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モラハラとはモラルハラスメントの略称で、家庭内暴力の一種です。
直接的な暴力行為はないものの、態度や言動で精神的に追い詰める行為であるため、精神的DVや精神的虐待とも呼ばれています。
モラハラは、夫から妻に対しておこなわれる場合に問題となるケースが多い傾向です。
裁判所が取り扱った事件数をまとめている司法統計(家事令和4年度)によると、妻が申し立てた離婚などの婚姻関係事件は41,886件あります。
そのうち、約4分の1にあたる10,975件がモラハラ(精神的虐待)を理由としています。
モラハラを受けている人の中には、毎日のように浴びせられる夫からのひどい発言に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、モラハラ夫の典型的な発言例やその特徴、そして効果的な対処法について解説します。
夫の発言がモラハラに該当するのか、またモラハラ夫にどう対処すればいいのか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
モラハラ夫がよく使う典型的な発言例には、以下のようなものがあります。
これらは、妻に精神的な苦痛を与え、自尊心を損なう原因となるモラハラ発言です。
それぞれの発言例について、次で詳しく確認していきましょう。
経済的な貢献を盾に相手を支配しようとする言葉であり、典型的なモラハラ発言です。
とくに妻が専業主婦をしている場合や、パート・時短勤務などで夫よりも収入が少ない場合に使われやすいです。
夫の収入によって家計が支えられていると主張し、妻の価値を否定して、自分の優位性を強調します。
この発言には経済的な依存を利用し、妻を自分の思い通りにコントロールしたいという思惑があります。
この発言は、家庭内での妻の役割や努力を軽視し、自分の仕事を過剰に評価して優位に立とうとするモラハラの一例です。
妻が家事や育児に専念してくれているからこそ、外で自由に仕事ができているという感覚がモラハラ夫にはありません。
日々の家事や育児よりも、外に出て働いているほうが偉いと主張し、相手を劣等感に陥れようとします。
家庭内での役割を自分なりの基準で定め、育児や家事の成果を否定しようとするモラハラ発言も多いです。
子育てや家事の負担を妻のみに押し付け、ほとんど協力していないにもかかわらず、一方的に結果を判断して文句をいいます。
また、同僚や友人などほかの家庭と比較し、妻の劣等感や罪悪感をあおるような発言をするケースもあります。
このような発言は、相手の自信を失わせて支配を強めようとする、典型的なモラハラです。
相手の外見や服装のセンスを否定して、嫌がらせのような発言をするのもモラハラの一例です。
自分の好みや社会的な規範を押し付け、相手の自由を制限しようとします。
好みの服装を提案するだけでなく、妻の自己表現を根本から否定して自分の価値観を押し付けてくるようであれば、モラハラを疑ったほうがいいでしょう。
イライラしているのを相手のせいにするのも、典型的なモラハラ発言です。
モラハラ夫は、自分の思い通りにならないと機嫌を損ね、その原因を妻に責任転嫁する傾向にあります。
妻のせいにして責めるだけでなく、物を壁に投げつける、テーブルをたたくなどして威圧してくるケースもあります。
家族や友人をけなし、相手の社会的なつながりを弱めようとするモラハラ発言にあたります。
また、妻を遠回しに否定し、自己肯定感を下げる発言でもあります。
妻と親しい間柄の人を否定するのは、その人と血縁関係や交友関係のある妻自身の人格を否定しているのと同義であるからです。
このような発言には、妻を孤立させ、精神的な支配を強めて自分に依存させようとする狙いがあります。
相手の職業や成果を軽視するのも、モラハラ発言の一種です。
仕事は人格と深く結びつく部分であるため、仕事の否定によって妻の人格をも否定するモラハラ行為です。
