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熟年離婚を弁護士に無料相談する方法|メリットや注意点などを解説

ゆら総合法律事務所
阿部 由羅
監修記事
熟年離婚を弁護士に無料相談する方法|メリットや注意点などを解説

熟年離婚をする場合は、離婚後の生活の目途を立てておくことが大切です。そのためには、離婚時に取り決める金銭的な条件が重要になります。

熟年離婚について、事前に弁護士に無料相談をすれば、取り決めるべき離婚条件の内容や、適正な離婚条件の水準などを知ることができます。無料相談を通じて信頼できる弁護士に出会えた場合には、離婚協議などの代理を依頼しましょう。

今回は熟年離婚について弁護士に相談するメリット、無料相談をする方法、相談時の注意点などを解説します。

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熟年離婚でよくある悩み・トラブル

熟年離婚で特に問題になることが多いのが、財産分与の問題です。

50代以降の熟年世代になると、長年の勤続によって資産の蓄えがあるケースが多く、高額の財産分与が必要となることもよくあります。

また、熟年世代では若者世代に比べて夫婦共働きの割合が少なく、特に妻が専業主婦であるケースが多い傾向にあります。この場合、熟年離婚をするに当たっては、妻側がどのように生活資金を確保するかが大きな問題となります。

総じて熟年離婚では、財産に関する離婚条件が争点になることが多いです。財産分与をはじめとする金銭的な離婚条件は、離婚後の生活に大きな影響を及ぼすため、弁護士のサポートを受けながらきちんと取り決めておきましょう。

熟年離婚について弁護士に相談するメリット

熟年離婚を円滑に成立させるためには、弁護士によるサポートが役立ちます。熟年離婚について弁護士に相談・依頼することの主なメリットは、以下のとおりです。

  • 適正な離婚条件がわかる
  • 離婚条件の交渉を代わりにおこなってもらえる
  • 公正証書の作成もサポートしてもらえる
  • 離婚調停・離婚訴訟の対応を一任できる
  • 離婚後の生活についてもアドバイスを受けられる

適正な離婚条件がわかる

配偶者と離婚する際には、以下のようなさまざまな離婚条件を取り決める必要があります。

  • 財産分与(+年金分割)
  • 慰謝料
  • 婚姻費用
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流の方法

各離婚条件には、法律・裁判例・実務を踏まえた適正な水準(相場)があります。

それを知らずに離婚条件を取り決めてしまうと、いずれかが大きな不利益を受けてしまうことになりかねません。

弁護士に相談すれば、各離婚条件の適正水準がわかるので、相手の要求が合理的か不合理かを判断できるようになります。

その結果、不当に不利な離婚条件を受け入れてしまう心配がなくなります。

離婚条件の交渉を代わりにおこなってもらえる

離婚を検討するまでに至っている状況では、夫婦仲は険悪なケースが多いでしょう。

その場合、顔を合わせて話し合うだけでも嫌な気分になり、精神的に大きなストレスがかかってしまいます。

弁護士に依頼すれば、離婚条件の交渉を代わりにおこなってもらえます。

弁護士を通すことで、論点が整理された建設的な話し合いが期待できるほか、相手と顔を合わせることによるストレスも回避できます。

公正証書の作成もサポートしてもらえる

夫婦間で離婚の合意が成立した場合、その内容をまとめた公正証書を作成しておくのがよいでしょう。公正証書は、公証人が作成する公文書です。

公正証書を作成することで、離婚に関する合意内容が明確化され、離婚後のトラブルの防止に繋がります。原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんを防止できるメリットもあります。

また、財産分与・慰謝料・婚姻費用・養育費など金銭の支払いが滞った場合は、公正証書※を債務名義として強制執行を申し立てることが可能です。

公正証書を作成する際には、公証役場との間で案文の調整をおこなわなければなりません。弁護士に依頼すれば、公証役場との調整も代行してもらえるほか、作成当日の立会いも任せることができます。

※債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述(=強制執行認諾文言)が記載されている場合に限ります。公正証書を作成する際には、強制執行認諾文言を記載するのが一般的です。

