離婚をするときに子供の親権や慰謝料、財産分与などで相手と揉めて、弁護士が必要となったときにかかる費用相場は、内容にもよりますが50~100万円ほどになります。
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離婚したら、元夫とは極力関わりたくないと考える方もいるでしょう。
子どもの養育費は毎月分割で支払われることが多いですが、実は一括請求することも可能です。
養育費を一括で支払ってもらえれば、不払いで不安になることもありませんし、元夫と連絡をとる機会も減らせるかもしれません。
でも、養育費を一括請求した場合、なにかデメリットはあるのでしょうか。
そもそもいくら養育費を支払ってもらえるのかも、気になりますよね。
本記事では、離婚時に養育費を一括請求する場合のデメリットや、まとめて支払ってもらえる養育費の相場などについて、解説します。
結論からお伝えすると、養育費を一括請求することは可能です。
そもそも養育費は、子どもが日々生活するために必要な金銭です。
養育費の中には毎日の生活費を始め、医療費や教育費などが含まれています。
これらは本来、定期的に給付されるべきものなので、月々の分割払いが基本です。
また子どもが幼い場合、十数年以上の長期に渡り養育費を支払わなければなりません。
一括払いとなると、かなり高額な支払いが発生するので、支払い義務者に資力がないと難しいでしょう。
とはいえ養育費の支払い方法に関しては、厳密に法律で決められているわけではありません。
夫婦の合意があれば、一括請求は可能です。
義務者に十分な資力がある、子どもがまもなく成人するので養育費の支払い期間が短いなどの場合は、相手との交渉次第で養育費を一括で支払ってもらえるかもしれません。
子どものためにも、養育費はしっかり支払ってもらいたいですよね。
しかし、養育費の一括請求は、メリットばかりというわけではありません。
ここからは、養育費を一括請求するデメリットを解説します。
損をしないためにも、将来起こり得るリスクをきちんと把握した上で請求方法を検討しましょう。
養育費を一括で支払う代わりに、養育費の減額を要求される可能性があります。
子どもの年齢にもよりますが、養育費の一括請求はそれなりに高額な支払いが発生するはずです。
たとえば、月々4万円の養育費を10年間支払うケースで考えてみましょう。
毎月の分割であれば4万円ずつ支払うことができても、10年分をまとめてとなると4万円×12か月×10年間で、支払額は480万円となります。
月々の養育費が高額になればなるほど一括の支払額は上がりますし、ある程度まとまった金額を最初に支払う代わりに、相手から減額を要求される可能性があるでしょう。
養育費を一括で支払ってもらえれば今後元夫との関りを減らせますし、未払いの心配をしなくて済みます。
しかし、本来貰える額より減額されることも考えられるのは、デメリットといえます。
養育費の一括請求を求めると、養育費をはじめ離婚の交渉が難航してしまうリスクが高まるでしょう。
先ほどもお伝えしたとおり、養育費の一括払いはまとまった金額が必要です。
一度に高額な支払いをすることは、相手にとって厳しいことかもしれません。
相手が養育費一括支払いに納得しなければ、そもそも離婚自体の交渉も難航してしまうでしょう。
受け取る養育費の金額によっては、贈与税が課税されてしまう可能性があります。
贈与税とは、個人から無償で財産を受け取った時にかかる税金のことです。
年間110万円を超える贈与を受けた場合に発生します。
国税庁は、贈与税がかからない財産の例として、以下のものを上げています。
2 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費、養育費その他子育てに関する費用などを含みます。また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。
これだけ見ると、養育費に贈与税はかからないのではと思うかもしれません。
しかし、この条文には以下のような続きがあります。
「なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。
したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てたりしている場合には贈与税がかかることになります。
