【図解】離婚裁判の流れとは?期間・費用・有利に進めるポイントを解説
離婚裁判がどのような手順で進むのか、不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
裁判は訴訟提起から判決まで決まった流れで進むため、あらかじめ把握しておけば、先の見通しが立ちます。
なお、離婚裁判を起こす前には、離婚調停による話し合いが必要です。
また、裁判で離婚が認められるためには、後述する「法定離婚事由」が必要である点を理解しておきましょう。
当記事では離婚裁判の流れと期間を時系列に沿って図解でわかりやすく解説。
また、離婚裁判で必要な書類やかかる費用、裁判を有利に進めるコツについても触れるので、ぜひ参考にしてください。
離婚裁判の流れ

離婚裁判は、訴状を提出することから始まり、口頭弁論や尋問を経て判決に至るまで決まった手順で進みます。
裁判が終わるまでは、平均で1年から2年程度かかるのが一般的です。
各ステップをひとつずつ詳しく解説します。
家庭裁判所へ訴状を提出
まず、原告(訴えを起こす側)が訴状と必要書類を揃えて家庭裁判所に提出します。
提出先は、原則として夫婦どちらかの住所地を管轄する家庭裁判所です。
住所地を管轄する裁判所に提出するケースが一般的です。
- 請求の趣旨:離婚を求めること、親権者の指定、慰謝料や財産分与の請求内容など
- 請求の原因:離婚を求める理由
- 当事者の情報:原告・被告の氏名、住所、本籍など
書類に不備があれば補正を求められるため、提出前に弁護士へ相談しておくと安心です。
無事受理されれば、離婚裁判が正式に開始されます。
裁判所から呼出状が届く
訴状が受理されると、裁判所が第1回目の裁判期日を決め、被告(訴えられた側)へ訴状と呼出状を送ります。
第1回口頭弁論期日は、訴訟提起から約1ヵ月~1.5ヵ月後に設定されるのが一般的です。
被告には、期日の1週間~2週間前までに答弁書を提出するよう求められます。
被告側が対応すべき事項は、以下のとおりです。
- 答弁書の作成と提出:訴状の内容に対する認否や反論を記載
- 証拠の準備:自身の主張を裏付ける書類や資料の収集
- 出廷の準備:弁護士に委任すれば代理出廷も可能
答弁書を提出せずに期日を欠席すると、原告の主張を認めたとみなされる可能性があります。
呼出状を受け取ったら、速やかに弁護士へ相談し、適切な対応を取りましょう。
口頭弁論(審理)がおこなわれる
口頭弁論とは、公開の法廷で原告と被告がそれぞれの主張や証拠を提出し合い、争点を明らかにしていく手続きです。
裁判の中心的な手続きであり、審理の進行を左右します。
第1回口頭弁論では、訴状と答弁書の内容を確認し、今後の審理の進め方を決定するだけに留まり、判決が言い渡されることはほぼありません。
ほとんどの人が第2回以降に進みます。
第2回目以降の口頭弁論は、原告と被告の言い分が矛盾している部分について、精査や確認が続けられる形です。
口頭弁論は必要性が認められれば何回でも実施され、約1ヵ月に1回のペースで争点が整理されるまで継続します。
審理の具体的な流れ
具体的な審理の流れは次のとおりです。
- 争点整理:何について争うのかを明確にする
- 原告側の証拠提出:事実を証明する証拠を提出する
- 被告側の証拠提出:原告の主張を否定する証拠を提出する
- 事実の認定:証拠をもとに裁判官が事実を認定する
調停では双方の合意があれば離婚できますが、裁判で裁判官に離婚を認めてもらうには法定離婚事由のいずれかが必要です。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄(例:正当な理由のない別居、生活費を払わないなど)
- 3年以上の生死不明
- 強度の精神病
- そのほか婚姻を継続し難い重大な事由
次のような、法定離婚事由を証明できる有効な証拠を用意しましょう。
| 法定離婚事由 | 証拠の具体例 |
| 不貞行為(不倫) | ラブホテルに出入りする写真、肉体関係を示すメール、SNSのやり取り、探偵の調査報告書 |
| 悪意の遺棄 | 別居の経緯を示す書面、生活費の未払いを示す通帳記録 |
| 3年以上の生死不明 | 警察への届出、失踪宣告の審判書 |
