マインドフルネス瞑想の効果や実践方法とは?駿河台大学相馬先生にインタビュー

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公開日:2020.10.27  更新日:2020.12.21
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マインドフルネス瞑想の効果や実践方法とは?駿河台大学相馬先生にインタビュー

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マインドフルネス瞑想とは「今に気づきを向けてありのままを受け入れる」ことを重視した瞑想を指し、精神保健や医療の現場から企業内の社員研修まで、幅広い領域で取り入れられるようになっています。

日本での認知度も高まっており、育児・家事・仕事などのタスクに日々追われている方なども、日常の中に取り入れてみることで心にゆとりが生まれ、日々のストレスとのかかわり方が変化するかもしれません。

そこで今回は、マインドフルネス瞑想の効果や実践方法などについて、駿河台大学の相馬先生にお話を伺いました。

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マインドフルネス瞑想とは

アシロ取材班

まずはマインドフルネス瞑想の概要についてお聞かせいただけますでしょうか。 

相馬先生

マインドフルネスをご紹介するときに私は「今起こっていることや、体験していることに対して気づきを向けて、それに対して良い悪いとかの評価はせずに、ありのままを見つめていく心の態度」と伝えています。

 

「今ここに気づきを向けること」と「今ここを受け入れること」という、気づき受容の2つがマインドフルネス瞑想の中で非常に重要であると言われています。

アシロ取材班

なるほど。そうなんですね。

相馬先生

我々は普段、本当にいろんなことを考えて生活しています。例えば、

・今日の夕飯のメニューをどうしようか

・今週中に終わらせなければならない仕事のスケジュールをどう立てようか

等、様々な事柄について思考を巡らせながら生活しています。

 

また一方で過去のことを考える機会も少なくありません。

例えば、昨日来たメールの返信が必要であったことを思い出したりと、本当にいろんなこと考えています。過去や未来のことばかりを考えてしまうあまり、逆に今ここに集中ができないことが日常生活においてよく起こり得ます。

 

常に考え事に追われた状態で日常生活を送ると、脳が休む暇がないので、ヘトヘトに疲れてしまうことにもなりかねません。

 

お母さんの日常生活を例にしてみると、例えばお子さんが学校から大事なお知らせ、保護者会のお知らせ等のお手紙をもらってきて、それを読まなければいけないという状況は、よく起こりうると思います。

 

その時に、その場で読む必要があるにもかかわらず、読んでいる最中にこの後のタスクリストが頭の中にどんどん浮かんできて、手紙の内容に集中できなくなり、同じところを何度も読み返してしまったり。

結局、最後まで読み終え、内容を理解するまでに余計に時間がかかってしまう場合があります。

 

また、一休みしようとお茶を飲む際にも、一口飲んだ次の瞬間には、勝手にスマホの方に手が伸びて、SNSをチェックしている。そして、ママ友の近況を読んで一喜一憂したりとか。テレビのCMに気がとられて、また違うことを始めてしまったりとか。

結局脳を休ませることが出来ていない、せっかく淹れたお茶の味もわかってないということもままあることでしょう。このような出来事は,日常の中で誰しも経験したことがあると思います。

 

マインドフルネスでは、今ここに受容的な気づきを向け、今ここに存在する自分と繋がる、あるいは自分の周りの大事な人と繋がるということに重きを置いています。

 

そうした心の態度を養うトレーニング方法がマインドフルネス・トレーニングです。

アシロ取材班

確かに、日々の喧騒の中で、「心ここにあらず」の状態で生活されている方は少なくないと思いますね。

相馬先生

心理学の研究でも、変えられない過去を悩み続けたり、不確定な未来についてぐるぐると不安に思ったりする傾向の強さは、心の健康にネガティブな影響を及ぼすと言われています。

 

また「○○しなければいけない」、「○○であるべきだ」といったような、いわゆる「べき思考」を持つ傾向が強い方も、心ここにあらずになりやすいと言われていますね。

 

このような「べき思考」を持つ方の中は、理想と現実のギャップに注目しすぎるあまり、理想通りにいかなかった自分を過度に責めたり、理想通りにならない世の中(社会)を悲観したり、時には、他者を責めたり…こうした心の使い方にはまり込んでしまう方がいます。

 

自分や周囲を責めることに心のエネルギーが奪われて、「今何をしなきゃいけないのか」、「何がしたいのか」という方に、目が向かなくなってしまっている状態ですね。

 

このような心の使い方では、結局脳が疲れるだけ、ネガティブ感情が強まるだけという悪循環に陥ってしまうことが少なくありません。

 

そうならないための、これまでとは異なる心の使い方をトレーニングするうえでも、マインドフルネス瞑想は有効です。

マインドフルネス瞑想の効果

アシロ取材班

実際にマインドフルネス瞑想でいろんな効果があるな、と私自身もすごく実感した経験があります。

マインドフルネス瞑想を行うことで、一般的にはどのような効果が得られるのか教えていただいてもよろしいでしょうか?

