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DVシェルターとは?入れる期間や利用条件、その後取るべき対応を解説

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配偶者やパートナーからDVを受けている場合、一刻も早く距離を置いて、身の安全を守ることが重要です。

その際、DVシェルターに入居することが有力な選択肢となります。

DVシェルターは、DVの被害者を一時的に保護する施設です。

DVシェルターで落ち着いた生活を取り戻し、配偶者との離婚も選択肢に入れたうえで、次の行動を起こしましょう。

本記事では、DVシェルターの施設概要・入居条件・生活の様子などを解説します。

DVシェルターの入居方法などもわかりやすくまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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DVシェルターとは

DVシェルターは、配偶者やパートナーからDVを受けている人が、一時的に避難するための施設です。

DVシェルターを利用すれば、加害者から物理的に離れて、安全な環境で心と体を休めることができます。

DVシェルターの所在地・連絡先は非公開になっています。

加害者から所在地を突き止められないようになっているので、比較的安全に過ごすことができます。

また、子どもと一緒に入ることができるのも魅力。

子連れの方にとっても有力な避難先と言えるでしょう。

ただし、入居できる期間は2週間~1か月

引っ越しするまでの期間、警察の対処を待つ期間など、あくまで一時的な避難先という点は理解しておきましょう。

ポイント
  • DVシェルターの所在地・連絡先は非公開
  • DVシェルターは子連れで入ることもできる
  • DVシェルターに入居できる期間は2週間~1ヵ月程度

DVシェルターは公的シェルターと民間シェルターに別れる

DVシェルターは、公的シェルターと民間シェルターの2種類に分類できます。

  公的シェルター 民間シェルター
運営元 自治体(婦人相談所など) NPO法人、社会福祉法人などの民間団体
費用 原則無料 無料もしくは低額な利用料
利用期間 原則2週間程度 施設によっては1ヵ月以上滞在できる場合もある
入所方法 公的機関を通じて緊急性が高いと判断された場合に入所 運営団体に連絡する、または、支援団体から紹介してもらって入所
特徴・サポート 職員が常駐するなど手厚い保護体制が整っている 運営団体の方針によって柔軟で多様なサポートが期待できる

いずれのシェルターも、DV被害者を加害者から守ってくれる施設であることに変わりありません。

自分自身が相談しやすく、利用しやすいシェルターを選択してください。

DVシェルターに入居できる条件

DVシェルターに入居できるのは、配偶者から身体的な暴力を受けている人や、心身に有害な影響を及ぼす言動を受けている人などです。

具体的には、以下のような状況が挙げられます。

DVに当たる行為の事例
  • 日常的に殴る、蹴るなどの暴行を受けている
  • 日常的に大声で怒鳴られている
  • あまりにも酷い侮辱を日常的に受けている
  • 言うことを聞かなければ酷い暴力を振るうと脅されている
  • 日常的に性暴力を振るわれている

入居条件を満たしていても、必ず入居できるわけではない

DVシェルターの収容可能人数は限られているため、申請したからといって必ずしも入居できるわけではありません

基本的には、緊急性が高い人から優先的に入居が認められます

一般的な優先順位
  1. 身体的暴力によって命が危険にさらされている場合
  2. 子どもの安全確保が必要な場合
  3. 妊娠や障害などで逃避行動が難しい場合
  4. 保護命令違反やストーカー行為が繰り返されている場合
  5. 精神的・経済的DVのみで身体的危険は差し迫っていない場合

