価値観の合わない妻から、高額な財産分与を請求され、調停離婚で解決を図った事案

Aさんは、お子様に影響が出ないよう、できるだけ穏便に話し合いで離婚を進めることを望んでいましたが、条件について合意できない点もあり、やむなく離婚調停の申し立てを行いました。妻Bさんからの要求にはとても応えられそうにないため、調停でのサポートを求め、当事務所までご相談にいらっしゃいました。

調停において弁護士は以下の三点に焦点をあて、主張を行いました。

（1）Aさんは数百万円をお子様の養育費として請求されていました。
しかし、お子様が通う私立小学校は全寮制であることを挙げ、授業料・寄宿舎費以外の食費等は低額であると主張し、養育費の算定法定につき、お子様の養育費として数百万円請求することは高額すぎるとの主張をしました。

（2）夫婦間の養育について、お子様の長期期間中に外食に連れて行ったり、プレゼントをおくったり、出張に連れて行き旅費を出したりするなど、これまで宿泊を伴う養育を行っており、婚姻費用以外にも諸費用を負担していたことを主張しました。

（3）別居することとなった要因として、妻BさんはAさんが不貞行為を行ったためとしましたが、Aさん側はそれを否定しました。
その上で、妻Bさんが自らの意思で別居を申し出たため、その意思を尊重し別居を受け入れただけであると主張しました。

それに対し、Bさんさん側は、養育費について公立の学校に通う場合と私立の学校に通う場合では算定基準が異なるため、上乗せが必要であることを主張してきました。

また、お子様の長期期間中といっても期間が2週間程度であることばかりである上、プレゼント等は養育費の減額要素とはならないと反論してきました。
弁護士は、学費に関しては、公立校等、通常の学校教育でかかる費用のみが対象となるため、それ以外の費用については、算定の範囲に含まれないとしました。
また、過去の判決事例においても、学習塾等、習い事の授業料はあくまで任意に行う私的な学習の費用であり、通常の婚姻費用の範囲内でその責任を負うだけだと主張しました。
して、仮におはようプレゼントなどは養育費の減額要素とならないとしても、実際にお子様を監護養育しているのは１ヵ月程度で、今後さらに監護養育する実日数は減少することが予想されるため、それも事情の一つとして考慮すべきだと主張しました。