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ドメスティック・バイオレンス(以下、DV)
「彼氏がDV男だったらどうしよう」「もしかしたら、夫はDVの傾向があるかもしれない」
パートナーがドメスティック・バイオレンス(以下、DV)を振るう男性だったら、この先付き合い続けるのは難しいかもしれません。
また、DV傾向にあるかどうかは見た目で判断できず、交際後もしくは結婚して初めて気がつくこともあるのではないでしょうか。
DV被害に関する相談は、年々増加傾向にあります。
可能であれば、なるべく早い段階でパートナーがDV男かどうかを見極めたいでしょう。
本記事では、DV男の特徴や見分け方、DV男と付き合ってしまった場合の対処法などを解説します。
DVとは、「domestic violence(ドメスティック・バイオレンス)」の略です。
DVそのものの明確な定義はありませんが、一般的には恋人や配偶者などの親しい関係のパートナーに対して振るう暴力のことを指します。
男性から女性へのDVが多いようにも思われますが、実は女性から男性へのDVも存在します。
そのためDVは、男女問わず被害に遭う可能性があるといえるでしょう。
では、DVにはどのような種類があるのでしょうか。
まず1つ目は、身体的DVです。
具体的には、以下のような行為が当てはまります。
【身体的DVの具体例】
身体的DVとは、殴る蹴るといった身体に対して被害を与えるような暴力を指します。
けがや傷が残ることもあるため、見た目にもわかりやすく、ご自身に限らず第三者から見ても気づきやすいDVだといえるでしょう。
しかし、服で隠れて見えないところに暴力を振るわれることもあります。
その場合は、なかなか第三者が発見するのは難しいものです。
2つ目は、精神的DVです。
具体的には、以下のような行為があります。
【精神的DVの具体例】
精神的DVとは、暴言や行動の制限などによって、精神的に追い詰めることを指します。
また、身体的DVと異なり、目に見えないものなので表面化しづらく、誰かに助けを求めてもなかなか理解されないこともあるでしょう。
また、精神的DVを受け続けていると洗脳されてしまい、それが当たり前になってしまうこともあります。
そうなると抜け出すのは困難で、ご自身の心がどんどん蝕まれていくでしょう。
取り返しがつかないことになる前に、なるべく早期に対処することが必要です。
3つ目は、経済的DVです。
具体的には、以下のようなものがあります。
【経済的DVの具体例】
結婚生活では、食費や光熱費などの生活費が当然かかります。
これらの生活費を渡さない、全て管理するなどの行動を、経済的DVといいます。
一般的には専業主婦が被害に遭いやすく、被害に遭っても「働いていないから仕方ない」と諦めてしまう方もいるようです。
ただし、極度な経済的制限は、立派な経済的DVに値します。
このことが、離婚の理由になる可能性も大いにあるのです。
4つ目は、性的DVです。
具体的には、以下のようなものがあります。
【性的DVの具体例】
夫婦だからといって、何でも許されるわけではありません。
たとえば暴行または脅迫を用いて無理やり同意のない性行為を強いたケースなどの場合は、たとえ夫婦であっても不同意性交等罪などに該当する場合があります(刑法第177条)。
なお、不同意性交等罪は、従前、強制性交罪として刑法に規定されていましたが、刑法改正(2023年7月13日施行)により、新たに不同意性交等罪となりました。
改正前においても、夫婦間で強制性交罪が成立すると考える見解が一般的でしたが、今回の改正法により、不同意性交等罪が夫婦間でも成立することが条文上明確になりました。
もっとも、性被害は周囲に相談できず、表面化しづらい問題でもあります。
また、相手のことが好きだからこそ機嫌を損ねたくないと考える女性もいるはずです。
そのため、「はっきり断れなかった自分も悪い」と、自分を責めてしまうこともあるでしょう。
ですが、自分が嫌だと思う性行為は、性的DVに該当するかもしれません。
身近な人には相談しづらい場合は、スクールカウンセラーや国が運営する窓口、弁護士などに早めに相談しましょう。
5つ目は、面前DVです。
具体的には、以下のようなものがあります。
【面前DVの具体例】
子どもに心理的な負担を与えるような行動を面前DVといいます。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、現在急増している問題でもあるのです。
たとえば、子どもが見ている前で夫から妻に暴力が振るわれても、妻は「私が我慢すれば子どもに被害が及ばない」と思うこともあるでしょう。
しかし、その現場を見ている子どもは、暴力の被害こそ受けないものの、心に大きな傷を負います。
これは、子どもに身体的な被害がないから問題ない、というわけではありません。
暴力や暴言が飛び交う現場を子どもが目の当たりにすれば、それは面前DVになるのです。
パートナーがDV男かどうか、なるべく早期に見極めたいという方もいるでしょう。
ここからは、法務省の研究結果をもとに、DV男に見られる8つの特徴を紹介します。
DV男に見られる1つ目の特徴は、親から暴力を受けて育ったことです。
親から日常的に暴力を受けて育つと、子どもにとって暴力自体が当たり前の行動になってしまうかもしれません。