相馬先生

マインドフルネス瞑想を日々継続して行うことで、注意の切り替えが上手になる効果があるとされています。過去への後悔の念や未来への不安で頭の中がいっぱいの状態から抜け出して、今やるべきことに集中しやすくなると言われています。

 

また、今に集中できるようになることで、感情コントロール力が身に付くという効果も注目されつつあります。

アシロ取材班

なるほど。感情コントロール力にも直結しているとは、驚きですね。

マインドフルネス瞑想によってなぜ感情コントロール力が身につくのでしょうか?

相馬先生

たとえば、過去のネガティブな出来事を思い出した際に、「あのときああしなければよかった」と後悔の念が生じることがあります。

 

不思議なもので、あるエピソードを思い出すと、それに関する別のエピソードも思い出されることがよくあります。これまでの上手くいかなかったネガティブな出来事が、勝手に、連鎖的に思い出されてしまうんです。

 

そのような状態に陥ると、後悔の念や、抑うつ感情がますます大きくなっていきます。これが、ネガティブな思考や感情に巻き込まれた状態です。

 

日々マインドフルネス瞑想を実践することで、このような状態に陥っている自分自身に客観的に気づくことが出来るようになります。この「気づく」というのが大切です。

「あぁ、今、巻き込まれていたな」と気づくことにより、その状態を手放す機会を得ます。

 

その結果、ネガティブな思考や感情が次々と強まっていくという悪循環を止めることができるというわけです。

 

今ここに注意を戻すことが可能になると、ネガティブな思考や感情の連鎖によって増殖した抑うつ感情や不安感情に巻き込まれずに済むようになります。

アシロ取材班

小さく起こった感情を自分でどんどん広げていかずに、小さい状態のままでネガティブ感情を受け流すことができるというスキルが身に付くのですね。

母子でできるマインドフルネス瞑想の手法と効果

アシロ取材班

次に、母子間でできるマインドフルネス瞑想の手法についてお伺いできればと思います。

相馬先生はマインドフルネス瞑想にヨーガを取り入れてらっしゃると伺いました。

 

まずは、マインドフルネス瞑想とヨーガの相乗効果をお聞かせ頂けますでしょうか。

相馬先生

ヨーガは身体のゆっくりとした動きと呼吸法を通じて「今ここ」に気づきを向ける技法で、マインドフルネスな態度を養うトレーニングの中でも取り入れられています。

 

ヨーガは、ゆったりとした動きを伴うポーズや呼吸法で構成されているので、今ここの自分の身体の様子や呼吸の様子に注意を向けやすいという効果が期待されます。

 

特に年齢の小さいお子さんに、マインドフルネスを体験してもらう上で、いきなり目に見えない自分の考えとか自分の気持ちへの注目を促してもコツがつかみにくいというケースは少なくありません。

 

それに比べて、身体を動かしたときの感覚や呼吸の変化に関しては、お子さんも理解して、自ら取り組んでくれるようになることが多いんですね。

マインドフルネスはトレーニングなので、腹筋と同じで、1日5分でも3分でもいいので続けることが、効果を実感していただくためには重要です。

 

そのため、呼吸法をはじめとする各種技法の中で、まずご自身に合ったものを継続的に実践して頂きたいと考えています。

その点、ヨーガは比較的親しみやすいエクササイズでもあるため、積極的に取り入れております。

アシロ取材班

コロナ渦において、ストレスを感じているご家庭も多いと感じています。

このような時期をマインドフルネスの観点では、どうとらえるべきなのでしょうか。

相馬先生

短い時間でも、今の自分の身体や呼吸と繋がる時間を取ることはこの時期、特に大切です。

コロナ禍で、未来への不安を募らせてしまいがちな方も少なくないと思います。

 

この時期は、特に皆さんがマインドフルネス瞑想を日常に取り入れることで、効果を実感できる良い機会であると考えます。

アシロ取材班

では実際に母子間でできるマインドフルネスについてお伺いできますでしょうか。

 

相馬先生

まずは合蹠(がっせき)のポーズを応用したマインドフルネス・ヨーガの手法をご紹介させて頂きます。

こちらのエクササイズは小さなお子さんにも出来るエクササイズとなります。

アシロ取材班

自分もやってみます。

相馬先生

ありがとうございます(笑)。

 

