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熟年離婚の主な原因9選|後悔しないための準備と進め方を解説

熟年離婚の主な原因9選|後悔しないための準備と進め方を解説

熟年離婚の原因はひとつではなく、長年の生活の中で蓄積されたさまざまな要因が絡み合っている場合がほとんどです。

性格の不一致・価値観のずれなど、若い頃は我慢できていたことが、年齢を重ねるにつれて耐えがたくなることもあるでしょう。また、定年退職や子どもの独立をきっかけに、夫婦二人きりの生活に違和感を覚える方も少なくありません。

この記事では、熟年離婚の主な原因や離婚後の生活で想定されるメリットとデメリットを解説します。

後悔しないために必要な準備や手続きについて、実務的な視点から詳しく解説しますので、ご自身の状況を整理する際の参考にしてください。

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目次

熟年離婚とは?

熟年離婚とは、一般的に婚姻20年以上で50歳代以上の夫婦が離婚することを言います。

近年、熟年離婚は決して珍しくなく、人生の新たな選択肢として前向きに捉える方が増えているのが現状です。

ここでは、熟年離婚が実際にどれくらいの件数で成立しているのか、そしてなぜ今増加しているのか、その背景を具体的なデータとともに見ていきましょう。

熟年離婚の成立件数

熟年離婚の成立件数

出典:令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

厚生労働省が公表した令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況によると、2024年に離婚した夫婦のうち、同居期間が20年以上の夫婦の割合は全体の21.9%です。

離婚した夫婦のおよそ5組に1組にあたり、熟年離婚は決して珍しくないのがわかります。熟年離婚の割合は高い水準で推移しており、多くの夫婦が人生の後半で別々の道を歩む選択をしている現実が見てとれます。

熟年離婚が増えている理由

熟年離婚が増えている背景には、いくつかの社会的な要因が絡み合っていると考えられます。

まず平均寿命の延伸が挙げられます。人生100年時代と言われる現代、定年後の人生が20年以上続くことも珍しくありません。「残りの人生を、我慢し続けるのではなく自分らしく生きたい」と考える方が増えるのは自然な流れでしょう。

女性の社会進出と経済力の向上も要因の一つです。かつては経済的な不安から離婚をためらう女性が多くいましたが、現在では自ら生計を立てる力を持つ女性が増えていると考えられます。

さらに、年金分割制度の導入も熟年離婚を後押ししています。婚姻期間中の厚生年金記録を夫婦で分割できるようになったため、離婚後の経済的な見通しが立てやすくなったと言えるでしょう。

このような社会的な変化が、熟年離婚をより現実的なものにしているのかもしれません。

熟年離婚に至る原因ランキング

熟年離婚には、若い世代の離婚とは異なる特有の課題や背景があります。ここでは、熟年離婚の代表的な原因を9つ紹介します。

性格の不一致・価値観の違い

熟年離婚の原因の一つとして、性格の不一致や価値観の相違が挙げられます。

結婚当初や子育て中は、仕事や子育てといった共通の目標があるため、夫婦間の多少の考え方の違いは大きな問題になりにくいでしょう。しかし、子どもの独立や定年退職を機に夫婦が二人で過ごす時間が増えると、これまで見過ごしていた価値観のズレが顕在化しやすくなります。

金銭感覚、老後の過ごし方、家事や介護への向き合い方などの考えの相違が積み重なり、ストレスを感じることもあるでしょう。話し合いを試みても理解し合えない、一方の価値観が尊重されない経験が積み重なると、精神的な溝はさらに深まります。

その結果、「もうこの人と一緒にいても楽しくない」「残りの人生を共に過ごしたくない」という考えに至り、離婚を選択するケースが少なくありません。

子どもの独立

子どもの独立が、離婚への意思を固める要因にもなります。

これまで「子どものため」という共通の目標に向かって協力してきた夫婦は、子どもが自立すると夫婦関係そのものを見つめ直す機会を得ます。会話が減少したり、互いへの関心が薄れたりするのが典型例です。

