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モラハラとは、モラルハラスメントの略語です。モラルには「道徳」「倫理」、ハラスメントには「嫌がらせ」という意味がありますから、モラハラとは、「道徳的、倫理的な嫌がらせ」と理解しておくとよいでしょう。
このモラハラは近年の離婚の主な原因になりつつあります。実際、令和元年の司法統計によれば、モラハラ(精神的に虐待する)を原因とした離婚の申立て件数は1万4,420件で、全体の約24%にまで上っています。
モラハラは被害者本人が気づきにくいという特徴があり、配偶者と生活する中で嫌な思いをしたとしても、本人が「それがモラハラである」と気づいていないケースも少なくありません。
この記事ではどのような行為がモラハラとなるのか、モラハラにどうやって対処するべきか、モラハラが原因で離婚する場合にはどのようなことに気をつければ良いのかを解説します。
実は、モラハラはその判断が難しいという特徴があります。そのため、以下で挙げるような特徴も、相手からされることに慣れてしまっているケースが考えられるため、該当しているのか相手の言動を注意深く見てみましょう。
モラハラ加害者は、一見とても優しい人物のようにみえることが多いです。そのため、人から親切にされることが少なかったり、大切に育てたれて人を疑わなかったりする特徴がある人は、モラハラするなんて思いもせず結婚してしまうケースがあります。
モラハラ加害者は、優しい顔をして相手に近づいて信頼が得られた途端、豹変します。結婚を機に相手が自分のものになったと勘違いしてしまうことが豹変する原因のひとつです。
加害者は、自分の不幸話をよくします。貧乏な家庭であったことや、子供時代にいじめられてきたなど、相手の同情を誘います。そうして、加害者がモラハラしやすい環境を作るのです。
モラハラ加害者は、つねにモラハラ行為を行っているわけではありません。普段は優しくて社交的な人であるケースがほとんどです。そのため、被害者自身が「あの人は本当は悪い人じゃない。わたしが怒らせてしまったからいけないんだ」と考えがちです。しかし、それがモラハラ行為がエスカレートする原因にもなってしまいます。
モラハラ加害者は、外では感じのいい人を演じています。そのため、配偶者を貶めるために、外で配偶者の嘘の悪口をつきます。そうすれば、モラハラ加害者が嘘をつくとは思っていない人が多く、加害者が優越感に浸れる状況が生まれます。そのような状況を作るためには、平気で嘘をつくのです。
モラハラは言葉や態度の暴力であり、直接殴る蹴るなどの暴力を被害者にふるうことはありません。それはモラハラ加害者は、周りからの見られ方を大切にしているからです。
暴力をふるえば相手に傷などの証拠が残ってしまいます。そのため、モラハラ加害者は相手を傷つけるというよりは、相手を威圧し恐怖感を与えて支配することを目的にしています。
モラハラ行為を行うのは基本的に家の中だけです。家の外では、温厚で明るいのに密室となる場所では容赦なくモラハラが発生します。そうなると、被害者は相手の手口がわかっているので、外にモラハラを言ったことがバレてしまうリスクを考えて行動に移すことができません。
モラハラ加害者は常に自分が正しくて、間違っているのはいつも相手であると考えています。そのため、相手の間違いを正してあげているという態度を常にとりがちです。
相手がなにを言っても聞く耳を持たずに、これまでの相手のミスなどを責めてます。モラハラ加害者は口が達者で、どんな状況であっても自分を正当化させてしまう傾向があるのです。
いつも自分が正しいと考えているモラハラ加害者は、相手の気持ちに共感することがあまりありません。なぜなら自分が正しくて相手が間違っていると思い込んでいるからです。そのため、相手を道具のようにしか思っておらず、振り回した挙句、思い通りにならないと激高するため、非常にたちが悪いです。
モラハラ加害者は自分が正しいという前提があるので、自分が決めたルールに家族が従うように強制します。家族はおかしいと思っていても、逆らうと加害者が激高してより支配的になるため、いうことを聞かざる得ない状況になってしまうのです。
支配欲が非常に強いモラハラ加害者は、非常に嫉妬深い一面をもちます。そのため、妻が外で働きに出ると、相手の行動をコントロールできないので、嫌がります。常に自分の監視下に置いておかないと気がすまないのです。
モラハラ加害者が独断的に行うモラハラは、いったいどのような流れで発生してエスカレートしていくのでしょうか。
