調査官調査とは?親権争いで不利にならないため把握しておくべき知識まとめ
配偶者との離婚調停中、調査官調査を受ける可能性があると聞いて不安に思っている方もいるでしょう。
調査官調査とは、父母のうちどちらが親権者や監護権者にふさわしいかを判断をするために、家庭裁判所の調査官がおこなう手続きです。
必ずしもおこなわれるとは限りませんが、事件が長引きそうな場合や裁判所がどのように判断すべきか迷うときなどに実施されます。
そして、裁判所は調査結果を重視するため、調査結果の内容がそのまま審判に反映されるケースも少なくありません。
不利な結果が出た場合は、新たな証拠や証言を集めて反論するか、離婚条件の見直しを検討する必要があるでしょう。
本記事では、調査官調査の概要や調査官を味方につける方法、不利な結果が出た場合の対処法を解説します。
最後まで読めば、自信をもって調査に臨むための知識や具体的な準備方法が身につくでしょう。
家庭裁判所の調査官調査とは?何のためにどんな調査がおこなわれるの?
調査官調査とは、離婚の際、親権について争いがある場合におこなわれる調査です。
保育園や学校といった第三者への聞き取りや家庭訪問、必要であれば心理テストなどもおこなわれ、親の監護状況や子どもの生活環境、子どもの意思、家庭内の状況などを詳しく調べます。
ここでは、以下について解説します。
- 調査官調査がおこなわれる理由
- 調査官について
- 調査官調査の重要性
- 調査官調査がおこなわれるケース
- 具体的な調査方法
- 具体的な質問例
調査官調査の全体像や流れ、裁判所の判断にどう影響するかを知ることで、不安や疑問が解消できるでしょう。
調査官調査がおこなわれる理由
調査官調査は、離婚調停や裁判で親権について合意ができないとき、親権・監護権がどちらの親に適しているか、面会交流をどのように実現するかなどを判断するためにおこなわれます。
当事者同士の主張や証拠だけでは、子どもの現状や気持ちが十分に把握しきれないこともあるためです。
ただし、調査は全ての事件でおこなわれるわけではありません。
詳しくは本記事内の「調査官調査がおこなわれる主なケース」で解説しますが、事件が長引きそうなときや裁判所が判断に迷う場合など、裁判所が必要と判断したときに実施されます。
調査官調査をおこなう「調査官」とは
調査官調査では、心理学や社会学、教育学、社会福祉学などの専門知識をもつ調査官が子どもの状態や環境を総合的に調査します。
調査官とは、家庭裁判所に所属し、家事事件や少年事件について調査・報告・環境調整を担当する専門職員です。
面談や家庭訪問、保育園や学校といった第三者への聞き取りなど多様な手法で家庭環境や子どもの意向を把握し、調査結果を調停委員や裁判官に伝える役割を担います。
また、調査や報告だけにとどまらず、当事者が冷静に話し合えるようカウンセリングをしたり調停の場に同席して心理的にサポートしたりと、家庭問題の解決を広く支えるのが役目です。
調査官調査の重要性|調査結果は裁判所の判断に大きな影響を与える
親権問題において調査官調査が重要な理由は、調査官調査の結果が裁判所の判断に大きく影響するからです。
実際、裁判官や調停委員が当事者家族の暮らしぶりや環境、子どもの様子などを知る機会は限られており、十分に把握できないままでは判断を下すのが難しい場合があります。
そのため、現場を直接見てきた調査官の意見が最終判断において重視されることが多いのです。
調査官調査は全てのケースでおこなわれるわけではありませんが、親権を望むならしっかりと対策を練る必要があります。
調査官調査がおこなわれる主なケース
調査官調査がおこなわれるのは、以下のようなケースです。
- 対立が激しく、事件が長引く可能性がある
- 裁判所がどのように判断すべきか迷う
- 離婚調停で親権や監護権についてもめている
- 調停で調査がおこなわれず裁判に移行した
- 調停後、裁判までに期間が空いた
- 調停後、子どもの生活環境や意向が変化した
調査官調査が実施されるタイミングは、調停段階でおこなわれたり、裁判の際に実施されたりと事件によってさまざまです。
調停の際に一度実施されていても、裁判までに期間が空いたり子どもの生活環境や意向が大きく変化したりした場合には、裁判の段階で再調査がおこなわれることもあります。
具体的な調査の方法
調査官調査は、主に以下の方法でおこなわれます。
| 保育園・学校などの第三者への聞き取り | 子どもが通っている保育園や学校と連絡を取り、聞き取り調査をおこなうのが一般的。必要に応じて現地に出向き、保育士や担任教師と面談することもある。 |
|---|---|
| 面談 | 両親と面談し、それぞれに生活環境や子どもへの接し方などをヒアリングする。家庭裁判所でおこなう場合が多い。 |
