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妊娠中に離婚したらどうなる?子どもの親権・戸籍・請求できる費用を解説

妊娠中に離婚したらどうなる?子どもの親権・戸籍・請求できる費用を解説

妊娠中であっても、離婚は可能です。

しかし、妊娠中に離婚すると、心身に負担がかかったり慰謝料や養育費などでトラブルになることも少なくありません。

離婚のタイミングによって、生まれてくる子どもの親権や戸籍の扱いも変わるため、正しい知識を把握しておく必要があります。

本記事では、妊娠中に離婚した場合のリスクや子どもの親権・戸籍、離婚する際に決めるべき条件を詳しく解説します。

離婚後に利用できる支援制度も紹介するので、妊娠中に離婚しようと考えている方はぜひ参考にしてください。

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目次

妊娠中でも離婚はできる

妊娠中であっても、法律上の制限なく離婚手続を進められます。

協議離婚・調停離婚・裁判離婚のいずれの方法でも、離婚の手続きを進められます。

離婚の方法

概要

協議離婚

夫婦が話し合い、合意があれば離婚届を提出して成立する方法

調停離婚

家庭裁判所で調停委員を介して話し合い、離婚の合意を目指す方法

裁判離婚

調停で合意できなかった(不成立)場合に、離婚の可否を裁判で決める方法

また、離婚する際は出産後の子どもの戸籍や親権、養育費の取り決めなどをおこなう必要があります。

経済的・精神的な負担が増えるリスクがあるため、負担を軽減するためにも、離婚するかどうかは慎重に判断しなければなりません。

離婚したい気持ちが衝動的でないかを冷静に考えてみよう

妊娠中に離婚を考えたときは、離婚したい気持ちがマタニティブルーによる一時的な感情ではないかを確認してください。

妊娠中はホルモンバランスが急激に変化するため、普段なら気にならない夫の言動に、強い怒りや悲しみを感じることがあります。

一方で、妊娠をきっかけに夫の不誠実な態度や無責任な行動が表面化するケースも少なくありません。

妊娠中の離婚原因として、夫の不倫・浮気、育児や家事への非協力的な姿勢などが多く見られます。

離婚原因が下記の法定離婚事由に該当する場合は、慰謝料の請求が認められる可能性もあります。

第七百七十条

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

  ※2026年4月に削除予定

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用元:民法|e-GOV法令検索

離婚したい気持ちが一時的なものなのか、それとも婚姻関係を継続できない重大な問題なのかを見極めましょう。

妻が妊娠中に離婚したくなる理由5つ

妻が妊娠中に「離婚したい」と決意するのは、夫の行動や態度の変化が理由であるケースが少なくありません。

ここでは、妻が妊娠中に離婚したくなる理由を5つ解説します。

1.不倫が発覚した

妊娠中に性交渉の数が減ったことで、夫が不倫して離婚に至るケースです。

夫が不倫を深く反省している、夫婦関係の修復に力を入れている、などの場合は、すぐに離婚を決断しない人もいるでしょう。

しかし反省していない、不倫を継続している、という場合は、妊娠中でも離婚を決断したほうがよいと言えます。

夫の不倫により離婚する場合は、法定離婚事由に該当するため、慰謝料請求が認められる可能性が高いです。

離婚請求のほかに慰謝料請求ができるよう、証拠を集めておきましょう。

2.DVやモラハラを受けている

妊娠中にDVやモラハラを受けているため、離婚を決意するケースがあります。

DVやモラハラを受けている場合は、母体や子どもに悪影響を及ぼす可能性が高いため、早急に物理的な距離を置いてください。

DVには、殴る・蹴るといった身体的暴力だけでなく、生活費を渡さない経済的DVや性行為を強要する性的DVなども含まれます。

身の危険がある場合は、一刻も早く公的機関や警察、弁護士に相談し、安全な場所に避難しましょう。

3.妊娠によって夫婦仲が悪くなった

妊娠をきっかけに、これまで良好だった夫婦関係が悪化し、離婚を考えるようになるケースも少なくありません。