「親としての役割を終えた」と感じたのをきっかけに、離婚の意思を固める方も少なくありません。子どもが経済的にも精神的にも自立し、離婚が子どもに与える影響への懸念が軽減された結果、決断を後押しするケースもあるでしょう。

夫婦二人での生活に期待を持てず、不安や苦痛の方が大きいと感じたとき、離婚を具体的に考え始める方が一定数存在します。

義父母との不和・介護の負担

義父母との不和や介護の負担は、熟年離婚を考えるきっかけの一つとなります。

介護の負担が一方に偏ると、心身の疲労と共に「自分だけが犠牲になっている」と不満が募ります。配偶者から感謝の言葉や協力が得られない状況は、その孤独感をさらに深めるでしょう。

特に、もともと義父母との間に確執があった場合、介護は精神的な負担を大きくします。長年の価値観の違いや干渉で生まれた溝が、介護を機に決定的になるためです。このような状況で、配偶者が自分の味方にならず義父母の側に立つと、孤立感が増し、夫婦関係に修復しがたい亀裂が生じます。

また、実際に介護が始まる前から、将来を案じて離婚を決断するケースも少なくありません。「いずれこの負担が全て自分にのしかかる」という現実的な不安が、夫婦関係そのものを見直すきっかけとなり得ます。

退職による環境・心境の変化

退職による環境・心境の変化も、熟年離婚のきっかけになり得ます。

仕事中心だった生活が一変し、夫婦が四六時中顔を合わせるようになると、これまで隠れていた問題が表面化するためです。

たとえば、家事の分担、お金の使い方、休日の過ごし方など、些細なことへの価値観のズレが浮き彫りになるケースがよくあります。退職による収入減への不安や、社会との接点の減少による焦りや孤独感が、家庭内の雰囲気を悪くする原因になる場合もあるでしょう。

こうした環境の変化に対応できず、離婚を選ぶ夫婦も少なくありません。

配偶者からの身体的・精神的DV

熟年離婚の背景には、配偶者からの身体的・精神的暴力(DV・モラハラ)から逃れたい、という切実な理由があることも少なくありません。

身体的・精神的暴力は、民法が定める法定離婚事由の1つであるその他婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があります。法定離婚事由が認められれば、配偶者が離婚を拒否している場合でも、裁判を通じて離婚が可能です。

とはいえ、子どものためや経済的な理由から、長年暴力に耐え続けてきたケースも珍しくありません。

子どもが独立すると、これまで離婚をためらわせていた要因が解消されます。この人生の転機を迎えて、「もう我慢する必要はない」と離婚を決意される方もいるでしょう。

配偶者の無関心・家庭内での孤立

配偶者からの無関心や家庭内での孤立も、熟年離婚の原因となり得ます。

長年連れ添った夫婦でも、日常会話が減り、互いの関心事を共有しなくなると、心の距離が生まれます。子育てが終わり共通の話題が減ると、同じ屋根の下にいても会話のない家庭内別居状態に陥るケースもあるでしょう。

趣味に没頭する一方で配偶者を顧みない、あるいは配偶者が地域活動や友人と過ごす時間を理解しないなど、夫婦がそれぞれ別の方向を向くと、孤独感は一層深まります。

このような無関心と孤独感の蓄積が、「このまま一緒にいても幸せではない」という結論に至らせ、熟年離婚の決断を後押しする場合があります。

配偶者の過度な飲酒

配偶者の過度な飲酒が原因で、離婚を考える方もいます。

アルコール依存症の域に達すると、正常なコミュニケーションが困難です。加えて、飲酒を理由とした暴言や暴力、生活費の使い込みなどの問題に発展するケースもあります。

また、飲酒運転による事故や、健康問題による失業など、家庭の経済基盤を揺るがす事態を引き起こすリスクが常に付きまといます。特に定年後は時間的余裕から飲酒量が増え、問題が深刻化するケースも少なくありません。