相手の努力や成果を軽視する発言には、自分の能力を優位におきたい、また相手への支配を強化したいといった目的もあるでしょう。
この発言は、自分の不満や問題を相手のせいにするモラハラの一例です。
何か問題が発生した際に、その責任を相手に押し付けて自分は正しいと主張することで、妻を罪悪感に陥れようとします。
どのような対応をとっても人のせいにしてくるため、妻の立場から夫の態度を変えるのは難しいです。
このような発言は、妻を精神的に追い詰め、自分の立場を優位に保つために使用されます。
相手の社会的価値を否定するのは、存在自体を軽視した極端なモラハラです。
この言葉を受けた被害者は、深い自己否定の状態に追い込まれ、自尊心が根底から崩壊してしまう可能性があります。
精神的な支配を目的としていると考えられるため、全否定する発言を毎日繰り返しているようであれば、早急に距離をおくべきといえるでしょう。
妻に食事の準備を押し付けているにもかかわらず、食事の内容やクオリティを否定するのもモラハラ夫の発言の一つです。
自分は仕事を頑張ってきたのに、妻は何もしておらず疲れていないとする考えがあらわれている言葉であるといえるでしょう。
料理を作る側の労力や気持ちを考慮しない身勝手な態度や言動は、モラハラに該当します。
家事労働を軽視し、自分の疲れを理由に相手を非難することで、自分の優位性を主張していると推察できます。
モラハラ夫の典型的な特徴として挙げられるのは、次の5つです。
モラハラ夫の特徴を理解すると、自分が受けている行為がモラハラであるかを判断しやすくなります。
5つの典型的な特徴について、以下で一つずつ解説していきます。
自己中心的で自分の行動や発言を正当化するのは、モラハラ夫の特徴の一つです。
自分の欠点や過ちを自ら認めるのが難しく、不利な状況になった際は他人に責任転嫁したり、事実を捻じ曲げたりする傾向があります。
また妻の気持ちを考慮せず、自分の欲や都合ばかりを優先して押し付けようとする場合も多いでしょう。
モラハラ夫は、性別や学歴・収入などの社会的地位を根拠に、相手を見下す特徴があります。
たとえば、自分より低学歴である点や低収入である点を理由に相手を尊重せず、上から目線で接するケースが多いです。
このような態度は、優越感に浸ったり、相手の自尊心を傷つけて精神的な支配を強化したりするためにおこなわれます。
モラハラ夫は他人からどう見られているかに敏感な場合が多く、外面がいい傾向にあります。
そのため、家庭内での妻への態度が悪くても、周囲の人からはいい夫・いい父親と評価されているケースが多いです。
家庭内と家庭外での態度のギャップがモラハラの被害者を混乱させ、第三者に相談しにくくさせる原因となります。
相手の行動や人間関係を制限しようとするのも、モラハラ夫の特徴です。
たとえば、妻の外出や仕事を制限したり、友人や家族との交流を制限したりする傾向にあります。
また、スマホのチェックによって妻を監視し、束縛するケースも多いです。
これらの行為には、妻の自由や社会的なつながりを奪い、自分の支配下から抜け出さないようにする狙いがあります。
モラハラ夫には、相手の考えや意見を否定し、支配しようとする特徴があります。
繰り返し否定され続けると、妻の自尊心は傷つき、主体性が失われていくでしょう。
それによって、妻が自分に逆らえないようコントロールし、思い通りに支配しようとするのです。
モラハラ夫の発言の対処法として効果的なのは、主に以下の7つです。
夫の発言に耐えられないと思ったら、状況を改善するための対処を検討しましょう。
モラハラ夫への効果的な対処法について、次で具体的に解説していきます。
モラハラ夫の発言を記録・録音・録画することは、モラハラの対処として重要な第一歩です。
周囲の人に助けを求める際や、別居・離婚の手続きを進める際には、客観的にモラハラを証明できる証拠が必要となります。
モラハラは、同じような言動や行動が日々繰り返されているケースが多いです。
どのような態度で何をいわれたのか、なんらかの形で日ごろから残しておくようにしましょう。
モラハラ夫の問題を抱えている場合、家族や友人に相談してみるのも有効です。