| 家庭訪問 | 調査員が家を訪問し、主に子どもについて調査する。親と子どもがどのように接しているか観察したり、親に席を外させたうえで子どもと面談したりするのが一般的。 |
調査官はさまざまな視点から調査をおこない、裁判官や調停委員が把握できない詳細な事情まで丁寧に調べます。
調査官調査で聞かれることとは?具体的な質問例
調査官調査では、以下のようなことを質問される可能性があります。
| 親への質問例 | ・どのような理由で離婚に至りましたか? ・あなた自身の経歴や心身の状況を教えてください ・現在、子どもの世話は主にどちらがしていますか? ・これまでどちらが子どもの世話をしてきましたか? ・離婚後の子どもの生活や教育についてどのように考えていますか? ・面会交流について、どのように考えていますか?具体的な希望はありますか? ・現在の生活状況について教えてください ・家計や収入など、経済状況について説明してください |
|---|---|
| 子どもへの質問例 | ・日々の生活や学校生活で困っていることはありますか? ・普段誰と一緒に過ごしていますか? ・両親のうちどちらと暮らしたいですか? ・両親の離婚についてどう思いますか? |
スムーズに答えられるよう、あらかじめ回答を用意しておくのがおすすめです。
また、「子どもの世話」については、以下に該当するものを指す点も覚えておきましょう。
- 乳児のころの世話
- 歯磨き・入浴
- 食事の世話
- 着替え
- 添い寝・寝かしつけ
- 遊び・読み聞かせ
- 服や身の回りのものの購入
- 保育園・習い事の送り迎え
- 学校の行事への参加
- 連絡帳の記入や担任とのやりとり
- 看病・通院
- 誕生日プレゼントの購入
なお、子どもが「両親のうちどちらと暮らしたいですか?」と尋ねられるのは、子どもの年齢がある程度高い場合です。
一般的には10歳以上の子どもの意思がより尊重され、特に15歳以上では本人の意思を確認される可能性が高いです。
調査官を味方につけるには?有利な調査結果を得るには?
調停や裁判を有利に進めるには、調査官を味方にするのがコツです。
調査官に良い印象を与える対応や注意点を事前に知っておけば、調査結果に有利に働く可能性を高められます。
有利な調査結果を得るために、具体的に以下の点に注意しましょう。
- 子どもの監護方針を明確にしてしっかり説明できるようにしておく
- 調査官の調査には協力的な姿勢を示す
- 落ち着いて丁寧な対応を心がける
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
子どもの監護方針を明確にしてしっかり説明できるようにしておく
調査官を味方につけたいなら、子どもの進学や教育、日々の生活サポートなど、離婚後にどのような方針で子どもを育てていくかを明確に伝えられるようにしておきましょう。
親として子どもをどのように監護していくかを話すことで、評価してもらいやすくなります。
また、これまでの監護実績をアピールすることも重要です。
子どもへの想いも含めてまとめておき、親権者に適していることを主張しましょう。
監護実績が少ない場合でも、実家や家族のサポートやこれから監護に適した環境を整えられることを丁寧に説明すれば有利に評価される可能性はあります。
ただし、実績がないという不利な状況を覆すのは簡単ではなく、自分がどれだけ育児への意欲があるかや、子どもの福祉を最優先に考えているかを言葉と行動で示すことが重要です。
調査官の調査には協力的な姿勢を示す
調査官調査では、協力的な姿勢を見せることも大切です。
調査官は、両親の態度やコミュニケーション能力、調査に協力的かどうかといったところも見ています。
非協力的な態度を取ってしまうと調査官が十分な情報を得られず、相手側の主張がより重視される場合があるでしょう。
心証も悪く、「親権を取る気がない」「子どもの利益を考えていない」など、マイナスの評価をされる可能性も考えられます。
そのため、調査には誠実な姿勢で協力し、丁寧に対応することを心がけましょう。
落ち着いて丁寧な対応を心がける
調査官調査では、落ち着いて対応することも重要です。
特に、調査の場で感情的になることは避けましょう。
そのような態度は「自己中心的」「子どもの利益より自分の感情を優先している」と受け取られる場合があります。
また、相手の悪口ばかり口にすると「子どもの精神に悪影響を与える可能性がある」と思われ、不利な評価につながるおそれもあります。
調査官調査では落ち着いた態度で事実を冷静に伝え、相手の批判に始終しないことが大切です。
もちろん、調査官への暴言や批判もマイナスにしかならないため慎みましょう。
調査官調査で不利な結果が出た場合はどうすればいい?