ただし、緊急性は個別に判断されるべきものです。

少しでも危険を感じている場合は、DVシェルターの利用を検討してください。

DVシェルターに入居する際の流れ

ここでは、DVシェルターに入居する際の流れを解説します。

DVの証拠を確保したうえで荷物をまとめる

可能であれば、家を出る前にDVの証拠を集めておきましょう

以下のような証拠を集めておくことで、離婚調停や慰謝料請求、保護命令の申立てなどの法的手続きを有利に進められます

  • けがの写真
  • 医師の診断書
  • 暴言や暴行の録音・録画
  • メモ・日記
  • 警察などへの相談記録

また、最低限の荷物をまとめておくと、避難後の手続きがスムーズになります。

  • 現金・預金通帳・キャッシュカード
  • 印鑑
  • 身分証明書
  • 母子手帳・子どもの保険証
  • 常備薬
  • 最低限の着替え
  • 携帯電話・充電器

荷物を準備する際は、加害者に見つからないよう細心の注意を払いましょう

また、命の危険を感じる場合は、何も持たずに、まずは逃げることを優先してください。

公的機関の相談窓口に連絡する

公的なDVシェルターへの入居を希望する場合は、以下に挙げる公的機関の相談窓口に連絡をしましょう

DV相談ナビ|近くの相談支援センターで相談できる

DV相談ナビは、配偶者からの暴力について相談できる全国共通の電話番号です。

「#8008」にダイヤルすれば、最寄りの配偶者暴力相談支援センターに電話が自動転送され、DV被害を相談できます。

ただし、DV相談ナビから相談できるのは、転送先の相談受付時間内に限られます。

休日や深夜などに相談したい場合は、次に紹介する「DV相談+(プラス)」を利用してください。

DV相談+(プラス)|24時間相談に応じてくれる

DV相談+(プラス)は、DV被害の相談に24時間無料で応じてくれる窓口です。

電話・メールのほか、チャットでも相談できます。

チャットでは10ヵ国語に対応しているので、外国人でも相談可能です。

男性の相談にも対応しており、毎週日曜日の15時00分~21時00分は専用回線が立ち上がります

配偶者暴力相談支援センター|緊急時の一時保護に対応してもらえる

配偶者暴力相談支援センターは、DV被害者の救済に関する業務をおこなっている公的機関です。

女性相談支援センターや福祉事務所などがその役割を担っており、各都道府県に複数の拠点が設置されています。

DVシェルターへの入居手続きも配偶者暴力相談支援センターの役割です。

窓口で直接相談すれば、入居までの期間を短縮できる可能性が高いといえます。

最寄りの配偶者暴力支援センターは、以下のサイトから確認してください。

警察署|全国どこでも相談できる

DVは暴行罪・傷害罪などの犯罪に当たる行為であるため、警察署でも相談を受け付けています

警察署に相談すれば、関係機関とも連携してくれるので、DVシェルターへの入居手続きも進めやすくなるはずです。

警察に相談する際は、警察所の生活安全課に直接出向くか「#9110」に電話してください

身の危険が迫っている場合は、迷わず110番しましょう。

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DVシェルターを利用するメリット

次に、DVシェルターを利用するメリットを3つ紹介します。

加害者から離れて身の安全を守れる

DVシェルターを利用する最大のメリットは、加害者から物理的に離れた環境で、身の安全を守れることです。

緊張状態から解放され、安心して休息をとるための「緊急避難場所」と考えておきましょう。

実際、シェルターの所在地・連絡先は非公開にされているうえ、施設自体も厳重なセキュリティで守られています

シェルターで時間と心の余裕を取り戻すことは、生活を再建していくうえでの重要な第一歩です。

費用負担が小さい

DVシェルターは費用負担がほとんど生じません

経済的な問題を抱えていても利用できるように、必要以上の費用負担を求めない仕組みになっています。

自治体が運営する公的シェルターは、原則として無料で利用できます

食費や日用品なども提供される場合が多く、所持金がほとんどない状態でも安心して避難することが可能です。

NPO法人などが運営する民間シェルターでも、無料または一日1,000円程度の低額な料金で利用できます。

「お金がないから逃げられない」と諦める必要はありません。

