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托卵とは?托卵かどうかの確認方法と夫側がおこなえる対処法

托卵とは?托卵かどうかの確認方法と夫側がおこなえる対処法
  • 「托卵という言葉にはどんな意味があるのか」
  • 「子どもが不倫相手の子だった場合、どう対処すればいいのかわからない」

妻の不倫を知り、こういった不安を抱えている方はいませんか?

托卵(たくらん)とは、夫以外の男性との子どもを夫の子として扱う行為を指す俗称です。

不貞行為に該当し、精神的苦痛に対する慰謝料や離婚の請求、嫡出否認の訴えをおこなえます。

托卵に気づいたら、弁護士への相談がおすすめです。

アドバイスを受けながら、自身のケースに合った方法で手続きを進めるとよいでしょう。

本記事では托卵の基本的な意味や疑われるときの対処法、具体的な対応方法について詳しく解説します。

記事を最後まで読めば、托卵問題に直面した際に適切な判断ができるでしょう

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托卵とは?ほかの男性との子どもを自分の夫に育てさせる行為を指す俗称

「托卵」とは、夫以外の男性との子どもを夫の子と偽って出産し、そのまま夫に育てさせる行為のことです。

他種の鳥の巣に卵を産み落とし、巣の主に雛の世話をさせるカッコウやホトトギスの習性に由来する言葉で、托卵をおこなう女性は托卵妻・托卵女子などとも呼ばれます。

近年では、2024年にフジテレビ系で放送されたテレビドラマ「わたしの宝もの」でメインテーマに取り上げられたほか、同年7月〜8月にはX(旧Twitter)でトレンド入りするなど、社会的な注目を浴びています。

托卵は、家族の将来に重大な影響を及ぼすため、当事者が他言をためらうケースが多いデリケートな問題です。

例えば、托卵が夫に知られると信頼関係が大きく損なわれ、離婚に発展するリスクが高まります。

また、子どもが自分の生い立ちを知れば、精神的なショックや混乱を招くおそれがあるでしょう。

このような事情から、問題が長期間隠されたままになりやすいのが実情です。

「托卵とは?」と調べている方向けに法律上のポイントを確認しておこう

托卵に関して調べている方が確認しておくべきポイントは以下の2つです。

  1. 托卵であっても父と子どもは親子であると推定される
  2. 托卵は不貞行為であるため妻側の不法行為が成立する

上記を理解しておけば、托卵に気づいても感情的にならずに済み、適切に判断できるでしょう

1.托卵であっても父と子どもは親子であると推定される

子どもの本当の父親が不倫相手で夫と血の繋がりがなくても、夫と子どもには法律上の親子関係が成立します。

民法には、婚姻中に妊娠した子どもを夫の子だと法的に推定する「嫡出推定制度」が存在するためです。

具体的な申立て方法については、本記事内の「嫡出否認の訴えなどを起こす」を参考にしてください。

2.托卵は不貞行為であるため妻側の不法行為が成立する

托卵が判明したときは、妻側の不法行為が成立します。

托卵は、妻が配偶者以外の人と性的関係をもつ「不貞行為」をおこなった証拠であり、夫婦が負う貞操義務に違反するためです。

不法行為が成立すれば、妻や不倫相手、または両方に対して慰謝料を請求できる可能性があります

具体的な請求方法については、本記事内の「妻や不倫相手に対して慰謝料を請求できる」を参考にしてください。

妻の托卵を疑ったときに夫ができる2つの対処法

托卵が疑われるとき、夫が選択できる対処法は主に以下の2つです。

  1. 本人に直接確認する
  2. DNA鑑定をおこなう

万が一、托卵の可能性がある場合は、放置せず早期に事実確認をおこないましょう

その際は感情的にならず、冷静な対応が重要です。

1.本人に直接確認する

托卵が疑われる際は、妻本人に直接確認するのもひとつの方法です。

感情的な対立を避け、冷静に話し合える場を設けられれば、正直な回答を引き出せる可能性が高まります。

また、本人が隠し続けることに罪悪感を感じているなら、事情を話してくれるかもしれません。

ただし、本人が素直に認めるかどうかはケースバイケースです。

事実を隠ぺいしたり嘘をついたりするおそれもあるため、うまく事実を聞き出せるとは限らないことを念頭に置いておきましょう。

なお、妻本人に直接確認する際は、あらかじめ証拠を集めたり第三者の立会いを検討したりなど、法的手続に備えた準備が重要です。

2.DNA鑑定をおこなう

DNA鑑定をおこなえば、生物学的な父子関係の有無を科学的に証明できます。

本人への確認だけでは真相にたどり着けない可能性がありますが、DNA鑑定では99.99%以上の精度で判定可能です。

例えば、DNA鑑定の信頼度を指す「父権肯定確率」が99.99%以上なら、ほぼ確実に父子関係があると判断でき、反対に0%なら父子関係がないことを明確に証明できます。

