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貞操権の侵害の慰謝料の相場は100~300万円|騙した相手に請求する方法
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2019.3.19

貞操権の侵害の慰謝料の相場は100~300万円|騙した相手に請求する方法

虎ノ門法律経済事務所 池袋支店
齋藤健博 弁護士
監修記事
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もしあなたが、「独身だと騙されて付き合ってしまった」などつらい思いをしているのであれば、貞操権の侵害として相手に慰謝料を請求することができます。

 

貞操権の侵害とは、相手を騙して性的な関係を持つことです。あなたが誰と性的な関係になるか決める権利(貞操権)を、騙して奪った場合に該当します。

 

つらい気持ちがあると思いますが、相手とのLINEやメールのやり取りは消さずにしっかりと残しておきましょう

 

相手があなたを騙した記録などがあれば、後で慰謝料を請求することができますし、必ず役立ちます

 

この記事では主に次の点についてわかりやすく解説します。

 

  1. 貞操権の侵害で請求できる慰謝料の相場
  2. 貞操権の侵害で慰謝料請求が認められるケース・認められるケース
  3. 貞操権の侵害で慰謝料を請求する具体的な方法
  4. 貞操権の慰謝料請求で弁護士に依頼した場合

 

相手を選んだ自分を責めずに、泣き寝入りすることなく、卑怯な相手に責任を取らせるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

 

目次

貞操権の侵害に該当する行為とは?

貞操権の侵害に該当する行為とは、次の通りです。

 

  • 独身だと嘘をついて、既婚者だと隠して、性的関係を結んだ
  • 結婚するつもりがないのに、結婚を約束していた

「付き合っていた彼が実は、既婚者だった」「婚活アプリで出会い、結婚の意思があると思っていたのに、急に音信不通になった」といったケースが考えられます。

 

貞操権は、自分の性に対する権利です。相手が既婚者と知っていれば、付き合わない人がほとんどではないでしょうか。

 

既婚の事実を隠したり、独身だと偽ったりして性的な関係を持つことは、あなたの「相手を選ぶ権利」を侵害していることになります。

 

民法の710条では、相手の自由を損害した場合にも、損害を与えた者は、その損害に対して賠償する義務を負うとしており、この貞操権の侵害も対象となります。相手に慰謝料を請求することができるのです。

 

貞操権の侵害は相手に慰謝料を請求できる

ここでは、次の点について解説します。

 

  1. 貞操権の侵害で請求できる慰謝料の相場
  2. 慰謝料請求が認められるケース認められないケース
  3. 貞操権の侵害で慰謝料請求するための証拠
  4. 慰謝料請求する際の注意点
  5. 慰謝料請求の時効

 

貞操権の侵害、慰謝料の相場は100~300万円

貞操権の侵害の慰謝料の相場は100~300万円と言われています。ただし、これは訴訟に発展した場合に、裁判所が決定する金額の目安です。

 

裁判所は、次の点を総合的に考慮して、慰謝料の金額を算出します。

 

  • 訴える側の年齢や立場
  • 交際のいきさつ
  • 交際期間
  • 嘘があったかどうか・嘘の内容
  • 妊娠の有無
  • 交際終了間際の相手の対応 など

相手との直接交渉で決定する場合は、お互いが納得する金額で、柔軟に決定することができます。

 

貞操権の侵害で慰謝料請求が認められやすいケース

貞操権の侵害で、慰謝料請求が認められやすいケースは次の通りです。

 

  • 男性が独身だと嘘をついて、積極的にアピールして肉体関係に至った
  • 結婚をほのめかして、肉体関係を結んでいた
  • 女性が妊娠・堕胎している
  • 女性が若く、男性が既婚と判断するのが難しかった

 

上記の点で該当する部分があるのであれば、慰謝料の請求を考えてもよいでしょう。ただし、注意点がありますので、後述する「貞操権の侵害で慰謝料請求する際の注意点」もご覧ください。

 

貞操権の侵害で慰謝料請求が認められないケース

貞操権の侵害で、慰謝料請求が認められないケースは次の通りです。

 

  • 肉体関係がない
  • 結婚の話をされたことがない

また、後述する証拠がない場合も、慰謝料の請求を認められる可能性は低いと考えられます。

 

被害者が成人していて、判断力があったり、相手を既婚者だと見抜いていた場合も、慰謝料が認められなかったり、認められにくかったりします。

 

ただし、被害者の異性経験や、年齢なども考慮して決定されますので、全てが慰謝料請求できない、認められにくいとも言い切れません。

 

「貞操権の侵害で慰謝料の支払いが認められた裁判事例」も参考にしてみてください。

 

