解決のためのポイント
財産分与はお金の流れと情報収集が重要です
財産分与は、離婚時あるいは別居時に存在した夫婦の共有財産を分ける制度です。何よりも早期に、財産の開示と整理を行うことが大切です。
しかし、相手に財産を隠されてしまうと、いくら裁判所といえども、何かないかと探してくれるわけではありません。
不動産は隠しようがないからまだいいとして、その他、特に金融資産については、せめて、どこの銀行に預金があるかくらいは知っておかないと調べようもないのです。
同居しているうちから、お互いの財産についてはよく情報を集めておくことが肝要です。
また、こちらの財産についても、独身時代から持っていた財産や、親からもらったものなど、夫婦の共有からはずれるものについては、外れると主張する方に立証責任がありますから、常日頃から、お金の流れがわかるような証拠を残しておくことが大切です。
親権は過去の養育監護実績が重要です
親権者とは、過去現在未来において、もっぱら養育監護を行うものを言います。男女の差はありません。資力の差も関係ありません(最も、全く生活力がない、というのでは困りますが)。
ただし、親権の争いになったとき、未来の養育監護については、双方、精一杯自分が適切であると主張するでしょうから、五分五分として、要は、過去もっぱら誰が養育監護してきたのか、という点につきます。
ここで女性が専業主婦だった場合には、どれほど男性がお手伝いをしていようと、お手伝いはお手伝いですから、ポイントにはなりにくいので、もっぱら女性側が養育監護してきたと認定されることが多いと結果的にはなります。
あとは現在の状況ですが、ここも別居して間もなかったり、不安定な状況だと、どちらに軍配を上げるのも難しいことが多くです。
その結果、多くの場合は日本においては、もっぱら養育監護を担う性が女性であることが多いため、女性の方が親権者になることが多いということです。
ですので、親権を争うのであれば、過去、そして現在、自身がもっぱら養育監護を担っているという立証と、将来も十分自分が監護できるという立証が必要になります。
解決事例
依頼者の状況
夫のモラルハラスメントにより離婚を決意するも、財産の管理をすべて夫にまかせていたため、全く財産があるのかないのかがわからない。もちろん、ご本人にも蓄えがない状況でした。
解決へのアプローチ
別居の前に、家に置いてある帳簿類、あるいは郵便物などをきちんと確認し、どこの銀行と取引があるのか、あるいは、どこの口座にどれほどの預貯金があるのか、などをきちんと把握しておくことが大切とお伝えしました。
その上で、別居して、離婚調停を起こし、適切な財産分与を求めることが肝要です。
結果
家の整理をきちんとしたことで、夫の管理している資産がどれくらいあるのか、だいたいの情報を把握でき、また夫が管理していた自分名義の口座の通帳も発見できたため、この資金により、別居を決行し、離婚調停に持ち込み、相応の財産分与を得て離婚することができました。
夫が管理していた自分名義の通帳のお金は別居のために使ったが、別居時の金額で精算すればいいため、使うこと自体は問題ありません。
最終的には、夫名義の不動産、ならびに、預貯金が相当額あったため、分与手続きの中で金銭精算をお互いに行う中で解決に至りました。
離婚弁護をするにあたっての心がけ
私は「離婚はされるものではなくて、するもの」と必ず依頼者にはお伝えしています。
自分が主体的に動くこと、別居についても、離婚調停についても自分が用意をし、自分が動くことが大切です。先手先手をとることはどんな勝負ごとでも鉄則です。
主体的に動くことで相手にも本気度が伝わりますし、譲歩を引き出すことができます。最初の喧嘩のタイミングを逃さないことです。