妊娠中は体調の変化やつわり、将来への不安などから、精神的に不安定になりやすい時期です。

そこで夫が配慮に欠ける言動をとったり、妊娠や出産に対する温度差が明らかになったりすると、気持ちのすれ違いが大きくなることがあります。

また、出産後の生活やお金の問題、働き方の変化などについて意見が合わず、口論が増えることもあるでしょう。

妊娠により、夫婦の価値観や責任感の違いが表面化して関係が悪化する、というのも離婚の意思を固める要因のひとつです。

4.父親になる実感をもてていない

身体的な変化がない夫は、親になる実感を持てず、子ども中心の生活へ切り替えることを拒むことがあります。

妊娠中も独身時代と変わらず、飲み会や趣味を優先する夫に対し、妻は強い不満を抱きます。

子どもが生まれる責任の重さから逃れるように、現実逃避として外に目が向いてしまう男性も少なくありません。

当事者意識が欠如していると、育児を「手伝うもの」と捉え、主体的に関わろうとしないケースもあるでしょう。

このような姿勢が続けば、出産後の協力体制も期待できないと判断せざるを得なくなります。

5.体調不良なのにサポートしてくれない

妻が、日常生活が困難なほどのつわりや倦怠感に苦しんでいる時、夫に家事やケアを放棄されると信頼関係はなくなります。

日常的に家事分担をしてくれない、妻の体調不良に興味がないなどで、妻の心身に過度な負担がかかっている家庭も珍しくありません。

最も苦しい時期に助け合えないパートナーとは、この先の長い結婚生活を共に乗り越えていくイメージが持てません。

体調不良時の夫の冷淡な対応は、離婚を決意させる決定的な要因となります。

6.夫から納得いかない理由で離婚を切り出された

妊娠中に、夫から一方的に離婚を切り出され、戸惑いや不信感から関係が悪化するケースもあります。

「自由になりたい」といった抽象的な理由や、明確な説明のないまま離婚を求められると、妻としては到底納得できないと感じるでしょう。

離婚を切り出された場合、夫が親になる自信がないなどの理由である場合もありますが、不倫の可能性が疑われるケースもあります。

もし夫が不倫している場合は、慰謝料請求のためにも不倫の証拠を集め、弁護士に相談して適切な対応を検討しましょう。

妊娠中に離婚する際に考えられるリスク4つ

妊娠中に離婚すると、心身への負担・就職や保育所の確保・経済面の変化・育児と仕事の両立といったリスクが生じます。

ひとつずつ解説するので、妊娠中で離婚を検討している方は参考にしてください。

1.離婚手続によって心身に負担がかかる

妊娠中の離婚手続は、切迫流産や切迫早産を引き起こす可能性があります。

離婚は、夫との話し合いや書類の準備、場合によっては家庭裁判所での調停など、精神的負担がかかる場面が続きます。

また将来の生活や出産後の子育てに対する不安も重なるため、大きなストレスとなるでしょう。

母体とお腹の子どもの健康を守るためにも、無理のないペースで手続きを進めたり、家族や弁護士のサポートを受けることが重要です。

2.就職先や子どもの預け先が見つからない

出産直前や直後の女性を採用する企業は少なく、離婚後すぐに安定した収入を得ることは難しいのが実情です。

保育園に子どもを預けられなければ就職活動が進められず、収入を確保できない恐れがあります。

しかし保育園の入園準備を進めながら、就職活動をおこなうことは、妊娠中・産後の体調では大きな負担となります。

離婚を決める前に、実家の援助が受けられるか、自治体の支援制度が利用できるかを必ず確認してください。

3.経済的に苦しくなる

妊娠中に離婚すると、当然夫の収入がなくなるため、生活水準は大幅に下がります。

出産や育児にかかる費用がかさみ、蓄えが急速に減っていく不安と戦わなければなりません。

元夫からの養育費が滞った場合は、即座に生活が困窮するリスクもあります。

離婚後の生活を安定させるには、離婚前に当面の生活費や引越し費用を確保しておく必要があります。

妊娠中の離婚は、経済的な見通しが立ってから手続きを進めるようにしましょう。

4.仕事と育児の両立が大変になる

ひとり親での育児と仕事の両立は、時間的にも体力的にも大きな負担がかかります。

仕事と育児に追われて自分の時間が皆無になり、精神的に追い詰められる人も少なくありません。