健康問題が顕在化しても飲酒をやめない姿勢に、配偶者が絶望感を抱き、残りの人生を健全に過ごすために離婚を選択することもあるでしょう。

浪費・ギャンブル・経済的DV

老後の生活設計が目前に迫る熟年期において、お金の問題は夫婦関係を揺るがす原因となり得ます。

たとえば、配偶者の浪費やギャンブルで老後資金が使い込まれる、あるいは生活費を渡さないといったケースが挙げられます。また、お金の使い道を厳しく監視する経済的DVにより、精神的に追い詰められてしまうこともあるでしょう。

こうした経済的な問題が心身の困窮を招き、最終的に離婚に至るケースは少なくありません。長年の経済的不安や支配に耐えてきた配偶者が、退職金の受給などを見込めるタイミングで離婚を決意するケースも見られます。

配偶者の不倫・新しいパートナーの存在

配偶者の不倫が発覚し、長年築いてきた信頼関係が完全に崩壊するケースです。

不倫(不貞行為)は法律上の離婚原因として認められており、結婚生活の根幹を揺るがす深刻な問題です。特に熟年期の不倫は、若い世代と比べて発覚時の衝撃が大きく、「これまでの人生は何だったのか」という深い喪失感を伴うこともあるでしょう。

こうした裏切りをきっかけに、「残りの人生は自分らしく生きたい」と被害者側が離婚を決意するケースも少なくありません。

なお、不倫をした側(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認められません。

熟年離婚の主な3つのメリット

熟年離婚は、長年の悩みから解放され、新たな人生をスタートさせる機会となり得ます。

ここでは、熟年離婚の主なメリットを解説します。

精神的なストレスから解放される

熟年離婚のメリットとして、長年の結婚生活で蓄積された精神的なストレスから解放される点が挙げられます。

価値観の合わない配偶者との暮らしや、日々の言動に傷つくことから解放され、心の平穏を取り戻せるでしょう。相手の顔色をうかがう必要もなくなり、自分らしくのびのびと過ごせるようになります。

これまで我慢を重ねてきた方ほど、離婚によって得られる精神的な解放感は大きいでしょう。

自分のために時間を自由に使える

これまで家庭に費やしてきた時間を、自分のために使えるようになります。

子育て中は、自分の時間を犠牲にして家族のために尽くしてきた方も多いでしょう。離婚後は誰にも気兼ねすることなく、趣味や習い事、旅行など、思い描いていた生活を実現できる可能性があります。

自分のペースで生活を再構築し、新たな生きがいを見つける良い機会になるかもしれません。

舅姑問題や介護の責任から解放される

離婚によって、義父母との関係や介護の負担から解放される点もメリットの一つです。

長年にわたる嫁姑問題や義理の兄弟姉妹との不和に悩まされてきた方にとって、離婚は配偶者の親族と関わる必要がなくなる転機となり得ます。

特に介護については、自分の親だけでなく、配偶者や義両親の介護まで背負う将来への不安を抱える方もいるでしょう。介護には日常的な負担に加え、介護方針や費用分担を巡る親族間のトラブルが発生する可能性もあります。

離婚をするとで、こうした精神的負担から解放され、時間的・経済的な余裕を持てる場合があります。離婚後は配偶者や義理の親族と接する義務がなくなり、自分自身の老後を安心して過ごせる可能性が高いです。

熟年離婚の主な3つのデメリット

熟年離婚には、デメリットやリスクも存在します。後悔しない離婚の実現には、リスクを正しく理解し、十分な対策を講じるのが不可欠です。

ここでは、熟年離婚の主なデメリットを紹介します。

生活レベルが下がるおそれがある

熟年離婚において、特に注意すべきデメリットとして経済的な問題が挙げられます。

専業主婦(夫)の場合、離婚で世帯収入が減少し、生活レベルが下がる可能性があります。財産分与や年金分割を受けても、それだけで老後の生活を安定させられるとは限りません。新たに仕事を探すにしても、年齢的な制約から思うような収入を得られない場合もあるでしょう。

さらに、離婚により配偶者の扶養から外れると、国民健康保険への切り替えや保険料の負担が発生します。住まいを新たに借りる際の保証人の確保、日々の生活費、将来的な医療費や介護費用など、想定すべき支出は多岐にわたります。