離婚調停・離婚訴訟の対応を一任できる

離婚についての話し合いがまとまらない場合は、離婚調停・離婚訴訟によって争うことになります。弁護士に依頼すれば、離婚調停・離婚訴訟の対応を一任できます。

調停委員や裁判所に対して、弁護士が法的な観点から説得的に主張を伝えることにより、有利な条件で離婚が成立する可能性が高まります。

用語解説
離婚調停
離婚するかどうか、および離婚する場合は離婚条件について、調停委員による仲介の下で話し合う手続きです。家庭裁判所に対して申立てをおこないます。
 
離婚訴訟
離婚の可否および離婚条件について、公開法廷で争う手続きです。離婚調停が不成立となった場合に、家庭裁判所に対して提起します。家庭裁判所は、法定離婚事由(民法770条1)のいずれかが存在する場合に限り、離婚を認める判決を言い渡します。この場合、各種の離婚条件についても判決主文で示されます。

離婚後の生活についてもアドバイスを受けられる

専業主婦(主夫)の方が熟年離婚をする場合、離婚後の生活資金をどのように確保すべきかが重要な問題となります。

弁護士には、離婚後の生活についてもアドバイスを求めることが可能です。見込まれる支出に対してどの程度の資産・収入が必要なのか、それを確保するためにはどのように離婚条件を交渉すべきかなどについて、状況に合わせた具体的なアドバイスを受けられます。

熟年離婚について弁護士に無料相談をする方法

熟年離婚について弁護士に相談する際には、原則として相談料を支払う必要があります。

ただし、以下のいずれかの方法によれば、熟年離婚について無料で弁護士に相談することが可能です。

  • 法律事務所(弁護士事務所)の無料相談を利用する
  • 法テラスの無料相談を利用する
  • 自治体の法律相談会に参加する

法律事務所(弁護士事務所)の無料相談を利用する

離婚問題については、多くの弁護士が無料相談を実施しています。相談料が無料となるのは、初回相談に限定されるケースが多いです。

しかし、離婚手続きの流れや離婚成立の見通しなどを知りたい場合は、無料相談の時間内でも具体的なアドバイスを受けられるでしょう。

複数の法律事務所の無料相談を利用すれば、弁護士の能力・サービス内容・弁護士費用などを比較することもできます。

離婚問題について無料相談を実施している弁護士は、その旨をホームページなどに掲載しているケースが多いです。お住まいの地域の近くで、無料相談を実施している弁護士を探してみましょう。

熟年離婚を無料相談できる弁護士を探すなら「ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)」

「ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)」を利用すると、地域や相談内容に応じて弁護士を検索できます。初回相談無料の弁護士も多数掲載されており、電話またはメールで問い合わせが可能です。

熟年離婚について相談できる弁護士をお探しの方は、ぜひベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を利用してみてください。

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法テラスの無料相談を利用する

収入・資産の要件が一定水準以下の方は、「法テラス(日本司法支援センター)」の無料相談を利用できます。

1つの事件当たり3回まで無料相談を利用できるほか、弁護士費用の立替払い制度も利用可能です。

なお、法テラスの契約弁護士に依頼する場合は、弁護士経由で立替払い制度の利用を申し込むこともできます。法テラスとの契約の有無については、相談先の弁護士へ確認してください。

自治体の法律相談会に参加する

各市区町村では、定期的または不定期に法律相談会を実施していることがあります。1回当たり20分から30分程度の時間枠で、弁護士などに無料で法律相談ができます。

熟年離婚に関する対応をそのまま依頼することも可能です。相談できる弁護士に心当たりがない方にとっては、法律相談の入り口として活用できるので、都合が合えば市区町村役場の窓口で申し込んでみましょう。

熟年離婚について依頼する場合の弁護士費用

熟年離婚について弁護士に依頼する場合、主に以下の弁護士費用が発生します。

依頼前の段階で見積もりを取得して、弁護士費用に関する疑問点を解消してから依頼しましょう。

  • 着手金
  • 報酬金
  • 日当
  • 実費

各費用について、「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考にした目安額を紹介します(いずれも税込)。具体的な金額・計算方法は弁護士によって異なるので、相談先の弁護士へ確認してください。