毎月都度払いの養育費であれば、贈与税はかかりません。
しかし、一括で数百万単位の養育費を受け取った場合、通常であれば銀行口座へ預金するでしょう。
すると、贈与税の課税対象になる可能性があるのです。
養育費を一括で受け取りたいと考えているのであれば、受け取る前に税理士へ相談しましょう。
養育費を一括請求した場合、あとから追加で養育費を請求するのが難しくなる場合があります。
高額な養育費を受け取っても、計画的に使用しないとすぐに底をつくでしょう。
しかし、離婚時に養育費全額の支払いが完了していれば、支払う側は義務を果たしていることになります。
将来更に養育費が必要になったとしても、相手が支払い義務を果たしている以上、追加での請求は難しい場合もあるのです。
追加で養育費を請求したい場合は、相手と交渉する、もしくは養育費増額調停を申し立てて増額を認めてもらうという方法が考えられます。
正当な理由があれば、養育費を増額できるかもしれません。
離婚時に養育費を一括請求していても、例外的に追加請求が認められることもあります。
具体的には、以下のようなケースです。
上記のような状況であれば、相手と交渉する際の説得材料になるでしょう。
また、もし相手との交渉がまとまらなくても、養育費増額調停で増額が認められる可能性もあります。
将来追加請求する可能性も見据えて、離婚時には養育費の内訳を明確にしておくのがおすすめです。
子どもの教育費、医療費、生活費など、項目を細かく分けて月々いくらかかるのか計算しておきましょう。
今後、物価や学費などが大幅に値上げされた場合、当初の計算根拠が残っていれば、相手の理解も得やすいはずです。
十数年先のことを正確に予測するのは、難しいでしょう。
現時点での備えとして、養育費の追加請求を想定した対応をしておくことが大切です。
養育費を一括で受領していた場合、再婚したら返金を求められる可能性があります。
ご自身が再婚し、子どもが再婚相手の養子になれば、子どもの扶養義務者は再婚相手となります。
元配偶者の扶養義務がなくなるわけではありませんが、再婚相手が一次、元配偶者は二次的な扶養義務者となるので、既に受領した養育費の返金を求められる可能性があるのです。
養育費を返金したくないのであれば、離婚時にきちんと取り決めをしておいたほうがいいでしょう。
養育費の一括請求のデメリットをお伝えしましたが、もちろんメリットも多数あります。
ここからは、養育費を一括請求するメリットをご紹介しましょう。
養育費を一括請求するメリット1つ目は、養育費の不払いや滞納を避けられることです。
「この先何年も、遅延することなく養育費を支払ってくれるのか」「もし不払いになったらどうしよう」など、離婚しても不安は尽きないでしょう。
実際、全国の母子家庭の約8割が養育費を貰っていないというデータもあります。
しかし養育費を一括で貰っていれば、不払いや滞納にヤキモキすることもありません。
安心感があるのは、大きなメリットだといえるでしょう。
養育費を一括請求するメリット2つ目は、まとまったお金を確保し、新しい生活の準備がしやすくなることです。
離婚すれば、引っ越しや仕事探しなどで出費がかさむことも考えられます。
養育費として手元にまとまったお金が入ることで、新生活の準備資金に充当できるでしょう。
心理的な負担を軽減できるのは、メリットのひとつです。
養育費を一括請求するメリット3つ目は、元配偶者と関わる機会を減らせることです。
離婚したら、なるべく元配偶者と関わる機会を減らしたいと考える方もいるでしょう。
毎月養育費が振り込まれることで、どうしても元配偶者のことを思い出してしまうかもしれません。
もし不払いや遅延が発生したらその都度連絡を取らなければならないので、ストレスに感じる方もいるでしょう。
養育費を一括で受領していたら、余計な心配やストレスを無くせるはずです。
今後養育費の増額請求をしない限りは、お金のことでの交渉事も発生しません。
元配偶者との関わりを減らしたいのであれば、養育費を一括で請求したほうがメリットは大きいといえるでしょう。
相手にとって、養育費の一括請求は大きな負担だといえます。
納得してもらうには、どうしたら良いのでしょうか。
ここからは、養育費の一括請求に合意してもらうためのコツを解説します。