そのため、離婚後の収入と支出を具体的にシミュレーションし、経済的に自立できる見通しを立ててから決断しましょう。

緊急時に頼れる人がいなくなる

いざというときに、身近に頼れる人がいなくなる可能性も考慮すべき点です。

長年連れ添った配偶者を失うと、精神的な孤独感に苛まれるかもしれません。離婚直後は解放感で満たされていても、時間が経つにつれて寂しさを感じるようになることもあります。

さらに現実的な課題として、病気や怪我、災害などの緊急時の孤立が挙げられます。加齢とともに健康面の不安は誰しもが増すものです。

すぐに助けを求められる存在がいないのは、心細く感じられるでしょう。

子どもや友人との関係性が変化する可能性がある

熟年離婚は、子どもや友人など周囲の人間関係に影響を及ぼす可能性も考えておく必要があります。

熟年離婚では子どもが成人していることも多いですが、両親の離婚に精神的ショックを受けたり、今後の関係に戸惑うかもしれません。場合によっては、経済的な援助や介護の負担をどちらかの親に求められる不安から、関係がぎくしゃくする可能性もあります。

また、これまで夫婦共通の友人だった人々との付き合い方が変わってしまうケースも考えられます。

新たな人間関係を築いていく心構えも必要になるかもしれません。

熟年離婚を切り出す前に準備すべきこと6つ

熟年離婚で後悔しないためには、周到な準備が必要です。

ここでは、熟年離婚を切り出す前に準備すべき6つのことを紹介します。

離婚後の生活設計と資金シミュレーションを行う

離婚を決意したら、まずは離婚後の生活を具体的にシミュレーションしましょう。

住居はどうするのか、仕事や収入のあてはあるのか、毎月の生活費はいくら必要なのかなど、現実的に洗い出すことが大切です。

財産分与や年金分割で得られる見込み額と、公的な手当なども含め、詳細な収支計画を立てましょう。特に、専業主婦(主夫)だった方は、経済的な自立に向けた準備を離婚前から始める必要があります。

シミュレーションを綿密に行うと、離婚後に必要な資金額が明確になり、離婚条件を検討する際の判断材料にもなります。

婚姻費用分担請求の準備をする

離婚が成立するまでの生活費として、婚姻費用を請求する準備もしておくとよいでしょう。

夫婦は離婚が成立するまで、収入の多い方が少ない方に対し、生活費を分担する義務があります。

離婚前に別居する場合、収入の低い側は相手に対して婚姻費用を請求できます。すぐに離婚に合意してもらえなくても、婚姻費用を確保できれば、当面の生活を維持しながら落ち着いて交渉を進められるでしょう。

請求には相手の収入資料(源泉徴収票など)があるとスムーズなので、事前にコピーなどの確保をおすすめします。

財産分与の対象となる共有財産をリストアップする

財産分与の対象となる共有財産を漏れなくリストアップしましょう。

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、原則として2分の1ずつに分ける制度です。夫婦どちらの名義かは問いません。

対象となる共有財産
  • 預貯金
  • 不動産
  • 自動車
  • 生命保険
  • 株式
  • 退職金 など

離婚を切り出す前に、どんな共有財産が、どこに、どれくらいあるのかを把握し、証拠となる資料も可能な限り集めておきましょう。住宅ローンなどの借金も、婚姻中に生じたものであれば分与の対象となる可能性があるため、負債についても把握しておくと安心です。

慰謝料請求のための証拠を収集する

離婚の原因が相手の不倫やDVなどにあるなら、慰謝料請求のための証拠を集めましょう。

慰謝料とは、相手の不法行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償です。

相手が非を認めない場合、慰謝料を請求するには、不法行為を客観的な証拠により証明する必要があります。

有力な証拠の例は、以下のとおりです。

不倫の場合

DVの場合

・性行為中の写真・動画

・ラブホテルに出入りしている写真・動画

・2人きりで旅行している写真・動画

・肉体関係の存在を窺わせるLINE・メールのやりとり

・探偵の調査報告書

・医師の診断書

・怪我の写真

・DVの様子を記録した音声・動画

・DVの状況を記した日記・メモ

・警察や配偶者暴力相談支援センター等への相談記録

離婚を切り出すと相手が証拠を隠すおそれがあるため、冷静かつ慎重に証拠収集を進めましょう。

年金分割制度の仕組みを理解する

老後の生活を支える年金分割制度の仕組みを理解しておきましょう。

年金分割は、婚姻期間中の厚生年金(旧共済年金を含む)の保険料納付記録を、夫婦間で分割できる制度です。専業主婦(主夫)などで自身の厚生年金加入期間が短い方でも、離婚後に相手の厚生年金の一部を受け取れる可能性があります。