着手金|依頼時に支払う

着手金は、熟年離婚に関する対応を弁護士に依頼した際に支払います。一括払いが原則ですが、弁護士に相談すれば分割払いを認めてもらえることもあります。

離婚事件の着手金額の目安

基本報酬

調停・交渉:22万円~55万円

※離婚協議から離婚調停を受任するときの着手金は、上記の額の2分の1

訴訟:33万円~66万円

※離婚調停から離婚訴訟を受任するときの着手金は、上記の額の2分の1

財産分与・慰謝料等の請求

下表のとおり

財産分与・慰謝料等の請求に関する着手金額の目安

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の8.8%

300万円を超え3,000万円以下の場合

経済的利益の額の5.5%+9万9,000円

3,000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の3.3%+75万円9,000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の2.2%+405万9,000円

※着手金の最低額は11万円

報酬金|案件終了時に支払う

報酬金は、熟年離婚に関する弁護士の対応が終了した際に支払います。離婚成立に関する報酬に加えて、財産分与・慰謝料などの経済的利益を獲得できた場合には、その金額に応じた報酬が発生することが多い傾向にあります。

離婚事件の報酬金額の目安

基本報酬

調停・交渉:22万円~55万円

訴訟:33万円~66万円

財産分与・慰謝料等の請求

下表のとおり

財産分与・慰謝料等の請求に関する報酬金額の目安

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の17.6%

300万円を超え3,000万円以下の場合

経済的利益の額の11%+19万8,000円

3,000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の6.6%+151万円8,000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の4.4%+811万8,000円

日当|出張時に発生する

日当は、熟年離婚に関する対応に関して、弁護士が主張した場合に発生します。

日当が発生するのは、たとえば調停・審判・訴訟期日に弁護士が出席する場合などです。

離婚事件の日当額の目安

半日(往復2時間超4時間以内)

3万3,000円以上5万5,000円以下

一日(往復4時間超)

5万5,000円以上11万円以下

実費|調停・訴訟費用など

熟年離婚に関する対応の過程で、弁護士が費用を支出した場合には、実費相当額が依頼者負担となります。

実費として発生する費用には、以下のようなものがあります。

  • 郵送費
  • 印刷費
  • 公的書類の取得費
  • 弁護士の交通費
  • 離婚公正証書の作成に係る公証人手数料
  • 調停申立ての費用
  • 訴訟費用

熟年離婚について決めるべき条件

熟年離婚をする際には、主に以下の離婚条件を取り決める必要があります。

離婚後のトラブルを避けるため、生活資金を確保するためにも、適正な水準にて各条件を取り決めましょう。

  • 財産分与(+年金分割)
  • 慰謝料
  • 婚姻費用
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流の方法

財産分与(+年金分割)

夫婦のいずれかが婚姻中に取得した財産は、原則として財産分与の対象となります(ただし、相続・贈与などによって自己の名で得た財産を除きます。民法762条1項、2)。

財産分与の割合は、夫婦間で半々とするのが原則です。ただし、合意の下で異なる割合による財産分与をおこなうことはできます。

なお、財産分与の一環として、厚生年金保険の加入記録を分割する「年金分割」が認められています。

特に専業主婦(主夫)の方や、配偶者より収入が少ない方は、年金分割によって将来の年金収入が増える可能性が高いです。

熟年離婚の場合、年金分割も非常に重要なポイントになるので、漏れなく請求をおこないましょう。

【参考】離婚時の年金分割|日本年金機構

慰謝料

以下のような理由から、離婚について配偶者側に責任がある場合には、慰謝料を請求できます。

  • 不貞行為
  • DV
  • モラハラ
  • 悪意の遺棄

慰謝料の金額はケースバイケースですが、婚姻期間が長ければ長いほど、慰謝料は高額になる傾向にあります。事情によっては、300万円程度の慰謝料が認められる可能性もあるでしょう。