貞操権の侵害で相手に慰謝料請求するための証拠

貞操権の侵害で、相手に慰謝料を請求する際に、最も重要なのは証拠です。証拠には次のものが挙げられます。

 

貞操権の侵害で相手に慰謝料を請求するための証拠

  • 相手が独身だと偽っていたLINEやメール・などのやり取り、音声記録など
  • 利用したホテルの利用明細など
  • 相手が結婚をほのめかしたLINEやメールなどのやり取り
  • 婚活アプリなどに登録していた記録ややり取り
  • 相手が離婚の準備をしている・離婚の過程を知らされたLINEやメールなどのやり取り
  • 妊娠・堕胎した事実がわかる診断書やエコー写真など

 

貞操権の侵害で慰謝料請求する際の注意点

貞操権の侵害で慰謝料を請求する際、注意する点があります。それは、場合によっては貞操権の侵害が認められず、さらにショックを受ける可能性があるということです。

 

お伝えした通り、次のような事情を立証できれば、貞操権の侵害による慰謝料請求を認められる可能性があります。

 

  • 相手が独身だと嘘をついて積極的に関係を迫り、性的関係を結ぶ
  • 結婚をほのめかして性的関係を持つ
  • 妊娠・堕胎の事実 など

しかし、例えば次のような場合、慰謝料の請求を認められない可能性や、認められてもかなり少額だったというケースもあります。

 

  • 結婚の話をされたことがない
  • 結婚すると思い込んでいて体を許してしまった
  • 相手が既婚者であると判断できる状況だった など

相手を訴えたはいいものの、あなたが思っていたような結果とならず、それ以上に傷ついてしまうかもしれないことを覚えておきましょう。

 

もちろん、これは訴訟に発展した場合の話です。相手との直接交渉であれば、相手に納得させることで慰謝料を支払ってもらえる可能性があります。

 

なんにせよ、相手に慰謝料の支払いを認めさせるためにも、しっかりとした証拠を取っておきましょう

 

貞操権の侵害|慰謝料請求の時効

貞操権の侵害で慰謝料を請求する権利には、時効があります。時効期間を過ぎてしまえば、相手に慰謝料を請求しても認められませんので、注意が必要です。

 

貞操権の侵害で慰謝料を請求する際の時効は、内容によって異なります。

 

貞操権の侵害に対する慰謝料請求の時効

婚姻予約に対する不当破棄

時効3年・除斥期間は20年

婚姻予約の債務不履行

時効10年

 

結婚する約束をしてそれを破った場合は、婚姻予約の不当破棄として慰謝料請求の時効が3年設けられています。この3年は、加害者を特定してから3年です。

 

除斥期間(じょせききかん)20年というのは、相手があなたを騙して交際した期間10年目で被害を知ったとしても、被害を受けた日から20年以内なら慰謝料を請求できるというものです。

 

婚姻予約の債務不履行とは、婚約しているにもかかわらず、結婚という契約が実行されなかった場合、債務不履行として慰謝料を請求することができます。債務不履行の時効は10年です。

 

いずれにしても、どのケースで時効が成立してしまうのか、ご自身で判断するのは難しいでしょう。

 

少しでも慰謝料の請求を検討しているのであれば、まず弁護士に、時効が経過していないか、確認することをおすすめします。

 

時効をリセット・延長する方法

婚姻予約の不当破棄の時効は3年、婚姻予約の債務不履行の時効は10年です。もし、もう少しで時効が成立してしまうのであれば、時効をリセットや延長する方法がありますので、実行してみましょう。

 

貞操権の侵害に対する慰謝料請求の時効を中断させる方法は、主に2つあります。

 

貞操権の侵害の慰謝料請求の時効をリセット・延長させる方法

相手に請求

訴訟の申し立てなどで請求することで、時効がリセットされる

内容証明の場合は、時効を6ヶ月延長できるが、その期間内に訴訟を申し立てる必要がある

債務の承認

時効までに相手が慰謝料の支払いを認める、あるいは、支払っている最中であれば、支払い義務が生じ、時効がリセットされる

 

相手に慰謝料を請求しないままにしておくと、時効を迎えることになってしまいます。一般的には、内容証明の送付が現実的です。

 

個人交渉で、支払い義務が生じるなどと説明し、債務を承認させるのは難しいでしょう。

 

いずれにしても、時効が迫っているのであれば、どういった手段で時効をリセット・延長することができるのか、弁護士に相談をすることが一番です。

 

貞操権の侵害で慰謝料を請求する具体的な方法については、「貞操権の侵害で相手に慰謝料を請求する前に知っておきたいこと」「貞操権の侵害で相手に慰謝料請求する方法と注意点」を、弁護士に依頼した場合の費用などについては「貞操権の慰謝料で弁護士に相談した場合」をご覧ください。