多少の減額には応じることも、検討しましょう。
基本的に養育費は、毎月支払うものです。
一括払いは、相手にとって大きな負担でもあります。
また、基本的に分割払いは利息が発生するという考えがあるため、一括で支払ってもらうなら、利息分を減額しなければ不公平だと思われるかもしれません。
養育費を支払う側にもメリットがなければ、合意を得るのは難しいものです。
話し合いが難航しそうであれば、減額も検討すると良いでしょう。
お金以外の方法で養育費を支払ってもらうことも、検討しましょう。
養育費は、必ずしも現金である必要はありません。
お互いが納得すれば、現金以外での支払いも可能です。
たとえば、今住んでいる自宅不動産や自動車、株式を譲ってもらうという方法もあります。
自宅を取得できれば住居費がかからないので、固定費を減らせるでしょう。
ただし住宅ローンが残っている場合、支払いが滞れば自宅に住み続けられなくなるかもしれません。
どのような方法で財産を分けるかは、弁護士に相談したほうがいいでしょう。
子どもとの面会交流は、できるだけ相手の要求に応じるようにしましょう。
養育費を支払う以上、子どもにも会わせて欲しいと思うのは当然のことです。
定期的に面会交流できるように取り決めをすれば、相手も一括払いに応じてくれるかもしれません。
しかし面会交流は、本来子どもの健全な成長のために必要な交流です。
一括で支払ってもらう代わりに、子どもの意思を無視して無理やり面会交流をさせることは避けましょう。
また状況によっては、一括で支払う代わりに子どもとの交流を断絶したいと考える方もいるかもしれません。
子どものために、その条件を簡単に承諾していいのか、よく考える必要があります。
ご自身での交渉が難しいなら、養育費請求が得意な弁護士に依頼しましょう。
相手と直接話したくない場合は、弁護士への依頼がおすすめです。
弁護士ならあなたの代わりに交渉を引き受けてくれますし、お互いの収入や家庭の状況に応じた養育費も算定してくれます。
また、養育費だけでなく離婚全般の相談にも乗ってくれるので、スムーズに解決したいなら弁護士への依頼を検討しましょう。
そもそも養育費を一括請求する場合、いくらくらい貰えるのか気になるのではないでしょうか。
ここからは、養育費を一括請求する場合の計算方法や相場について解説します。
まずは分割払いの相場を算定表で確認しましょう。
養育費の相場について目安となるのが、家庭裁判所が作成している「養育費算定表」です。
子どもの年齢や人数、夫婦の収入などによって、月々の養育費額が決まります。
ただし、養育費算定表はあくまで目安です。
各家庭の状況によって金額は増減するものですが、まずは参考値を算定表で計算してみましょう。
次に、養育費を支払う期間を決めます。
現時点での子どもの年齢から、子どもが自立するまでの年数を計算しましょう。
高校を卒業したら働くのか、大学や専門学校に入学するのかなどによって、年数は変わります。
月々の目安となる養育費額、支払う期間が決まれば、一括払いを想定した養育費額を算出しましょう。
計算方法は、以下のとおりです。
養育費の合計額は、月額を元に算出します。
たとえば5歳の子どもが1人いて、大学卒業時(22歳)まで毎月5万円の養育費が必要な場合、5万円×204か月=1020万円が一括払いの養育費額となります。
先ほどもお伝えしましたが、金銭を分割して支払う場合は、利息が発生するという考えがあります。
そのため、養育費の合計額から減額するのであれば、「中間利息」を指し引く方法が一般的です。
「中間利息」とは、債権の支払いが完了するまでにかかる利息のことを指します。
たとえば、500万円を今受け取る場合と、10年かけて分割で受け取る場合、10年かけて受け取った500万円には10年分の利息が含まれているとされます。
そのため同じ500万円でも、経済的な価値が異なるのです。
養育費を一括で受け取る場合は、本来かかるはずだった「中間利息」を控除しましょう。
ライプニッツ係数を使用して計算する方法が考えられますがやや複雑なので、弁護士への相談がおすすめです。
ベンナビ離婚の「自動計算機」を使用すれば、養育費の目安を簡単に確認できます。
養育費を受け取る側の収入や子どもの年齢、人数、養育費を支払う側の収入などを入力するだけで、月々の養育費額をすぐに計算できるので便利です。