周囲の協力が得られない場合、正社員としての勤務を諦め、キャリアの継続を断念せざるを得ないケースもあります。

ひとりで全てを抱え込まず、利用できるサポートを事前にリストアップしておくと、離婚後の生活設計を考えやすくなります。

妊娠中に夫から離婚を切り出されたときの対処法4つ

妊娠というデリケートな時期に、夫から突然「離婚したい」と切り出されるケースがあります。

すぐに離婚に応じると、自身に不利益となる可能性があるため、ここで解説する4つの対処法を参考にし、冷静に行動してください。

1.すぐに離婚に応じない

妊娠中に夫から離婚を求められても、すぐに応じないでください。

焦って離婚届にサインをしてしまうと、養育費や慰謝料の取り決めがおろそかになり、経済的に困窮するリスクが高まります。

また離婚届は夫婦双方の署名があれば受理されるため、夫が勝手に離婚届を提出する恐れがあります。

知らない間に離婚が成立していた、という事態を防ぐため、市区町村役場に離婚届不受理申出書を提出しておきましょう。

申出書を提出すると、本人が取り下げない限りは離婚届が受理されません。

今は離婚に応じないという意思を明確に伝えられるため、話し合いの主導権を握れる可能性も高まります。

相手のペースに流されず、自分と子どもの将来を守るための時間を確保してください。

2.別居して婚姻費用を受け取る

夫の収入が多い場合、離婚前に別居する、というのも選択のひとつです。

婚姻関係が続いている限り、収入が少ないほうが多いほうから生活費として婚姻費用を受け取る権利があります。

婚姻費用には、妻自身の生活費に加えて、子どもの出産費用や養育にかかる費用も含まれます。

夫が支払いを拒否する場合は、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てましょう。

調停が成立すれば、調停調書に基づいて給与を差し押さえるなどの強制執行も可能となります。

婚姻費用を毎月確保できれば、経済的な不安が和らぎ、落ち着いて今後の対応を考えられるようになります。

3.有責配偶者の場合は証拠を集める

夫が不倫やDVをしている「有責配偶者」にあたる場合、夫側からの離婚請求は原則として認められません。

しかし、離婚拒否する場合でも、離婚に応じる場合でも、裁判になった際は下記のような証拠が必要です。

  • 夫と不倫相手がホテルに出入りする写真、動画
  • 暴言や脅迫の録音データ
  • 医師の診断書

証拠があれば、夫からの離婚請求には応じる代わりに慰謝料を請求する、という交渉が可能になります。

相場より高額な慰謝料を受け取れる可能性もあるため、有責配偶者であることを証明できる証拠を十分に用意しておきましょう。

4.弁護士に相談する

妊娠中に夫から離婚を求められた場合、不利な条件で離婚に応じてしまうリスクを防ぐために、弁護士に相談しましょう。

弁護士に依頼すると、夫との直接的なやり取りを全て弁護士に任せられるほか、慰謝料や養育費の算定もしてもらえます。

妊娠中の精神的・身体的な負担を最小限に抑えながら、望む結果を得られる可能性も高まります。

近年は初回相談を無料で実施している法律事務所も多いので、相談だけでもしてみてください。

適切なアドバイスをしてくれるため、離婚後の生活の見通しを立てやすくなります。

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妊娠中に離婚した場合の子どもの親権は原則母親になる

妊娠中に離婚が成立してから子どもが生まれた場合、親権は原則として母親が持ちます。

第八百十九条

父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。

3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。

引用元:民法|e-GOV法令検索

家庭裁判所の実務でも、授乳期の子どもは母親による養育が子どもの福祉に繋がると判断され、母親が親権をもつケースが多い傾向にあります。

親権に関して不安がある場合は、出産前に離婚を成立させておくのも有効です。

なお、子どもの出生後に父母が話し合い、合意があれば父親が親権をもつことも可能です。

妊娠中に離婚したときの子どもの戸籍と苗字はどうなる?