 

貞操権の侵害で慰謝料の支払いが認められた裁判事例

ここでは、貞操権の侵害で慰謝料の支払いが認められた裁判事例をご紹介します。慰謝料の金額や、貞操権の侵害が認められた事情など、参考にしてみてください。

貞操権の侵害で、慰謝料請求する具体的な方法を知りたいという方は「貞操権の侵害で相手に慰謝料を請求する前に知っておきたいこと」をご覧ください。

 

1:300万円の支払いが命じられた裁判事例

 

裁判の内容

既婚者であることを隠して肉体関係を持ち、交際を継続、申立人が未婚のまま出産するに至った事案に対して、被告人に1,000万円の支払いを求めた裁判

判決

慰謝料300万円、請求から支払いまでの年5%の遅延利息を支払う判決

考慮された事情

  • 友人に彼女として紹介をし、申立人の家族とも面識があった
  • 申立人が交際解消したいと訴えても、結婚をほのめかし交際を継続
  • 堕胎を決めた申立人に対して、結婚のめどもないのに、産んでほしいと頼む
  • 出産後も毎日電話やLINEでやり取りを続けている
  • 妻子の存在が発覚して話し合いの場になっても、申立人に誠意ある対応をしていない
  • 交際期間、交際状況、子供の養育、主産後一定期間月15万円支払っていたことなどを考慮

裁判年月日 平成26年10月29日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決

事件番号 平25(ワ)24534号

事件名 慰謝料請求事件

参考:文献番号 2014WLJPCA10298024

 

2:77万円の支払いが命じられた裁判事例

 

裁判の内容

妻子がいることを隠して申立人と肉体関係を持ち、妊娠・堕胎させた被告に慰謝料約570万円の支払いを求めた裁判

判決

慰謝料60万円・堕胎の手術費用等のうち10万円

弁護士費用7万円の計77万円

請求から支払いまでの年5%の遅延利息を支払う判決

考慮された事情

  • 被告人は、家族の話をした際に、子供がいないと信じ込ませる発言をした
  • 妻子がいることの発覚を免れるために虚偽の説明をしている(申立人が友人に送ったメールの内容から)
  • 申立人は、被告人に他の交際相手の有無を確認しているため、妻子がいることを知って交際したとは考えられない
  • 結婚の事実が認められないのに、避妊せず性交渉に及んだ申立人にも責任がある

裁判年月日 平成26年 8月 7日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決

事件番号 平25(ワ)5961号

事件名 損害賠償請求事件

裁判結果 一部認容 

参考:文献番号 2014WLJPCA08078013

 

3:220万円の支払いが命じられた裁判事例

 

裁判の内容

結婚相談所を通じて出会い、3ヶ月交際したものの、借金を断られた後から、一方的に婚約破棄した被告に、約550万円の支払いを求めた裁判

判決

慰謝料200万円

弁護士費用20万円、計220万円と

請求から支払いまでの年5%の遅延利息を支払う判決

考慮された事情

  • 交際期間が3ヶ月で、結婚について合意があったとは認められない
  • 3回目のデートで半ば強引に肉体関係を結んだこと
  • 借金を断られた後から、連絡を絶っており、真剣に交際していたとは言えない
  • 申立人はこれまで異性と肉体関係を持ったことがない
  • 被告人は調停に応じないなど不誠実な対応を取っている
  • 肉体関係が2回、婚約するに至ってなかったことなどを考慮

裁判年月日 平成23年 6月23日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決

事件番号 平23(ワ)6797号

事件名 慰謝料請求事件

裁判結果 一部認容 

参考:文献番号 2011WLJPCA06238002

 

貞操権の侵害で、慰謝料などの支払いが命じられた裁判事例をいくつかご紹介しました。ご覧の通り、慰謝料の金額は内容によって異なります。次の事情では、慰謝料も高額となることが考えられます。

 

  1. 侵害を受けた側が、妊娠や堕胎した
  2. 侵害した側が結婚をほのめかす、独身を装っている
  3. 交際期間が長い など

 

貞操権の侵害で相手に慰謝料を請求する前に知っておきたいこと

次項では、貞操権の侵害で相手に慰謝料を請求する方法をご紹介しますが、その前に知っておくべきことがあります。

 

相手の正確な氏名・住所を把握していることが前提

慰謝料の請求には、相手の正確な氏名・住所を把握しておく必要があるということです。

 

貞操権の侵害に対する慰謝料請求では、「相手の氏名・住所までもが嘘だった、本当の名前・住所がわからない」というケースがあります。

 

相手に内容証明を送付するには、当然相手の住所が必要ですし、万が一訴訟となっても、相手の住所がわからなければ訴状を送ることもできません。

 

