東京スタートアップ法律事務所の代表である中川弁護士。

世間の弁護士のイメージとしてスーツを着て落ち着いた硬い雰囲気という印象がありますが、彼は見た目は勿論、webツールの導入を積極的にして作業の効率化などを行う革新的な弁護士です。

目標は日本一の弁護士事務所への成長と新たな弁護士像の確立。そんな高い志を持つ中川弁護士の魅力に迫るインタビューです！

原則リモート勤務！法律相談もオンラインで対応

――現在は、どのような案件に対応することが多いのでしょうか？

民事事件、刑事事件どちらも対応しています。
どちらも原則リモートワークで対応し、刑事事件の場合、必要に応じて面会（接見）に向かうようにしていますね。現状、当事務所ではどの業務にもリモートワークで対応しているので、面談やご依頼者とのやり取りはZOOMや電話などオンラインなんです。

――法律事務所ではなかなか珍しい対応体制であるような気がします。

実はリモートで対応できる案件だけに絞った方が、さまざまな費用が浮いて経営上のメリットが大きいんです。それが弁護士の給与にも反映されて、結果的に良い人材が集まりやすいというメリットにもつながっているので、良い方向に進んでいると思います。
また、通勤にかかる体力や時間を仕事に回すことが出来るので、結果的にご依頼者さまにもお返しできるかと思いまして。

――なるほど…。逆にリモートだとできない業務もあるのでしょうか？

紙媒体の資料が必要な借金問題に関しては電子化が難しいので、思い切って撤退しようかと思っています。段階的に企業法務や相続など、他分野に移行できたら…と思っていますね。

フランクな雰囲気からも垣間見える「相談者・依頼者への想い」

――インタビューしていく中で、中川先生は非常に「ラフ」であるなと感じますね。

多くの方は威厳のある堅い雰囲気を持った弁護士の方を好むかもしれませんね(笑)　なので私、「年齢より若い」と言われることが結構悩みでして…。

当事務所のホームページなどでは、フレッシュさやフランクさを全面にアピールしているので、そういった雰囲気がお好きな方が相談に来ていただければいいな、と思います。依頼には、事務所とお客様の相性が重要であると考えていますから。どうしても「合う、合わない」の話になってしまうと、同意が得られず、サポートも円滑に進まないんです。手続きが滞ってしまうのは、ご依頼者のためになりません。

――確かに、相性は人と関わって仕事をする上では欠かせないですよね。

そうですね。重要なのは相手に真摯に対応して満足のいくサービス提供をすることであって、顧客相手に畏まることではないですからね。もちろん、ＴＰＯに合わせて対応することも重要ですが、「ありのままの姿」で対応することは事務所のカラーとしても大切にしています。

――満足のいくサービス、ですか！それは心掛けでもあるのでしょうか？

そうですね。あとは、相手のニーズに真摯に応えていくことを意識していますね。
相手に不快な思いをさせないとか、お金を払っていただいている方に対して対価以上のものを提供するなどというのも、これはサービス提供者としての義務ですので、意識するまでもなく当然行うべきことだと思います。

経営者だからとかではなく、もちろん従業員も同様で、自身の給料はお客様から払っていただくものによって成り立っているわけですから、ぞんざいな対応をしたり、偉そうな態度をとったりするのはあり得ないことですよね。お客様に後悔させないように、できる限り尽力するようにしています。

弁護士になるまでの経緯

――弁護士を目指されたきっかけは何だったのでしょう？

小さい頃は、バスケのプロ選手になりたかったんです。弁護士と無縁ですよね(笑)
ただ、大学在学時にバスケには限界を感じて諦めました。そのまま会社員になるか、と考えたとき「いや、向いてないな」と。

それで当時在籍していたのがたまたま法学部だったので、弁護士になろうと、その時に初めて思いました。
でも中学以来、勉強は全然してこなかったので勉強がつらかった記憶しかないな…(笑)　最初は苦戦しましたが、無事に合格しました。

――そこから弁護士業務がスタートするんですね。

修習を受けた後、大阪の小さな法律事務所に入所しました。そこを退所後は、友人の勧めもあり大手の法律事務所に入りましたね。

弁護士業務はもちろん対応していたのですが、一端業務をお休みして、事務所に籍を置いたままいろいろな活動をしました。
旅行しながら株のデイトレードをしたり、バスケットのプロ選手になるための試験を受けたり、アプリ開発に携わったり…。特にプロ選手の試験は、けじめとして受けたんです。これで駄目なら本当に諦めようって思っていました。

幅広く活動したことは良かったですが、当時は自分のアイデンティティに対しての疑問がありました。「自分はいったい何をしている人間なのか」と思って、経営者の友人に相談したんです。友人には「事務所を作って大きくしてみたら？」と言われ、三年ほどで経営から退く予定で当事務所を設立しました。

しかし、経営していく途中でこの事務所を拡大させるという使命感と、弁護士業務の楽しさが相まって、現役で活動し続け今に至ります。

国内だけでなく、海外マーケットにも目を向ける

――今後の目標や展望はございますか？

これまでの弁護士像を崩し、新たな弁護士像を確立したいです。そして、事務所を一番の法律事務所にしたい、という強い思いがあります。
そして、日本のアップデートに貢献していくことですね。当事務所では、「アップデートジャパン（update Japan）」と言って設立時から掲げている目標でもあります。そのために、海外から、日本に企業を連れてきたいんです。

――海外企業を日本に連れてくるとはどういうことでしょうか？

例えば、海外から日本に進出予定の企業が、日本で法律事務所を探すとします。
まず、そもそもの現状として、個人様を相手にするだけでは、他の大手法律事務所に敵わないというのが正直なところです。

法人様を相手にするにしても、他の大手法律事務所は日本の上場企業と契約を結んでいるということもあって、自分達が同じように努力して1番を獲得できるかというと、難しいところがあるでしょう。

そのように考えた際、やはり海外企業の方がマーケットとしては大きいので、海外に目を向ければ１番を獲得できる可能性があると思っています。

しかし、例えばアメリカで戦ったところで、アメリカにある法律事務所との競争に負けてしまうでしょう。
なので、「他国への進出を考えている海外企業が、現地の法律事務所を探す」というところが狙い目だと考えています。
そこを狙っていければ、日本企業よりも外資の方がプレゼンスを発揮してお金もあるという状態で、日本の上場企業とつながりのあるような大手法律事務所にも勝てる見込みがつくのではないかと思っています。

ただし、まずそのように動くためには十分な実績を作らなければいけません。そのためにも、現在は個人様などを相手に、法律問題の解決に専念しようと考えています。

――過去に沢山の方とインタビューを経験してきましたがここまで将来の展望について伺うことは初めてです…。

将来のキャリアの歩み方は人それぞれなので、気にすることはないと思います(笑)

――ゆくゆくは海外進出も考えていますか？

海外を拠点にしている事務所はありますが、個人的には現地に事務所を置くことは全く考えていません。
ただ、事務所の経営が落ち着いたら、海外への留学は考えています。私がいなくても大丈夫なぐらい事務所の体制が確立したタイミングで、アメリカのサンフランシスコまたはニューヨークへ留学に行きたいと考えていて、今は留学先について情報収集したりもしています。

もともと「グローバルで通用する人間になりたい」という想いがずっとあって、コンプレックスみたいなものが残っているところもあったので、もし実現すればそういったところも解消できるだろうなと思っています。