離婚をするときに子供の親権や慰謝料、財産分与などで相手と揉めて、弁護士が必要となったときにかかる費用相場は、内容にもよりますが50~100万円ほどになります。
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モラハラとは、道徳や倫理に反した行為をおこない精神的な苦痛をあたえる行為のことを指します。
近年では配偶者のモラハラ行為に悩み苦しみ、離婚を決断されるケースが増えつつあります。
本記事では、モラハラ夫に対して専業主婦が離婚するためにはどのようなステップで進めていくべきかを解説します。
慰謝料をはじめ相手に請求できるお金の種類や、離婚に関するよくある質問についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
専業主婦でも、モラハラを理由に離婚すること自体は可能です。
離婚をおこなう際には、夫婦間で話し合い離婚するパターンと裁判所を介して離婚調停を申し立てるパターンの2つが主な方法となります。
日常的にモラハラ行為やモラハラ発言が続いている場合は、夫婦間で話し合いをおこなうことは難しいと考えられるため、離婚調停を視野に動くのがよい方法といえるでしょう。
離婚調停や離婚裁判をおこなう際にモラハラを原因に離婚したいなら、モラハラがあった事実を客観的に証明し、婚姻関係の破綻の原因がモラハラにあることを主張する必要があります。
しかし、モラハラは身体に対する暴力が含まれるわけでなく、目に見える外傷が残らないことから、客観的な証拠を確保するのは簡単なことではありません。
以下では、典型的なモラハラの例や離婚成立を目指すまでの準備について解説していきます。
モラハラに該当する行為としては、主に以下の5つがあげられます。
夫の行動に当てはまるものがないか確認してみましょう。
妻の人格を否定したり、行動や働きを馬鹿にしたりするような発言は十分なモラハラ行為といえます。
具体的な例としては、以下のような発言があげられます。
妻を脅すような発言や威圧するような言動はモラハラ行為に該当します。
具体的には以下のような発言が当てはまります。
明確な理由がない状態でいきなり無視したり、一緒に取っていた食事をしなくなったりといった行為もモラハラ行為といえます。
このような行為によって、自分の行動に対する相手の反応を見て楽しんでいる可能性があります。
「お前が俺を怒らせている」「俺に恥をかかせるな」など、妻の罪悪感を煽るような発言をする行為もモラハラ行為といえます。
なかには人前で悪口をいい、妻を笑いものにする方も存在します。
モラハラ夫は妻を陥れるような発言をすることで、自分が優位に立っていることを示そうとしてくる場合があります。
具体的な例としては、以下のような発言があげられます。
モラハラ夫と離婚をする際には、以下のステップを参考に進めてください。
離婚の成立を目指すためには、まず夫婦間での話し合いからはじめます。
話し合いで合意ができれば、そのまま離婚をすることが可能です。
しかし、モラハラ夫に離婚を切り出した際には、モラハラ行為が悪化しまともな話し合いができない可能性もあります。
話し合いが進む気配がないと感じたら、速やかに弁護士に相談し、裁判所を利用した離婚手続きを進めるようにしましょう。
話し合いによる合意が得られなかった場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
離婚調停では裁判官や調停委員を介した話し合いがおこなわれます。
夫婦間で話し合いをおこなうわけではなく、それぞれが調停委員に事情を説明し、離婚の成立に向けてポイントをすり合わせていくことになります。
ただし、モラハラを原因に離婚をしたい場合、調停委員に原因を理解してもらうための客観的な証拠が必要となります。
そのため、事前に弁護士に相談のうえ、証拠となりえるものを用意しておきましょう。
離婚調停をおこなっても離婚に合意がなされなかった場合は、離婚裁判を提起することになります。
離婚裁判では離婚をしたい理由が「法的離婚事由」にあてはまっていると判断されれば、判決により強制的に離婚することが可能です。
離婚の可否の判断材料となる法的離婚事由には、以下の5つがあげられます。
モラハラを原因に離婚したい場合は、法的離婚事由のうち「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」と判断される必要があります。