費用面は心配せず、安全確保を最優先に考えて、相談窓口に連絡してください

生活再建に向けたアドバイスを受けられる

生活再建に向けたアドバイスも受けられることも、DVシェルターを利用するメリットのひとつです。

シェルターには、ソーシャルワーカーや心理カウンセラーなど、DV被害者支援の経験が豊富な相談員がいます。

そして、一人では抱えきれないさまざまな問題について、以下のようなサポートを受けることができるのです。

  • 退所後の生活設計
  • 公的支援制度の案内
  • 離婚手続きのサポート
  • 心のケア

DV被害を受けた直後の不安定な精神状態で、生活再建に向けた行動を起こすのは簡単ではないでしょう。

専門家の力を借りながら具体的な計画を立てることで、退所後の生活に対する不安を軽減し、自立への道を切り開けるようになります。

DVシェルターはやばい?後悔しないために知っておくべきこと

DVシェルターは有効に活用するべき施設ではあるものの、入居者によってはデメリットになり得る点も存在します。

ここでは、「DVシェルターはやばい」といわれる理由を詳しくみていきましょう。

DVシェルターでは生活の自由が制限される

DVシェルターでは、毎日規則正しい生活を送ることになるので、窮屈に感じる人も少なくありません。

シェルターでの生活は、おおむね7時前後に起床し、22時前後に消灯となるケースが一般的です。

日中はテレビを観る、カウンセリングを受けるといった過ごし方が中心となります。

外出が認められる場合もありますが、基本的には時間を制限されることになるでしょう。

なお、所在地が探索されることを防ぐため、スマートフォンは原則として利用できません

インターネットも使えず、入居期間中は親族や友人などと連絡が取れなくなります。

飲酒や喫煙も基本的には認められません

DVシェルターへの入居が根本解決につながるわけではない

DVシェルターに入居してからといって、DV被害が根本的に解決するわけではありません

DVシェルターは、あくまでも一時的な避難場所です。

なにもしないまま退所しても、同じ危険にさらされるリスクがあります。

そのため、配偶者・パートナーとの関係を断ち切り、自立した生活を送れるよう、滞在期間中にしっかりと準備を進めておく必要があるのです。

DVシェルターは一時的な保護施設に過ぎない|根本的にDV被害を解決するには?

ここからは、根本的にDV被害を解決するためのポイントを解説します。

別居して物理的な距離を置く

DVシェルターを退所したあとも、配偶者やパートナーとは別居することをおすすめします。

別居すれば物理的に距離を置けるので、DVから身を守れます。

また、別居を始めれば、婚姻関係が破綻しているとみなされ、裁判で離婚が認められる可能性も高くなります

なお、別居中であっても離婚が成立するまでは夫婦関係が続くので、相手よりも収入が低い場合は、婚姻費用として生活費を請求することも可能です。

安全な場所で生活を続けながら、法的な手続きを着実に進めていくことが、根本解決の近道といえます。

早急に離婚成立を目指すべき

DV被害に遭った場合は、早急に離婚成立を目指しましょう

DVをおこなう配偶者との婚姻関係を続けても、心身が危険にさらされてしまうだけです。

配偶者によるDVは「悪意の遺棄」または「婚姻を継続し難い重大な事由」として、法定離婚事由に該当します。

そのため、仮に配偶者が拒否したとしても、裁判を通じて離婚できる可能性が高いです。

DV配偶者との離婚を目指す際には、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

弁護士に依頼すれば、相手との交渉を任せられるので、精神的な負担を感じることなく、余計なトラブルも防げます。

弁護士費用を捻出できない場合は、法テラスの無料相談や立替払い制度を利用できないか、一度問い合わせてみるのもよいでしょう

保護命令を申し立てて、つきまとい行為等を禁止する

配偶者からDVを受けている場合は、裁判所に対して保護命令を申し立てることも検討しましょう。

保護命令の主な内容は、以下の2点です。

  1. 保護命令の効力発生日から6ヵ月間、被害者の身辺につきまとう行為、または被害者の所在場所付近の徘徊を禁止する
  2. 保護命令の効力発生日から2ヵ月間、被害者と住んでいる住居からの退去を命じ、および当該住居付近の徘徊を禁止する