| 強度の精神病 | 医師の診断書、入院記録 |
| そのほか婚姻を継続し難い重大な事由 | DVの診断書、モラハラの録音、別居期間を示す住民票 |
最終的に、裁判官は提出された証拠と双方の主張を総合的に検討し、事実を認定します。
証拠調べ(本人尋問・証人尋問)とは
書面での主張が出尽くすと、裁判官が当事者や関係者に直接質問する本人尋問・証人尋問がおこなわれます。
証拠や主張の信用性が判断される工程です。
本人尋問は、当事者が法廷で直接証言する手続き。
裁判官は、当事者の話す内容や態度から、主張が信用できるかを見極めます。
言葉遣いや表情、回答の一貫性なども判断材料となります。
一方、証人尋問は当事者以外の関係者に証言を求める手続きです。
以下のようなケースで実施されます。
- 不貞行為の目撃者がいる場合
- DVの現場を知る家族や友人がいる場合
- 財産隠しを知る関係者がいる場合
証人や当事者が嘘の証言をすると偽証罪に問われる可能性があるため、尋問では正直に答えなくてはいけません。事前に弁護士と想定問答を練習しておくと、当日落ち着いて対応できるでしょう。
離婚裁判の終了
離婚裁判は、以下の3つのいずれかの方法で終了します。
- 裁判所から判決が言い渡され終了
- 訴えの取下げにより終了
- 裁判所からの和解案で合意し終了
判決による終了が最も一般的ですが、和解で終結するケースも少なくありません。
それぞれの終了方法について、詳しく解説していきます。
裁判所から判決が言い渡され終了
裁判官が主張と証拠をもとに法的な判断を下し、判決(離婚の可否や条件)を言い渡します。
判決が言い渡されるのは、審理が全て終了すること(結審)が宣言されてから約1ヵ月~3ヵ月後です。
結審から判決までの間、裁判官は証拠や主張を精査し、判断を下す準備を進めます。
判決が言い渡されたあと、相手方も控訴せずに2週間の控訴期間が経つと判決が確定します。
訴えの取下げにより終了
裁判の途中で、原告が自らの意思で訴えを取り下げることによっても、裁判は終了します。
取下げにより裁判は初めからなかったことになるため、離婚は成立しません。
判決が確定する前であればいつでも取下げが可能ですが、相手方が裁判に応じたあとは相手の同意が必要です。
訴えの取下げが選択されるケースとしては、以下のようなものがあります。
- 夫婦関係が修復した場合
- 裁判外で話し合いがまとまった場合
- 裁判を続ける精神的・経済的負担が大きい場合
なお、訴えを取り下げた場合は、再度同じ理由で訴訟を起こすことも可能です。
裁判所からの和解案で合意し終了
3つ目は、裁判官が提示する和解案に双方が合意する和解で終了する形です。
尋問後など、裁判官が妥当な解決ラインを見極めた段階で、和解を勧められるケースは少なくありません。
和解の協議は非公開でおこなわれ、当事者双方の意向を踏まえながら、離婚の可否や離婚条件(親権、養育費、財産分与、慰謝料など)について話し合われます。
双方が合意に至り、和解調書が作成された時点で法律上の離婚は成立し、裁判は終了です。
和解調書は判決と同じ法的効力をもつため、取り決めが守られない場合には強制執行(給与差し押さえなど)もできます。
和解に応じるかどうかは当事者の自由です。
弁護士と相談のうえ、自身にとって有利な条件かどうかを慎重に判断しましょう。
離婚裁判の判決後の流れ
判決によって離婚が認められた場合、判決確定日から10日以内に本籍地か住所地の役所へ離婚届を提出する必要があります。
離婚届は、訴えを起こした原告が提出するのが原則です。
離婚届提出の際に必要な書類は、以下のとおりです。
- 離婚届(証人欄の記入は不要)
- 判決書謄本
- 判決確定証明書(裁判所で取得)
- 届出人の本人確認書類
また、判決で定められた財産分与や養育費の支払いについても、履行手続を進めます。
相手が支払いに応じない場合は、判決書を債務名義として強制執行を申し立てることが可能です。
判決に納得がいかない場合は控訴申し立てが可能
判決内容に納得できない場合は、高等裁判所へ控訴を申し立て、再度審理を求めることも可能です。
ただし、控訴には送達を受け取ってから2週間以内に行わなければならないという厳格な期限があります。
期限を過ぎると判決が確定し、控訴の機会を失うため注意してください。