日々モラハラの被害に遭っていると、判断能力が低下し、自分自身で決めて行動する力が失われてしまう場合があります。
今すぐに別居や離婚などを考えていなかったとしても、信頼できる人に相談すれば心の負担が軽減されるでしょう。
また、相談によって客観的な意見を聞くと、自分の状況をより正確に理解できる可能性があります。
相談する相手がいないときは、無料相談窓口の利用を検討しましょう。
内閣府が運営しているDV相談プラスは、専門の相談員による無料相談に対応しています。
受付時間 | 電話・メール:24時間 チャット:12:00〜22:00 |
連絡先 | 電話:0120-279-889 メール・チャット |
公式サイト | DV相談プラス |
電話やメールは24時間365日受け付けているため、モラハラで悩んでいるときは気軽に相談してみてください。
また、都道府県や市町村が設置している女性センター(男女共同参画センター)を利用するのもおすすめです。
女性センターでは、女性が抱えている問題全般に対する情報提供や相談サービスを提供しています。
利用方法は施設によって異なるため、男女共同参画局の相談機関一覧から最寄りの女性センターを確認してみてください。
モラハラをしている本人に自覚がないケースも多いため、直接夫に対してモラハラをやめて欲しいと頼むのも一つの手段です。
自分の行為による影響を自覚させるために、具体的な発言例や行動を挙げ、それらに傷つけられていると正直に伝えましょう。
単に自覚がなかった場合であれば、これまでの発言や行動を見直して、改善してくれる可能性があります。
ただし安全が確保できない場合や、夫が暴力的な反応を示すおそれがある場合は、直接伝えるのは避けるべきです。
直接モラハラ夫と対話するのが難しい場合は、第三者を含めた話し合いを検討しましょう。
モラハラ問題を専門的に扱っているカウンセラーや精神科医、または双方が信頼できる共通の知人などが適しています。
夫婦以外の第三者がいると、話し合いが客観的かつ冷静に進む可能性が高まります。
第三者を交えた話し合いで改善する見込みが感じられる状況であれば、すんなりと解決できる場合も少なくありません。
話し合いによる改善がなく、夫のモラハラ行為が続いている場合は、別居を検討するのも一つの選択肢です。
別居をすると一時的にでも精神的な安息を得られ、今後の対応をじっくり考える時間を確保できるでしょう。
また物理的に離れることで、モラハラ夫が冷静になって話し合いが円滑に進むのも期待できます。
別居期間中には、弁護士などの専門家と相談し、今後どうするかの最終的な決断をするための準備を進めるのがおすすめです。
別居によって物理的な距離をおき、冷静な判断ができるようになったら、離婚すべきかどうかを検討しましょう。
離婚を検討する際は、自分の安全や将来を最優先に考え、慎重に決断する必要があります。
また離婚で夫婦関係を解消する場合、財産分与や慰謝料・親権などさまざまな問題が発生するため、専門家にアドバイスを求めるのがおすすめです。
モラハラ問題に対処するには、男女問題の対応を得意とする弁護士に相談・依頼するのが有効です。
男女問題解決の経験や実績が豊富かつモラハラに理解のある弁護士は、状況に応じた適切なサポートやアドバイスを提供してくれます。
また弁護士の介入によって、モラハラ夫との直接の交渉を避けたうえで、離婚手続きや慰謝料請求などの具体的な対応策を立てられるでしょう。
モラハラ夫との関係に悩み、別居や離婚を考えている場合は、弁護士に相談するのをおすすめします。
夫婦関係や離婚などの男女問題に注力している弁護士であれば、相談者の状況を適切に理解し、最善の対処法を提案してくれるでしょう。
また、別居や離婚に必要な手続きもサポートしてくれるため、安心して次のステップに進めます。
モラハラ問題に立ち向かうためには、一人で抱え込まずに専門家の力を借りることを検討してみてください。
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