年金分割には、夫婦の合意で手続きする合意分割と、扶養されている配偶者が単独で請求できる3号分割の2種類があります。

手続きには年金事務所で取得できる年金分割のための情報通知書が必要です。年金分割の請求は、原則として離婚が成立した日の翌日から2年以内に行う必要があるため、忘れずに手続きを進めましょう。

未成年の子どもがいる場合は親権と養育費を決める

未成年の子どもがいる場合は、離婚後の親権者を父母のどちらにするかを必ず決めなければなりません。親権者が決まっていなければ、離婚届は受理されません。

また、子どもが経済的に自立するまで、子どもを監護しない親は、監護する親に対して養育費を支払う義務があります。養育費の金額、支払期間、支払い方法についても、離婚時に具体的に取り決めておくのが重要です。

離婚時に養育費を定めないと、子どもを引き取る親が経済的に困窮するリスクがあります。子育てには教育費、医療費、生活費など継続的な支出が必要で、一人の収入だけでは十分でない場合が多いでしょう。また、後から請求しようとしても相手と連絡が取れなくなったり、交渉が難しくなったりするケースも少なくありません。

2026年の法改正で親権・養育費のルールが変わる

2026年4月1日以後は、法改正により離婚後の親権や養育費に関するルールが変わる点も把握しておきましょう。

大きな変更点の一つは、共同親権の導入です。現行では離婚後、父母のどちらか一方が親権を持つ単独親権のみです。改正後は、父母が協議して合意した場合、離婚後も双方が親権を持つ共同親権を選択できます。

また、養育費の支払いを確保する仕組みとして、法定養育費制度も導入されます。離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、離婚後の一定期間、法務省令で定める金額の支払いを請求できる制度です。

さらに、養育費等の債権に一般先取特権が付与されます。これにより、父母間の養育費支払いの合意書などがあれば、債務名義や執行文がなくても債務者の財産等の差し押さえが可能となります。

これから離婚を考える方は、こうした新しいルールについても情報を収集しておくことが大切です。

【状況別】熟年離婚の進め方

熟年離婚の進め方には、主に3つの方法があります。

まずは夫婦間の話し合いによる協議離婚、それが難しい場合は家庭裁判所を利用した調停離婚、最終的には裁判離婚へと進みます。

それぞれの特徴を理解し、状況に合った進め方を選びましょう。

協議離婚|なるべく穏便に話し合いたい

夫婦の話し合いで離婚に合意できるなら、協議離婚が最も穏便な進め方といえます。

裁判所を介さないため、手続きが最も簡単で、費用も時間もかかりません。厚生労働省の令和4年度離婚に関する統計の概況によると、離婚する夫婦の約9割(88.3%)がこの方法を選んでいます。

ただし、熟年離婚の場合、財産分与や年金分割など、決めるべき金銭的な条件が複雑です。

そのため、話し合った内容は必ず離婚協議書として書面に残しましょう。特に、金銭の支払いに関する取り決めは、強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくことを強くおすすめします。

そうすれば、万が一相手が支払いを怠った場合に、裁判なしで財産を差し押さえられます。

調停離婚|配偶者が離婚に応じてくれない

相手が離婚に応じてくれない、または話し合いにならない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

調停では、調停委員という中立的な第三者が夫婦の間に入り、双方の意見を聞きながら合意に向けた話し合いを進めてくれます。夫婦が直接顔を合わせずに済むため、感情的にならずに冷静な話し合いが期待できるのがメリットです。