まずは足の裏と裏を合わせるようにして座って、両手を組んでつま先を抱えるようにして持ってください。

その状態から背筋をスーッと伸ばします。ピンと無理に伸ばす必要はないです。背骨がS字のカーブを描いているのを意識して、自然な形でスーッと伸ばします。

 

次に、頭が風船のようにフワッと軽くなったつもりで、肩の力も抜いてください。

このまま自分が心地よいなと思うペースで、左右に揺れるようにして身体をゆすってください。

 

地面で、太ももの外側やお尻をマッサージしてあげるようなつもりで左右に揺れてみましょう。お子様には「綺麗なお花の上に止まって羽を休めている蝶々のようなポーズですよ」というふうに声をかけることで、より具体的なイメージを持ってもらいやすくなります。

 

揺れを楽しんだら、徐々にその揺れを小さくしていきましょう。いきなり止まる必要はありません。

揺れを小さくしながら、自分の身体がピタッと安定するところ、一番落ち着くところを探しましょう。

「あぁここが一番真っ直ぐ座れる」「一番安定するな、落ち着くな」と思うところで、動きをゆっくり止めてください。

 

最後に、一息大きく深呼吸をしてください。

これが一連のエクササイズの流れになります。

 

姿勢を整えるときには「背中をシャンと伸ばしなさい」と世間ではよく言われますよね。

しかし、このエクササイズにおいては、左右に揺れながら、一番安定して落ち着く姿勢を自分で探すという経験を大切にします。

 

実際にやっていただいて、股関節に結構ピリピリきませんか?

柔らかい方などはペタンとついちゃいますけど。

アシロ取材班

普段柔軟をする機会がないので、結構股関節にきていますね(笑)。

相馬先生

股関節を緩ませると身体全体が緩みやすくなりますので、休憩時や、寝る前にお布団の上等でやっていただくのもお勧めです。

 

お子さんが小さいときは、お母さんがポーズを作って、お母さんの足の上にお子さんに乗ってもらって、一緒に大人の揺れをお子さんも楽しむこともできます。お子さんの重みで、お父さんお母さんの股関節がより一層開きます。

 

また、お子さんの背中と、お母さんのお腹やお父さんのお腹が密着することで、お互いの体の温もりを感じることが出来ます。親子のスキンシップにもなるんですよね。

このエクササイズはテレビのCM中等にもできる簡単なものですので、日常にも取り入れやすいと思います。

アシロ取材班

親子のスキンシップについて具体的にお聞かせください。

相馬先生

スキンシップは、お互いの温かさを交換することが出来ます。

お子さんを撫でてあげるときに、指先で撫でるんじゃなくて手のひら全体を使っていただいて、お子さんの温かさを感じながら行うとよいでしょう。

 

肩とか背中とかお腹とかナデナデしてあげるという時間は、お互いにとって、すごくマインドフルな時間になると思います。

「サワサワ触るんじゃなくて、ちょっと圧をかけてあげるぐらいのしっかりとしたナデナデの方が緩みやすくなる」なるっていうのはコツとしてあるみたいですね。

 

お子さんに触れる自分の感覚や、触れられているお子さんの心地よさの感じ方を観察することで、よりマインドフルな心の向け方を体験していただく機会になると思います。

 

なお、一方的にスキンシップを大人の方から子どもに持ち掛けるのではなく、お子さんの様子や状態にあわせてマインドフルに触れるという時間を日常の中で取っていただくことが大切です。

母親向けのマインドフルネス瞑想

アシロ取材班

次に母親向けのマインドフル瞑想の手法についてお聞かせいただけますでしょうか。

相馬先生

取り入れやすいのは呼吸瞑想ですね。いつでもどこでも道具がなくても出来るので日常生活に取り入れやすいと思います。

それでは、一緒にやってみましょう。

呼吸瞑想

相馬先生

まず姿勢を整えるところから始めましょう。

いま座っているのは座椅子ですか?それとも足がある椅子ですか?