離婚後に子どもが生まれた場合、子が父親と母親のどちらの戸籍に入るかは、いつ生まれたかによって決まります。

ここでは、出産時期や再婚の有無によって変わる戸籍の扱いが変わる点について、詳しく解説します。

離婚後300日以内に生まれた場合

離婚後300日以内に子どもが生まれた場合は、婚姻中に妊娠したものとされるため「元夫の子」と推定されます(嫡出推定)。

第七百七十二条

妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。

2 前項の場合において、婚姻の成立の日から二百日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

引用元:民法|e-GOV法令検索

子どもが元夫の戸籍に入るのを避けるには、家庭裁判所で嫡出否認調停の申立てをおこなう必要があります。

申立てに必要な書類や費用は、裁判所のWebサイトで確認できるので、参考にしてください。

離婚後300日を過ぎて生まれた場合

子どもが離婚から300日を過ぎて生まれた場合、子どもは非嫡出子となり、元夫との親子関係が発生しません。

子どもは母親の戸籍に入るため、母親の苗字を名乗れることになります。

ただし、法的に子どもと元夫は親子関係がないとされるため、元夫に養育費を請求することができない点に注意してください。

離婚後に再婚してから出産した場合

離婚後に再婚してから出産した場合は、離婚後300日以内であっても「再婚した夫の子」と推定されます。

そのため再婚した夫も子どもも、新しい家族として法的な親子関係を築くことが可能です。

自分の子どもの戸籍がどうなるのか不安な方は、弁護士に相談してみることをおすすめします。

離婚後300日以内に出産した子どもを母親の戸籍に移す流れ

離婚後300日以内に出産した子どもは、元夫の戸籍に入ります。

しかし所定の手続きを踏めば、子どもの戸籍を母親の戸籍に移すことも可能です。

ここでは、子どもを母親と同じ戸籍に入れ、同じ苗字を名乗らせるための具体的な3つのステップを解説します。

1.母親を筆頭者とする新しい戸籍を作る

子どもを母親の戸籍に入れるには、母親が筆頭者になっている戸籍を用意する必要があります。

離婚届を提出する際、戸籍の取り扱いについて、元の戸籍(実家)に戻るか新しい戸籍を作るかを選択します。

戸籍法には三代戸籍禁止の原則があり、親・子・孫の三世代が同じ戸籍に入ることはできません。

そのため離婚届の提出時に「新しい戸籍を作る」を選択し、自分の子どもを同じ戸籍に入れましょう。

すでに実家の戸籍に戻ってしまった場合でも、市区町村役場で「分籍届」を提出すれば、自分を筆頭者とする新しい戸籍を編製できます。

2.子の氏の変更許可申立てをおこなう

子どもの戸籍を移しても、氏(苗字)は元夫と同じ状態です。

自分と子どもの苗字を同じにする場合は、家庭裁判所に子の氏の変更許可申立てをおこないましょう。

申立てに必要な書類は下記のとおりです。

書類
費用
  • 子一人につき収入印紙800円分
  • 連絡用の郵便切手 ※1
    ※1 郵便料は裁判所ごとに異なるため「各地の裁判所の裁判手続利用ページ一覧」から確認してください。郵便料は各地のWebサイトにある「家庭裁判所」の欄に記載されています。