なお、DNA鑑定には以下の種類があり、どちらも1週間〜2週間程度で結果が出ます

方法

概要

費用相場

私的鑑定

主に家庭内の不安解消に利用される。

法的効力がなく裁判に使用できない。

2万4,800円程度

法的鑑定

主に調停や裁判などの法的手続に利用される。

法的証明力があり、慰謝料請求の根拠資料として使用可能。

8万8,000円程度

鑑定を受けるには、検体の提供が必要です。

法的鑑定では口腔粘膜のみ、私的鑑定では口腔粘膜のほか毛根つきの毛髪も使用できます。

なお、子どもがまだ生まれていなければ、妻の血液採取による出生前鑑定が可能です。

費用は私的鑑定で10万8,000円程度、法的鑑定で14万9,800円程度と、すでに生まれているケースよりも高額になる傾向にありますが、出生前に確認しておけば出産後の手続きを早期に進められます。

ただし、鑑定には妻の協力が必要であり、拒否された場合は強制できません

とはいえ、妻が正当な理由なく鑑定への協力を拒めば、拒んだこと自体が托卵の可能性を示す証拠となり得ます。

妻が協力を拒んだときは、拒否の理由を明確に説明してもらいましょう。

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托卵が発覚した場合に夫がおこなえる3つの対

托卵発覚時に、夫がおこなえる対応方法は主に以下の3つです。

  1. 妻や不倫相手に対して慰謝料を請求できる
  2. 妻に対して離婚を請求できる
  3. 嫡出否認の訴えなどを起こす

托卵は、夫の人格権を侵害する重大な背信行為です。

上記の方法で対応すれば夫は精神的ダメージを回復でき、新たな人生をスタートできるでしょう。

1.妻や不倫相手に対して慰謝料を請求できる

托卵が明らかになった場合、妻や不倫相手、もしくはその両方への慰謝料請求が可能です。

不倫慰謝料の相場は50万円〜300万円と幅広く、不倫の悪質性や婚姻期間、子どもの有無などによって変動します。

托卵の場合、不貞行為と欺罔行為の二重の不法行為に該当することから悪質性が高く、被害者の精神的苦痛の度合いも大きいと考えられるため、200万円〜300万円程度の慰謝料が認められる可能性があります。

ただし、実際の請求金額はケースによって大きく異なるため、必ずしも200万〜300万円の慰謝料を受け取れるとは限りません

適切な金額は、弁護士に相談して算出してもらうとよいでしょう。

2.妻に対して離婚を請求できる

托卵を理由に、夫から妻に対して離婚を請求できます。

不貞行為は、民法770条が定める法定離婚事由に該当するためです。

肉体関係をもったのが結婚前であり不貞行為にあたらないケースでも、托卵は法定離婚事由のうち「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると考えられるため、夫から妻に離婚を言い渡すことは可能でしょう。

なお、このとき妻は有責配偶者になるため、妻からは離婚を請求できません。

離婚手続は協議離婚から始まり、合意に至らなければ家庭裁判所での調停、最終的に訴訟へと進みます。

訴訟では、托卵によって夫婦関係が破綻した事実が重視され、妻が離婚を拒んでいても離婚を認める内容の判決が下されるケースが多い傾向にあります

3.嫡出否認の訴えなどを起こす

子どもの出生を知った日から3年以内であれば、嫡出否認の訴えによって法律上の父子関係を否定できます

嫡出否認の訴えの一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 調停を申し立てる
  2. 合意できれば審判によって解決する
  3. 不成立なら訴訟を提起する

まず調停を申し立てる必要があるのは、訴訟の前に調停を経なければならない「調停前置主義」があるためです。

調停では、調停委員を交えて当事者同士が話し合い、合意できれば審判によって解決します。

合意できなかった場合や調停が不調に終わったときは、あらためて訴訟の提起が必要です。

訴訟の結果、嫡出否認が認められると戸籍上の父子関係が削除され、養育費の支払い義務も消滅します。

ここで注意したいのは、子どもの出生を知った日から3年の期限があり、期限を過ぎると調停も訴訟もおこなえなくなる点です。

期限を過ぎた場合、法律上の父子関係を否定する有効な手段は基本的に存在せず、親子関係不存在の訴えも認められる可能性が低いため早期に対応しましょう。

なお、令和6年4月1日の民法改正により、従来は夫のみがおこなえた嫡出否認の申立てが子どもや母親にも拡大され、申立て期間も1年から3年に延長されました

また、最高裁は、妻が托卵の事実を隠し続けたために夫が嫡出否認の機会を失った場合、妻からの養育費請求を「権利の乱用にあたる」として認めない判決を下しています。

托卵が発覚したとしてもその後に子どもを育てることは可能!