婚姻費用

離婚前に配偶者と別居する場合は、婚姻費用の精算をおこないます(民法760)。

離婚時に精算する婚姻費用は、婚姻中にもかかわらず別々に生計を営む夫婦の間で、生活格差を是正する意味合いがあります。

婚姻費用を計算する際には、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」が参考になります。

【参考】養育費・婚姻費用算定表|裁判所

親権

子どもが18歳未満の未成年者である場合は、離婚後の親権者をどちらにするか決める必要があります。

熟年離婚の場合は、子どもの年齢が比較的高くなっているケースが多いです(中学生、高校生など)。

その場合、親権者の決定に当たっては子どもの意思が尊重される傾向にあります。

いずれにしても離婚後の親権者は、子どもの利益を最も優先的に考慮して決定しなければなりません(民法766条1)。

養育費

子どもが独立していない場合は、養育費の分担についても定める必要があります。養育費を計算する際には、裁判所が公表している「養育費算定表」が参考になります。

なお、子どもが成年(18歳以上)であっても、経済的に独立していない場合(大学生など)には、引き続き養育費を支払うべき場合があるので注意しましょう。

【参考】養育費・婚姻費用算定表|裁判所

面会交流の方法

子どもが18歳未満の未成年者である場合、非監護親(子どもと同居しない親)と子どもの面会交流の方法を取り決めておきましょう。

面会交流の方法を決定する際には、親の都合だけでなく、子どもの都合も考慮する必要があります。

特に子どもの年齢が高い場合(中学生、高校生など)には、学校生活や塾などの活動に支障が生じないように配慮すべきでしょう。

熟年離婚について弁護士に無料相談する際の注意点

熟年離婚について弁護士に相談する際には、以下の各点に注意しながら準備を整えたうえで、実際の相談に臨みましょう。

  • 離婚したい理由と経緯を説明できるように準備する
  •  希望する離婚条件を考えておく
  •  弁護士費用の見積もりを提示してもらう
  •  複数の弁護士を比較する

離婚したい理由と経緯を説明できるように準備する

円滑に熟年離婚を成立させるためには、夫婦間の背景事情を十分に踏まえて話し合うことが大切です。

弁護士といえども、背景事情を無視して杓子定規に対応してしまっては、離婚協議をまとめることは困難です。

そのため、弁護士は法律相談を通じて、夫婦の背景事情を詳しく聞きたいと考えています。

弁護士が事案の内容をよく理解できるように、離婚したい理由や経緯については、説明できる形で事前にまとめておくのがよいでしょう。

そうすれば、弁護士から具体的なアドバイスを受けられるほか、弁護士の側でもスムーズに案件対応へ着手することができます。

希望する離婚条件を考えておく

弁護士は、できる限り依頼者の希望する条件に沿って、離婚を成立させてあげたいと考えています。

離婚協議等に関する対応の仕方も、依頼者の希望する離婚条件によって変わります。

そのため、少なくとも以下の離婚条件については、自身の希望する内容・水準を事前に考えておきましょう。

  •  財産分与(+年金分割)
  •  慰謝料
  •  婚姻費用
  •  親権
  •  養育費
  •  面会交流の方法

弁護士費用の見積もりを提示してもらう

熟年離婚について依頼する場合の弁護士費用は、依頼先の弁護士によって千差万別です。

そのため、弁護士と委任契約を締結する前の段階で、必ず弁護士費用の見積もりを提示してもらいましょう。

なお、後に予期せぬ費用を請求されて、弁護士との間でトラブルになるケースもあります。

弁護士から提示された見積もりについては、その内訳や含まれていない費用などを確認してください。

複数の弁護士を比較する

信頼できる弁護士に熟年離婚の対応を依頼するには、複数の弁護士を比較することをおすすめします。

離婚問題について、無料相談を実施している弁護士はたくさんいます。

お住まいの近くで無料相談を実施している弁護士を探して、何人かの弁護士に連絡してみましょう。

まとめ|熟年離婚の無料相談はお早めに

熟年離婚をする場合は、離婚後の生活を見据えて、金銭的な離婚条件が重要な争点となることが多いです。

適正な条件による離婚を早期に成立させるためには、弁護士へのご相談をおすすめします。

弁護士に相談すれば、熟年離婚の際に注意すべきポイントにつき、状況に合わせた具体的なアドバイスを受けられます。

また、離婚協議・離婚調停・離婚訴訟などの手続きも、弁護士に一任できるので安心です。

配偶者との熟年離婚を検討中の方は、お早めに弁護士の無料相談を利用してみてください。

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この記事の監修者
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅 (埼玉弁護士会)
不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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