連絡先がわかっていた所で、相手が電話番号などを変えてしまえば、逃げることができてしまいます。実際そのようなケースで、悩んでいる方もいるでしょう。しかし、相手の氏名や住所を特定する方法もあります。

 

弁護士照会で相手の氏名や住所を知ることができる

弁護士は、受任した依頼で必要となる情報を取り寄せる「弁護士照会」を行うことができます。

 

もし、相手の電話番号しかわからなくても、弁護士であれば、利用していた電話会社に問い合わせ、相手の個人情報を入手することができます。

 

依頼が前提ですので、弁護士照会だけを単独で依頼することはできません。覚えておきましょう。

 

弁護士費用がかかってしまうことにはなりますが、相手の連絡先しかわからなかったとしても、諦めずに相談してみませんか?

 

弁護士へ依頼した場合のメリットや、弁護士費用については後述する「貞操権の慰謝料で弁護士に相談した場合」も併せてご覧ください。

 

貞操権の侵害で相手に慰謝料請求する方法と注意点

貞操権の侵害で、相手に慰謝料を請求する方法は3つあります。

 

  1. 内容証明を送付する
  2. 相手と直接交渉をする
  3. 慰謝料請求訴訟を申し立てる

 

①と②で応じてもらえない場合、最終的には慰謝料請求訴訟を申し立てることになります。ここでは、貞操権の侵害で相手に慰謝料請求する具体的な方法と注意点を解説します。

 

1:相手に内容証明郵便を送付する

相手に慰謝料を請求する方法の一つが、慰謝料の支払いを求める内容証明郵便(以下、内容証明)の送付です。内容証明とは、誰が誰に対して・いつ・どんな内容を送ったのか、郵便局に証明してもらえる特殊な郵便です。

 

相手・自分の控え・郵便局に提出する分の3通を作成し、そのうちの1通は郵便局で保管してもらえます。

 

内容証明のメリット・デメリット

内容証明送付のメリット・デメリットは次の通りです。

 

内容証明郵便のメリット・デメリット

メリット

  • 相手がプレッシャーを感じて、慰謝料の支払いに応じる可能性がある
  • 郵便局で内容を保管・いつ送付したか記録されるので、受け取っていないとの主張が通らない
  • 時効を中断させる効果があり、訴訟などに備えることができる など

デメリット

  • 内容証明の送付自体は、法的効力がないため、無視をされても差し押さえなどはできない
  • 相手が無視した場合は直接交渉をして、示談書を作成する必要がある

 

誰でも「慰謝料の支払いに応じなければ、訴訟を申し立てるなど法的措置を検討している」と言われれば、とりあえず連絡をしなければと感じてしまいますよね。

 

特に、貞操権の侵害は、相手が配偶者に隠して不法行為を行っているので、配偶者にバレないよう処理したいと考えているでしょう。応じてくれる可能性はあるのではないでしょうか。

 

ただし、内容証明の送付は何の法的な強制力もないため、相手が無視をする可能性がありますし、仮に相手が無視をしても差し押さえなどを行うことはできません。

 

あくまでも、慰謝料の支払いに応じさせたり、交渉をさせたりするための手段です。

 

内容証明の書き方

内容証明に明記すべき内容は次の通りです。

 

  • 慰謝料請求書・通知書などのタイトル
  • あなたが知った不法行為の事実(独身だと偽って性的関係を結ばせたなど)
  • 慰謝料を請求する旨
  • 請求する慰謝料の金額・支払い期限・支払い方尾法
  • 差出人と受取人の住所・氏名

また内容証明には文字数などの制限がありますので、作成時は次の点にご注意ください。

 

内容証明の注意点

用紙

枚数は特に指定なし

用紙は市販されている専用の用紙の使用も可能

用紙サイズはB4・A4が一般的

文字

文字は日本語のみ

漢字・ひらがな・カタカナ・漢数字・算数用数字使用可能

英字は固有名詞に限り使用可能

文字数と行数

「、」や「。」は1文字扱い

文頭などを下げた場合、空きスペースは1文字として扱わない

縦書き

20字以内×26行以内

横書き

20字以内×26行以内

26字以内×20行以内

13字以内×40行以内

複数部の場合

1部ごとにホチキスでとめ、ページとページのつなぎ目に割り印を押す

 

内容証明は全部で3通用意しなければなりませんので、文字数などの制限を考えてもパソコンのワードなどで作成したほうが手軽です。

 

手書きでの作成は、万年筆やボールペンなど消すことができない筆記具を使用しましょう。

 

内容証明のサンプル

内容証明のサンプルはこちらです。なお、横書きではありますが、便宜上20文字以内で区切ってはありませんので、参考程度にお考えください。

 