托卵が発覚したあと、子どもをそのまま自分で育てても構いません

血縁関係の有無と親子の絆は別問題であり、夫婦間の問題と子どもへの愛情は分けて考えるべきであるためです。

そのため、血は繋がっていなくても、これまで築いてきた愛情や信頼関係を重視して判断できます。

ただし、嫡出否認の訴えの出訴期限である3年を過ぎてしまうと、途中で気が変わっても父子関係を否定できなくなる点に注意が必要です。

例えば、結局妻と離婚することになり、子どもを引き取った妻が子どもの実の父である不倫相手と再婚したとします。

このとき、再婚相手が子どもと養子縁組をすると再婚相手が一次的に扶養義務を負うため、元妻や再婚相手に十分な資力があれば養育費の支払い義務は消滅します。

しかし、元妻や再婚相手に資力がなければ、法律上の父親として補助的に負担しなければなりません

托卵を理由に慰謝料請求や離婚をするなら弁護士に相談しよう

托卵を理由に慰謝料や離婚を請求する場合、以下の理由から弁護士への相談をおすすめします。

  1. 今後の見通しなどを教えてもらえる
  2. 各種手続に関するアドバイスがもらえる
  3. 実際の手続きを弁護士に依頼することができる

弁護士に依頼すれば、不利な条件での合意を防ぎ適切な慰謝料額や離婚条件で進められるでしょう

1.今後の見通しなどを教えてもらえる

弁護士に相談すれば、今後の見通しを具体的に教えてもらえます。

例えば托卵問題の場合、以下について詳しく説明してもらえるでしょう。

離婚の可能性

・托卵が法定離婚事由に該当するか

・裁判で離婚が認められるか

慰謝料請求の見込み

・妻や不倫相手への慰謝料請求は可能か

・どの程度の金額が期待できるか

嫡出否認の可能性

・調停や訴訟で父子関係を否定できるか

・3年の期限内に手続きが間に合うか

必要な証拠や手続き

・DNA鑑定は必要か

・どのような証拠を集めるべきか

見通しが把握できれば、感情に振り回されず合理的に判断できます

今後の人生についても、冷静に検討できるでしょう。

2.各種手続に関するアドバイスがもらえる

弁護士に相談すれば、DNA鑑定や嫡出否認の申立て、慰謝料請求など、さまざまな手続きに関するアドバイスがもらえます。

各手続をおこなうべきタイミングや必要書類、証拠収集について的確なアドバイスが受けられるため、自分ひとりで戦うよりもスムーズかつ有利に手続きを進められるでしょう

裁判所での手続きや相手方との交渉は、多くの人にとって馴染みのない作業です。

素人では見落としがちなポイントを弁護士に指導してもらいながら適切な手続きを踏むことで、将来的なトラブルを防止し確実な権利行使が可能になります

3.実際の手続きを弁護士に依頼することができる

托卵トラブルについて、弁護士には以下の手続きを一任できます。

  1. 内容証明郵便の作成
  2. 離婚協議書や示談書の作成
  3. 裁判所への申立て
  4. 相手方との交渉
  5. 法廷での弁論

自分で裁判所に出向いたり相手方と顔を合わせたりせずに済むため、精神的な負担を大きく軽減できます

また、弁護士が作成する離婚協議書や示談書は法的効力が高く、今ある問題だけでなく将来的なトラブルも回避できるよう考慮して作られます。

書類は自分でも作成できますが、内容の不備やミスによって無効になったり、必要な条項が漏れてしまったりといったリスクがあるため、弁護士に依頼したほうが賢明でしょう

そのほか、強制執行が可能な公正証書の作成や判決確定後に財産を差し押さえられる手続きなど、権利の実現まで一貫してサポートを受けられる点も大きなメリットです。

さいごに|托卵は不法行為であるため慰謝料や離婚の請求などができる

本記事では、托卵の意味や確認方法、夫側がおこなえる対処法について解説しました。

托卵は、夫の人格権を侵害し精神的苦痛を与える不法行為です。

そのため、慰謝料や離婚請求、嫡出否認の訴えといった対応が可能です。

なお、托卵が原因で慰謝料や離婚を求めるなら、弁護士への相談をおすすめします。

弁護士に相談することで、今後の見通しや手続きに関するアドバイスがもらえます。

また、実際の手続きも一任できるため、精神的負担を大きく軽減しながらスムーズに進められるでしょう。

托卵問題で重要なのは感情的な判断ではなく、法的根拠に基づいた冷静な対応です。

嫡出否認の3年という期限や慰謝料請求の時効など、時間的制約がある手続きについては特に迅速な対応が求められるため、早期の相談が解決の鍵になります

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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