保護命令に違反した場合には、「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」に処されます。

つまり、裁判所から保護命令が発せられれば、DV配偶者からの追跡を回避するための大きな抑止力となるのです。

配偶者がしつこく追跡してきた場合には、保護命令違反を警察に訴えることで動いてもらえる可能性があります。

住民票を移動せずに転居して、追跡を回避する

DV被害から逃れるためには、住民票を移動せずに転居して、追跡を回避することも重要です。

住民票を移動すると、住所変更の事実が戸籍の附票に記載されます。

そのため、配偶者が戸籍の附票を取得すると、住所変更の事実が発覚して、追跡を受けてしまう可能性があるのです。

転居の際には住民票の移動が義務付けられていますが、正当な理由があれば届出をしなくても問題ありません

住民票を移したあとは、市区町村に支援措置の申し出をおこなう

DV被害者が住民票を現住所に移した場合は、市区町村長に対して支援措置を申し出ることができます

支援措置の申し出がおこなわれると、DV加害者が住民票の写し・戸籍の附票の写しなどの交付を請求しても、市区町村の窓口で受理されなくなります。

弁護士を含めた第三者による交付請求についても、DV加害者によるなりすましを防ぐため、厳格な本人確認・審査がおこなわれます。

支援措置を申し出ることで、配偶者やパートナーに現住所を知られる可能性を相当程度抑えられます。

今後も被害が及ぶ可能性がある場合には、忘れずに手続きをおこないましょう

DVシェルターに関してよくある質問

最後に、DVシェルターに関してよくある質問を紹介します。

DVシェルターを出たあとはどうなる?

DVシェルターを出たあとは普段の生活に戻りますが、基本的には配偶者と別居した状態で離婚を目指すべきでしょう。

同居してしまうと、再びDV被害を受ける可能性が高いと考えられます。

18歳未満の子どもがいる母親で、離婚が成立するまでに時間がかかる場合は、母子生活支援施設などで支援を受けることも可能です。

一人で離婚手続きを進めるのが難しいときは、弁護士への相談・依頼をおすすめします。

法律のプロが最後までサポートしてくれるので、時間・手間も精神的な負担も大幅に抑えられるはずです。

DVシェルターの費用に生活保護費を充てられる?

DVシェルターの費用に生活保護費を充てることは可能です。

DVシェルターの利用は、最低限度の生活を維持するために必要なものとして認められています。

また、収入や資産がなく、生活に困窮している場合は、DVシェルターに入所しながら生活保護を申請するのもひとつの選択肢です。

ソーシャルワーカーなどの相談員が、生活保護の申請手続きをサポートしてくれます。

DVシェルターは男性も利用できる?

DVは性別に関わらず起こりうる問題であり、男性のDV被害者もシェルターを利用できます

しかし、男性用のシェルターは、女性や母子のための施設に比べて少ないのが実情です。

すぐに入居先が見つからないケースもあるので、できるだけ早い段階で専門機関に相談しておくことをおすすめします。

DV被害を解決するには弁護士に相談を

DVシェルターに入居して配偶者から逃れたあとは、弁護士に相談してDV被害の根本的な解決を目指しましょう

弁護士に相談すれば、迅速に法的措置をとってくれるので、これ以上の被害を防ぐことができます。

配偶者とのやり取りも弁護士が代わりに対応してくれるため、直接顔を合わせる必要がありません。

DV被害から逃れるにあたって、いつでも味方になってくれる弁護士は非常に心強い存在です。

日常的に配偶者から暴力を受けている方、子どもにまで暴力が及ぶのではないかと不安に感じている方は、一刻も早く弁護士に相談してください。

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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