調停で財産分与などの条件について合意し、それが調書に記載されれば、確定判決と同じ効力を持ちます。

ただし、あくまで話し合いなので、双方が合意しなければ調停は不成立となります。

裁判離婚|配偶者に不貞やDVなどの離婚原因がある

調停が不成立に終わった場合の最終手段が、裁判離婚です。

家庭裁判所に離婚訴訟を起こし、裁判官に離婚を認めるかどうかの判決を下してもらいます。

ただし、裁判で離婚が認められるには、法律で定められた離婚原因(法定離婚事由)が必要です。

具体的には、以下のいずれかの事由が存在することを、訴えを起こす側が主張・立証しなければなりません。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 回復不能な強度の精神病
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由

裁判は時間も費用もかかり、精神的な負担も大きいため、弁護士への依頼が不可欠といえるでしょう。

熟年離婚を回避したい場合に夫婦で取り組むべきこと

離婚が頭をよぎりつつも、できれば関係を修復したいと考える方もいるでしょう。長年連れ添ったからこそ、関係が改善する可能性は残されています。

手遅れになる前に、夫婦としてもう一度歩み寄る努力をしてみてはいかがでしょうか。

お互いの気持ちを正直に話し合う時間を作る

関係修復の第一歩は、お互いの気持ちを正直に話し合う時間を作ることです。

長年連れ添ううちに、「言わなくてもわかるだろう」と思い込み、本音で語り合う機会が減っている夫婦は少なくありません。

話し合う際は、相手を非難するのではなく、「自分はこう感じている」「こうしてくれたら嬉しい」と、自分の気持ちを主語にして伝えましょう。

お互いが抱える不満や感謝、将来への不安などを正直に共有すれば、誤解が解け、相手への理解が深まるきっかけになります。

直接顔を合わせると感情的になる場合は、手紙に書いて自分の気持ちを伝えたり、夫婦カウンセリングなど第三者の力を借りたりするのも有効です。

第二の人生のビジョンを夫婦で共有する

子育てが終わり、定年退職を迎える時期は、新しい関係を再構築するチャンスでもあります。これからの人生設計について、夫婦で一緒に考え、ビジョンを共有すると、再び共通の目標を持てるでしょう。

お互いがこれからやりたいこと(趣味や旅行、社会貢献活動など)を尊重し、どうすればそれを実現できるかを一緒に考え、応援し合う姿勢が大切です。また、夫の退職を機に、家事の分担を具体的に見直すなど、新しい家庭内での役割分担についてルールを決めるのも有効です。

健康維持のために一緒にウォーキングを始める、共通の趣味を見つけるなど、二人で楽しめる時間を作る努力が、冷え切った関係を改善するきっかけになるかもしれません。

感謝や労いの気持ちを言葉と行動で示す

感謝や労いの気持ちを言葉と行動で示しましょう。

長い結婚生活では、相手の存在が当たり前になり、感謝を伝えるのを忘れがちです。「いつもありがとう」「お疲れ様」といった些細な言葉でも、口に出して伝えると、相手の心に温かい気持ちが灯ります。

また、誕生日や結婚記念日を大切にしたり、小さなプレゼントを贈ったりするなど、行動で示すことも効果的です。

お互いの長年の労をねぎらい、尊重し合う姿勢が、失いかけた愛情や信頼関係を少しずつ回復させてくれるはずです。

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熟年離婚について相談できる窓口4選

熟年離婚は法的な知識が必要なため、一人で抱え込まず専門家への相談も積極的に検討してみてください。

適切な窓口に相談すれば、有利な条件で離婚を進めたり、精神的な負担を軽くできたりします。以下を参考に、ご自身の状況や悩みに合わせて、最適な相談先を選びましょう。

ベンナビ離婚(離婚問題に強い弁護士)

離婚を決意、あるいは具体的に検討し始めた段階で、頼りになる相談先が弁護士です。

「ベンナビ離婚」を利用すると、お住まいの地域で離婚問題に精通した弁護士を効率的に検索できます。

「熟年離婚に強い」「女性弁護士が在籍」など具体的な希望条件で絞り込み検索ができるため、自身の状況に最も合った弁護士を見つけやすいのが特徴です。

多くの法律事務所では初回無料相談を実施しています。複数の弁護士と話してみて、信頼できると感じた弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士探しを始める第一歩として、どのような専門家がいるのかを知るためにも、「ベンナビ離婚」を活用してみてください。