申立てが認められると、1週間から2週間程度で審判書謄本が届きます。

審判書謄本は、次の手続きで必要となるため、大切に保管してください。

3.入籍届と審判書を市区町村役場に提出する

市区町村役場へ、子どもの入籍届と家庭裁判所から届いた審判書謄本を提出してください。

入籍届を提出してから戸籍謄本に子どもの名前が記載されるまでは、1週間程度かかります。

届出が完了すれば、母親と子どもが同じ戸籍に入り、同じ苗字を名乗れます。

妊娠中に離婚して再婚しなかった場合でも父親と子どもの親子関係を否定できる

離婚後300日以内に生まれた子どもは、嫡出否認調停をおこなうと、元夫との法律上の親子関係を解消できます。

嫡出否認とは、嫡出推定によって生じた法律上の父子関係を否定する手続きです。

第七百七十四条

第七百七十二条の規定により子の父が定められる場合において、父又は子は、子が嫡出であることを否認することができる。

2 前項の規定による子の否認権は、親権を行う母、親権を行う養親又は未成年後見人が、子のために行使することができる。

引用元:民法|e-GOV法令検索

申立てに必要な書類と費用は、下記のとおりです。

書類
  • 申立書およびその写し1通
  • 申立て人の全部事項証明書
  • 子の全部事項証明書
  • 前夫の戸籍謄本や住所を明らかにする書面(住民票等)
  • 信仰に関する照会回答書
  • 送達場所等届出書
費用
  • 収入印紙1,200円分
  • 連絡用の郵便切手(裁判所ごとに異なる)