東京都新宿区西新宿〇丁目〇番〇号

○○様(相手の氏名)

 

平成〇年〇月〇日

東京都〇〇区1丁目1番1号

ナビ 花子

 

通知書

前略

私は、貴殿に対して次のとおりに通知します。

貴殿は妻子ある身でありながら、独身であると偽り、平成●●年●月から平成●●年●月、私が貴殿を既婚者だと知るまで、結婚を前提として、およそ〇回にわたり性交渉を伴う交際を続けてきました。貴殿の行為は不法行為に該当するため、貴殿に対して慰謝料として金200万円を支払ってもらい(民法 709条、710条)、本件に関する問題を解決したいと考えています。貴殿のお考えをお聞かせください。

私は慰謝料として金200万円を請求しますので、本書面到達後〇日以内に貴殿の考える支払い方法を書面にて提示してください。

草々

 

内容証明には、振り込んでほしい銀行名や口座番号を明記してもよいでしょう。また、内容証明に明記した請求する慰謝料の金額は後から修正できませんので、慎重に記しましょう。

 

内容証明を送付する方法

内容証明の送付は、次の2つの方法があります。

 

内容証明の送付方法

  • ①郵便局の本局から送付

3通作成した封をしていない内容証明と印鑑を持って行く

郵便局員に中身を確認してもらい、相手に送付する

この時の領収書、自分の控えの内容証明を保管しておく

料金は、内容証明の枚数・重量によって異なる

  • ②電子内容証明サービスを利用

作成したワードファイルを専用ページからアップロードすることで簡単に送付できる

料金は1,200円程度

 

【参考】郵便局|e内容証明(電子内容証明)

 

内容証明を送付する際に、配達証明をつけてもらうことで、受取人に配達された後、いつ頃配達されたのか明記された配達証明書を送ってもらうことができます。

 

万が一、訴訟になった際も、いつ頃配達されたのか証明できる強力な証拠になります。

 

内容証明を送付する際のポイント

内容証明を相手の住所に送付するということは、相手が既婚者であれば、必然的に相手の配偶者に発覚することになります。

 

「相手の家庭も壊れてしまえばいいのに」という気持ちもあるかもしれませんが、相手に逆恨みされたり、あなたが騙されたという事実を信じない配偶者に、慰謝料を請求されたりするリスクがあります。

 

もし、内容証明を送付するのであれば、「親展」や「本人限定受取郵便」など封筒に明記して、相手の配偶者が開封しないようにしておきましょう。

 

また、配偶者に知られるかもしれないという相手の恐怖心は、交渉でも有利に運ぶかもしれません。

 

例えば、訴訟に発展した場合、訴状は相手の自宅に送付され、配偶者に発覚する可能性が高いため、そうなる前の段階で慰謝料の支払いに応じてくれることが期待できます。カードは最後まで残しておきましょう

 

②相手と直接交渉をする

内容証明はあくまでも、慰謝料の支払いや交渉に応じさせる手段ですので、法的な強制力がないのはお伝えした通りです。

 

相手が内容証明に応じなかった場合には、直接交渉をして、慰謝料の支払いに関する取り決めを書面化しなければなりません。

 

直接交渉のメリット・デメリット

メリット

法的な手続きが不要なので手軽・コストがかからない

慰謝料に関して柔軟な取り決めができる

デメリット

相手と上手く交渉できない可能性がある

 

直接交渉は、方法の一つとしてご紹介しますが、個人での交渉は難しいことが考えられます。

 

こちらを騙すような相手ですので、口が上手く、言いくるめられてしまったり、慰謝料を値切られたりするかもしれません。

 

交渉時、信用できる友人などに同席してもらってもよいですが、相手がどういった手段に出てくるかはわかりませんし、逆恨みされる恐れもあります。

 

万が一、内容証明を無視されるなど、直接交渉が必要となるのであれば、弁護士に相談したほうが賢明です。「貞操権の慰謝料で弁護士に相談した場合」をご覧ください。

 

貞操権で慰謝料の支払いに合意できたときの示談書のサンプル

もし、相手が交渉に応じてくれたのであれば、次のような示談書を作成しましょう。

 

合意内容を書面化して証拠としておくことで、万が一相手が支払わなかったとしても、差し押さえなどの手続きを取ることができます。

 

示談書のサンプル

 

示談書

 

 ナビ花子(以下「甲」)と●●A太郎(以下「乙」)は、乙が甲を騙し行った不法行為に関し、以下のように合意し、和解した。

 

1.乙は甲に対して、独身と偽り、甲と性交渉を行った不法行為を認め、謝罪する。

  •  

2.乙は甲に対して、慰謝料として金200万円を2019年3月15日までに、甲が指定する口座(●●銀行 普通 口座番号)へ振り込んで支払う。振り込みにかかる手数料は乙の負担とする。

