離婚裁判の流れを大まかに説明すると、「裁判所に離婚訴訟の訴えを提起する」「相手方と口頭弁論を行う」「裁判所から判決が出る」といった流れになります。
話し合いや離婚調停でも離婚に至らなかった場合に利用するのが離婚裁判ですが、裁判を起こすためには用意すべき必要書類もありますし、裁判費用や弁護士への依頼も検討しなければいけません。
そこで今回は、離婚裁判の詳細な流れと、離婚裁判をする際に準備すべきものなどをご紹介します。
離婚裁判をご検討中の方へ
離婚裁判では、『証拠の有無』が非常に重要になります。
ただ法的知識に乏しい方が、裁判で有利になる証拠が何なのか判断するのは難しい事でしょう。
離婚裁判をご検討中の方は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
- 裁判で有利になる証拠が何なのか知ることができる
- 離婚裁判の手続きに必要な書類をすべて用意してくれる
- 弁護士が代理人として行うため、裁判所に行く手間が省ける など
また弁護士に依頼することで、相手にプレッシャーをかけることができ、交渉で決まる可能性もあります。
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この記事に記載の情報は2023年12月01日時点のものです
離婚裁判の手続きと全体の流れ
まずは離婚裁判の詳しい流れを解説していきますので、下記の内容を参考にしてください。
裁判所に離婚訴訟の訴えを提起する
家庭裁判所に訴状を提出することで離婚裁判の訴え提起します。訴訟先となる家庭裁判所は離婚訴訟の当事者である相手配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所です。
第1回口頭弁論期日の通知
裁判所が訴状を受け取ると、第1回目の口頭弁論の日を決めて相手方に訴状と呼び出し状を送る流れになります。
被告の反論を記載した答弁書の提出
被告側は訴状を受け取ると、記載されている主張に反論するための答弁書を作成し、裁判所に提出することもできます。存在を知らなければそのままにする可能性もありますが、弁護士に相談しているケースが考えられますので、多くの場合、提出してくると考えてよいでしょう。
第1回口頭弁論
第1回目の口頭弁論は、裁判所への訴状提出から約1ヶ月後に行われ、審理は1ヶ月に1回のペースで開かれる流れになります。
- 争点の整理:争いとなっているのは何か?
- 原告からの証拠の提出:争点を証明する証拠の提出
- 被告からの証拠の提出:原告の主張を否定する証拠の提出
離婚裁判における事実の認定
裁判での証拠に加えて、法廷で離婚原因の事実を述べる場合もあります。
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①不貞行為(不倫)を証明する証拠
- 探偵会社などからの報告書
- 不倫相手とホテルに入る写真、肉体関係を証明できるやり取りなど
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②婚姻関係の破綻を証明する場合
- 別居していたことを示す賃貸契約書など
- 被告の暴力などで壊れた物の写真など
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③財産分与を請求する根拠となる証拠
- 財産分与の対象となる預金通帳、生命保険契約書、不動産登記簿謄本など
尋問
争点が詰められ証拠が揃うと、証人や原告と被告が法廷に出頭して「尋問」されます。
裁判所からの和解案の提示
裁判所から和解を勧められることがあります。これに原告と被告が応じれば、和解調書が作成され裁判は終了です。応じなければ判決を待ちます。
離婚裁判の判決
尋問が終わってから約1~3ヶ月後に離婚に関する判決が出されます。もし離婚容認の判決が出ていた場合、相手方も控訴せずに2週間の控訴期間が経つと判決が確定し、離婚が成立します。
離婚裁判で成立した離婚は取り消せませんので、離婚成立から10日以内に、「原告」が、離婚届に判決謄本と判決確定証明書、戸籍謄本を添えて役場に提出する義務があります。
離婚裁判の判決確定後の流れ