証拠となる資料や、主張の内容といった準備が必要となるため、離婚問題を得意とする弁護士に相談することをおすすめします。
専業主婦がモラハラ夫と離婚するためには事前の準備が大切です。
以下の3つのポイントを参考に、離婚に向けた準備をおこなうようにしましょう。
モラハラ夫と離婚するためには、モラハラの証拠を集めることが大切です。
しかし、モラハラ行為は精神的な疲弊をもたらすものが多く、客観的な証明が難しいことも確かです。
モラハラの事実を客観的に証明できるような十分な証拠がそろっていない場合には、離婚調停の場でも関係の修復をすすめられたり、弁護士も対応に困ったりしてしまうケースが考えられます。
モラハラの立証に繋がる証拠には以下のようなものが当てはまります。
できるだけトラブルを避けモラハラ夫と滞りなく離婚を成立させるには、弁護士など信頼できる第三者に相談することが推奨されます。
モラハラを理由に離婚する場合、証拠集めが重要であることは述べたとおりです。
ただし自分だけで、どのような証拠をどんな風に集めるとよいか考えるのは難しいかもしれません。
弁護士へ相談すれば、有効な証拠の種類や証拠の集め方をアドバイスしてくれます。
またモラハラ夫と離婚する場合、口約束で別れることだけ合意して相手と離れて暮らせばよいわけではありません。
財産分与や慰謝料、親権、養育費など離婚にあたって決めるべきことはたくさんあります。
ただでさえまともに話し合うのすら難しいモラハラ夫と、これらを口約束だけで決めても、あとから知らぬふりをされるかもしれません。
約束したことを確実に履行させるためにも、離婚の条件は公正証書や調停調書のような法的な効力をもつ書類にまとめるべきです。
たとえば養育費の内容を公正証書にまとめた場合、未払いが続いた際に給与の差し押さえなどが可能となります。
モラハラ夫と2人だけで冷静に離婚条件を話し合い、それを公正証書にまとめるのは簡単ではないのではないでしょうか。
弁護士に依頼すれば、モラハラ夫との交渉を代行してくれたり、法的に有効な公正証書の文案を作成してくれたりします。
また、離婚の成立までに自分が不利になるような行動をおこさないよう、アドバイスしてもらうことも可能です。
離婚について弁護士に相談・依頼した際の費用の相場は以下のとおりです。
離婚をおこなう方法によって費用は変動します。
なお、上記の費用は一例であり、依頼する範囲や置かれている状況によっても変動します。
あくまで目安として覚えておきましょう。
弁護士費用が大きな負担となる場合は法テラスの利用を検討しましょう。
収入や資産においての制限がありますが、弁護士への無料相談や弁護士費用の立替に対応してもらうことが可能です。
なお、収入や資産の条件について、離婚に関する問題の場合は相手方の資力を合算せずに利用可否を判断してもらえます。
離婚が成立した場合、引っ越しをおこなうことや、一人で生計を立てる必要が出てくることが考えられます。
そのため、離婚を決意したのであればなるべく早いうちから金銭的な不安を解消できるよう収入の確保を目指しましょう。
ただし、モラハラ夫のなかには外に出て働くことを咎めたり、ハラスメント行為が悪化したりすることも考えられます。
一時的に実家などのサポートを受けられないか、周囲の人に相談してみるのもひとつの方法といえます。
離婚に伴って、配偶者に対してお金を請求することができます。
以下では具体的に請求できるお金の種類を紹介します。
財産分与とは、離婚に伴って夫婦の共有財産を公平に分配する制度のことを指します。
夫婦が婚姻関係にあった期間に蓄えた預貯金や保険金、購入した不動産や自動車など全ての財産が対象になります。
財産分与の割合はたとえ専業主婦であったとしても、原則として全財産の2分の1を受け取ることが可能です。
収入を得ていなくても、家事や育児などでの貢献が夫婦の財産形成に影響を与えていると考えられるためです。
ただし以下にあげるようなケースでは、財産分与の割合が2分の1にならない可能性があります。
慰謝料は、配偶者に離婚の原因がある際に請求できるお金です。
モラハラを理由に離婚が成立した場合、受けてきた精神的苦痛を加味した慰謝料を請求することができます。
またモラハラ以外にも、配偶者のDVや不貞行為などが原因の場合でも慰謝料を請求することが可能です。