アシロ取材班

ゴリゴリのオフィスチェアです(笑)。

相馬先生

イスに座られている場合は、背もたれに背中をドッシリつけるというよりも、少しだけ手前に座っていただくことをお勧めします。

 

足幅は肩幅程度に自然に開いてください。

足の裏をしっかりと床につけていただいて、踵・つま先・指の1本1本もしっかりつけます。

 

椅子の座面に太ももの裏側やお尻が安定して密着している様子も観察してあげましょう。

自分の身体が大地にしっかりと根付いており、安定していることをまず確認していただきます。

 

背筋はピンと無理に張る必要はありません。自然なカーブを描くようにしてください。

頭をフワッと軽くしていただいて、両肩のちょうど真ん中の辺り、身体の真上に頭が乗っている感覚を感じましょう。

 

目を閉じていただくか、あるいは目を閉じることに抵抗がある場合には、半分だけ瞼を閉じましょう。斜め前方の下辺りをボーッと眺めるような視線を向けてあげましょう。

 

手は、膝や太ももの上に自然に置いていただいて構いません。

手のひらを太ももにくっつけていてもいいですし、天井の方を向けていても構いません。

 

下向きの場合は、自分の手のひらと太ももの温かさを交換しやすくなります。手のひらを天井の方を受けている場合は、自分の身体の周りの空気の様子を感じやすくなります。

両方試していただいて、どちらか落ち着く方を選択しましょう。

 

アシロ取材班

下ですね。

相馬先生

わかりました。

それでは手の平の位置が決まったら、お顔の周りの力も今一度抜いてみましょうか。

口元の力が抜けました。頬、目元、額の周りの力もフーッと抜けていきます。

 

ではこの状態で、今の自分の呼吸の様子を観察していきましょう。

鼻から空気を吸って、また鼻から外へと吐き出します。

無理に大きな深い呼吸をする必要はありません。今この姿勢でできる自然なペースで呼吸を繰り返していってください。

 

息を吸って息を吐くごとにお腹が膨れたり、そしてへこんだりしています。

息を吸って息を吐くごとに、鼻の穴を出たり入ったりしていく空気の様子も感じられますね。それらに優しい気づきを向けてみましょう。

 

この際に、周りの音等によって注意が呼吸から離れることがあります。あるいは勝手に頭の中に、今実践している呼吸とは全く関係のない違う出来事が浮かんできて、そちらの方に注意が奪われてしまうこともあります。

それは心の通常の反応なので、過度に心配したり自分を責める必要はありません。

 

もし注意が呼吸から離れたことに気づいたら「あぁこんなことを考えてたんだね」「こんなことを思ったんだね」と、そんなふうに優しく声をかけてあげて、そしてまた注意を呼吸へと戻してあげてください。

 

離れたら戻る、離れたら戻る。

これを繰り返していくと、今ここにいる自分自身と繋がるための「心の筋肉」が育まれていきます。

 

もう十分だなと思ったら、ご自身のタイミングで構いませんので、目元の力をフワッと抜いて、目を開けましょう。

目を開いたらパチパチと何回か瞬きをしていただいてお顔を起こしてあげましょう。

 

イスに座ってらっしゃった方は、手のひらを身体の横に自然に下ろしていただいて、手のひらをフルフルフルとゆすってください。だんだんと揺れを大きくして、腕全体をブルンブルンと動かします。腕の付け根のあたりからしっかりとゆすってあげます。

 

腕の感覚が正常に戻ってきたら、両手を組んで伸びをしましょう。両手をバンザイの形にしてください。

グーッと伸びて…、もう少しだけ伸びてから一気にフーッと力を抜きます。

 

まだボーっとするような感覚が残っている場合は、何回か伸びをするか、あとはグーパーグーパ―と、手の開閉運動をしていただくのもおすすめです。どうでしょうか?

アシロ取材班

もう、自分の世界に入りかけて戻って来れなくなるところでした(笑)。

相馬先生

基本となるマインドフルネス呼吸法を、体験していただきました。

飲み物を通じた瞑想

アシロ取材班

それでは、もう少し発展的な内容で、日常に取り入れることが出来るマインドフルネス瞑想の手法についてご教授頂けますでしょうか。

相馬先生

それでは飲む瞑想をご紹介します。

 

まずは飲み物が入った器を手に取って頂きます。

このような動作をする際に、私達は無意識に容器を手に取りますよね。そうではなく、容器の手触りや重み等を味わうようにして手に取ってください。

 

次に手に取った容器を手のひらの上に支えながら乗せてみましょう。

しっかりと重みが感じられますね。

 

次は容器の中に入っている飲み物に意識を傾けましょう。

何かはよくわからないけれども色のついた液体が入っていて、初めてこれを見たかのように観察をしてもらいます。

 

まずどんな色ですか?色は液体のどの部分でも全く同じでしょうか?それとも場所によって違うでしょうか?