離婚裁判の判決が出た場合、その判決内容に対して2つの行動が取れます。
裁判で離婚が成立した場合
判決内容に当事者が納得すれば、離婚成立から10日以内に以下の書類を持って、離婚届を役場に提出しましょう。
- 離婚届書(証人欄の記入は不要です)
- 戸籍謄本(本籍地の市区町村に届出する場合には不要です)
- 判決書謄本
- 確定証明書
裁判の判決に納得がいかない場合
離婚裁判の判決に納得がいかなかったり、離婚成立しなかった場合は、控訴申し立てを行います。
控訴申し立ては、今までの離婚裁判を行った家庭裁判所より承久の高等裁判所に行います。高等裁判所の結果にも納得がいかなければ、最高裁へと控訴申し立てをします。
離婚裁判について知っておくべき事前準備と予備知識
離婚裁判の流れがわかったところで、次に離婚裁判を開くために知っておくべき手順について解説します。
離婚裁判で争われること
離婚裁判で争われることは下記のような内容になります。
- 慰謝料を支払うか
- 支払うのであれば金額はいくらか
- 子供がいる場合の親権はどちらが持つのか
- 財産分与の金額はいくらか など
離婚裁判を開くための条件
また、協議離婚や調停離婚では、夫婦の合意があれば理由は特に問われることはありませんでしたが、裁判離婚の場合は法定離婚事由がなければ離婚できないことになっていますので、「法定の離婚原因があるかどうか」が離婚裁判を開くための条件といっていいでしょう。
離婚裁判を開く際の必要書類
離婚裁判の訴え提起に必要な書類は以下の通りです。
離婚裁判にかかる費用
離婚裁判の費用には、裁判所に納める収入印紙や郵便切手が必要になります。
印紙代
印紙代は、離婚だけを求める場合は1万3,000円、財産分与や慰謝料等を求める場合はそれに応じた額に増加されます。
- 離婚のみを求める場合:13,000円
- 財産分与・養育費等の子の監護に関する処分を求める場合:15,000円
例:離婚請求と財産分与と子2人の養育費を請求
13,000円 +1,200円(財産分与)+1,200円 × 子2人分の養育費請求 合計:16,600円
- 慰謝料を求める場合:上記手数料と慰謝料請求に対する手数料の合計額
郵便切手代
郵便切手代は東京地方裁判所の場合6,400円になっていますが、裁判所によって若干違います。
弁護士費用
もし弁護士を代理人とする場合には弁護士費用もかかります。詳しくは後述の「離婚裁判における弁護士費用の相場」をご覧ください。
【関連記事】離婚裁判を開く費用と弁護士費用|弁護士に相談して有利に進めるには
離婚裁判にかかる期間
離婚裁判の期間は、争われている事実の内容とどのような証拠があるかによって変動しますが、一般的には早くて半年、長引けば3年かかるケースもあります。
もし離婚裁判が長期化すると経済的負担も大きくなりますので、そのような場合に備えて、婚姻費用分担請求をしておくことをおすすめします。
なお、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、各裁判所で予定されていた調停・裁判期日の多くが延期されるなど業務縮小が続いていることも把握しておきましょう。
【関連記事】離婚裁判の平均期間は半年から2年以内!長期化してしまうケースとは
離婚裁判の流れを円滑に進めるために知っておくべきこと
離婚裁判まで発展させた以上、自分で希望する条件で離婚をしたいと考えるのが当然かと思いますので、ここでは離婚裁判を有利に進めるためにやっておくべきことをご紹介します。
離婚裁判では証拠の有無が重要になる
正統な「法定離婚原因」があっても、離婚をしたい側がそのことを主張して家庭裁判所に認めてもらわなければ裁判には勝てませんし、慰謝料の請求も認められません。
そのためには、裁判官に対して確信の得られる証拠を提出することが何よりも重要になります。離婚裁判を起こす前に、証拠(不貞行為やDVなど)を「持っているか」、あるいは「集められる」かをよく考えて決断しましょう。
早期に終わらせたいなら和解提案を受け入れる
もし審理途中でお互いに譲歩できる可能性があるなら、和解を検討し、受け入れることで大きく期間を短縮でき、1年以内に終わらせることも不可能ではありません。
もし相手方が離婚裁判に欠席している場合