モラハラはある日突然スタートします。方法はそれぞれですが、突然不機嫌になり口をきかなくなる、もしくはなんでもないことで気が狂ったかのように怒り出すなど、相手のメンタルを動揺させるような行為を行います。
相手は、不意打ちのモラハラをされるので、どうすればいいのかわからずうろたえてしまうことが多いです。その後、それまでそんな気配を見せなかった相手を心配して、自分の落ち度がなかったか振り返ったり、相手は最近いそがしくて疲れているのではないかと考えたりします。
このように考えることが、モラハラ加害者の行為がエスカレートしていくきっかけになります。モラハラは簡単には別れられない結婚をしているからこそ起こりやすい行為であり、恋人関係であればすぐに別れられるので起こりにくい傾向があるのです。
モラハラは理屈や理性で考えてもその理由がわからない理不尽な行為です。しかし、モラハラに逆らってさらにひどいことをされた被害者は、その記憶から相手に従わなければ自分が嫌な思いをしてしまうと考えてしまいます。
こうして我慢することを覚えると、モラハラ加害者に服従しなくてはならず、支配の度合いが徐々に強まっていくのです。そして、その支配の状況を続けるために、加害者はモラハラ行為をやり続ける必要があります。
なぜなら、そもそもモラハラは理不尽にはじまったので土台が非常にもろいです。また、理不尽な行為によって、相手との主従関係が生まれているので、常に理不尽なことがないと相手との関係が壊れてしまいます。
このような理由から、モラハラは継続していき徐々にエスカレートするのです。
理不尽なモラハラが続いて、被害者が常に我慢して受け入れていかなければならない状況が続くと、誰でも自分の無力感を感じてしまいます。そのため、モラハラ被害者は、加害者の機嫌を少しでも損ねないようにと、相手の感じ方や反応を元に自分の行動を選ぶようになります。
モラハラ加害者を少しでも刺激しないようにとしていくと、被害者はどんどん支配されるようになり、その結果、モラハラが当たり前になってしまいそこから逃げ出すことができなくなり支配され続けてしまうのです。
一度ハマるとやっかいなモラハラですが、配偶者のモラハラがはじまったらどのように対処していけばいいのか見ていきましょう。
モラハラ加害者は、自分の言動がどの程度相手を苦しめて迷惑をかけているのかわかっていないことがほとんどです。なぜなら、モラハラ行為に罪悪感を持っていないからです。そのため、モラハラ加害者に被害者から直接改善を求めても、加害者の変化は望めません。
加害者にモラハラ行為の卑劣さを認識させるには、他の人がどんなモラハラ被害を受けているのか話をすることをおすすめします。この場合、事実を話す必要はありません。モラハラ加害者に、他人のモラハラ状況を伝えて苦しんでいる人がいると認識させて、自分の言動を省みるようにうまく話をしましょう。
モラハラのやり口は加害者によってそれぞれですが、モラハラによって相手を苦しめていることを認識していない点では共通しています。加害者にとってそれらの言動は当たり前の行為だからです。
そのため被害者が感じていることは、そもそも加害者に共感されない可能性が高いので、いくら話し合っても無駄かもしれません。その場合、加害者の相手を真剣にするのではなく、自分の身を守るためにモラハラによって受けたストレスを発散できる方法や場所を確保しましょう。
定期的にストレスを発散すれば少しは心も落ち着くはずです。
モラハラ被害者は、自分が至らないから相手が怒ってしまうのだと勘違いして、加害者の言いなりになりがちです。しかし、モラハラ言動に付き合っていても、それはモラハラがエスカレートするきっかけにしかなりません。
そのため、モラハラ加害者からされた要求に応えられない場合は、きっぱりと無理であることを伝えましょう。そのせいで相手からなにか言われても、「自分でなんとかして!」ということで、モラハラが減ったケースもあるので試してみてはいかがでしょうか。
モラハラ言動が日常化してきている夫婦の場合、冷静な判断をすることが難しいケースが多いため、まずは精神的な安定を手に入れるためにモラハラ加害者から離れることが1番です。モラハラ加害者にとって被害者は、都合のいい相手なのでその相手と離れることで存在が大切であることに気がつけるかもしれません。
モラハラ被害に耐え切れなくなり離婚を決意する人も少なくありません。モラハラ夫との離婚の場合はいくつか注意しておくことがあります。
モラハラの特徴は、相手の人格を否定して被害者自身が悪いのだと思い込ませる点です。そのためモラハラ被害者は、大変な思いをさせられているのに、被害者意識を持ちにくいことが多いです。