 

3.乙の甲に対する前条1項の支払いが遅れた場合は、期限の利益を失い、乙は甲に対して、残金のその時点から年5%の割合による遅延損害金を付加し、これを直ちに支払うものとする。

 

4.本合意成立後、乙について次のうち一つでも生じた場合には、甲からの通知催告がなくとも期限の利益を失い、乙は直ちに債務の全額を支払うものとする。

 

ア.支払いの停止又は破産、民事再生開始のいずれかの申立てがあったとき。

イ.住所変更または勤務先の変更の通知を怠るなど、甲に乙の在住または勤務先が不明になったとき。

ウ.その他本合意書の各条項に違反したとき。

 

5.乙は丙と、いかなる理由があろうと今後一切の接触を禁じる。

 

6.甲及び乙は次に規定する行為を行ってはならない

 

(1)知り得た当事者に関する秘密を、第三章に口外してはならない

(2)相手方の住居・勤務先を訪問すること

(3)相手方に義務なき行為を行わせること

(4)相手方の名誉を害する事実を告知すること

(5)その他一切の迷惑行為

 

7.甲及び乙は、相互に本示談書に定めるほか何らの債権債務も存在しないことを確認し、仮に相手方に何らかの権利を有する場合はその一切を放棄する。

 

本示談契約の成立を証するため、本書を2通作成し、各自1通を所持する。

以上

以上

 

平成 年 月 日

(甲)住所    

氏名     印

(乙)住所    

氏名    印

 

 

事前にワードなどで作成しておき、金額欄は空欄にしておけば、交渉で決定した金額を記入できます。作成した示談書は、公正役場で、より証拠力のある「公正証書」にしてもらいましょう。

 

ただし、こちらの示談書はあくまでもサンプルです。事前に弁護士に相談をして、法的に有効な示談書を作成してもらうことをおすすめします。

 

【関連記事】

離婚時に公正証書を作成すべき理由と作成方法の手順

 

③慰謝料請求訴訟を申し立てる

相手が内容証明で応じない、あるいは、交渉でも応じないとなると、最終的には慰謝料請求訴訟を申し立てることになります。

 

慰謝料請求訴訟は、裁判官が双方の言い分を聞いて、妥当だと思える慰謝料金額を決定してくれます。慰謝料請求訴訟のメリット・デメリットは次の通りです。

 

慰謝料請求訴訟のメリット・デメリット

メリット

相手が判決に従わなければならなくなる

裁判の判決書があれば、万が一、相手が慰謝料を支払わなくても、差し押さえ(強制執行)などの法的措置が取りやすくなる

デメリット

時間とコストと労力がかかる

裁判官が判断を下すため、直接交渉のように思ったような金額にならない可能性がある

 

訴訟はやはり時間とコストと労力かかります。民事訴訟には、さまざまな訴訟がありますので、一概に言えませんが、平均審理期間は8.6ヶ月です。

 

訴訟自体はそこまで費用がかかりませんが、手続きに労力がかかるため、やはり弁護士に頼らざるを得ません。そういう意味で、コストがかかります。

 

多くの人は、ここまで見れば訴訟になる前に解決したいと考えるでしょう。ベストなのは、訴訟に至る前に弁護士に交渉をしてもらい、慰謝料を支払ってもらうことです。

 

弁護士費用も訴訟まで発展してしまうと、やはり高額となってしまいます。交渉の段階で依頼して、費用を抑え、確実に慰謝料を支払ってもらうほうがよいでしょう。

 

詳しくは「貞操権の慰謝料で弁護士に相談した場合」をご覧ください。

 

【参考】

日本経済新聞|民事、一審の審理長期化 平均8.6カ月 事件の複雑化映す

 

慰謝料請求訴訟の申立方法

慰謝料請求訴訟は、相手に請求する金額によって、申し立てる裁判所や手数料が異なります。

 

請求する慰謝料の金額と申し立てる裁判所

140万円以下

相手の住所地を管轄する簡易裁判所

140万円以上

相手の住所地を管轄する地方裁判所

 

該当する裁判所に、慰謝料請求訴訟の訴状を提出し、手数料を納めれば、相手にも訴状が送付され、指定された日に裁判が開廷されます。

 

慰謝料請求訴訟の申立手数料

手数料は、定められた金額の収入印紙と、書類の送達代です。お伝えした通り、申立手数料は、請求する慰謝料の金額などによります。

 

単純にいくらとは言えませんが、例えば、200万円の支払いを求める訴訟の手数料は1万5,000円で申し立てられるので、想像しているほどかかりません。

 