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離婚カウンセラー

離婚すべきか迷っているなど、心理的な支援が必要な場合は、離婚カウンセラーに相談するのも一つの手です。

離婚カウンセラーは、夫婦関係の悩みを聞き、心理的な側面から問題解決に向けて一緒に考えてくれます。心の整理を手伝ってくれる存在として、支えとなるでしょう。

弁護士に相談する前の段階で、自分の気持ちを整理するために利用するのも有効です。

ただし、離婚カウンセラーに法的な相談はできません。慰謝料がいくらになるか、裁判で離婚できるかといった法律が絡む悩みを抱えている方は、最初から弁護士に相談してください。

自治体の法律無料相談会

多くの自治体では、弁護士による無料の法律相談会を定期的に開催しています。

お住まいの地域の役所のウェブサイトや広報誌などで開催日時を確認し、予約をすれば、誰でも無料で弁護士に法律相談ができます。

ただし、担当の弁護士を選べない、その場で正式に依頼することは通常できない、といったデメリットもあります。

通常、相談時間が30分程度と限られているため、初期段階の疑問を解消し、専門家の意見を聞く場として有効に活用するのが良いでしょう。

法テラス

経済的な理由で弁護士への依頼をためらっている方は、法テラス(日本司法支援センター)に相談してみましょう。

法テラスは、国が設立した法的なトラブル解決のための総合案内所です。無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立替え制度を利用できます。

ただし、利用には厳しい条件があります。具体的には、以下の収入・資産基準を満たさないと利用できません。

家族人数

収入基準

資産基準

生活保護の基準に定める一級地

そのほか

地域共通

一人

200,200円以下

182,000円以下

180万円以下

二人

276,100円以下

251,000円以下

250万円以下

三人

299,200円以下

272,000円以下

270万円以下

四人

328,900円以下

299,000円以下

300万円以下

※生活保護の基準に定める一級地:東京都特別区・大阪市など
※家賃や医療費などを支払っていれば要件を満たしていなくても利用できる場合あり

また、法テラスでは特定の弁護士を指名できないため、熟年離婚の問題に詳しい弁護士に相談できるかはわからない点を理解しておきましょう。

費用面で不安があり、利用条件を満たす方は、一度問い合わせてみるのも選択肢のひとつです。

熟年離婚で弁護士に相談するメリット

熟年離婚特有の複雑な問題を、ご自身の正当な権利を守りながら、かつ円滑に進めるためには、弁護士への相談が有効です。

ここでは、弁護士に相談・依頼することで得られるメリットを紹介します。

手続きに関する法的なアドバイスが受けられる

弁護士に相談すれば、法的な知識不足で不利益を被ることを避けられるでしょう。

熟年離婚では、財産分与、年金分割、慰謝料など、法律の知識が必要な場面が数多くあるためです。弁護士に相談すれば、あなたの状況に応じた最適な解決策や、行使できる権利について的確なアドバイスを受けられます。

自分一人で進めると、本来もらえるはずだった財産を見逃したり、不利な条件で合意してしまったりするリスクがあります。弁護士のアドバイスを得て、周到に準備を進めると、より良い結果につながるでしょう。

離婚交渉を代行してもらえる

相手との交渉を弁護士に任せられる点も、メリットの一つです。

離婚の話し合いでは、長年の感情的なもつれから、当事者同士では冷静な交渉が難しいケースが少なくありません。弁護士が、あなたの代理人として、法的な根拠に基づいた現実的な話し合いを進めてくれるため、相手も無茶な要求をしにくくなります。