夫婦に未成年の子どもがいる場合、子どもの親権を得た側が親権を得ていない側の元配偶者に対して養育費を請求することが可能です。
養育費の金額は子どもの年齢や双方の年収を加味して定められ、子どもの年齢が18才もしくは20才になるまで支払いが続きます。
年金分割とは、夫婦が婚姻期間中に納めた厚生年金を財産分与の際に分割し分け合う制度のことを指します。
なお、年金分割の対象となるのは厚生年金だけであり、国民年金は含まれないので注意してください。
離婚をすることでシングルマザーになることに懸念がある人も多いのではないでしょうか。
とくに問題となるのは生活に伴う金銭面の負担だと思われますが、以下ではその負担をすこしでも軽減できるような助成金や割引制度について解説をおこないます。
児童手当は、家庭や生活の安定を目的に子どもを養育する方に対して支給される手当のことです。
支給の対象となるのは、中学校を卒業する前の子どもを養育していて世帯主年収が1,200万円を上回らない世帯で、支給額はそれぞれ以下となります。
子どもの年齢 | 支給額(月額) |
---|---|
0~3才未満 | 15,000円 |
3才~小学校修了まで | 第1・2子 10,000円 第3子以降 15,000円 |
~中学校修了まで | 10,000円 |
なお、上記の支給額は2024年1月現在の金額で、2024年10月分より支給額や支給範囲が拡充される予定です。
2024年10月以降は以下の支給額となるほか、所得制限が撤廃されます。
子どもの年齢 | 支給額(月額) |
---|---|
0~3才未満 | 第1・2子 15,000円 第3子以降 30,000円 |
3才~小学校修了まで | 第1・2子 10,000円 第3子以降 30,000円 |
~中学校修了まで | 第1・2子 10,000円 第3子以降 30,000円 |
~18才 | 第1・2子 10,000円 第3子以降 30,000円 |
児童扶養手当はひとり親家庭を対象に支給される手当です。
0才から18才に到達して最初の3月31日を迎えるまでの子どもをもつ家庭が支給対象となります。
支給額は対象となる子どもの人数によって以下のように変動します。
子どもの人数 | 支給額(月額) |
---|---|
1人 | 45,500円 |
2人 | 合計56,250円(10,750円の加算) |
3人以上 | 56,250円+6,450円×3人目以降の子どもの人数 |
児童扶養手当の満額支給には年収160万円、一部支給には年収400万円の所得制限があります。
なお児童手当と同様に児童扶養手当についても支給額の拡充が検討されているほか、所得制限の緩和が検討されている状況です。
具体的には、たとえば第3子以降の加算額を第2子と同じ額まで増額することが検討されています。
地域によっては、母子(父子)親家庭を対象に住宅手当を給付している場合があります。
支給条件や支給額は市区町村によって異なりますが、主に20才未満の子どもを養育している家庭に対して、月5,000~1万円程度の支給がおこなわれます。
あくまでも市区町村独自の取り組みであるため、住宅手当の支給をおこなっているかや、支給条件を満たしているかについては、お住まいの地域にある市役所・区役所などに確認する必要があります。
こちらも地域による取り組みとなりますが、ひとり親家庭の保護者や子どもが病院にて診察を受けた際の医療費を市区町村が負担してくれる制度があります。
助成内容は市区町村によって異なるため、詳細は居住している市区町村の制度を確認するようにしましょう。
生活保護は、何らかの理由をもとに生活が困窮している人に対して、国が最低限度の生活を保証してくれる制度のことです。
生活保護を受給するためには以下の要件を満たす必要があります。
なお支給額は、最低生活費から収入を差し引いた差額分となります。
児童育成手当は、18才までの子どもがいる母子家庭を対象に、子ども一人につき月13,500円が支給される制度です。
受給の条件は市区町村によって異なるため、必要に応じて確認をおこなうようにしてください。
また、児童育成手当を受給している場合、電車やバスを割引価格で利用できることがあります。
制度は市区町村によって異なりますが、たとえばJRの通勤定期乗車券であれば3割引の値段で購入することが可能な場合があります。
ひとり親家庭に限った制度ではありませんが、所得が前年度より大きく減少したり、一定以下だったりする場合は、国民健康保険が免除となります。