しかし、ここまで見てきたようにモラハラ加害者は自分の欲求のためだけに、相手を支配する方法としてモラハラをおこなっています。被害者意識を持てなければなかなか離婚について考えることはできないため、まずはモラハラ被害を受けていることを自覚するようにしましょう。
モラハラ加害者との離婚は、確実にもめることを覚悟しておきましょう。なぜならあなたがモラハラがきっかけで離婚したいと迫っても、相手はモラハラをしている自覚がないからです。
さらにモラハラ加害者は、離婚したいと自分に逆らう行為を受け入れることができません。支配していたはずの相手が逃げ出すことを素直に許すわけもなく、今まで以上に相手をコントロールしようとしてくるでしょう。
まずは、相手の同情を誘うために涙を見せたり謝罪したりして、モラハラ行為への誤解をといていき、相手の離婚の意志を消そうとします。ここで加害者に同意しては、そのあとでさらに厳しいモラハラが待っているので、離婚の意志があるなら絶対に同意してはいけません。
相手がどれだけあなたにすがりつこうとしても、逃げれる時に逃げておかなければ今まで以上に大変な生活を送ることは明白だからです。離婚話は確実にもめますが、強い意志を持って交渉をしましょう。
具体的な行動に関しては「モラハラ夫の完全対策|モラハラの特徴と対策の完全ガイド」をご覧ください。
モラハラ加害者の共通点として、外面が良いということがあげられます。そのため、モラハラ夫は離婚を嫌がることが多いです。なぜなら、離婚は件数が増えてきているとはいえ世間的にイメージの良いものではなく、他人の評価を大切にしているモラハラ夫はできれば離婚を避けたいと考える傾向をもちます。
また、離婚した後に離婚理由を聞かれた時にも困ってしまうことが、離婚を嫌がる理由でもあります。さらに、自分の言いなりになっていた相手がいたからこそ、自分を保つことができていたモラハラ加害者は、自身のストレスの捌け口を失うことを嫌がります。
時間をかけて洗脳して支配したのに逃げられてしまうのは堪ったものではないと考えるのです。つまり、モラハラ夫は妻への愛や情はほぼ持っておらず自分の都合だけで離婚を嫌がっていることがわかります。
モラハラが原因となる離婚は、モラハラの証拠集めが難しくてスムーズにいかないケースがあります。モラハラは精神的な暴力なので、証拠らしい証拠を残すことが簡単ではありません。
また、賢く卑劣なモラハラ加害者であるほど、怒鳴ったり無視したりするのではなく、匠に相手を追い込んでいじめていきます。そのため、モラハラの証拠を残すためには、相手の言動の録音とモラハラの内容を日記として記録していきましょう。
決定的なことでなくとも、日々小さなモラハラが積み重ねられればそれが証拠となる可能性は高いです。記録にはあなたの感情を残すのではなくモラハラ言動の事実を客観的に残しておきましょう。
記録を残す場合は、くれぐれも相手に気づかれないように注意する必要があります。
モラハラは一度始まってしまうとなかなか簡単に終わるものではありません。そのため、モラハラ行為がはじまれば以下のような機関へ早めに相談をしましょう。
DV相談ナビは、内閣府が設けているDVやモラハラ被害の相談を受け付ける機関です。配偶者からの暴力やモラハラの悩みを、どこに相談すればよいかわからないという人のために、全国共通の電話番号(0570-0-55210)から相談機関を案内してもらえます。
DV相談+では、配偶者から受けているDVについて専門の相談員に相談が可能です。電話での相談だけでなく、面談や同行支援など直接的な支援も行なっています。
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婦人相談所は、夫婦間でのDVやモラハラに悩む女性の相談やカウンセリング・調査指導・援助・一次保護などを行う施設で、各都道府県に最低1つの設置が義務付けられています。
女性センターは、婦人相談所と違い、各都道府県や各市区町村などが自主的に設置している、女性のための総合施設です。モラハラのみならず、女性に関することであれば、なんでも相談できるため便利です。
いかがでしたでしょうか?
当事者でなければなかなかわかりにくいモラハラですが、その言動はひどいものであるとお分かりいただけたはずです。今回ご紹介した特徴に該当することがあれば、いち早く相談や対処をすることをおすすめします。
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