送達代は書類の重さなどによっても左右されますので、裁判所で確認してください。慰謝料請求訴訟の訴状はこちらを参考にしてみてください。

 

このように、訴訟を申し立てることはできるかもしれませんが、手続きが難しい、手数料がよくわからないということもあるでしょう。

 

やはり裁判所で確認するか、無料相談を活用して弁護士に相談しておくことを強くおすすめします。

 

【参考】
裁判所|手数料
裁判所|簡易裁判所の民事手続
裁判所|民事訴訟の種類
裁判所|簡易裁判所における民事事件

 

貞操権で慰謝料請求する際のポイント

貞操権で相手に慰謝料請求する際のポイントは次の2点です。

 

  • 相手の反論を見越して、証拠や記録を集めておく
  • 脅迫ともとれる言動に注意する

まず相手の反論としてよくあるのが、「最初から既婚者だと伝えていた」というもの。こういった反論が通らないように、しっかりと証拠を揃えておきましょう。

 

そして注意してほしいのが、脅迫ともとれる言動をしないことです。例えば、「応じなければ、家族にバラす」「職場にバラす」などです。

 

相手に騙されて、つらい気持ちもあるかとは思いますが、脅迫罪や名誉毀損で訴えられれば、慰謝料を支払わせることもできません。あくまでも、正しいやり方で、相手に慰謝料を支払わせましょう。

 

やはり事前に弁護士に相談しておくことです。次項では弁護士に相談するメリットや弁護士費用について解説します。

 

貞操権の慰謝料で弁護士に相談した場合

ここまでは貞操権の慰謝料の請求方法について解説してきました。相手との交渉は難しく、そもそも相手の氏名・住所がわからないケースもあるでしょう。

 

できれば、訴訟に発展する前に解決して、気持ちを切り替えたいですよね。ベターなのは、弁護士に依頼することです。

 

しかし、「弁護士に依頼したほうがよいことはわかるけど…費用が高額になりそう…」「弁護士に依頼すると裁判になっておおごとになってしまいそう」など心配や不安があるでしょう。

 

ここでは、弁護士に依頼した場合のメリットと、弁護士費用の相場、弁護士費用を抑える方法について解説します。

 

貞操権の慰謝料で弁護士に依頼した場合のメリット

貞操権の慰謝料で弁護士に依頼した場合のメリットは次の通り、多岐にわたります。

 

  1. 慰謝料請求ができるケースか判断してもらえる
  2. 慰謝料請求ができないケースなら、他に婚約破棄などを理由に慰謝料請求できないか検討してくれる
  3. 相手の氏名・住所がわからなくても、依頼すれば弁護士照会で探し出してもらえる
  4. 相手と交渉しなくて済む
  5. 法的な知識に基づいて、相手の不法行為を説明して慰謝料を支払うよう交渉してもらえる
  6. 慰謝料を回収できる確率が高まり、早期解決が期待できる
  7. 相手とトラブルに発展するリスクが回避できる
  8. 複雑な法的手続きを任せられる

 

弁護士は裁判で活躍しているイメージがあるかもしれませんが、訴訟に発展する前に、交渉をして法的トラブルを解決することも多いのです。

 

依頼したから勝手に訴訟を起こされてしまうということもありません。クライアントの意見を聞いて、適した解決方法を提案してくれます。

 

弁護士費用の相場

弁護士に依頼すれば事態が良い方向に進むことはおわかりいただけたかと思いますが、気がかりなのが、弁護士費用ですよね。

 

貞操権の慰謝料請求を弁護士に依頼した場合の費用の相場は次の通りです。

 

慰謝料請求の弁護士費用の相場

相手との交渉

着手金:20~30万円

報酬金:獲得金額に対して10~20%

慰謝料請求訴訟

着手金:20~30万円

報酬金:20~30万円

あるいは獲得金額に対して10~20%

 

ただし、これはあくまでも目安です。弁護士費用は、各弁護士事務所の料金体系によって異なるからです。

 

例えば、着手金30万円・報酬金が獲得金額に対して20%の弁護士に依頼して、交渉で200万円の慰謝料を獲得できた場合の弁護士費用をシミュレーションしてみましょう。

 

獲得慰謝料200万円の20%は、40万円です。着手金30万円+報酬金が40万円となりますので、着手金・報酬金だけなら70万円です。

 

弁護士費用には、このほか相談料・日当・実費などがかかりますが、ざっくりと計算すれば、残りの130万円が実際に獲得できた慰謝料になります。

 

弁護士費用の内訳

弁護士費用の内訳

説明

相談料

0~5,000円/30分

着手金

依頼時に弁護士に支払う頭金のようなもの

報酬金

依頼内容が成功(この場合慰謝料の獲得)した場合に支払う報酬

日当

弁護士が事務所以外で活動した場合に発生する費用。相場は1日1万円など、事務所による

実費

訴訟の申立手数料・弁護士の交通費など

 

相談料、着手金が無料、日当なしといった安価な事務所から、高額な事務所までさまざまです。

 

相手に弁護士費用も請求できる?

