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あなたは夫婦別姓容認派?否定派?女性の社会進出と氏の選択
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女性が活躍する場が増えている昨今、検討が進められているのが夫婦別姓の可否についてです。
夫婦別姓とは、結婚して婚姻関係にある男女が、夫または妻のいずれかの氏(苗字)を名乗ることをせず、それぞれの従来の氏(苗字)を名乗ることを言います。こうした氏制度は正式には夫婦別氏制と呼びます。
なお、現在の日本は婚姻後の夫婦の氏については、1つの氏を名乗る制度を採用しており、これが一般的に夫婦同氏制と呼ばれます。
近年の女性の社会進出と比例して、“氏”の問題が強く意識されるようになってきました。そこで1996(平成8)年に法制審議会が、婚姻法改正要綱のなかで“夫婦別氏姓”を導入することについてが検討をしましたが、多くの異論が噴出。実現はされませんでした。
一方で、最近は企業においても婚姻前の氏を用いることの理解や、法制度として従来の氏を使用できるような環境の変化もあります。例として商業登記における役員につき、婚姻前の氏も登記できるようになりました(平成27年2月27日施行 商業登記規則81条の2参照)。
また、例えば司法書士の登録において、使用する『職名』として従来の氏(旧性)を用いることができます。
すでに述べてきたように、男女平等の推進と女性の社会進出にともない、とりわけ女性の旧姓の使用が、社会で段々と容認されてきました。『男女平等』といえども、氏の変更を強制されることを与儀なくされてきた状況からは、少しずつ前進してきているといえます。
また、最近の報道によると(2018年3月25日付 日本経済新聞電子版)、夫婦別姓の容認派は42.5%となり、2012年に行った内閣府の『夫婦別姓』同調査の際の容認派35.5%より大きく上回る結果となっています。
社会全体の意識として、氏における両性の平等という概念がより浸透した結果と言えそうです。
(参考:日本経済新聞社)
すでに説明したとおり、日本では現在、法律上は夫婦別性を認めてはいません(民法750条)。そこで、事実上の夫婦別姓を選択した場合のメリットとデメリットについて簡単に説明していきます。
夫婦別性のメリットは、結婚をした男女であっても、そのまま結婚前の氏を名乗ることができることにあります。また、運転免許証や銀行口座名など、名前(氏)の変更手続きの手間が省けます。
夫婦別姓を取る方法としては、法律上の結婚をする場合(婚姻届を提出する結婚)と、事実上の結婚をする場合(婚姻の意思はあるが婚姻届は提出しない)の2種類があります。
前者の場合、夫婦のうちいずれか(多くの場合は女性)が、“通称”としてその者の旧姓を用いる場合です。この場合には、法律上(現行の民法および戸籍法上)は夫婦の氏は統一され、夫婦同氏となります。
一方で、後者のように法律上の氏の変更をすることを避ける目的から、あえて婚姻届を提出しない(法律上の結婚をしない)場合があります。この場合には、法律上は正式に結婚したわけではないので、夫婦のそれぞれに氏の変更はありません。
夫婦別姓のデメリットは、“通称”として従来の氏を用いる場合には、実質的なデメリットは非常に小さいと言えます。一方で、前述のように、法律上の婚姻をせず(内縁関係を築き)、従来の氏を名乗る(夫婦別姓を取る)場合にはいくつかの点でデメリットが生じます。
具体的には①税金面での不利 ②子の氏の問題 ③相続の問題の3点です。
法律上の婚姻をしていると、税制面でさまざまな優遇を受けることができます。事実上の結婚の場合、夫婦同然の生活をしてはいますが、法律上の保護は及ばず、税金上の優遇を受けることができません。具体例としては、住民税における配偶者控除の適用、相続税における配偶者控除の適用等があります。
内縁関係の夫婦の間に生まれた子は嫡出子ではないので、氏については原則として母の氏を名乗ります(民法790条2項)。仮に父の氏を名乗る場合には、そのままでは手続きができないので、前提として父に認知をしてもらう必要が生じます(民法779条、791条)。
法律上の婚姻をしていない男女は内縁関係にあります。こうした事実上の婚姻関係にある者は、正式な意味では互いに配偶者ではありません。そのため、夫婦のうちの他方が死亡した場合、残った者は相続人とはならないので、相続権は生じません(民法890条)。
また、こうした夫婦の間に生まれた子は、そのままでは父の子として戸籍に記載されないため、そのままでは父に関して相続権は認められません。この場合、父は認知の手続きを取る必要があります(民法779条、787条参照)。
夫婦別姓の問題は“家族の在り方”を国民に問う重要な問題です。今後も議論の行方を注視していく必要があるでしょう。
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