調査官調査で不利な結果が出たときは、以下の方法を検討してみてください。
- 新たな証拠・証言を集めるなどして調査結果に対して反論する
- 離婚の条件を見直す
すでに結果が出ている以上、覆すことは簡単ではありません。
調停では自分に有利な条件で合意しにくくなり、裁判では相手を親権者とする判決が出ることがほとんどです。
しかし、そのまま何もしなければ状況は変わらないため、できる限りの対応策を検討し、次の行動につなげましょう。
以下では、それぞれの対策について詳しく解説します。
【前提】調査官の調査報告書は原則として当事者であれば閲覧・謄写が可能
調査官の作成した調査報告書は、当事者であれば原則として閲覧・謄写が可能です。
当事者自身が調査内容を把握し、主張や反論の根拠を明確にできるようにするためです。
例えば、裁判に臨む前に報告書を確認すれば、審判期日や主張提出に備えて追加の証拠を準備できます。
ただし、子どもの利益保護や第三者のプライバシー尊重のため、公開自体が許可されなかったり内容の一部が公開対象外になったりすることもある点に注意が必要です。
また、裁判官が記録内容や審理状況などを総合的に判断し、特別な事情があると認めれば、調査報告書の全部または一部について閲覧・謄写を不適当とする場合もあります。
当事者であっても、調査報告書の公開に制限がかかる可能性があると覚えておきましょう。
新たな証拠・証言を集めるなどして調査結果に対して反論する
調査官調査の不利な結果を覆すには、新たな証拠や証言を集めて反論する必要があります。
とはいえ、調査結果を覆すことは簡単ではありません。
再調査がおこなわれるのは、調査官の認識や評価に誤りがあった場合や調査後に新たな事情が発生したときなどに限られるでしょう。
なお、もし離婚裁判で親権が認められなくても、判決書が送達された日の翌日から2週間以内であれば高等裁判所への控訴が可能です。
控訴したからといって結果が覆るとは限りませんが、可能性はゼロではありません。
弁護士へ相談して対応を検討しましょう。
離婚の条件を見直す
調査官調査で不利な結果が出てしまったときは、離婚の条件を見直すのもひとつの方法です。
例えば、相手に親権を譲る代わりに面会交流を積極的におこない、協力して子育てをしていくことも可能です。
一般的な面会交流の頻度は月1回程度ですが、月2回以上を希望したり長期休暇中は一定期間預かったりなど、しっかり取り決めをしておけば親権を譲っても子どもと十分な交流ができるでしょう。
また、ハードルは高いですが、積極的な面会交流を続けていくなかで親子関係が深まり、子どもが「別居している親と一緒に暮らしたい」と望むケースもあります。
どのような形でも子どもと関わっていけるよう、面会交流や相手と協力して子育てしていく方法を前向きに話し合っていくことが大切です。
子どもの成長や親子のつながりを守るために、無理のない形で交流の継続を目指しましょう。
さいごに|離婚時の親権や面会交流などで不安があれば弁護士に相談を!
本記事では、調査官調査の概要や親権争いで不利にならないために把握しておくべきことを解説しました。
調査官調査は、親権について争いがある場合におこなわれる手続きです。
事件が長引きそうな場合や、裁判所がどのように判断すべきか迷ったときなどに実施され、裁判所はその結果を重視します。
不利な結果が出たときは、新たな証拠や証言を集めて反論する方法もありますが、親権を相手に譲る代わりに積極的に面会交流を求めるなど、離婚条件を見直すのもひとつの手段です。
結果はどうあれ、子どもの幸せと親子のつながりを大切にできる道を選ぶことが大切です。
不安や疑問を感じたときはひとりで悩まず、早めに弁護士に相談しましょう。
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