複雑な算定表を見なくても概算の金額がわかるため、すぐに目安を知りたい方はぜひ利用してみましょう。
養育費の交渉は、弁護士への相談がおすすめです。
では、養育費の交渉について弁護士に相談・依頼するメリットはあるのでしょうか。
解説します。
1つ目のメリットは、適正な養育費の金額がわかることです。
養育費を決める目安となるのが、先ほどご紹介した家庭裁判所の「養育費算定表」です。
しかし算定表は、各家庭の細かな事情にまでは配慮がされていません。
あくまで目安にしかならないため、詳細に計算したい場合は弁護士へ相談しましょう。
2つ目のメリットは、より高額な養育費を請求できる可能性が高まることです。
子どもの進学先や健康状態などによっては、算定表よりも高額な養育費が必要な場合もあります。
しかし、どのくらいの金額を請求できるのか、ご自身での判断は難しいでしょう。
弁護士であれば、細かな事情に配慮して、家庭に応じた適正な金額を算定してくれます。
想像以上に高額な養育費を請求できるかもしれません。
3つ目のメリットは、相手との交渉を任せられることです。
離婚を考えているのであれば、夫婦の関係性はあまり良くないことが想定されます。
そのような状態で相手と話し合いをするのは、大きなストレスがかかるかもしれません。
また、相手がDVやモラハラなどの加害者の場合、直接の離婚交渉は困難を極めるでしょう。
弁護士に依頼すれば、相手との交渉を代理で対応してくれます。
相手と直接顔を合わせなくても離婚の話し合いを進めることができるのは、メリットだといえるでしょう。
4つ目のメリットは、調停や裁判になった際も対応を任せられることです。
調停や訴訟などの裁判手続きでは、さまざまな書類や証拠を提出しなければなりません。
法律の知識が必要な複雑な手続きでもあります。
ご自身で対応するよりも、法律の専門家に任せた方が安心だといえるでしょう。
養育費一括請求についておおよそ理解できても、まだまだわからないこともあるはずです。
ここからは、養育費の一括請求についてよくある質問をご紹介します。
裁判手続きでは、養育費の一括請求は認められないでしょう。
養育費は原則分割で支払われるものなので、裁判所で一括払いが認められる可能性はほぼありません。
養育費の支払い期間が短い場合などは、例外的に認められることもあります。
もし一括で養育費を受け取りたいなら、裁判手続外で交渉を進めるのがおすすめです。
110万円を超える養育費を一括で受領しても、贈与税が課税されないようにする方法はあります。
それは、養育費を「信託財産」にすることです。
子どもを受益者として、信託銀行と信託契約を結ぶなどの方法が考えられます。
信託契約について詳しく知りたい方は、専門家へ相談しましょう。
養育費を一括請求する場合、公正証書を作成するメリットはあまりありません。
作成しなくてもいいでしょう。
養育費を分割で支払うなら、滞納や未払いが発生することも考えられます。
執行力のある公正証書があれば、強制執行ができるので安心です。
ただし、一括払いで合意しているなら、滞納のリスクも少ないといえます。
時間とお金をかけて公正証書を作成するより、早期に支払ってもらった方がいいかもしれません。
認知されていない子どもの養育費は、請求できません。
養育費は、法律上の親子関係がある場合のみ支払う必要があります。
認知していないのであれば親子関係はなく子どもを扶養する義務もないため、そもそも養育費の請求は難しいでしょう。
ただし、相手が支払いに合意した場合は請求できます。
支払いはあくまで任意なので、強制することはできません。
離婚時に、養育費を一括請求することは可能です。
ただし、
などのデメリットが考えられます。
とはいえ、元配偶者との関りを減らせる、未払いの心配をしなくていいなどのメリットもあるので、ご自身の状況に応じて、慎重に判断するようにしましょう。
また、離婚問題で不安なことがあるなら、弁護士への相談がおすすめです。
離婚問題では養育費を始め、婚姻費用や財産分与、面会交流などさまざまな取り決めが発生します。
法律が関わる問題でもあるので、早めに弁護士へ相談してみましょう。
弁護士選びに迷ったら「ベンナビ離婚」を活用して、ご自身に合う弁護士を探してみてはいかがでしょうか。
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