なお、控訴をすると解決までの期間がさらに半年から1年程度長引きます。
判決内容を覆せる見込みがあるか、控訴にかかる費用と時間を捻出できるかを弁護士とよく相談して判断しましょう。
精神的負担も大きくなるため、控訴することが必ずしも良いとは限りません。
離婚裁判に必要な書類と費用
訴訟提起には、訴状のほかに戸籍謄本や調停不成立証明書などが必要です。
- 訴状(2部:裁判所用と被告送達用)
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 調停不成立証明書または
- 年金分割のための情報通知書(年金分割を求める場合)
- 証拠書類のコピー
戸籍謄本は本籍地や住所地の市区町村役場やコンビニで取得可能です。
調停不成立証明書や事件終了証明書は、調停をおこなった家庭裁判所で発行してもらいます。
また、離婚裁判の費用は2万円前後(裁判所に納める収入印紙と郵便切手代)です。
| 費用項目 | 金額の目安 |
| 収入印紙代(離婚請求のみ) | 13,000円 |
| 収入印紙代(慰謝料などを請求する場合) | 請求金額に応じて加算 |
| 郵便切手代 | 6,000円程度(裁判所により異なる) |
さらに、弁護士に依頼する場合は、別途弁護士費用(着手金・報酬金)がかかります。
離婚裁判にかかる費用は別記事で解説するので、あわせて一読してください。
離婚裁判にかかる期間は平均1年~2年が目安
離婚裁判の期間は、訴訟提起から判決まで平均で1年から2年程度です。
令和6年度の司法統計年報によると、同年中に終局した離婚裁判の審理期間は下図のとおり。
全体の約48%が6ヵ月以上1年以内で、次いで1年以上2年以内が多くなっています。

争点が多岐にわたる複雑な事案では長期化する傾向にあり、最長3年以上かかるケースもあります。
特に以下のケースでは裁判が長引く可能性が高いでしょう。
- 親権や財産分与で争いが激しい
- 相手が非協力的で審理が進まない
- 尋問の対象者が多い
- 証拠の収集に時間がかかる
期間が伸びるほど精神的ストレスもかかるため、和解の受け入れを検討したり、離婚条件を調停で解決を図ったりするのがおすすめです。
離婚裁判を有利に進めるためのポイント3つ
離婚裁判を有利に進めるには、感情論ではなく、法的な主張とそれを裏付ける客観的な証拠が欠かせません。
専門家である弁護士と協力し、戦略的に準備を進めましょう。
3つのポイントを押さえると望む結果を得やすくなり、精神的な負担も軽減できます。
客観的な証拠を十分に集める
裁判官を納得させるには、自分の主張が事実であると示す客観的な証拠が重要です。
法定離婚事由や慰謝料などを立証できる証拠をできる限り集めましょう。
証拠の種類は、主張する内容によって異なります。
| 主張内容 | 有効な証拠 |
| 不貞行為 | ラブホテルに出入りする写真、肉体関係を示すメール、LINEの履歴、ホテルの領収書、探偵の調査報告書 |
| DV | 診断書、けがの写真、録音・録画データ、警察への相談記録 |
| モラハラ | 録音データ、日記、メールやLINEの履歴 |
| 財産分与 | 預金通帳、不動産登記簿、証券口座の明細 |
証拠は、調停段階や離婚を切り出す前から意識的に収集・保全しておくことが大切です。
相手に気づかれると証拠を隠されたり、口裏合わせをされたりするリスクがあります。
どのような証拠が有効か、集め方に違法性がないかなど、弁護士に相談しながら進めましょう。
違法に収集した証拠は裁判で使えない可能性があります。
和解も選択肢のひとつとして検討する
必ずしも判決まで争うことだけが解決策ではありません。
和解による早期かつ柔軟な解決を目指すのも、賢明な選択肢のひとつです。
和解には次のメリットがあります。
- 早期解決:判決まで待つより数ヵ月~1年以上短縮できる
- プライバシーの保護:判決と異なり、公開されない
- 柔軟な内容:判決より細かい条件設定が可能
- 確定の早さ:控訴されるリスクがない
裁判が長引くことによる精神的・経済的コストも考慮しましょう。
弁護士費用、仕事への影響、子どもへの負担などさまざまな要素があります。
どのタイミングで和解交渉に臨むべきか、戦略的に考えることが大切です。