相手の不法行為で、弁護士に依頼する必要性が生じたのであれば、弁護士費用も含めた慰謝料を支払ってほしいですよね。相手に弁護士費用も含めた慰謝料の支払いを求めることは不可能ではありません。

 

実際に裁判でも、弁護士費用の支払いが命じられています。ただし、負担が命じられた弁護士費用は10%程度ですので、全額負担させることは難しいでしょう。

 

直接交渉で相手が了承してくれれば、支払ってもらえる可能性はあります。弁護士費用込みの慰謝料を請求してみてもよいでしょう。

 

弁護士費用を抑える方法

弁護士費用を抑える最も簡単な方法は、安価な弁護士事務所に依頼することです。

 

また、実費には、弁護士の交通費が含まれていますので、弁護士事務所から近い場所で交渉を行ってもらえれば、交通費や日当を抑えることもできます。

 

弁護士費用は確かに高額に感じられるかもしれませんが、相手が応じずに訴訟を申し立てなければならなくなってしまうと、コストだけでなく時間や労力もかかってきてしまいます。

 

早い段階で、相談をしておくことで、相手のパートナーから訴えられるリスクも軽減できるでしょう。今は無料相談を受け付けている弁護士事務所もたくさんあります。

 

相談をしたからといって、依頼する義務もありませんので、安心してご活用ください。

 

一人で抱えずに、まずは慰謝料の請求が可能なのか弁護士費用はどの程度かかりそうなのかといったことを相談してみましょう。

 

いくつかの弁護士事務所を比較して、予算にあった中から、信頼できる弁護士に依頼しましょう。

 

貞操権の侵害で相手の配偶者に慰謝料請求された場合の対処法

ここでは、貞操権の侵害を受けたにもかかわらず、相手の配偶者に慰謝料請求された場合の対処法について解説します。

 

1:貞操権が侵害されたことを証拠で立証する

もし、相手の配偶者から不貞行為として慰謝料請求された場合は、慰謝料を支払う義務がないことを冷静に伝えましょう。

 

あなたの貞操権が侵害された証として、相手が独身だと偽っていた証拠を提示します。

 

相手から話し合いを申し込まれたら、話し合いの内容も録音し、第三者に同席してもらったほうがよいでしょう。

 

また、相手から示談書などを提示されても、内容を理解しないうちに、署名捺印することは避けてください。慰謝料の支払い義務が生じる恐れがあるからです。

 

こうしたトラブルを回避するためにも、連絡があった時点で弁護士に相談するのがベストな対応です。

 

2:弁護士に相談をする

相手と冷静に話し合えないのであれば、弁護士と相談すると伝え、すぐに弁護士に相談をしてください。弁護士はあなたの証拠などをもとに、慰謝料の支払い義務がない旨を伝え、相手を説得してくれます。

 

まとめ

この記事では次の点について解説しました。

 

  1. 貞操権の侵害で請求できる慰謝料の相場は100~300万円
  2. 貞操権の侵害で慰謝料請求が認められるケース・認められるケース
  3. 貞操権の侵害で慰謝料を請求する具体的な方法
  4. 貞操権の慰謝料請求で弁護士に依頼した場合

 

貞操権の侵害を受けて、相手に慰謝料を請求したい場合、最も確実な方法は、弁護士に相談をして、相手と交渉をしてもらい、慰謝料を支払ってもらうことです。

 

相手も弁護士を敵にまわしたりはしたくないでしょうし、配偶者に発覚したりすることを恐れているでしょうから、交渉に応じる可能性があるかと思います。

 

早い段階で相談をしておけば、相手が何か策を講じてくる前に、有利に立ち回り、配偶者から訴えられるリスクも軽減できるでしょう。

 

相手と交渉してもらう弁護士費用と、請求する慰謝料が見合っているかどうか、依頼する必要があるかどうかも含めて、まずは弁護士にご相談ください。

弁護士はあなたの味方となってくれるでしょう。

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この記事の監修者
虎ノ門法律経済事務所 池袋支店
齋藤健博 弁護士 (東京弁護士会)
男女問わず不倫問題全般を得意とし、円満解決の実績もあり。不倫が原因の男女トラブル、離婚慰謝料の請求や親権獲得など、幅広い相談に対応している。

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編集部

本記事は離婚弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※離婚弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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