嫡出否認が認められると、子どもは元夫の戸籍から除かれ、母親の戸籍に移すことができます。

なお、申立ての期間は、子の出生を知った時から3年以内です。

期限を過ぎると嫡出否認の申立てができなくなるため、出産後早い段階で弁護士に相談し、手続きの準備を進めましょう。

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妊娠中に離婚する場合に決めるべき条件4つ

妊娠中に離婚する場合、主に4つの取り決めをしておく必要があります。

ひとつずつ解説します。

1.慰謝料|相場は50万円〜300万円

妊娠中に離婚する際、離婚原因が夫の不倫やDVなどの場合は慰謝料を請求できます。

慰謝料の金額は個別の事情により異なりますが、相場は50万円〜300万円です。

下記の要素があると、相場よりも高い慰謝料を受け取れる可能性があります。

  • 有責行為の期間が長い、回数が多い
  • 婚姻期間が長い
  • 夫の年収が高い

慰謝料を請求するには、夫の言い逃れを防ぐためにも、不貞行為やDVを裏付ける証拠が必要です。

重要な証拠を隠滅される可能性があるため、証拠を集めてから離婚を切り出しましょう。

2.養育費

妊娠中に離婚する場合、養育費についても取り決めておきましょう。

養育費の金額は、裁判所が公表している養育費算定表をもとに、父母双方の年収と子どもの人数・年齢から算出するのが一般的です。

たとえば、父親の年収が500万円、母親の年収が0円(専業主婦)で、出産前の子どもが一人の場合、養育費の目安は月額6万〜8万円です。

ただし、離婚後300日を過ぎて生まれた子どもは、元夫が認知したり、任意で支払うといったりした場合に限り、養育費を請求できます。

養育費を請求できるか不安な方は、弁護士に相談してみるのをおすすめします。

3.財産分与

財産分与は、婚姻期間中に夫婦で築いた資産(預貯金・不動産・年金など)を原則2分の1で分け合う制度です。

妻が専業主婦であっても、家事労働による貢献が認められるため、夫の収入で得た財産の半分を受け取る権利があります。

また、夫婦で合意していれば、2分の1以外の割合で分け合うことも可能です。

財産分与の請求権は離婚から2年で消滅するため、分与漏れが起きないように、全ての財産をリストアップしておきましょう。

なお、婚姻前に得た財産や相続財産は、財産分与の対象にはなりません。

4.面会交流

面会交流は、子どもと離れて暮らす親が定期的に会う権利であり、子どもの健全な成長のために必要なものと考えられています。

一般的な基準としては、月に1回程度、数時間から半日の対面をおこなうケースが多いです。
 

面会交流については、以下のような条件を細かく取り決めておきましょう。

  • 面会交流の回数
  • 面会交流の方法
  • 待ち合わせ場所
  • 日時
  • プレゼントの可否

ただし、夫がDVやモラハラなどをおこなう恐れがある場合は、子どもの安全を最優先に、面会を制限したり停止を求めたりすることも可能です。

妊娠中に離婚するなら公的な支援制度を把握しておこう

妊娠中に離婚を決断した場合、経済的な不安を軽減するために公的な支援制度を把握しておきましょう。

ここではひとり親世帯が利用できる制度を、手当や助成制度、税金の控除・免除制度、就労支援制度の3つに分けて解説します。

1.手当や助成制度

妊娠中に離婚した方が利用できる手当・助成制度は、下記のようなものが挙げられます。

手当・制度名

概要

支給額

児童扶養手当

婚姻を解消後、父または母と生計を同じくしていない児童がいるひとり親家庭が受け取れる手当。

全部支給:46,690円(月額)

一部支給:46,680円〜11,010円まで10円単位で変動(月額)

児童育成手当

父又は母と生計を同じくしていない児童がいる家庭が受け取れる手当。

児童一人につき13,500円(月額)

※東京都新宿区の場合。地域により異なる。

ひとり親家庭住宅手当

18歳未満の子どもを養育するひとり親世帯に、住宅手当・住宅支援をおこなう制度。

月額最大4万円

※東京都世田谷区の場合。地域により異なる。

ひとり親家庭等医療費助成

ひとり親家庭などの対象となる家庭で、医療費自己負担分を軽減する制度。

医療保険の対象となる医療費、薬剤費などの一部を助成する。

※東京都の場合。地域により異なる。

各制度は、対象者や所得制限額、支給額などが地域によって異なるケースが多いです。

気になる制度がある方は、自身が居住している地域の制度を確認してください。

またほかにも活用できる制度は豊富にあるので、下記ページを参考にしてください。

2.控除や免除できる制度

シングルマザーの場合、ひとり親控除の対象となるため、35万円分の所得控除を受けられます。

年末調整や確定申告の際に、税負担を軽減できるので、忘れずに申告しましょう。

また地域によっては、水道や電気などの公共料金の減免制度を実施しているケースもあります。

住んでいる地域の市区町村役場のWebサイトで、利用できる制度がないか、必ず確認してください。

3.就労支援制度

ひとり親の経済的自立を支援するため、以下のような就労支援をする制度もあります。

制度名

概要

自立支援教育訓練給付金

対象の教育訓練を受講・修了した場合に、かかった経費の60%(上限あり)が支給される。

雇用保険の専門実践教育訓練給付の対象講座を受講、修了後1年以内に資格取得・就職をすると、その経費の85%(最大240万円)が支給される。

高等職業訓練促進給付金

ひとり親の方が、養成機関で就職に有利となる資格取得を目指す制度。

修行期間は月額10万円が支給され、最後の1年間は4万円が増額される。

訓練終了後は5万円が支給される。

子育てをしながら安定した収入を得るには、専門的なスキルや資格が大きな武器になります。

現在取得している資格やスキルに不安がある場合でも、上記のような支援を活用することで、無理なくキャリアの再構築を目指せます。

どちらも居住地域を管轄するハローワークで申請できるので、前向きに検討してみてください。

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慰謝料や養育費などを受け取れた解決事例

妊娠中に夫が突然家出をし、弁護士を立てて離婚を求めてきた事例です。

夫が離婚を求める理由は、子どもが自分の子だと信じられなかったためです。

依頼者は納得できず、出産を控えているため今後が不安だ、と相談しました。

夫側から離婚調停を申し立てられ、DNA鑑定を要求されましたが、鑑定に応じた結果、父子関係に問題ないことが明らかになりました。

しかし夫側の離婚意思が固く、養育費や財産分与などを取り決めたうえで、調停離婚が成立。

妊娠中の離婚に関するよくある質問

最後に、妊娠中の離婚に関してとくに多く寄せられる質問について、回答します。

Q1.妊娠中の離婚手続はどうやってするのですか?