弁護士と意思疎通をはかりながら、ベストなタイミングを見極めてください。
早い段階で弁護士に相談する
離婚裁判は、専門的な知識と経験が求められる複雑な手続きです。
準備段階から弁護士に相談すると的確なアドバイスを得られ、有利な見通しを立てられます。
弁護士に依頼する具体的なメリットは、以下のとおりです。
- 有利な証拠収集のアドバイスを受けられる
- 適切な主張構成で訴状や準備書面を作成してもらえる
- 法廷での代理活動を任せられる
- 相手との直接交渉が不要になる
弁護士にサポートしてもらうと、相手と直接やり取りする必要がなくなり、精神的なストレスが大幅に軽減されます。
感情的になりがちな場面でも、弁護士が冷静に対応してくれるでしょう。
できれば調停の前から相談すると、裁判を見据えた一貫性のある戦略を立てられます。
早めの相談が有利な結果につながるため、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談してください。
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弁護士にはそれぞれ得意分野があります。
離婚裁判を有利に進めるには、離婚問題に精通した弁護士の力が欠かせません。
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複数の弁護士に相談し、自身と相性が良く、信頼できると感じる弁護士を見つけましょう。
離婚裁判の流れに関するよくある質問
ここでは、離婚裁判に関して多くの方が抱く疑問や不安について、Q&A形式で答えます。
読者が抱きがちな細かい疑問や潜在的な不安を先回りして解消するので、参考にしてください。
Q. 相手が裁判を欠席した場合、どうなりますか
被告が答弁書を出さずに裁判を欠席した場合、原告の主張を全て認めたとみなされ、原告勝訴の判決が出される可能性が高いです。
被告が第1回口頭弁論期日を欠席し、答弁書も提出しない場合、原告の主張を争わないものとして扱われます。
ただし、被告が答弁書を提出していれば、欠席してもその書面の内容にもとづいて審理が進みます。
原告側にとっては早期終結の可能性がある一方、被告側にとっては極めて不利な状況です。
Q. 裁判の途中で訴えを取り下げることはできますか
判決が確定する前であれば、いつでも訴えを取り下げられます。
ただし、相手が準備書面を提出するなど裁判に応じたあとでは、相手の同意が必要です。
訴えを取り下げると裁判は初めからなかったことになるため、離婚は成立しません。
なお、再度同じ理由で訴訟を起こすことも可能です。
Q. 裁判で負けたら、もう離婚できないのでしょうか
離婚請求が棄却された(負けた)場合でも、判決から2週間以内であれば控訴が可能です。
事実認定の誤りを正したり、新たな証拠を提出できたりすれば、判決が覆る可能性があります。
控訴せずに2週間経つと判決は確定し、同じ理由で再び裁判を起こすことはできません。
ただし、状況が変われば再度離婚を求められます。
例えば不貞行為で負けても、そのあとでDVという新たな事実が生じれば、それを理由に再度調停を申し立て、離婚を求めることは可能です。
Q. 離婚裁判中に新しいパートナーと交際してもよいですか
離婚裁判中に新しいパートナーと交際するのはおすすめしません。
婚姻関係が継続している以上、貞操義務は続いています。
裁判で有責配偶者と認定されると、相手から慰謝料を請求されたり、自身の離婚請求が認められにくくなったりします。
離婚が正式に成立するまでは、異性との交際は慎重になるべきです。
まとめ:離婚裁判は専門家である弁護士への相談が解決の近道です
離婚裁判は訴状を提出することから始まり、複数の口頭弁論期日を経て判決を迎えます。
期間は平均1年~2年かかり、判決以外にも和解や訴えの取り下げでも終結する可能性があります。
離婚裁判は、精神的・時間的負担が大きい複雑な手続きです。
一人で悩まず、まずは離婚問題に詳しい弁護士に相談し、自身の状況に合った最善の道筋を見つけましょう。
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