大人になったときに自分が親からされたのと同じように、パートナーや子どもに対して暴力的になる可能性が高いといわれています。
パートナーがDV男かどうかを見極めるには、彼氏や夫が幼いときにどのような環境で育ったのかも、知っておく必要があるでしょう。
DV男に見られる2つ目の特徴は、支配欲や所有感情が強いことです。
暴力や精神的な虐待は、相手を支配するのに有効な手段でもあります。
家族や友人との交流を制限してパートナーを孤立させる、大切にしている物やペットなどに危害を加えると脅して逆らえなくするなどの行動が見られる場合、DV男の可能性があると考えられます。
DV男は、恐怖の感情を植え付けることで自分に依存させる傾向があります。
パートナーを自分の所有物のように扱う男性とは、早急に距離を置いたほうがよいでしょう。
DV男に見られる3つ目の特徴は、家父長制的な考え方があることです。
家父長制とは、男性が女性よりも優位に立ち、権力をもって女性を支配する制度のことです。
「女性なんだから家事を全部してほしい」など、「女性はこうあるべきだ」という封建的な考えをもっている男性には気をつけたほうがよいかもしれません。
女性を自分よりも下の立場だと見下す傾向があると、暴力を振るうことに抵抗がない可能性があります。
このような男性は、DV男である可能性が高いと考えられます。
DV男に見られる4つ目の特徴は、人の話を最後まで聞けないことです。
韓国でおこなわれたカップルに対する調査によると、暴力のないカップルは、暴力のあるカップルに比べて対話の時間が長いという結果が出ています。
また、暴力のないカップルは、相手と意見が違っても最後まで耳を傾ける、お互いの意見を自由に話すなどの傾向もあるそうです。
人の話を最後まで聞けない男性は、自分の意思を押し通すことを重要視し、お互いに歩み寄ることができないかもしれません。
パートナーに対して思いやりがなく、うまくいかないことがあると暴力を振るう可能性もあるでしょう。
DV男に見られる5つ目の特徴は、やきもち焼きで嫉妬感情が強いことです。
パートナーが自分以外の男性とコミュニケーションをとることを、極度に嫌がる男性もいます。
嫉妬の感情が強いがゆえ、パートナーがほかの男性と接点をもつことが許せず、暴力を振るって押さえつけようとする可能性もあるのです。
韓国でおこなわれた調査によると、嫉妬感情が強い男性のほうが妻に対して暴力を振るう傾向があるということもわかっています。
そのため、やきもち焼きで嫉妬感情が強すぎる男性には、気をつけたほうがよいかもしれません。
DV男に見られる6つ目の特徴は、感情のコントロールが苦手なことです。
怒りや悲しみの感情をうまくコントロールできず、感情が爆発して思わず手が出てしまうということが考えられます。
また、そのような男性は配偶者だけでなく、他人にも暴力を振るう傾向にあるといいます。
何気ないことでもすぐにキレる、なぜ怒っているのかうまく言語化できないなど、感情のコントロールが苦手な男性はDV男である可能性があるかもしれません。
DV男に見られる7つ目の特徴は、反省が少なく言い訳が多いことです。
一般常識として、暴力は好ましくない行動です。
それがわかっているのに、なぜ暴力を振るうのでしょうか。
それは、「相手が自分を怒らせるようなことをしたからだ」という思考回路が影響している場合があります。
社会通念上好ましくない行動をしたにもかかわらず、「でも」「だって…」と、反省せずに言い訳する男性は、暴力までも正当化する可能性があるといえるでしょう。
DV男に見られる8つ目の特徴は、アルコール中毒などがあることです。
東京都平成9年に実施したアンケート調査によると、加害者が被害者に暴力をふるう原因として、アルコール依存や薬物依存があるという結果が出ています。
この結果から、依存症により健全な精神状態を保てなくなり、結果として暴力行為に及ぶことがあるのがうかがえます。
恋人や配偶者にちょっとした違和感を覚えても、DVなのかどうか判断に困ることもあるはずです。
恋人や配偶者がDV男かどうか判断するための基準として、以下のようなものが挙げられます。
これらに限らず、ほかにもさまざまな基準があります。
身体的な暴力だけでなく、一緒にいると抑圧されているような気がして苦しいと感じることがあれば、それはDVといえるかもしれません。
交際、結婚してはじめて、パートナーがDV男だと気がついた方がいるかもしれません。
その場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
ここでは、恋人や配偶者がDV男だった場合の対処法を紹介します。
DV夫と離婚したい場合は、弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼すれば、暴力を振るう夫と直接顔を遭わせることなく離婚交渉を進められます。
離婚するときに必要な証拠の集め方も、アドバイスしてくれるでしょう。
また、弁護士に依頼しておけば交渉や調停、訴訟になったときも心強いでしょう。
DV男から逃げたいという場合は、婦人相談所へ相談しましょう。
婦人相談所とは、売春防止法第34条に基づいて各都道府県に必ずひとつ設置されている窓口のことです。
配偶者からの暴力を受けている女性やその子どもを一時的に保護してくれます。
