしょう。

Q9. 命令は一生効力を持ちますか?

接近禁止命令の効力は、1年間と定められています。

以前は6ヵ月間でしたが、法改正により伸長され、被害者がより長期的に保護を受けられるようになりました。

もし1年が経過する頃でも、相手からの暴力や脅迫を受ける恐れがある場合は、再び申立てをおこなえば効力を継続できます。

Q10. 相手が命令を破った場合、どうなりますか?

相手が命令に違反した場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課されます。

状況によっては現行犯逮捕となる可能性もあるため、違反行為をみたらすぐに警察に通報してください。

Q11. 申立てに必要な書類は何ですか?弁護士に頼むべきですか?

申立てには、以下の書類が必要です。

  • 保護命令申立書 2部(正本・副本)
  • 当事者間の関係を証明する書類(戸籍謄本や住民票などなど)
  • 暴力や脅迫を受けたことを証明する証拠

書類作成や手続きは自分でもおこなえますが、提出漏れがあると接近禁止命令の申し立てが認められない可能性があります。

提出書類に現住所の推測ができる事項を記載して、相手に今の住所を把握される恐れもあります。

そのため、できるだけ弁護士に依頼してください。

まとめ|接近禁止命令を考えているなら弁護士に相談を!

接近禁止命令は、暴力や脅迫に苦しむ人が、安全を確保して新しい人生の一歩を踏み出すための制度です。

申立てをおこなうには条件があり、煩雑な手続きも多いので、迅速に接近禁止命令を申し立てたい人や書類作成に不安がある人は、弁護士に依頼してください。

ベンナビ離婚」は、接近禁止命令の申立てを依頼できる弁護士を全国から探し出せるポータルサイトです。

無料で、ニーズに合う弁護士を効率的に検索できるので、今すぐ相手の行動をなんとかしたいと考えている人におすすめです。

無料相談に対応している事務所も多くあるので、ぜひ活用してみてください。

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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