 

アシロ取材班

場所によって違う気がします。

相馬先生

では手の位置をずらしてみましょう。

光を当てる角度を変えると、色はどう変化するでしょうか。上から見てみたり、横から見てみてもいいかもしれません。

アシロ取材班

角度によっては、赤みを帯びたり、薄い色になったり暗い色にもなったりしますね。

相馬先生

なるほど。他に何か気付くことありますか?

アシロ取材班

プラスチック製なので、指紋が見えますね。

相馬先生

なるほど。容器の方でも気づいたことがありましたね。

じゃあ今度はゆっくりと、この中の液体に鼻を近づけてみて、香りを嗅いでみましょう。

 

アシロ取材班

すごい良い香りですね。何か紅茶のような……、でもちょっと爽やかな……。

相馬先生

鼻をぐっと近づけたときともう少し遠ざけたときで、香りは変わるか、あるいは一定かを確認してみましょう。

アシロ取材班

なんか遠ざけると爽やかさはちょっと失われる気がします。

相馬先生

なるほど。近づけば近づくほど、爽やかさが強くなるのですね。

 

今度は耳に近づけてみましょうか。

音はするでしょうか?ちょっと振ってみたりしてもいいですよ。

あまり大きく振っちゃうとこぼれてしまうのでご注意ください。

 

これまで、目で見て、鼻で香りを嗅いで、耳で音も聞きました。手で持ったときの感覚も味わいましたね。

 

今度は舌、味覚で味わってみましょう。

もしかしたら「もうすぐにでも口に入れたい」って衝動が湧き起こるかもしれませんけど、「そういった衝動があるんだなあ」とその衝動を認めた上で、できるだけゆっくり口の中にこの液体を入れてみます。

 

相馬先生

液体が入ったら、それを衝動的に飲み込むのではなくて、舌の上で転がしてみましょう。

 

味は口の中に入ってきたときとちょっと時間が経った時とでどういうふうに変化するか。

時間とともに変化する味や香りにも、気づきを向けてみましょう。

 

口の中いっぱいに液体が広がって「もう十分だな」「味わったな」と思ったらゆっくり飲み込んでください。

液体を飲み込む際にも、食道をゆっくりと液体が下りていくような感覚を味わっていただきます。

 

口の中から液体が完全になくなったら、残っている口の中の味や香りにも気づきを向けてみましょう。

 

飲むマインドフルネス瞑想は以上になります。

アシロ取材班

すごいなぁ。何だろう、ソムリエみたいな気持ちになりました(笑)。

ここまで時間をかけてお茶を飲んだことは人生で初めてです。

相馬先生

大抵の場合、人は別の何かに気を取られながらお茶を飲んでいますよね。

実際に味や風味等に意識を傾ける機会は少ないのではないでしょうか。

 

食べ物や飲み物を十分に味わうと、満足感が得られやすくなるため、過食の防止にも繋がります。

ただし、毎食飲む瞑想を実践すると食事が終わらないので、一口目だけマインドフルに飲食を行うことをお勧めします。

アシロ取材班

ありがとうございます。

この「お茶を飲む」という動作をマインドフルに行うことによって、どのような効果が期待されますか。

相馬先生

まず、フルに五感を使って飲むことになるので感覚が鋭敏になると思います。また、ある感覚が時間とともに変化していくことを実感できるのもポイントです。

 

このワークを継続して行っていくと、何かイヤな感覚が生じたとしても、それに反射的に「イヤだ」とラベルを付けてしまうのではなく、「これからどうなっていくかな」とマインドフルネスに観察をする、まさに体験を味わう力がついていきます。

アシロ取材班

忙しい現代人にとって、呼吸法や飲む瞑想といったマインドフルネス瞑想の手法は比較的取り入れやすそうだと感じました。

相馬先生

そうですね、現代人は本当忙しいので日常の合間に取り入れることが出来るマインドフルネス瞑想はお勧めです。私はよくパソコンが再起動するときや、信号を待っている間等に呼吸瞑想を実践することが多いですね。

 

ぜひ日常の中でマインドフルネス瞑想を取り入れていただければと思います。

 

今回ご紹介したマインドフルネス瞑想の手法が少しでもお役に立てれば幸いです。

アシロ取材班

今回はお時間を頂き、ありがとうございました。

 

この記事の取材協力
駿河台大学 心理学部
相馬 花恵 准教授
2008年早稲田大学第一文学部卒業,2013年早稲田大学博士号取得。公認心理師。精神保健福祉士。駿河台大学心理学部准教授。東京都児童相談センター治療指導課ヨーガ療法講師。専門は臨床心理学、発達心理学

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編集部

本記事はベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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