免除となる金額は居住している市区町村の応益割合と所得金額によって以下のように変動します。
応益割合 | ケース1 | ケース2 | ケース3 |
---|---|---|---|
45%以上~55%未満 | 7割減額 | 5割減額 | 2割減額 |
35%未満 | 5割減額 | 3割減額 | なし |
上記以外 | 6割減額 | 4割減額 | なし |
※応益割合とは、均等割(扶養家族人数分の保険料)および平等割(一世帯毎に課せられる保険料)の合計による割合で、市町村により異なります。
こちらもひとり親家庭に限りませんが、所得が一定以下の場合は国民年金の免除を受けることが可能になります。
免除金額は4つに区分されており、それぞれ以下のように条件が定められています。
免除金額 | 条件(前年度の所得が以下の金額の範囲内) |
---|---|
全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円 |
3/4免除 | 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
半額免除 | 118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
1/4免除 | 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
最後に、専業主婦がモラハラ夫と離婚する際のよくある質問とその回答を紹介します。
相手と顔を合わせずに離婚を進めることは可能です。
なお、顔を合わさずに離婚を進める方法は主に2つあります。
1つ目は離婚調停を申し立てる方法です。
離婚調停を申し立てると、夫婦それぞれが別々に裁判官や調停委員と会話をおこない、離婚に向けたすり合わせをおこなうことになります。
そのため、相手と顔をあわせることは基本的になくなります。
不安がある場合は、裁判所にモラハラを原因とした離婚調停であり、相手と顔をあわせたくない旨をあらかじめ伝えておくとよいでしょう。
2つ目の方法は、弁護士に依頼し相手とのやり取りの間に立ってもらう方法です。
全てのやり取りを弁護士を通じておこなうことができるので、相手と顔を一切合わさずに手続きを進めることが可能です。
調停や裁判をおこなうことになったとしても代わりに弁護士が出廷してくれるため、手続きに伴う手間も削減することができます。
モラハラから逃げることを目的に一方的に別居したとしても、基本的には離婚で不利になることはありません。
モラハラの被害を受けているときに加害者から物理的な距離を取ることは、被害者の身を守るための正当な理由とみなされます。
まずは自分の身を守ることを第一に、安心して行動に移しましょう。
子どもへ向けたモラハラだったとしても、その行為によって夫婦関係が破綻したと認められれば、離婚の理由として成立します。
子どもがモラハラ行為を受けている際は、子どもの安全を第一に動くことが大切になります。
しかし、離婚を有利に進めるためには同時にモラハラの証拠を集める必要があるため、別居前にしっかりと証拠を抑えておくことが大切です。
子どもの親権は、子どもの意思や子どもの状況、経済力や離婚前の環境変化など、さまざまな要素を加味してどちらがとるか決められます。
なお、統計上では親権者の9割が母親であり、とくに子どもの年齢が低い場合は母親が親権を得る割合が非常に大きくなります。
そのため、専業主婦であったとしても親権を得られる可能性は十分あるといえるでしょう。
モラハラ夫と離婚をする際には証拠の有無が重要なポイントとなります。
とくにモラハラ行為はDVなどと違って、客観的に証明がしづらい行為となります。
受けた被害をメモしておいたり、音声データなどに残しておいたりすることで証拠として用いられる可能性があるので、記録に残す癖をつけておきましょう。
また、まずは自分や子どもの身を守ることを最優先に行動に移しましょう。
モラハラ夫から逃げることは正常な行動であり、離婚手続きにおいても不利になることはありません。
あわせて実家や親戚を頼ったり、弁護士などの専門家から法的なアドバイスを得たりすることも大切です。
本記事を参考にモラハラ夫との離婚に向けて一歩踏み出してみましょう。
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