これ以上被害に遭わないためにも、早急に逃げたいというときは、婦人相談所に相談しましょう。
ただ、施設によって子どもの受け入れに制限がある可能性もあります。
親子で逃げる場合は、事前に確認しておくと安心です。
DV男と関わりたくない、遠ざけたいというときは、弁護士や警察に相談しましょう。
DV男と物理的な距離が近いと、いつかまた被害に遭うかもしれないと怯えながら生活しなければなりません。
そうならないためにも、弁護士や警察に相談するとよいでしょう。
弁護士なら裁判所に対し「配偶者暴力防止法に基づく接近禁止命令」の申立てなどの手続きをとることも可能です。
裁判所への申し立てが認められると、裁判所から加害者に対して接近禁止の命令を出してもらえます。
警察に相談した場合、被害届を提出すれば、暴行罪や傷害罪等の嫌疑で加害者を逮捕してもらえる可能性もあるほか、警察から加害者に警告したり、被害防止のための援助をしてもらうことも可能です。
ご自身だけで対処しようとせず、弁護士や警察にも相談しましょう。
DV男を処罰して欲しいときは、最寄りの警察に相談し、被害届を出しましょう。
逮捕、起訴されれば刑法やその他の法律で処罰することも可能です。
DV男が問われる可能性がある罪には、暴行罪、傷害罪、脅迫罪、器物損壊罪、ストーカー規制法違反、暴力行為等処罰法違反などがあります。
いずれも有罪判決を受けた場合には、懲役刑や罰金刑が科せられます。
また、接近禁止命令などが出ているにもかかわらず命令に背いた場合も、一年以下の懲役または100万円以下の罰金刑が科せられます。
刑事手続きでDV男を処罰してほしい場合は、警察に相談しましょう。
パートナーのDV癖を治してほしい場合は、医療機関へ相談するという方法もあります。
DVは、自己愛性人格障害や境界性パーソナリティー障害といった精神的な病気が原因の可能性もあります。
このような人格障害は、確固たる治療法がまだ確立されておらず、完治するかどうかはわからないそうです。
彼氏や配偶者への愛情があるので、どうにかしてDV癖を治してほしいと考える方もいるかもしれません。
パートナーのDV癖が病気によるものであると疑われる場合には、なるべく早期に治療を受けることをおすすめします。
最後に、DV被害に関するよくある質問を紹介します。
男女共同参画局が運営している「DV相談+(プラス)」に相談してみましょう。
DV相談+では、専門の相談員が24時間365日、電話やメールなどで相談を受け付けてくれます。
「DVを振るわれているけれど、どうすればよいのかわからない」「子どもの将来が心配」といった悩みも相談できるので、ぜひ気軽に利用してみてください。
ほかにも、「DV相談ナビ」という窓口もあります。
全国共通のダイヤル(♯8008)に電話をかければ、最寄りの配偶者暴力支援センターにつながります。
DVについて悩んでいるものの、どこに相談したらいいかわからないというときにはおすすめです。
被害を受けた本人やDVを目の当たりにした子どもには、精神的にもさまざまな悪影響があるといわれています。
直接受けた暴力のけがだけでなく、うつ病やPTSD、嫌な記憶から逃れるための薬物依存やアルコール依存など、健康障害はさまざまです。
身体的DVの場合は、病院の診断書や医療記録が証拠になります。
精神的DVの場合は、暴言を吐いている様子がわかるICレコーダーや、SNS、メールのやり取りなどを証拠に残しておきましょう。
また、DVの被害者が保護命令を申し立てる際は、警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談記録が必要になります。
相談カードの写しなどを事前に用意しておくとよいでしょう。
DV男に対して慰謝料を請求することは可能です。
相場は数十万円~300万円程度だといわれています。
慰謝料が増額される代表的な要因として、以下のようなものがあります。
1回の暴力なのか、日常的な暴力なのかで金額が変わります。
また、DVがおこなわれてきた期間の長短も金額を左右する要素になるでしょう。
DVが原因でうつ病を発症したり、けがをしたりした場合は、慰謝料が増額される原因になるでしょう。
離婚後でも慰謝料請求は可能です。
しかし、離婚日(法律上の婚姻関係にない場合は最後のDV行為)から3年で時効が成立してしまうので、請求するなら早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。
DV男の特徴には、以下のような点が挙げられます。
DVは暴力以外にも、精神的DVや性的DVなどがあります。
被害に遭っている自覚がない場合や、被害に遭っていても誰かに話しにくいこともあるかもしれません。
ただ、DV男から逃げるためには、ご自身で一歩踏み出すことが何よりも重要です。
弁護士や警察、行政が運営している婦人相談所など、勇気を出して相談すれば、きっとあなたのサポートをしてくれるはずです。
もし、彼氏や配偶者がDV男だった場合は、早急に第三者へ相談しましょう。
【休日・夜間の相談可】離婚協議/DV/親権獲得/不倫慰謝料など幅広い離婚問題に対応!依頼者様の立場を一番に考え、スムーズな問題解決を目指しサポートいたします!DV/不倫をした方のご相談も◎◆初回相談1.1万円|時間制限なし◆
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