特に、相手が高圧的な場合やDVが離婚原因の場合には、直接顔を合わせずに交渉を進められるため、安心して手続きに臨めるでしょう。

精神的負担が軽減される

離婚手続きに伴う精神的な負担を大幅に軽くできるのも、弁護士に依頼するメリットです。

離婚は、ストレスを伴う出来事となり得ます。複雑な手続きや相手との交渉、将来への不安など、一人で抱え込むには負担が大きいです。

弁護士に依頼すれば、煩雑な手続きや交渉の矢面に立つ必要がなくなり、自身は離婚後の新しい生活の準備に集中できます。

熟年離婚に関するよくある質問5選

ここでは、熟年離婚を考える方から特に多く寄せられる5つの質問について、法的な観点からQ&A形式でわかりやすくお答えします。

Q. 配偶者が定年後うつ病になったことを理由に離婚できますか?

配偶者の合意が得られれば、協議離婚が可能です。

ただし、配偶者が離婚に応じない場合、うつ病という理由だけで、裁判所に離婚を認めてもらうのは難しいでしょう。うつ病そのものは、法律で定められた離婚原因にはあたらないからです。

もっとも、病気が原因で配偶者からDVを受けているなど特別な事情があれば、婚姻を継続し難い重大な事由があるとして、離婚が認められる場合もあります。

Q. 法律上の離婚原因がなければ離婚は難しいですか?

相手が離婚に合意すれば、協議離婚が可能です。協議離婚の場合、離婚届に双方が署名押印し、役所に提出すれば離婚は成立し、その理由は問われません。

法律上の離婚原因が必要となるのは、相手が離婚を拒否し、最終的に裁判になった場合です。ただし、長期間の別居などによって夫婦関係がすでに破綻していると認められれば、婚姻を継続し難い重大な事由として離婚が認められるケースもあります。

Q. 専業主婦でも財産分与は半分もらえますか?

専業主婦(夫)も、原則的には共有財産の2分の1を受け取る権利があります。

専業主婦(夫)の家事や育児といった貢献も、財産の形成・維持に不可欠な役割を果たしたと評価されるからです。

たとえば、夫の収入だけで形成された預貯金や不動産でも、妻は原則としてその2分の1を受け取る権利があります。

Q. 現時点では未支給の退職金も財産分与の対象になりますか?

退職金が労働の対価としての性質を有している場合、財産分与の対象になります。

一般的に、企業の退職金規定に基づいて支給される退職金は、給与の後払い的性質があると考えられているため、財産分与の対象となるでしょう。

ただし、退職金は通常、退職時に支給されるものです。そのため、退職がまだ先で受給が確定的とは言えない場合は、財産分与の対象にならない場合もあります。

なお、退職金に生活保障的性質が含まれる場合は、夫婦共有財産を清算する目的としての分与対象にはなりません。ただし、離婚後に一方の配偶者の経済的困窮が予測されるときには、扶養を目的として一定額の分与を受けられる場合があります。

Q. 別居期間が長いと財産分与はどうなりますか?

別居期間が長い場合、財産分与の対象となる財産の確定基準時が問題となります。

家庭裁判所の実務では、別居によって夫婦の経済的な協力関係が消滅したと判断される場合、別居時を基準として財産を確定するのが一般的です。

ただし、別居していても、一方が子どもを養育している場合など、経済的な協力関係が継続していると判断されれば、離婚時が基準となる可能性もあります。

なお、不動産や株式のような時価が変動する財産の評価については、離婚時を基準とする傾向にあります。

個別の事案によって判断が異なるため、詳しくは弁護士に相談してください。

まとめ|熟年離婚をお考えの方は経験豊富な弁護士に相談を

熟年離婚の原因は、性格の不一致や価値観の違い、子どもの独立、退職による環境変化など多岐にわたります。

後悔しない熟年離婚を実現するには、離婚後の生活設計と資金シミュレーションが欠かせません。財産分与の対象となる共有財産のリストアップ、年金分割制度の理解、慰謝料請求のための証拠収集なども事前に進めておきましょう。

財産分与や年金分割の金額も大きくなりやすいため、早い段階で離婚問題に精通した弁護士に相談してください。

弁護士は、法的なアドバイスを提供してくれるだけでなく、あなたの代理人として面倒な交渉を引き受け、精神的な負担を大きく軽くしてくれます。

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この記事の監修者
東京桜の森法律事務所
川越 悠平 (東京弁護士会)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。

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