妊娠中であっても特別な手続きは必要ありません。

通常の離婚と同じく、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つのいずれかでおこないます。

双方が離婚に合意していれば、離婚届を市区町村役場に提出するだけで、離婚は成立します(協議離婚)。

話し合いで合意できない場合は調停離婚、裁判離婚と進んでいきます。

夫が離婚に応じてくれない、慰謝料や養育費で揉めそう、と予想される場合は、交渉を一任できる弁護士に依頼するのがおすすめです。

Q2.妊娠中の離婚手続が完了する前に中絶した場合は慰謝料を請求できますか?

中絶に至った理由によっては請求が認められる可能性があります。

たとえば、性交渉を強いられて妊娠した場合、避妊すると嘘をつかれた場合などです。

また、妊娠を告げたら暴力を振るわれた、といった事情がある場合は、夫の有責性を強める重要な証拠となります。

弁護士に相談し、個別の事情に応じた請求可否を判断してもらうことをおすすめします。

Q3.離婚後に妊娠発覚した場合は養育費や慰謝料を請求できますか?

離婚後に妊娠が発覚した場合でも、子どもが婚姻中に授かったものであれば、養育費や慰謝料を請求できます。

ただし、離婚後300日が過ぎてからの出産となった場合は、元夫が認知をして親子関係を確定させなければなりません。

元夫が認知に応じない場合は、家庭裁判所に認知調停を申し立てる必要があります。

認知が成立すれば、出生時に遡って養育費を請求することが可能です。

Q4.離婚後300日問題の改正はいつから始まっていましたか?

離婚後300日問題に関する改正は、2024年4月1日に施行されました。

改正前とあとで、以下のように内容が変更されています。

変更内容

改正前

改正後

嫡出推定

離婚後300日以内に生まれた子は元夫の子と推定される

離婚後300日以内に生まれた子でも、母親が再婚していれば新しい夫が子の父親と推定される

再婚禁止期間

離婚後、母親は100日間再婚禁止

再婚禁止期間の廃止

嫡出否認の訴え

・父親からのみ可能

・嫡出否認の訴えができる期限は1年間

・母親や子も訴えが可能

・嫡出否認の訴えができる期限は3年間

改正後は、女性の精神的負担や元夫との関わりを減らすことが可能になりました。

Q5.旦那以外の子を妊娠して離婚を求められています。離婚しない方法はありますか?

浮気相手の子供を妊娠した場合、妻側は有責配偶者にあたるため、夫から離婚を請求されたら応じなければなりません。

妻が協議離婚や調停離婚で合意せず、裁判離婚になった場合は、裁判官の判断によって離婚しなければならない可能性が高いです。

しかし、夫が浮気相手の子を妊娠した妻と、離婚するかしないかを迷っている場合は、回避できるかもしれません。

夫に深く反省していることを伝え、夫婦関係の修復に向けた努力をおこないましょう。

Q6.夫の浮気相手が妊娠していることが発覚し、離婚します。慰謝料の増額はできますか?

旦那の浮気(不倫)相手が妊娠していた場合の離婚慰謝料は、増額できる可能性が高いです。

浮気相手の妊娠は、不貞行為のなかでも悪質性が高いと判断され、妻に与える精神的苦痛も大きいとみなされます。

また妻も妊娠中である場合は、母体やお腹の子への悪影響、うつ病などのリスクも考慮され、より高額な慰謝料が認められる可能性があります。

まとめ|妊娠中の離婚については早期に弁護士に相談しよう

妊娠中の離婚は、子どもの親権や戸籍、養育費や慰謝料といった条件の取り決めなど、やるべき事項が多岐にわたります。

離婚条件の交渉や書類作成をひとりで進めることは、母体と胎児の健康にも影響を及ぼしかねません。

弁護士に依頼すれば、配偶者との交渉や養育費・慰謝料の算出など、ほぼ全ての業務を一任できます。

ひとりで抱え込まず、弁護士に相談・依頼することも検討してください。

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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編集部

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