訴状を提出しても、相手方が答弁書も提出せず欠席しているケースでは、そのまま原告の主張を認めたとし、欠席判決ということで証拠の提出などの争いなく離婚が成立することとなります。
もし被告側が行方不明の場合
「公示送達」という所定の書類を裁判所に掲示してもらうことで、期日呼出状などを被告に送ったことにでき、掲示板に公開してから2週間たてば被告への送達完了となります。
その後、裁判所による証拠調べを経て終結判決がでますが、一応判決の前に証拠調べが行われることにはなるものの、被告がいなくても裁判を終了させることができます。
別居していると裁判はスムーズに進む
裁判では法律上の離婚原因が必要となり、性格の不一致で別居しているだけでは離婚を認められるあまりないのですが、5~10年程という長いスパンの別居期間があれば夫婦関係が破綻していると判断することが多くなります。
つまり、別居期間が長ければ裁判ではより離婚するメリット材料になると言えるでしょう。
【関連記事】5分で分かる性格の不一致とは|慰謝料の相場と離婚の進め方
離婚裁判の流れを有利に進めるには弁護士に相談
離婚裁判には法律の専門知識が必要となり、素人には困難ですから、離婚裁判を有利に進めるためにも、できるだけ早い時期から弁護士に依頼するほうがよいでしょう。
離婚裁判が得意な弁護士に依頼するメリット
主なメリットとしては
- 弁護士に依頼する事で裁判を有利に進めることができる
- 慰謝料請求をした際の金額が増額する可能性が高い
- 離婚裁判の手続きに必要な書類をすべて用意してくれる
- 弁護士が代理人として行うため、裁判所に行く手間が省ける
などがあります。
離婚裁判では有利な判決を得るためには、離婚原因の事実は、訴えを起こした方で証明しなければなりませんし、主張するだけではだめで、立証する必要があります。
離婚裁判に詳しい弁護士であれば裁判で勝つ為の方法をいくつも知っていますので、裁判となった場合にはまず無料相談を活用しながらでも、今後の対策やどうすれば良いかなど、まずはアドバイスを受けてみましょう。
離婚問題における弁護士費用の構成は主に「相談料」「着手金」「報酬金」で構成され、この3つの合計が一般的に弁護士費用と呼ばれており、相場としては下記のようになっています。
- 相談料:無料または1時間10,000円
- 着手金:30万円前後
- 報酬金:40万円〜50万円前後
離婚が得意な弁護士の選び方と探し方
離婚問題を弁護士へ依頼するなら、離婚を得意とする弁護士を選ぶ必要があります。また弁護士を探す際は、まずは親族や友人が勧める弁護士がいないか相談してみましょう。
- まずは紹介。紹介がなければネットで探す
- 離婚問題に関する知識が豊富な弁護士を選ぶ
- 離婚事件の経験数が多いこと
- 話しやすい相手かどうか
- 法律の意味や内容、解決策などの説明がわかりやすいか
- ネガティブな状況やリスクを指摘してくれるか
こういった項目を参考しながら、弁護士を探してみましょう。
まとめ
離婚裁判の流れは「裁判所に離婚訴訟の訴えを提起する」「相手方と口頭弁論を行う」「裁判所から判決が出る」が基本です。
離婚裁判にあたって、法的な知識が必要な場面が出てくることもあるでしょう。弁護士に依頼したり、または弁護士の無料相談などを活用してアドバイスを聞いたりすると安心して離婚裁判に挑むことができるはずです。
この記事の内容が離婚裁判を有利に進める為のお役に立てれば幸いです。
離婚裁判をご検討中の方へ
離婚裁判では、『証拠の有無』が非常に重要になります。
ただ法的知識に乏しい方が、裁判で有利になる証拠が何なのか判断するのは難しい事でしょう。
離婚裁判をご検討中の方は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
- 裁判で有利になる証拠が何なのか知ることができる
- 離婚裁判の手続きに必要な書類をすべて用意してくれる
- 弁護士が代理人として行うため、裁判所に行く手間が省ける など
また弁護士に依頼することで、相手にプレッシャーをかけることができ、交渉で決まる可能性もあります。
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